灯明
神仏に供える灯火
灯明(燈明:とうみょう)とは、神仏に供える灯火をいう。仏教においては、サンスクリット語の「ディーパ」の訳で、闇(無明)を照らす智慧の光とされ、重要な供養のひとつとされる。灯明は古くは油をともす油皿(あぶらざら)が使われていたが、現在は、ろうそくまたは電球によるものが多い。
輪灯
編集浄土真宗では、燭台の他に「輪灯」と呼ばれる真鍮製の灯火具が用いられる。形状は、油煙よけの傘を付けた吊り具に、油皿をのせる皿に輪を付けたもの。対で用いられる。
寺院では、中尊前[注 1]と祖師前[注 2]にのみ、天井から吊って用いる。在家の御内仏では、仏壇の天井より一対吊る。
輪の形状は、宗派により異なる。大谷派は、油皿をのせる皿に輪が付いただけの簡素なものを用いる。本願寺派は「菊輪灯」、高田派は「桐輪灯」、佛光寺派は「藤輪灯」と呼ばれる輪灯を用い、それぞれ輪と油皿をのせる皿に装飾が入る。大谷派以外は、相吊(間吊)と呼ばれる装飾された吊金具を輪灯本体と傘部の間にはさむ。
永遠の炎(Eternal flame)
編集→詳細は「永遠の炎」を参照
炎を永続的に燃やす行為は多くの信仰や文化でみる事ができる。また、他にも無名戦士の墓や偉大な人物(ジョン・F・ケネディの火en)を忘れないよう炎を永続的に燃やすという行為がみられる。
- 古代ペルシャ、ゾロアスター教
- 古代イランのアータルは特別な司祭によって管理され、ゾロアスター教における"神聖な火花"またはアムシャ・スプンタの概念を表していた。アケメネス朝ペルシャの時代には3つの「偉大な火」が永続的に燃やされている共同体の火の記述があり、それらが永遠の炎の最初と言われている[1][注 3]。
- 仏教
消火された永遠の炎
編集- アケメネス帝国の3つの「Great Flames」のうちの1つが、アレクサンダー大王治世下の紀元前324年に親友のヘファイスティオンの死に敬意を表して消された。
- 紀元前87年、ローマの将軍スッラによって破壊されるまで、ギリシャのデルポイアポロ神殿で永遠の炎がともされていた[注 4]。
- 古代ローマのウェスタの聖火がフォロ・ロマーノのウェスタ寺院で燃やされていたが、394年に消火された。
- エストニアのタリン解放者の記念碑(第二次世界大戦記念の旧ソビエト軍兵士像)近くの永遠の炎が、1991年のソビエト連邦からの独立後、消火された。
- 東ドイツにあった永遠の炎が統一後消された。
- 1999年のコソボ空爆の慰霊として、2000年にベオグラードで23メートル(75フィート)の永遠の炎慰霊碑 "Večna vatra" が建てられた。炎は数ヶ月後に消された。
自然の永遠の炎
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 中尊前(ちゅうそんぜん)とは、本尊(阿弥陀如来)前のこと。
- ^ 祖師前(そしぜん)とは、親鸞御影前のこと。
- ^ "Great Fires"はRoyal Firesとも言われ、3世紀ごろ以降のゾロアスター教で特別視された3か所の拝火神殿「Adur Burzen-Mihr」「Adur Farnbag」「Adur Gushnasp」で、それぞれ燃やされていた。Adur Burzen-Mihrは労働者や工芸家、農家など、Adur Farnbagは神官、Adur Gushnaspは戦士階級に対応する
- ^ 2世紀のパウサニアス (10.24.5) 、ヘロドトス (7.141)、 エウリピデス (タウリケのイピゲネイア)の記述
出典
編集関連項目
編集- 照明(提灯、行灯、蝋燭)
- 不滅の炎(Flame Imperishable) - ファンタジー作家J・R・R・トールキンの創作した物語に登場する永遠の炎
- 炭層火災、他に、泥炭層火災、ガス田火災がある。消火するのが難しいため、自然鎮火するまで多くの場所で放置されている。
- 火炎崇拝