電圧計
使用方法・接続方法
編集内部電気抵抗の大きな測定器であり、測定する回路の2点間に並列に接続する。
直流の場合、電流制限用の大きな抵抗と可動コイル形計器を接続し、流れる微小な電流でムービング・コイル(電磁石)を動かして電圧を測る。
測定範囲の拡大のために、直流では倍率器が、交流では計器用変圧器が利用される。
また、交流の測定にあたっては整流器と直流用計器を組み合わせたもので測定される。
アナログ電圧計
編集内部構造
編集基本的な構造は電流計と同じであるが、回路上に電気抵抗があるため定電流が流れるとオームの法則により求められた電圧を検針可能な構造となっている。右に可動コイル型の図を示す。構成部品は永久磁石、コイル、指針となっている。さらにその下の図は可動鉄片形で構成部品は可動鉄片、固定鉄片、指針となる。
直流電圧計
編集直流においての電圧を測定するのに使用される。構造は可動コイル型 (Moving-Coil Type) であり永久磁石およびコイルで構成される。また、振れ角は電流に比例するので目盛り平等目盛りとなる。
交流電圧計
編集構造は可動鉄片形 (Moving-iron Type) であり、非常に簡単、堅牢、安価で商用電源周波数程度 (45 - 65Hz) の交流電圧を測定するのに広く使用されている。本来は実効値の2乗で針が振れるが固定鉄片の形を改良することにより、定格の10 - 20%以上はほぼ平等目盛りとすることができる(写真の目盛りの始まり付近のことである)。
電流力計型電圧計
編集構造的には電力計と同様だが内部配線が異なる。原理的には直流から商用周波数程度(DC - 1000Hzまで可能なものも)である。
静電電圧計
編集二つの金属板に加えられた電圧により力が生じることによって指示する。低電圧の場合金属板に生じるトルクが小さいので、もっぱら高電圧 (1 - 500kV) で使用される。
熱電形電圧計
編集熱電形電圧計は15 - 150Vまでが製品化されている。
電子電圧計(バルボル、ミリバル)
編集交流電圧の実効値を広い周波数帯域及び広い電圧の範囲を測ることができる装置である。バルボルとは真空管電圧計(vacuum tube voltmeter, VTVM)の俗称である[1]。またミリバルはミリボルト・バルボルの俗称で、微小電圧測定のための測定器である。
デジタル電圧計
編集デジタル電圧計は、1954年に実業家・発明家のアンドルー・ケイによって発明された。
ここでは汎用の16bit ADCを例にあげ解説する。IC内部には入力マルチプレクサ(MUX)、プログラマブルゲインアンプ(PGA)、アナログ-デジタル変換回路(ADC)とそれらを制御しマイコン(MCU)などとの通信をつかさどる制御通信部からなる。下記にMCUによる電圧値取得の例を書く。ピンの割り当てやリファレンス電圧、PGAの設定、サンプルレートなどを指定した後に電圧値を1秒ごとにコンピュータに送信するソフトウェアである。
SPI spi(p5, p6, p7); // mosi(out), miso(in), sclk(clock)
DigitalOut cs(p8); // cs (the chip select signal)
Serial pc(USBTX, USBRX);
int main() {
spi.format(8,1); //(bits, mode) (mode1 (CPOL=0, CPHA=1)
spi.frequency(1000000); //1MHz
wait_ms(20);//Delay for minimum of 16ms to allow power supplies to settle and power-on reset to complete.
cs = 0;// Select the device by seting chip select low
wait_ms(1);//Delay for minimum of tsccs(=10ns)
spi.write(0x06);//reset
wait_ms(1);//Delay for minimum of 0.6ms
spi.write(0x16);//SDATAC: Stop read data continuous mode.
wait_ms(1);
//WREG: Write to register rrrr
spi.write(0x40);//WREG, MUX0
spi.write(0x00);//
spi.write(0x01);//AIN0 = + , AIN1 = -
wait_ms(1);
spi.write(0x42);//System Control Register0
spi.write(0x00);//
spi.write(0x30);//Internal Reference is always on. & Internal Reference selected.
wait_ms(1);
spi.write(0x43);//System Control Register0
spi.write(0x00);//
spi.write(0x12);//PGA=2, Data Output Rate = 20SPS
wait_ms(1);
spi.write(0x04);//SYNC: Synchronize ADC conversions.
wait_ms(1);
cs = 1;
while(1) {
cs = 0;
spi.write(0x12);//RDATA: Read data once.
wait_ms(1);
unsigned char Volt_hex1 = spi.write(0xff);
unsigned char Volt_hex2 = spi.write(0xff);
unsigned short Volt_hex = (Volt_hex1 << 8) | Volt_hex2;
float Volt = (float)Volt_hex / 0x7fff; //0 ~ 1.024V
cs= 1;
pc.printf("%f\r", Volt);
wait(1);
}
}
表示部をLCDや7セグメントディスプレイに置き換えればデジタルパネルメータとして仕上げることも可能になる。
倍率器
編集倍率器(ばいりつき,Multiplier)は直流電圧計の測定範囲拡大に使われる抵抗器で、電圧計に直列に挿入する。直列抵抗器とも呼ばれる。
自動車・オートバイにおける電圧計
編集自動車やオートバイの一部には、蓄電池性能監視のためにメーターパネル内などに電圧をデジタルまたはアナログメーターによって指示したり、「正常」「不足」「要点検」などの抽象的な表示を行う電圧計を備えた車種も存在しているが、パネル計器としての精度しかなく警告灯で代用するものが多い。
関連項目
編集参考文献
編集- 西野治『電気計測』コロナ社、1958年。ISBN 978-4-339-00161-7。
- 中林忠志『オーディオ用測定器 : 解説と製作』誠文堂新光社(無線と実験シリーズ)、1964年。
- 三好正二『基礎テキスト 電気・電子計測』東京電機大学出版局、1995年。ISBN 4-501-10670-0。