歯吸着音
歯吸着音(はきゅうちゃくおん)は、子音のひとつ。吸着音の中ではもっとも普通に見られる。
歯吸着音 | |
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ǀ | |
IPA 番号 | 177 |
IPA 表記 | [ǀ] |
IPA 画像 | |
Unicode | U+01C0 |
文字参照 | ǀ |
JIS X 0213 | |
X-SAMPA | |\ |
Kirshenbaum | t! |
音声サンプル |
国際音声記号では縦棒1本[ǀ]で表わされる。かつては「t」を上下左右逆にした[ʇ]が用いられていたが、1989年に取り消された[1]。
概要
編集まず舌尖と上の歯、および舌背と軟口蓋の2か所に閉鎖を作る。それから舌の中央および後ろを下げることにより、閉鎖された部分の気圧を下げる。その後に舌尖と上の歯の間の閉鎖を解放することで空気が急に口に入って吸着音が生成される[2]。
言語音以外では、英語で「tsk tsk」と書かれる、不満を表す舌打ちに用いられる[2][3]。
「歯吸着音」という名称はあまり正確でなく、実際には舌は上前歯および歯茎全体と接触する[3]。
歯吸着音は本質的に軟口蓋音または口蓋垂音との二重調音であり、国際音声記号では[k͡ǀ]のように書くか、あるいはタイを省略して[kǀ]のように書くことができる。同様に帯気音は[kǀʰ]、有声音は[ɡǀ]、鼻音は[ŋǀ]のように書かれる[4]。
言語例
編集脚注
編集- ^ プラム&ラデュサー(2003) pp.178-179
- ^ a b Ladefoged (2001) p.119
- ^ a b プラム&ラデュサー(2003) pp.221-222
- ^ a b c Ladefoged (2001) p.121
- ^ Ladefoged (2001) pp.264-265
- ^ Handbook of the International Phonetic Association. Cambridge University Press. (1999). ISBN 0521652367 (chapter 3.1)
- ^ 外部リンクの Vowels and Consonants を参照
参考文献
編集- Ladefoged, Peter (2001). A Course in Phonetics (4th ed.). Heinle & Heinle. ISBN 0155073192
- プラム, ジェフリー・K、ラデュサー, ウィリアム・A 著、土田滋; 福井玲; 中川裕 訳『世界音声記号辞典』三省堂、2003年。ISBN 4385107564。
外部リンク
編集- Peter Ladefoged; Sandra Ferrari Disner (2012) [2001], “14. Consonants around the world”, Vowels and Consonants (3rd ed.), Wiley-Blackwell, ISBN 9781444334296(ナマ語の吸着音の一覧と音声データ、レントゲン動画を含む)
- 子音
肺臓気流 両唇 唇歯 歯 歯茎 後部歯茎 そり舌 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂 咽頭 声門 破裂 p b (p̪) (b̪) (t̪) (d̪) t d ʈ ɖ c ɟ k ɡ q ɢ ( ʡˤ) ʔ 鼻 (m̥) m (ɱ̊) ɱ (n̪̊) (n̪) (n̥) n ɳ ɲ ŋ ɴ ふるえ (ʙ̥) ʙ (r̥) r ʀ はじき (ⱱ̟) ⱱ ɾ ɽ (ɟ̆) (ɢ̆) (ʡ̆) 摩擦 ɸ β f v θ ð s z ʃ ʒ ʂ ʐ ç ʝ x ɣ χ ʁ ħ ʕ h ɦ 側面摩擦 ɬ ɮ 接近 (β̞) (ʋ̥) ʋ (ɹ̥) ɹ ɻ j ɰ 側面接近 (l̥) l ɭ ʎ ʟ 非肺臓気流 吸着 ʘ ǀ ǃ 𝼊 ǂ ǁ (ʞ) 入破 ɓ ɗ̪ ɗ (ᶑ) ʄ ɠ ʛ 放出 pʼ (t̪ʼ) tʼ ʈʼ c’ kʼ (qʼ) sʼ その他 同時調音 ʍ w ɥ ɕ ʑ ɧ (k͡p) (ɡ͡b) (ŋ͡m) 喉頭蓋音 ʜ ʢ ʡ 舌唇音 (t̼) (d̼) (n̼) (θ̼) (ð̼) その他側面音 ɺ (ɭ̆) (ɫ) 破擦音 p͡ɸ b͡β p̪͡f b̪͡v t͡θ d͡ð t͡s d͡z t͡ʃ d͡ʒ ʈ͡ʂ ɖ͡ʐ t͡ɕ d͡ʑ c͡ç ɟ͡ʝ k͡x ɡ͡ɣ q͡χ ɢ͡ʁ t͡ɬ d͡ɮ ʔ͡h 記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。- 国際音声記号 - 子音