肥満や肌荒れの原因はパン、パスタ、ラーメンかも!?
「キミ、腸が悪いね。」
これは、数年前に尊敬する師匠から優しく言われた、グサっとくる言葉。どうやら、パンやパスタの食べ過ぎは、顔を見ればすぐわかるんだとか。その時私は、朝はタマゴサンド、昼は五目中華麺、夜は野菜たっぷりパスタ。そんな食事の連続でした。顔色が冴えないのは、消化されずに残った小麦粉の残骸が、腸の細胞にへばりついているらしい……。私はこれを機に、自分がいかに小麦粉に依存した食生活をしていたのかを反省したのです。
ここ最近、『小麦は食べるな!(Dr.ウイリアム・デイビス著)』や『グルテンフリーダイエット(エリカ・アンギャル著)』で「小麦粉」が話題に。そこで、今回は「小麦・グルテン」についてのお話をしたいと思います。
最近、美容フリークの間で話題沸騰中の「グルテンフリーダイエット」。これはずばり、小麦、ライ麦、大麦などに含まれるタンパク質「グルテン」を抜いた食事法のこと。しかしながら、我々の食生活はグルテンに侵されていると言っても過言ではないのです。
※小麦、グルテンが含まれる主なメニュー、食品
パスタ全般、パン全般、ラーメン、ピザ、うどん、カレールウで作ったカレー、トンカツ、唐揚げ、コロッケ、串揚げ、天ぷら、お好み焼き、たこ焼き、肉まん、餃子、ケーキ類、クレープ、焼き菓子、カスタードクリーム、たい焼き、醤油、麦味噌、麩、ビール
それでは、なぜ小麦がカラダに悪いのでしょうか? 答は3つに集約することができます。
(1)食物アレルギー
実は小麦は、鶏卵、牛乳に次いで3番目に多い食物アレルギー。食物アレルギーを持つ人の15%は小麦アレルギーで、自覚できていない人も多いんだとか。小麦由来の「グルテン」が体内で過剰反応を引き起こし、腸や肌など、様々な器官に炎症が起こってしまいます。
症状は個人差がありますが、ニキビなどの肌荒れ、口内炎、生理不順や重いPMS(月経前症候群)、不妊症などに関係すると言われています。
(2)血糖値の問題
小麦に含まれる「アミロペクチンA」は、「スーパー糖質」と呼ばれ、食後の血糖値を急激に上昇させます。血糖値の急上昇は、「太れ!」という指令と考えて良いでしょう。つまり、小麦の大量摂取が「太りやすい体質」を生んでしまいます。また、老化の原因である「糖化」も促進されるので要注意。健康に良いとされている全粒粉パンだって危険です。血糖値上昇のあかつきには、「太る」、「老ける」が待ち受けています。
(3)中毒性
小麦のグルテンは、脳に快感を与え、食欲増進を促します。それはまるで麻薬のよう。食べれば食べるほど、食欲は増し、摂取カロリーも増えてしまいます。このスパイラルから抜け出るのは至難の業かもしれません。
ミランダ・カーやグウィネス・パルトロウなど、海外セレブが夢中になっているという「グルテンフリーダイエット」。小麦を抜くと、どのような効果が期待できるか、まとめてみました。もちろん、個人の体質に影響するため、自ら実践して本当の効果を確かめてみましょう。
(1)痩せる
10キロ以上の大減量に成功した海外セレブや肥満患者は数知れず。確かに、血糖値の急上昇が抑えられて、食べ過ぎを防ぐことができれば、ある程度のダイエットは成功するはずです。
(2)肌がきれいになる
「ニキビが改善され、肌にツヤやハリがでてくる」と、元ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントのエリカアンギャルは言っています。
(3)抜け毛が減る
アメリカでは、ハゲ頭のパン屋の主人が、パン食を止めたら毛が生えてきた、との報告もあるようです。抜け毛に悩む女性は増えていますから、ストレス以外の原因として、小麦を疑ってみるのもアリかもしれません。
まずは、自分の体質と小麦との相性を見極めることから始めてみましょう。試しに、いつもの小麦量を半分に減らし、体重の増減や肌の調子を観察してみてください。アレルギーの面で一番確実なのは、病院で検査を受けることです。
ポイントは、あまり神経質にならないこと。かえってストレスになりかねませんから、小麦を減らすことで、長年の悩みを解決できたらラッキーと思う位、気軽にはじめてみてはいかがでしょうか? <TEXT/料理研究家・スギ アカツキ>
【スギ アカツキ】
東京大学卒。東京大学大学院医学系研究科にて基礎医学を本格的に学ぶ。さらに久司マクロビオティックやオーガニックを学び、独自で長寿美容食の研究をはじめる。料理のモットーは「長く美しくを、簡単に」。忙しい現代女性に合わせた健康メニューが得意。自身もサラリーマンとして仕事と家事に奮闘しながら、ヨガ教室や人気ブログ(http://saqai.com/)も手がけている。
グルテンフリーダイエットって何?
小麦が心配な3つの理由
小麦を止めると良い事だらけ!?
小麦を全部抜くのではなく、減らすところから
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
『小麦は食べるな!』 新しい食生活のバイブル |