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ウレシュウの謎

 『東京人』12月号に、江川宇礼雄についての記事があった。筆者は佐々木光、私と同年で愛知県岡崎市出身。神奈川近代文学館の人らしい。
 江川のことを「ウレシュウ」と書いているのだが、佐々木によると、乞食の世界では人を出身地で「紀州」などと呼ぶのでそこから来たものだとか。しかし「ウレシュウ」は出身地ではない。
 そこで参考文献として書影もあった山本嘉次郎の『カツドウヤ水路』(筑摩書房、1965)というのを取り寄せてみた。すると、江川の小学校からの同級生に横田豊秋(芸名・宇留木浩)というのがいて、これが「トヨシュウ」と呼ばれていた、とある。すると、これにあわせて「ウレシュウ」なんではないか。まあ「トヨシュウ」のもとが乞食だ、とも言えるが。