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{{観点|2021年3月15日の加筆部分|date=2021年5月}}
'''平山論文'''(ひらやまろんぶん)とは、1981年に[[平山雄]]により発表された[[受動喫煙]]に関する世界初の[[論文]]。[[受動喫煙]]の可能性を世界で初めて提唱したとされる論文である。
'''平山論文'''(ひらやまろんぶん)とは、[[1981年]][[1月17日]]に[[平山雄]]により発表された[[受動喫煙]]の可能性を初めて論じたとされる[[論文]]、「Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan<ref>{{Cite journal|author=Takeshi Hirayama|title=Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan|journal=Bulletin of the World Health Organization|volume=78|issue=7|pages=940–942|publisher=World Health Organization |location=Geneva, Swiss Confederation|date=2000-07|language=english|url=http://www.scielosp.org/scielo.php?pid=S0042-96862000000700013&script=sci_arttext|issn=0042-9686|pmc=2560807|pmid=10994269|accessdate=2013-04-29}}</ref>」である。受動喫煙と肺がんの関連の証拠を提示した最初の報告の一つであり、その後の多くの研究で裏付けられ「平山の業績は時の試練に耐えている」と評価されている<ref>Ong E, Glantz SA. "Hirayama's work has stood the test of time". Bulletin of the World Health Organization (Geneva, Swiss Confederation: World Health Organization) '''78''' (7): 938–939. PMC 2560807 {{PMID|10994268}}</ref>。


==論文の概略==
==論文の要旨==
[[厚生省]]の委託研究として行われ、40歳以上の非喫煙者を妻帯する91,540組を16年間 (1966年〜1981年) 追跡する[[コホート研究]]の結果を、[[ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル|イギリス医師会雑誌]]へ<ref>{{Cite journal|author=Takeshi Hirayama|title=Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan|journal=British Medical Journal (Clinical Research Edition)|volume=282|issue=6259|pages=183-185|publisher=British Medical Association|location=United Kingdom|date=1981-01-17|language=english|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2560807/pdf/10994269.pdf|format =pdf|accessdate=2013-04-29}}</ref>投稿したものである。
[[厚生省]]の委託研究として行われ、[[1981年]][[1月17日]]平山雄により発表された。40歳以上の91540人の非喫煙日本人妻を14年間(1966-79)追跡する[[コホート]][[研究]]の結果を発表したものである。また[[BMJ]]誌にも掲載された。


調査は妻の[[死亡率#標準化死亡比|標準化死亡比]]を夫の[[喫煙]][[習慣]]関して評価したところ、重喫煙者の妻ほど、[[肺癌]]で死亡するリスクが高い発表した。受動喫煙環境に置かれている妻91,540人の内、14年間で死亡に至った者は174人(0.0019%)という調査結果となった。さらに、夫の[[喫煙]]との[[癌]]による死亡間には[[用量反応関係]]が存在すると[[因果関係]]を示した。夫が40-59歳の[[農業]]従事者の場合にリスク特に高くなると発表した。
妻の[[死亡率#標準化死亡比|標準化死亡比]]を夫の[[喫煙]]習慣ごと5つのサブ・グループ分類評価すると91,540人における[[がん]]死亡者は174人 (0.19%) の調査結果となった。平山は重喫煙者のほどがん死亡のリスクが高く、[[用量反応関係]]が存在すると[[因果関係]]を示した。また、夫が4059歳の[[農業]]従事者の場合にリスク特に高いとしてい。平山論文は受動喫煙がんの関係性を初めて示した論文として画期的だった一方、一部の研究者は、この調査には誤分類、交絡変数の介入が散見され信頼に値しないと指摘している


本論文発表同年の1981年、受動喫煙と肺がんに関し別の2つの研究が[[ギリシャ]]と[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の研究者によって発表され、共に受動喫煙で肺がんリスクは上昇するとしたが、アメリカの研究はその[[有意性]]を見出せなかった。本論文の調査内容は、[[病理学]]的[[診断]]の無実施、多くの誤分類、[[交絡変数]]、外出先、職場、家屋の容量や換気力なども考慮されず、[[統計学]]的[[偏差]]が大きく<ref name="SRF">{{Cite journal|author=春日斉|title=受動喫煙に関する基礎的研究|publisher=公益法人 喫煙科学研究財団|url=http://www.srf.or.jp/histoly/frames/history-frame21.html|accessdate=2013-04-29}}</ref>、調査自体は様々なデータにおけるひとつのデータ、と評価されている。本論文では夫の[[飲酒]]習慣も追跡したが、死亡原因に対する影響は見出されなかった。
==調査結果:肺癌死亡者数の内訳==


== 評価と批判 ==
{| class="wikitable"
* [[喫煙科学研究財団]]の助成研究では、肺がんの診断が[[死亡診断書]]によるものが大半で肺がんの[[組織学]]的データは稀で、誤分類、交絡変数の介入が頻出など信頼に値しないと問題を指摘する一方、受動喫煙の可能性を初めて論じたと評価している<ref name="SRF"/>。
|+ 夫の年齢40-59歳
* [[山崎正和]]は厚生省「21世紀のたばこ対策検討会」で、本調査の原資料を開示請求するも「この資料は反喫煙論者しか見せられません」と反喫煙者の医師である座長に言われた、と述べて統計データが検証不可能であると批判している<ref name="bungeishunjuu">{{Cite journal|和書
!   !! 非喫煙 !! 以前喫煙or19本/1日以下 !! 20本/日以上
|author=[[養老孟司]]・[[山崎正和]]|date=2007-10|title=変な国・日本の禁煙原理主義|journal=[[文藝春秋 (雑誌)]]|pages=p.319|publisher=[[文藝春秋]]}}</ref>。
|-
* [[獨協医科大学]]の名取春彦は、平山論文は結論だけが一人歩きし、正しく内容が吟味されていないだけではないかと指摘している<ref>{{Cite journal|和書|author=名取春彦|date=2008-08-02|title=オピニオンワイド たばこを考える 嫌煙は権利かファシズムか (12)名取春彦 獨協医科大学放射線科医師|journal=[[週刊現代]]|pages=pp.146-147|publisher=[[講談社]]}}</ref>。
! 農業従業者肺癌死亡数
* [[秦郁彦]]は、平山が[[臨床]]経験を有さないなど否定的見解を示しつつ、世界初の受動喫煙の概念と評価している<ref> {{Cite journal|和書|author=秦郁彦|date=2012-06-27|title=厚労省が血道を上げる「たばこ殲滅運動」の理論的支柱「平山論文」の不都合な真実|journal=[[SAPIO]]|publisher=[[小学館]]}}</ref>。
| 3 || 20 || 16
|-
! 妻の人口
| 5999 || 12753 || 7150
|-
! リスク比(非喫煙を1として)
| 1 || 3.13599415 || 4.47477856
|-
! 非農業従業者肺癌死亡数
| 8 || 20 || 20
|-
! 妻の人口
| 8021 || 17923 || 13434
|-
! リスク比(非喫煙を1として)
| 1 || 1.11881382 || 1.49266785
|}
{| class="wikitable"
|+ 夫の年齢60歳以上
!   !! 非喫煙 !! 以前喫煙or19本/1日以下 !! 20本/日以上
|-
! 農業従業者肺癌死亡数
| 14 || 32 || 8
|-
! 妻の人口
| 4407 || 7291 || 2241
|-
! リスク比(非喫煙を1として)
| 1 || 1.38158591 || 1.12373303
|-
! 非農業従業者肺癌死亡数
| 7 || 14 || 12
|-
! 妻の人口
| 3468 || 6217 || 2636
|-
! リスク比(非喫煙を1として)
| 1 || 1.11565064 || 2.25536527
|}
この表は肺癌死の実数調査結果であるため、能動喫煙・受動喫煙によって罹患しやすくなる[[COPD]]や[[心筋梗塞]]などの病気<ref>[http://homepage3.nifty.com/tobaccobyo/ タバコ病辞典]</ref>全体の調査ではない。
==レビュー・追試・公的機関による評価と、副流煙の成分について==
このテーマに関する50以上の疫学調査が行われ、これらを合わせた証拠によって、副流煙曝露と肺がんが関係するという1981年の研究結果は確実なものとなり、その範囲も拡大された。
これら最近の研究は米国の内外で行われ、米国その他の権威ある科学機関が研究結果に関するレビューを行った。副流煙と肺がんリスクとの関係が、単に、制御されていないバイアスや交絡によるものである可能性について、慎重に考察された。その結果、すべてのグループがこの可能性を退けた。
1986年以降、研究の数は増加したが、主要なレビュー、および相関関係の解析における結論は一貫して変わらなかった。すなわち、タバコ副流煙にさらされることは、肺がんリスク増大の原因となるのである。<ref>[http://www.surgeongeneral.gov/library/secondhandsmoke/report/ 2006年の米国公衆衛生長官報告書]</ref><ref>[http://www.ncc.go.jp/jp/who/sg/index.html 日本語版米国公衆衛生長官報告書]</ref>


== 脚注 ==
[[副流煙]]にはホルムアルデヒド、ベンゼン、塩化ビニル、ヒ素、アンモニア、シアン化水素など、有毒な、あるいは発がん性のある化学物質が何百種類も含まれている。
副流煙は米国環境保護庁(EPA)、国家毒性プログラム(NTP)、国際がん研究機関(IARC)によって、ヒト発がん性物質として認定されています。米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は副流煙を職業的な発がん物質であると結論付けました。<ref>[http://www.surgeongeneral.gov/library/secondhandsmoke/factsheets/factsheet6.html 受動喫煙が健康にもたらす影響:米国公衆衛生長官報告 米国保健社会福祉省(HHS)]</ref>

== 平山論文を巡るタバコ産業の対応と活動 ==

タバコ業界はこの研究に対し、内部で認めつつも、否定キャンペーンを展開し平山論文を否定する動きを見せ、そのための研究資金も捻出した。<ref>[http://www.ac.auone-net.jp/~phnet/kou38.pdf 受動喫煙の害を隠すプロジェクト]</ref>

日本でも[[帝京大学]]の矢野榮二らが、タバコ会社により出資されたCenter for Indoor Air Research (CIAR;屋内空気研究センター)から資金を得て、平山論文を否定する研究を行った。(BMJ:How the tobacco industry responded to an influential study of the health effects of secondhand smoke<ref>[http://www.bmj.com/content/325/7377/1413.full BMJ:タバコ産業はどのようにして受動喫煙研究に干渉したか]</ref> Health study 'discredited by secret tobacco plot'By Cahal Milmo 13 December 2002などが報じる)<ref>[http://www.asyura2.com/08/nihon28/msg/225.html BMJの日本語訳と補足]</ref>

タバコ会社、[[ブラウン・アンド・ウィリアムソン]]などは内部でその研究を認め、ドイツとイギリスの科学者に費用を支払って、再調査を行った。その結果、「平山は優れた科学者であり、受動喫煙研究は正しいと考えられる」と結論づけた。(1981年)

[[ブリティッシュ・アメリカン・タバコ]]社は、平山論文以前から副流煙が危険である事を認識しており、ブリティッシュアメリカンタバコのグリーン博士は「タバコ煙にはニトロソアミンが含まれており、その量は食品に含まれるものより多いことがわかりました。主に副流煙に含まれています。受動喫煙には、実際には危険であることが証明されました」と報告している。(1978年)

「受動喫煙が有害であるという研究には断固として反対しなければならない。BATの戦略としては、副流煙や臭いを減らしたタバコを開発することで、受動喫煙問題に先手を打とう」と方針を定めた。(1983年)

同社は引き続き、受動喫煙問題を軽く思わせるキャンペーンを戦略とした。「我々が最初になすべきは、受動喫煙は[[疫学]]的にも危険性が低いと主張する事だ。受動喫煙の害は未解明であると主張する専門家も居る。社会的にも評判がよいこの手の専門家たちが発言できる機会を与えてやるべきだ。」(1986年)

[[フィリップモリス]]社は「受動喫煙はクッキーやミルクを食するよりも危険が少ない」という宣伝をヨーロッパで展開したが、広告規準局により規制された。

タバコ会社は連合し、資金を出し合って受動喫煙問題を過小評価させる事を目的とした「ARIA(屋内空気環境連合:Associates for Research in Indoor Air)を組織した。

上記のタバコ業界の動きや内部資料は全て、米国のタバコ裁判にて証言・内部告発またはタバコ会社各社より提出され、有罪を確定させた、第一級の資料として公となったものである。<ref>[http://www.amazon.co.jp/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3%E7%94%A3%E6%A5%AD%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9C%9F%E5%AE%9F-ACTION-SMOKE-HEALTH/dp/4822243427 悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実]</ref><ref>[http://www.amazon.co.jp/%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BA%E2%80%95%E7%B1%B3%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%A0%84%E5%85%89%E3%81%A8%E5%B4%A9%E5%A3%8A-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BBJ-%E3%83%92%E3%83%AB%E3%83%84/dp/415208183X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1313589340&sr=1-1 タバコ・ウォーズ―米タバコ帝国の栄光と崩壊]</ref>
またカリフォルニア大学のLEGACY TOBACCO DOCUMENTS LIBRARY<ref>[http://legacy.library.ucsf.edu/ LEGACY TOBACCO DOCUMENTS LIBRARY]</ref>からもタバコ会社各社の資料を閲覧出来る。

タバコ産業等からのタバコ研究への干渉・研究助成は問題視されており<ref>[http://repositories.cdlib.org/context/tc/article/1107/type/pdf/viewcontent/ WHO Report of the Committee of Experts on Tobacco Industry Documents July 2000 Tobacco Campany Strategies to Undermine Tobacco Control Activities at the World Health Organization]</ref><ref>[http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tobacco/kaigai/00/00_11_who_tobacco_company.html WHOたばこ産業文書に関する専門家委員会報告書](化学物質問題市民研究会による和訳)</ref>、2003年10月22日に日本公衆衛生学会は学会員に対し「たばこ産業及びその関連機関との共同研究、及び同産業等から研究費等の助成を受けた研究を行わない。」との行動宣言を発している<ref>[http://www.jsph.jp/tabako.htm 日本公衆衛生学会-たばこのない社会の実現に向けた行動宣言]</ref>。また、国際的にもたばこ産業による研究助成等について全面規制を求める[[たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約|たばこ規制枠組条約]]のガイドラインが追加採択されている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/body/081219/bdy0812190819000-n1.htm 2008年12月19日 産経新聞]「たばこ規制枠組条約 社会的資格も“剥奪”ガイドライン追加採択で厳格対応」</ref>。第40回世界医師大会(オーストリア・ウイーン)で採択されたタバコ製品の有害性に関する世界医師会声明<ref>[http://www.nosmoke55.jp/data/0712wma.html 世界医師会声明]</ref>の中でも同様の倫理規範や要請が盛り込まれている。

== 平山論文への批判 ==
平山の調査内容は偏りが大きく[[統計学]]的にはとても許容できない内容となっているという主張もある。この調査自体は様々なデータの内の1データという評価となっている。 これは[[病理学]]的診断などが調査されていないこと、誤分類も大きく交給変数も考慮されておらず統計的信頼性が乏しいこと、外出先、職場、家屋の換気力、広さなども全く考慮されずに無視されていること、などから統計的に偏りが大きく適切ではないためである。 JTが出資した[[喫煙科学研究財団]]の助成を受けた研究では以上などの理由から受動喫煙の害を否定する内容のものもある。<ref>http://www.srf.or.jp/histoly/papers/21.html 受動喫煙に関する基礎的研究</ref>
しかし世界ではじめて受動喫煙の存在を世間に知らしめたという事から一般の医学者や[[禁煙学会]]などから高い評価を得ている{{要出典|date=2011年4月}}。

平山論文では、夫の[[飲酒]][[習慣]]についても追跡を行っていたが、飲酒については[[死亡]][[原因]]に対する影響は見出されなかった。

同じ1981年に、[[受動喫煙と肺癌の関係]]に関する別の2[[研究]]が、[[ギリシャ]]・[[アメリカ合衆国|米国]]の研究者によって発表され、共に[[受動喫煙]]で[[肺癌]]リスクは上昇するとしたが、[[アメリカ合衆国|米国]]の研究は、その有意性を見出せなかった。{{要出典|date=2011年12月}}。

* [[喫煙科学研究財団]]の助成研究では、[[肺ガン]]の[[診断]]が死亡診断書によるものが大半で肺ガンの組織学的データはまれであること、誤分類、交絡変数の介入があまりにも多い事、それらを例に挙げ、信頼に値しない内容として問題を指摘している。また同時に、[[受動喫煙]]の可能性を初めて提唱したとしてこの論文を評価もしている<ref>[http://www.srf.or.jp/histoly/papers/21.html 喫煙科学研究財団] 春日斉-受動喫煙に関する基礎的研究-</ref>。
* [[山崎正和]]は、[[厚生省]]「21世紀のたばこ対策検討会」にて、この調査の原資料の開示を請求すると「この資料は反喫煙論者しか見せられません」と反喫煙者の医師である座長に言われた、と述べており、統計データが検証不可能であると批判した<ref name="bungeishunjuu">{{Cite journal|和書
| author = [[養老孟司]]・[[山崎正和]]
| year = 2007
| month = 10
| date =
| title = 変な国・日本の禁煙原理主義
| journal =[[文藝春秋 (雑誌)]]
| volume =
| issue =
| pages = p.319
| publisher = [[文藝春秋]]
}}</ref>。
* [[養老孟司]]は、[[副流煙]]の危険性は問題外であり、低温で不完全燃焼する[[タバコ]]から発生するので有害、というのに科学的根拠はない、と批判した<ref name="bungeishunjuu"/>。
* [[獨協医科大学]]の名取春彦は、平山論文は結論だけが一人歩きし、正しく内容が吟味されていないだけではないかと、同問題を指摘している<ref>{{Cite journal|和書
| author = 名取春彦
| year = 2008
| month = 08
| date= 02
| title = オピニオンワイド たばこを考える 嫌煙は権利かファシズムか (12)名取春彦 獨協医科大学放射線科医師
| journal = [[週刊現代]]
| volume =
| issue =
| pages = pp.146-147
| publisher = [[講談社]]
| url =
| accessdate =
}}</ref>。

批判への補足

公衆衛生医師の切明義孝は、自身の主催する公衆衛生ネットワークのホームページで平山論文と平山雄がタバコ会社と結託し受動喫煙の害を曖昧にしたとする、春日斉、常敏義三、矢野榮二、香川順、原澤道美ら[[御用学者]]達によって不当に貶められ、死後も執拗に中傷を受けていると主張している<ref>[http://www.ac.auone-net.jp/~phnet/kou38.pdf 受動喫煙の害を隠すプロジェクト]</ref>。

また正式な論文に対し、批判は雑誌コラムや談話が中心となっている。批判者自身が正式な場で研究発表を行った事はなく、JT出資の喫煙科学研究財団により助成金を受けた研究者の研究内容を強調しているだけに過ぎない。ここで批判者として名前を出している面々の中には、JTの講演会に出演するなど明確な繋がりが確認されている。<ref>[http://www.jti.co.jp/knowledge/forum/index.html JTフォーラム]</ref>

== 参考文献 ==
<references/>
<references/>


==関連項目==
==関連項目==
*[[受動喫煙]]・[[副流]]・[[煙害]]
*[[喫煙]]・[[ファシズム]]
*[[受動喫煙]]・[[煙害]]
*[[受動喫煙症]]・[[肺癌]]
*[[受動喫煙症]]・[[肺癌]]
*[[IARC発がん性リスク一覧]]
*[[IARC発がん性リスク一覧]]

*[[喫煙]]
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*[[御用学者]]・[[助成金]]・[[スポンサー]]・[[禁煙ファシズム]]
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2024年1月12日 (金) 00:23時点における最新版

平山論文(ひらやまろんぶん)とは、1981年1月17日平山雄により発表された受動喫煙の可能性を初めて論じたとされる論文、「Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan[1]」である。受動喫煙と肺がんの関連の証拠を提示した最初の報告の一つであり、その後の多くの研究で裏付けられ「平山の業績は時の試練に耐えている」と評価されている[2]

論文の要旨

[編集]

厚生省の委託研究として行われ、40歳以上の非喫煙者を妻帯する91,540組を16年間 (1966年〜1981年) 追跡するコホート研究の結果を、イギリス医師会雑誌[3]投稿したものである。

妻の標準化死亡比を夫の喫煙習慣ごと5つのサブ・グループに分類評価すると、91,540人における肺がん死亡者は174人 (0.19%) の調査結果となった。平山は重喫煙者の妻ほど肺がん死亡のリスクが高く、用量反応関係が存在すると因果関係を提示した。また、夫が40〜59歳の農業従事者の場合にリスクが特に高いとしている。平山論文は受動喫煙とがんの関係性を初めて示した論文として画期的だった一方、一部の研究者は、この調査には誤分類、交絡変数の介入が散見され信頼に値しないと指摘している。

本論文発表同年の1981年、受動喫煙と肺がんに関し別の2つの研究がギリシャアメリカの研究者によって発表され、共に受動喫煙で肺がんリスクは上昇するとしたが、アメリカの研究はその有意性を見出せなかった。本論文の調査内容は、病理学診断の無実施、多くの誤分類、交絡変数、外出先、職場、家屋の容量や換気力なども考慮されず、統計学偏差が大きく[4]、調査自体は様々なデータにおけるひとつのデータ、と評価されている。本論文では夫の飲酒習慣も追跡したが、死亡原因に対する影響は見出されなかった。

評価と批判

[編集]
  • 喫煙科学研究財団の助成研究では、肺がんの診断が死亡診断書によるものが大半で肺がんの組織学的データは稀で、誤分類、交絡変数の介入が頻出など信頼に値しないと問題を指摘する一方、受動喫煙の可能性を初めて論じたと評価している[4]
  • 山崎正和は厚生省「21世紀のたばこ対策検討会」で、本調査の原資料を開示請求するも「この資料は反喫煙論者しか見せられません」と反喫煙者の医師である座長に言われた、と述べて統計データが検証不可能であると批判している[5]
  • 獨協医科大学の名取春彦は、平山論文は結論だけが一人歩きし、正しく内容が吟味されていないだけではないかと指摘している[6]
  • 秦郁彦は、平山が臨床経験を有さないなど否定的見解を示しつつ、世界初の受動喫煙の概念と評価している[7]

脚注

[編集]
  1. ^ Takeshi Hirayama (2000-07). “Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan” (english). Bulletin of the World Health Organization (Geneva, Swiss Confederation: World Health Organization) 78 (7): 940–942. ISSN 0042-9686. PMC 2560807. PMID 10994269. http://www.scielosp.org/scielo.php?pid=S0042-96862000000700013&script=sci_arttext 2013年4月29日閲覧。. 
  2. ^ Ong E, Glantz SA. "Hirayama's work has stood the test of time". Bulletin of the World Health Organization (Geneva, Swiss Confederation: World Health Organization) 78 (7): 938–939. PMC 2560807 PMID 10994268
  3. ^ Takeshi Hirayama (1981-01-17). “Non-smoking wives of heavy smokes have a higher risk of lung cancer: a study from Japan” (english) (pdf). British Medical Journal (Clinical Research Edition) (United Kingdom: British Medical Association) 282 (6259): 183-185. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2560807/pdf/10994269.pdf 2013年4月29日閲覧。. 
  4. ^ a b 春日斉. 受動喫煙に関する基礎的研究. 公益法人 喫煙科学研究財団. http://www.srf.or.jp/histoly/frames/history-frame21.html 2013年4月29日閲覧。. 
  5. ^ 養老孟司山崎正和「変な国・日本の禁煙原理主義」『文藝春秋 (雑誌)』、文藝春秋、2007年10月、p.319。 
  6. ^ 名取春彦「オピニオンワイド たばこを考える 嫌煙は権利かファシズムか (12)名取春彦 獨協医科大学放射線科医師」『週刊現代』、講談社、2008年8月2日、pp.146-147。 
  7. ^ 秦郁彦「厚労省が血道を上げる「たばこ殲滅運動」の理論的支柱「平山論文」の不都合な真実」『SAPIO』、小学館、2012年6月27日。 

関連項目

[編集]