米シェールガス革命、欧州にエネルギー戦略の転換迫る
[ミュンヘン 3日 ロイター] 週末にミュンヘンで開催されたエネルギー関連の会合では、米国がシェールガスの生産拡大に動き、エネルギー調達の海外依存を低下させるなか、欧州はエネルギーの価格競争力を維持し、企業の海外移転を防ぐため、エネルギー戦略を転換する必要があるとの指摘が出た。
ロイヤル・ダッチ・シェルのヨルマ・オリラ会長は「シェールガスや石油ブームは既に始まっている。欧州で議論が進んでいる間、米国は既にその恩恵を受けている」と述べた。
米エネルギー関連特使のカルロス・パスクアル氏は「米国内のエネルギー革命や石油・天然ガスの生産拡大により、天然ガスの生産量が25%増加しただけでなく、60%から40%に低下した輸入依存度は、今後さらに30%に低下する」との見方を示した。
米国の天然ガス価格はドイツの3分の1で、ドイツのエネルギー業界はその影響を受け始めている。ドイツのレスラー経済技術相は「多くのドイツ企業が米国への移転を決めているが、エネルギー価格が大きな決定要因となっている。エネルギーコスト高がわれわれの競争力に影響しつつある」と語った。
米国での生産拡大を背景に、ロシアは天然ガス生産量世界一の座を2012年に米国に譲った。米国の天然ガス生産は2015年から大幅な拡大が見込まれている。
一方、ロシアのノワクエネルギー相は「シェールガス革命は我々すべてに技術革新の機会を与える有益なことだ」との考えを示している。
ロシアはエネルギー消費が旺盛なアジア向け輸出拡大に焦点を当てているほか、東方地域へガスパイプラインを建設し、インフラ整備を進めている。
ドイツの諜報機関の最近の調査によると、米国は2020年までに世界最大のエネルギー消費国から世界最大の石油・天然ガス輸出国に代わる可能性がある。
前出のパスクアル氏は、米国でのシェールガス生産量は2005年に天然ガス生産全体の1%に過ぎなかったが、現在は3分の1に達していると指摘したうえで、2040年までには全体の半分に達する、との見通しを示した。
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