学校の七不思議という王道中の王道を描きつつ、性的マイノリティという社会的なメッセージも扱っている作品。
登場する七不思議のオバケたちも、金次郎像や花子さんなど王道でありながら、どれもベタなところからずらした新しさがあって、令和版の七不思議にアップデートされていた。
キャッチーな性格のオバケたちなど、本作の魅力は多くあるけど、やっぱり印象に残ったのは作品を通して描かれる多様性。
性的マイノリティ、LGBTQ、といった要素は直接的に扱い過ぎると児童文庫の域を超えてしまいそうだけど、本作はしっかり児童文庫の楽しさとメッセージの部分が両立されていた。
子供たちにとっての学びと、純粋な読書の楽しさの両方を味わえるバランスの完璧な一作でした!
好きなもの、好きなこと、を。
否定されない、否定しないって、大事なこと。
他者に対しても、自分に対しても。
このスタンプラリーには、いろんな人(オバケ含む)のいろんな大好きが隠されています。
それを追うにつれ、主人公の少女ユイナもこの夜、自分の心に隠された謎を解いていくのです。
『七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映る』(あらすじより抜粋)
映る、とありますが。
自分が何者なのか知って、そうありたいと願い、そのような自分を『映す』ように生きていく。
それこそが人生だ、と。
熱くそして楽しく、子供たちの目線に立って語りかけてくる、素晴らしいお作品です。
むしろ、かつて子供だった大人たちこそ、ワクワク読んでみることをオススメいたします。
読後、自分を映す大鏡を、心にいつも持ちたいと思うはずですから……。
小学六年生の結菜が通う小学校には、七不思議がある。
結菜は、幼なじみの夏希と七不思議めぐりを計画。ふたりは、夜の学校に忍びこみます。
結菜たちは、そこで七不思議のひとつ、二宮金次郎に出会う。七不思議の謎を解いてスタンプラリーの台紙にスタンプを集めるよう、ふたりは二宮金次郎に教えてもらう。
結菜と夏希は、二宮金次郎のアドバイスどおり謎を解いてスタンプを集めていくのだが――
七不思議の謎を解くというファンタジックで躍動感のある物語がテンポよく進み、サクサク読めます!
しかも七不思議をめぐるうちに、主人公の結菜が抱える悩みが明らかになる展開が盛りこまれていて、そちらにも胸アツでした!
小説の概要にもあるとおり、最後の不思議は「大階段踊り場の鏡」。読み終わって見ると、これが最後の謎な展開にすごく納得。伏線がしっかり回収されて読み応え抜群でした!
子供時代には、勉強がもちろん大事。だけど、こういう七不思議を追うみたいな冒険も、すごく必要なのかもって気持ちにさせられました。今の時代ならではの児童むけ作品だなと思います☆
「オバケの謎解きスタンプラリー」という遊び心あるタイトル。
主人公であるヒロイン二人のキラキラ感も。
(二人の性格の対比もまたステキ)
そして登場してくるお化け達も。
誰もが、すれていない。
それが良い。
イタズラ心をもっていたり。
とびっきり純粋だったり。
今も大切に想っていたり。
でもその一つ一つのピースが、ヒロインの心に勇気を灯して。
ベースはいわゆる百合モノなのですが、どちらかと言うと、
恋する感情と純粋に向き合った、少女の物語。
一般的に、とか。
社会的に、とか。
通例は、とか。そんなことはどうでも良いから。真っ直ぐ向き合ってみたら――案外、想いは届くのかも。
そんな風に背中を押してくれる、とびっきりのピュアソング
きっと夜の学校に忍びこんで、口ずさみたくなっちゃう。
七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映る――――。
そんな噂を確かめるべく、結菜は幼なじみの夏希とともに夜の学校へ忍び込む。そこで待っていたのは、一風変わったおばけたち。
第一村人ならぬ、七不思議のひとりである二宮金次郎(ブロンズ像)いわく、
「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」
つまり、ふたりに課せられたミッションは、七不思議の謎を解き、スタンプを集めること!
個性豊かな七不思議たちとの出会いは、ふたりの"想い"を確かなものにするきっかけをくれた。
大階段の鏡は、ふたりの望む結果を見せてくれたのか。それともただの噂なのか。真夏の夜の大冒険が始まる!
この作品は、児童向け小説のコンテストに相応しい、ただの面白い小説に留まらない、学べる小説。子供だけでなく大人も楽しく読めるお話です。
お子様がいる家庭であれば、お母さんお父さんと一緒に読んで学ぶ、そんな作品ではないかと思います。
話数もちょうどよく、夏休みの読書にぴったりですよ〜(*˘︶˘*).。.:*♡
学校の七不思議。
誰でもその存在を耳にしたことがあるのでは?
でもきっと、実際にその七不思議を巡って、不思議の正体を知ろうなんてことはしなかったでしょう。
この物語の主人公は小学6年生。
思春期の入口に立ち、勉強は出来るけれど、将来の自分をまだ思い描けていない不安定な女の子。
彼女は、学校の七不思議を巡って、最後に階段の踊り場に写るという、自分のまだ知らない自分の本当の姿を探しに行くのです。
一緒に行くのは大の親友、男の子みたいな幼馴染みの女の子。
夜中の学校! 超怖い!!
……なんてビクビクしながらも読んでみれば、出てくる個性豊かなオバケ達のあれこれに、いつの間にかワクワクしていました!
オバケも大人達の事情も交え、笑ったり共感したり、考えさせられたりしながら、主人公達の広い視野の学びに感嘆するばかり。
そして、まだまだ“普通”に縛られる世の中から、伸び伸びと自分らしく生きようとする彼女達を応援したくなるのです。
児童小説コンテストに参加のこの物語。
子供達の“今”が詰まっています。
さあ、あなたも!
彼女達と一緒にオバケの謎を解き、次代を生きる子供達を応援しよう!
オススメです!
ホラーはほどほど。
怖いの無理! という読者でも、読めます。
主人公の女の子、ユイナは、小学6年生。
小学校の七不思議を解くと、「ある願い」が叶う、という噂を知ります。
七不思議を解く為に、親友の女の子、ナツキと、夜の学校に忍びこみます。
次々とでてくる、七不思議の幽霊たち。
なぜか、オバケのスタンプラリーを集める事になります。
軽い読み口の物語で、サクサク読めて、次はどんなオバケ? とワクワクします。
ぜひ、心の柔らかい、思春期の最中の読者に、届けたい。
(これはつばさ文庫の応募作品なので)
と同時に、大人にも、幅広くおすすめします。
なぜなら、───愛とは何か。
───夢とは。
───生きるという事は。
という大事なことを、押し付けがましくなく、とても優しい目線で、語ってくれるからです。
愛の深い物語です。
そして、ナツキさんの思いを……応援してあげたい!
おすすめですよ!
ぜひ、ご一読を。