ヒズボラの通信機器相次ぎ爆発、9人死亡・2700人超負傷 イスラエルに報復示唆

[ベイルート/ドバイ/国連/ワシントン 17日 ロイター] - レバノンで17日、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの戦闘員らが利用しているポケットベルのような通信機器の爆発が相次いだ。レバノン当局によると、少なくとも9人が死亡し、約2750人が負傷した。
レバノンの治安機関は、首都ベイルートの南部郊外を含む全土で多数の無線通信端末が爆発したと発表。ヒズボラは戦闘員2人を含む少なくとも3人の死亡を確認した。うち1人は少女だとしている。
レバノンのマカリ情報相は「イスラエルによる攻撃」と非難。ヒズボラもイスラエルの責任だと非難し、「正当な罰」を受けるとして報復を示唆した。
ヒズボラによると、指導者ナスララ師は一連の爆発で被害を受けていない。
ロイターは一連の爆発についてイスラエル軍にコメントを求めたが、今のところ回答していない。
イランのファルス通信は、レバノン駐在のイラン大使が爆発で軽傷を負ったと報道。病院で診察を受けているという。ロイターはこの報道を独自に確認できていない。
イランのアラグチ外相はレバノン外相と電話会談を行い、一連の爆発を「テロ攻撃」として強く非難した。
最初の爆発は現地時間午後3時45分ごろに発生。その後、一連の爆発が約1時間にわたり続いた。通信機器がどのようにして爆発したのかは現時点で不明。複数の治安筋によると、爆発した通信機器はヒズボラがここ数カ月に導入した最新モデルだった。
レバノンで17日、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの戦闘員らが通信のために利用している小型の無線端末機の爆発が相次ぎ、数百人が重傷を負った。同日撮影(2024年 ロイター/Aziz Taher)
米紙ニューヨーク・タイムズは米当局者の話として、これらの機器は台湾製のゴールド・アポロというメーカーのもので、レバノンに輸入される前にイスラエルが機器内に爆発物を埋め込んだと伝えた。爆発物は遠隔操作で作動させたという。
ヒズボラ幹部は、今回の小型無線端末の爆発はイスラエルとの紛争が拡大した過去約1年で「最大の安全保障上の侵害」と非難した。
国連レバノン特別調整官は声明で攻撃を非難し、紛争の「極めて憂慮すべきエスカレーション」だと述べた。
<米、関与せずと表明>
米国防総省のパトリック・ライダー報道官は、レバノンで起きた通信機器爆発に米国は関与していないと表明。 もっと見る
米国務省のマシュー・ミラー報道官も定例記者会見で「政府はこの事件について情報を収集している」とし、「米国は関与していないと断言できる。この事件について事前に情報を得ていなかった」と述べた。
その上で、米国は中東の緊張の高まりにつながる可能性のあるあらゆる事件を常に懸念しているとし、イランに対し不安定化を助長させるためにいかなる事件も利用しないよう強く求めたと述べた。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、イスラエルとヒズボラの紛争には外交的解決が必要だと米政府は引き続き考えていると語った。
また航空大手エールフランスは、安全上の懸念からパリとベイルート、テルアビブを結ぶ航空便を19日まで運休すると発表した。

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