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「832P」開発者インタビュー
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デザイン・機能のバランスを追求、頼りになる薄型ケータイ
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「832P」は、約10mmという薄さの中に、ワンセグや320万画素CMOSカメラ、10種類の辞書コンテンツなどを搭載した、GSM国際ローミングに対応した3G端末だ。
開発時のコンセプトや特徴など、プロジェクトマネージャーの渡邊聡氏、商品企画担当の池田大祐氏、デザイン担当の王律佐子氏、ソフトウェア担当の増井孝保氏、ハードウェア担当の田浦克浩氏に聞いた。
■ 高級感を演出、幅広いユーザーに
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渡邊氏
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――ソフトバンク端末の薄型ケータイとして登場する「832P」ですが、特徴は?
渡邊氏
デザイン面では、金属調のテイストを用いた高級感を演出しながら、薄さ10mmというボディサイズでワンセグや国際ローミング、320万画素カメラといった機能を搭載しました。最も特徴的な機能は10種類の辞書コンテンツを搭載することです。
――10mm程度の薄型ケータイになると、ある程度機能が制限されるもの、というイメージがあります。
渡邊氏
しかし今回は、機能も追求しました。薄型ケータイのユーザーと言えばビジネス層が主体ですが、男女を問わず、幅広く利用されるようになってきました。「832P」ではビジネス層に加えて、デザイン面でもターゲット層を広げる工夫を凝らしています。
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「ハードボイルド」というキーワードで832Pを紹介する池田氏
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池田氏
最初に私が思いついたキーワードは「ハードボイルド」です。ビジネス層に支持される薄型ケータイということで、特に男性が持つ“いつまでも格好良くありたい”という心情に訴えかけたいと思いました。そこから、「いざという時、頼りになる」「意外性」「哀愁」といったキーワードを導きだし、それにあわせた機能を用意しました。
「頼りになる」は10種類の辞書コンテンツ搭載、「意外性」は薄さ10mmでの高機能化、「哀愁」は“男は背中で語る”ということで背面デザインへのこだわり、高級感の演出です。
――ユニークなコンセプトですね。
池田氏
商品開発においては、ターゲットユーザー層を具体的に描きます。今回は、男性はほぼ全ての年齢層を、女性は20代後半~40代後半を意識しています。
■ 淡いカラーで女性にもアピール
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王氏と池田氏
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――ビジネス層向けケータイとくれば、ボディカラーは黒やシルバーが多いように思えますが、今回はブラックやゴールド調のシャンパン、ホワイト、レッド、ピンクという5色展開です。
王氏
背面パネルはいずれのカラーもステンレスで、そこに着色しています。金属に着色すると沈みがちな色になりますが、今回はより淡い色合いを目指しました。シャンパンにはパールを入れたり、ピンクはくすまないように、ホワイトは明るい白という具合です。
個人的には「女性=ピンク」という考え方は固定観念だと思います。甘すぎる色合いは持ちづらいと考える女性は案外多いものです。私自身もそうなのですが、そういった人でも“抵抗感なく手にできるピンク”として、落ち着いたきれいな色にしています。全てのカラーにおいて、背面パネルの平滑面がきちんと仕上げられています。
池田氏
背面パネルの周囲をぐるりと蒸着処理したフレームが取り囲んでいます。そして、ヒンジ近くにオーナメントを付けて、視覚的なバランスの良さも追求しました。
王氏
フレームを配することで、視覚的にはさらに薄く見せる効果があります。またフレームはブラックのみ、やや黒を増して、一体感を持たせています。LEDを配置したオーナメントを配置することで、緊張感を持たせていますが、オーナメントの大きさは試行錯誤を繰り返しました。短すぎると幅広に見えて、長すぎると目立ちます。縦方向に長くすると馴染まず、複数のパターンの中から、最も視覚的に効果のあるデザインに仕上げました。
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5色展開
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ブラックのフレームは、他のボディカラーよりも黒が強い
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■ 機構面での工夫
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田浦氏
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20日のパナソニック春モデル発表会では、832Pの内部構造も紹介
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――最近のパナソニック製薄型ケータイでは、ドコモ向けの「P-04A/P-05A」が存在しています。シルエットは「832P」と良く似ています。
田浦氏
「P-04A」などの設計そのままでは、蒸着フレームを付けると幅や厚みが広がってしまいます。パーツが付いた分、内部構造はよりスリムに、無駄のない設計としました。長方形のボディにワンプッシュオープンを搭載し……と設計していけば、自ずと同じ方向に向かいますので、シルエットが似る、ということになるのでしょう。
渡邊氏
薄型ケータイでは、内部にほとんどスペースがなく、背面にステンレスパネルを採用しながら、スペックを維持・向上させるというせめぎ合いが常になります。機能をそぎ落とすという選択肢もありますが、そうなると商品としての価値も下がることになり、どの機能を搭載するかは重要な判断になります。
田浦氏
従来の薄型ケータイで採用してきた「ボードモールド」(基板の部品実装面を全て樹脂で固め、『薄さ』『強度』を両立させる構造)を利用しています。過去のモデルと技術面で共用している部分はありますが、薄型形状での品質の確保、金属ボディならではの信頼性試験といった部分で苦労しました。
■ 10種類の辞書コンテンツ
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増井氏
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――特徴の1つである10種類の辞書コンテンツですが、これだけあると内蔵メモリも大容量が求められますね。
増井氏
コンテンツに加えて、検索や展開のための領域が必要ですから、相当量のメモリを使っています。
池田氏
テンキー下にあるMULTIキーは、長押しすると辞書コンテンツを呼び出せるようになっています。開発当初に調べてみると、他社を含め、携帯電話に搭載されている辞書の数は最大6種類でした。832Pでは世界最多を目指し“10種類”のコンテンツを搭載することにしました。
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10種類の辞書コンテンツを搭載
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話のきっかけにになるという「誕生日大百科」
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ビジネス層向けのケータイということで、冠婚葬祭関連の書籍や、国際ローミング対応とあって英会話書籍を収録しました。また、収録コンテンツの1つ「誕生日大百科」は誕生日を入力すると、性格などの情報を確認できます。これは、たとえば営業担当の方が客先を訪れたときに話のきっかけになるようなコンテンツですよね。収録コンテンツは、基本とされる国語辞典や英和/和英辞典のほか、機能を活かす書籍やコミュニケーションに役立つ書籍、レストランを探せる書籍などを選びました。
――これだけのコンテンツがあると、コストに影響しそうですね。
池田氏
たしかに費用はかかりますが、8シリーズのモデルとして「こんなに電子辞書があるのに手頃な値段」になるよう頑張りました(笑)。
――ソフトウェア面で、832Pはどう進化しているのでしょうか。
増井氏
ベースとなっているのは、2009年春モデルの「930P」です。形状は異なりますし、832PにはBluetoothやGPSは搭載されていませんが、基本的な機能はハイエンドの930Pなのです。
改善点としては、「お天気アイコンを使いたい」という要望が寄せられていましたので、「S!情報チャンネル」に対応しました。また、メール機能も強化しメールセキュリティ設定やシークレットメール表示設定など、Pユーザーが欲しいと思っている機能も搭載しました。その他にも「○○を改善しました」と項目にするほどではない、細かなレベルでの改善も積み重ねています。
――使ってみて体感する改善ということになるでしょうか。今日はありがとうございました。
■ URL
製品情報
http://panasonic.jp/mobile/softbank/832p/
■ 関連記事
・ 厚さ10mm、金属素材採用の「832P」
(関口 聖)
2009/05/22 12:11
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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