ペナルティループ 55点
2025年2月3日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:若葉竜也 伊勢谷友介 山下リオ
監督:荒木伸二
劇場公開時に見逃してしまったので、近所のTSUTAYAで借りてきて鑑賞。
あらすじ
岩森(若葉竜也)は恋人の唯(山下リオ)を謎の男、溝口(伊勢谷友介)に殺害されてしまう。復讐に燃える岩森は綿密な計画の元、首尾よく溝口を殺害し、死体を遺棄する。しかし、翌朝目が覚めるとなぜか日付が戻っていて溝口も生きている。岩森は謎のタイムループの中、溝口を殺し続けるが・・・
ポジティブ・サイド
ネタバレ防止のために白字にするが、
『 マトリックス 』
『 エンドレス 繰り返される悪夢 』
『 神回 』
『 レミニセンス 』
『 アーカイヴ 』
『 本心 』
のような映画を邦画でやってみました、という感じ。面白いのは『 オール・ユー・ニード・イズ・キル 』のように少しずつ先に進んでいくのではなく、とても奇妙な camaaderie が生まれるところ。これもネタバレ要素なので、敢えて英語で書く。また『 オール・ユー・ニード・イズ・キル 』ではトム・クルーズが殺されまくるが、本作では主人公の側が殺しまくる。これは結構斬新な設定であるように思う。ループの仕組みもタイムリーと言うか、数十年後には実現できそうとは感じる。
若葉竜也は『 市子 』や『 嗤う蟲 』と似たような設定ながら、狂気に囚われるそれらの作品とは異なり、ある意味でとてもユーモラスに達観する、諦念する人物を好演。また久しぶりに見る伊勢谷友介も、シリアスさとコミカルさを同居させた演技が光った。
ネガティブ・サイド
単純な疑問として、どうやって溝口が下手人だと分かったのか。というか、下手人だと設定できたのかと言うべきか。
さらに根本的な疑問として、唯の本心とされている願望が果たして本当なのかどうか。また溝口が主人公と同じようなステータスを与えられているのも疑問。まあ、設定だと言われればそれまでだが。
ゲーテの『 ファウスト 』よろしく、今この生を享受せよというメッセージがあるのだろうが、それを言いたいがための最終盤のシーンはかなり強引かつ絵的にも美しいものではなかった。こういう作品は社会性など求めず、『 CUBE 』のようなスパっとした切れ味で終わるべき。具体的には unplug するシーンでエンドロールになだれ込むべきだった。
総評
『 人数の町 』同様に、どこかにあるかもしれない世界という設定にはリアリティがあったし、その世界の中身もそれなりにしっかり構築されていた。ただ、その世界の中でキャラを巧みに動かせていたかというと疑問が残る。ただ、タイムループというジャンルに新しい視点を持ち込んだことは確か。伊勢谷友介のファンなら(ショッキングかもしれないが)鑑賞をされたし。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
keep sb in the loop
人をループの中に保つ、転じて「情報のやり取りの輪の中に誰それを入れる」の意。前の部署では頻繁に使っていたし、聞こえてもいた。まずは職場やクライアントに、”Keep me in the loop, please.” と伝えるところから始めてみようではないか。そういえば、Why am I not in the loop? と定期的に営業スタッフに激怒していた前の部署の中年ブリティッシュは元気にしているだろうか。
次に劇場鑑賞したい映画
『 アット・ザ・ベンチ 』
『 怪獣ヤロウ! 』
『 Welcome Back 』