第60回有馬記念
第60回有馬記念(だい60かいありまきねん)は、2015年(平成27年)12月27日に行われた競馬の競走である。
第60回有馬記念 | |
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優勝馬のゴールドアクター(奥) | |
開催国 | 日本 |
主催者 | 日本中央競馬会 |
競馬場 | 中山競馬場 |
施行年 | 2015年 |
施行日 | 12月27日 |
距離 | 芝2500m |
格付け | GI |
賞金 |
1着賞金2億5000万円 |
出走条件 | サラ系3歳以上(国際・指定) |
天候 | 曇 |
馬場状態 | 良 |
優勝馬 | ゴールドアクター |
優勝騎手 | 吉田隼人 |
優勝調教師 | 中川公成(美浦) |
優勝馬主 | 居城要 |
優勝生産者 | 北勝ファーム(新冠町) |
優勝したのはそれまでGIレース未勝利の伏兵ゴールドアクターであり、鞍上を務めた吉田隼人及び調教師の中川公成にとっての有馬記念初制覇となるレースだった[1]。
出走馬の状況
編集このレースに出走する馬の中で1番人気となったゴールドシップはこのレースでの引退及び種牡馬入りを8月の時点で発表し[2]、事前に行われたファン投票でも一番票を集めた[3]他、クラシック期にコンビを組んでいた内田博幸とのコンビ復活も注目を集めた[4]。レース後に同馬の引退式が行われることも事前に発表されていた[5]。
前月上旬にアルゼンチン共和国杯で重賞初制覇したゴールドアクターの鞍上を務める吉田隼人は前月末に東京競馬場で右膝蓋骨を亀裂骨折し、全治6週間の診断が下ったことから乗り替わりの話も出たものの本人は「有馬では絶対に体を動かせるようにする」と直訴し[6]、治療も良好だったことから継続騎乗となった。
本年のクラシックに出走した馬のうち、キタサンブラック、リアファル、ルージュバックの3頭が出走。このうちキタサンブラックはそれまでの主戦騎手だった北村宏司が負傷により降板、ゴールドシップのそれまでの主戦だった横山典弘へと乗り替わりになった[7]。
同年のジャパンカップを優勝したショウナンパンドラは陣営が出走する意向を示し[8]、一旦は登録もしたものの最終的に体調を考慮し回避した[9]。同様にキタサンブラックの同期であったリアルスティールも年内休養が発表されていた[10]。
ファン投票
編集事前に行われたファン投票は以下の通り。有効投票総数は1,475,755票であった[3]。
最終順位 | 競走馬名 | 性齢 | 最終票数 | 管理調教師 | 出否 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ゴールドシップ | 牡6 | 120,981 | 須貝尚介 | 出走 |
2 | ラブリーデイ | 牡5 | 113,412 | 池江泰寿 | 出走 |
3 | キタサンブラック | 牡3 | 93,925 | 清水久詞 | 出走 |
4 | ミッキークイーン | 牝3 | 78,063 | 池江泰寿 | 回避 |
5 | ショウナンパンドラ | 牝4 | 69,874 | 高野友和 | 回避 |
6 | ドゥラメンテ | 牡3 | 59,968 | 堀宣行 | 回避 |
7 | イスラボニータ | 牡4 | 48,649 | 栗田博憲 | 回避 |
8 | ヌーヴォレコルト | 牝4 | 43,368 | 斎藤誠 | 回避 |
9 | リアルスティール | 牡3 | 42,170 | 矢作芳人 | 回避 |
10 | モーリス | 牡4 | 37,067 | 堀宣行 | 回避 |
11 | マリアライト | 牝4 | 37,006 | 久保田貴士 | 出走 |
12 | ルージュバック | 牝3 | 34,112 | 大竹正博 | 出走 |
13 | ラストインパクト | 牡5 | 32,308 | 松田博資 | 出走 |
14 | ラキシス | 牝5 | 26,410 | 角居勝彦 | 回避 |
15 | トーホウジャッカル | 牡4 | 24,800 | 谷潔 | 回避 |
16 | ワンアンドオンリー | 牡4 | 24,211 | 橋口弘次郎 | 出走 |
17 | エイシンヒカリ | 牡4 | 22,835 | 坂口正則 | 回避 |
18 | リアファル | 牡3 | 22,470 | 音無秀孝 | 出走 |
19 | サウンズオブアース | 牡4 | 22,045 | 藤岡健一 | 出走 |
20 | レッツゴードンキ | 牝3 | 20,447 | 梅田智之 | 回避 |
出走馬・枠順
編集枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 斤量 [kg] |
騎手 | 調教師 | 単勝 人気 |
オッズ | 馬体重 [kg] |
ファン投票 |
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1 | 1 | オーシャンブルー | 牡7 | 57 | 石川裕紀人 | 池江泰寿 | 15 | 122.8 | 446 | |
2 | ヒットザターゲット | 牡7 | 57 | 小牧太 | 加藤敬二 | 13 | 55.4 | 516 | ||
2 | 3 | ラストインパクト | 牡5 | 57 | 菱田裕二 | 松田博資 | 9 | 20.6 | 496 | 13位 |
4 | ラブリーデイ | 牡5 | 57 | 川田将雅 | 池江泰寿 | 2 | 4.5 | 488 | 2位 | |
3 | 5 | アドマイヤデウス | 牡4 | 57 | 岩田康誠 | 橋田満 | 11 | 34.4 | 484 | 30位 |
6 | アルバート | 牡4 | 57 | A.アッゼニ | 堀宣行 | 7 | 16.1 | 466 | ||
4 | 7 | ゴールドアクター | 牡4 | 57 | 吉田隼人 | 中川公成 | 8 | 17.0 | 494 | 24位 |
8 | ワンアンドオンリー | 牡4 | 57 | 浜中俊 | 橋口弘次郎 | 10 | 30.4 | 498 | 16位 | |
5 | 9 | サウンズオブアース | 牡4 | 57 | M.デムーロ | 藤岡健一 | 5 | 9.9 | 502 | 19位 |
10 | トーセンレーヴ | 牡7 | 57 | H.ボウマン | 池江泰寿 | 14 | 86.7 | 480 | ||
6 | 11 | キタサンブラック | 牡3 | 55 | 横山典弘 | 清水久詞 | 4 | 8.4 | 526 | 3位 |
12 | リアファル | 牡3 | 55 | C.ルメール | 音無秀孝 | 3 | 5.6 | 506 | 18位 | |
7 | 13 | ルージュバック | 牝3 | 53 | 戸崎圭太 | 大竹正博 | 6 | 10.7 | 458 | 12位 |
14 | ダービーフィズ | 牡5 | 57 | 田辺裕信 | 小島太 | 16 | 138.8 | 462 | ||
8 | 15 | ゴールドシップ | 牡6 | 57 | 内田博幸 | 須貝尚介 | 1 | 4.1 | 508 | 1位 |
16 | マリアライト | 牝4 | 55 | 蛯名正義 | 久保田貴士 | 12 | 41.5 | 434 | 11位 |
公開枠順抽選会
編集競走3日前の12月24日に本競走の枠順公開抽選会が行われた。まず第一の段階で出走馬を岡部幸雄元騎手が抽選し、その後出走馬関係者がボールを選び、それをゲストのMLB・マリナーズ選手(当時)の青木宣親が開けて枠順が決定する形を取った[11][12]。
レース展開
編集映像外部リンク | |
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2015年 有馬記念(GI) レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画 | |
ゴールドアクター【有馬記念2015】 レース映像 カンテレ競馬【公式】YouTubeチャンネルによる動画 |
キタサンブラックがハナを取り、スローペースな逃げを打ち、リアファルとゴールドアクターが続いた。馬群が3~4コーナーを通過した所で最後方にいたゴールドシップが一気に順位を上げ、4番手まで付けたものの失速。その一方で3番手をキープしていたゴールドアクターは最後の100m地点で前の2頭を追い越し、サウンズオブアースとキタサンブラックを振り切り1着で優勝した[13][14][15]。
レース結果
編集着順
編集着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 上3F | 着差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | ゴールドアクター | 2:33.0 | 34.8 | |
2 | 9 | サウンズオブアース | 2:33.0 | 34.7 | クビ |
3 | 11 | キタサンブラック | 2:33.1 | 35.1 | 3/4 |
4 | 16 | マリアライト | 2:33.1 | 35.0 | アタマ |
5 | 4 | ラブリーデイ | 2:33.2 | 34.7 | 1/2 |
6 | 10 | トーセンレーヴ | 2:33.3 | 34.4 | クビ |
7 | 5 | アドマイヤデウス | 2:33.3 | 34.9 | ハナ |
8 | 15 | ゴールドシップ | 2:33.3 | 35.2 | クビ |
9 | 8 | ワンアンドオンリー | 2:33.5 | 34.8 | 1 |
10 | 13 | ルージュバック | 2:33.5 | 35.0 | クビ |
11 | 6 | アルバート | 2:33.6 | 34.9 | クビ |
12 | 3 | ラストインパクト | 2:33.6 | 35.0 | クビ |
13 | 2 | ヒットザターゲット | 2:33.7 | 35.1 | 1/2 |
14 | 14 | ダービーフィズ | 2:33.9 | 35.2 | 1.1/4 |
15 | 1 | オーシャンブルー | 2:35.4 | 36.4 | 9 |
16 | 12 | リアファル | 2:35.5 | 37.4 | クビ |
払戻金
編集1000m通過タイム | 62.4秒(キタサンブラック) |
上がり4ハロン | 46.9秒 |
上がり3ハロン | 35.0秒 |
優勝馬上がり3ハロン | 34.8秒 |
最速上がり3ハロン | 34.4秒(トーセンレーヴ) |
払戻金
編集馬番/枠番 | 人気 | 金額(円) | |
---|---|---|---|
単勝 | 7 | 8 | 1,700 |
複勝 | 7 | 7 | 410 |
9 | 4 | 290 | |
11 | 5 | 340 | |
馬単 | 7>9 | 55 | 13,780 |
馬連 | 7-9 | 27 | 6,840 |
枠連 | 4-5 | 20 | 5,010 |
ワイド | 7-9 | 22 | 1,760 |
7-11 | 31 | 2,300 | |
9-11 | 21 | 1,720 | |
三連複 | 7-9-11 | 70 | 20,360 |
三連単 | 7>9>11 | 450 | 125,870 |
入場者数・レース売り上げ
編集エピソード
編集- この時点で4連勝となったゴールドアクターの勝利は鞍上、調教師、馬主、そして生産者にとって初めての有馬記念制覇かつ初のGI制覇となった[1][14][18]。特に当時馬主であった居城要の最初で最後のGI制覇がこの有馬記念となった[19]。居城要はこの有馬記念から半年近く経った2016年6月18日に老衰のため死去した[20]。
- レース終了後、予定通りにゴールドシップの引退式が行われた[21][22]他、直前にウィナーズサークルで行われた有馬記念のレース回顧イベントでキタサンブラックの事実上の馬主であった北島三郎と北島ファミリーの大江裕、北山たけしが「まつり」を熱唱した[23][24]。
- 『ウマ娘プリティーダービー』のテレビアニメ版3期の第3話はこのレースを基に作られ[25]、ゴールドシップの引退式にも出席した[5][21]今浪隆利厩務員と思われる男性が観客席に描かれていた[26]。
テレビ・ラジオ中継
編集出典
編集- ^ a b c 谷川善久 (2015年12月27日). “第60回 有馬記念”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年10月31日閲覧。
- ^ “ゴールドシップ有馬で引退 来春ビッグレッドFで10億円種牡馬入り”. スポニチ Sponichi Annex (2015年8月3日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ a b “【有馬記念】ファン投票最終結果〜1位はゴールドシップ”. ラジオNIKKEI (2015年12月10日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】ゴールドシップに内田騎乗”. デイリースポーツ online (2023年10月31日). 2015年12月2日閲覧。
- ^ a b “ゴールドシップの引退式を27日に中山競馬場で開催”. ラジオNIKKEI (2015年12月17日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】ゴールドアクター4連勝で一気に頂点!吉田隼初G1”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月28日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】キタサンブラックに横山典 北村宏負傷で乗り代わり”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月11日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “JC勝利ショウナンパンドラは有馬記念参戦も前向き”. p.nikkansports.com (2015年12月3日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】パンドラ回避 追い切り後体調整わず「本物でない」”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月23日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “リアルスティール有馬自重で年内休養”. デイリースポーツ online (2015年11月13日). 2023-10-31a閲覧。
- ^ “【有馬記念】枠順決定!ゴールドシップは8枠15番”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月24日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “ゴールドシップは8枠15番からのスタート/有馬記念枠順”. netkeiba.com (2015年12月24日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】波乱の結末 伏兵ゴールドアクターがG1初制覇 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月27日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ a b “【有馬記念】アクター4連勝でGP制覇”. デイリースポーツ online (2015年12月28日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “ゴールドアクターGP制覇、吉田隼「ここまでくじけずにやってきて良かった」/有馬記念”. netkeiba.com (2015年12月28日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “第60回有馬記念(G1)”. netkeiba.com (2015年12月27日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ a b 『第5回 中山競馬 第8日』(PDF)(プレスリリース)日本中央競馬会、2015年12月27日 。2023年11月7日閲覧。
- ^ “【有馬記念】ゴールドアクター4連勝で一気に頂点!吉田隼G11”. スポニチ Sponichi Annex (2015年12月28日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】90歳の居城オーナー、悲願達成(1/2ページ)”. サンスポ (2015年12月28日). 2015年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ “居城要氏が死去 昨年有馬Vゴールドアクターの馬主”. p.nikkansports.com (2016年7月1日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ a b “ラストランを終えたゴールドシップの須貝師は「またこういう愛される馬をつくれるように」”. netkeiba.com (2015年12月28日). 2023年10月31日閲覧。
- ^ 川端亮平 (2015年12月28日). “【有馬記念】ありがとうゴールドシップ!“芦毛の暴れん坊”引退(1/4ページ)”. サンスポ. 2015年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ 川端亮平 (2015年12月28日). “【有馬記念】ありがとうゴールドシップ!“芦毛の暴れん坊”引退(2/4ページ)”. サンスポ. 2015年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ “【有馬記念】キタサン3着もサブちゃん歌った!(1/2ページ)”. サンスポ (2015年12月28日). 2015年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月31日閲覧。
- ^ 丸本大輔 (2023年10月21日). “TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』リレーインタビュー② ゴールドシップ役・上田瞳(前編) | Febri”. Febri. 一迅社. 2023年10月31日閲覧。
- ^ 屋城敦 (2023年10月20日). “ゴールドシップ「ゲートからうまく出られなくてな」キック&大出遅れの伝説も再現…アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』を考察してみた【ウマ娘考察#3】”. Number Web - ナンバー. 文藝春秋. 2023年10月31日閲覧。