全ジャンルでホラーが一番好きです。
なぜこんなに好きなのか考えてみると、おぞましい描写、奇妙な風習を持つ集団、読み手の後ろに何かが立っているような臨場感……などなどをスパイスにした、怪異の正体にたどり着くまでの謎解きがたまらないんだなあと思います。
さてこちらの作品、ホラーで食べたいもの全部載せ丼です!
自信を持ってオススメできます!
人怖、絶妙に厭〜〜〜な描写、不気味な宗教、世代を越えた呪い、鮮やかに解き明かされる真実……めくるめくゾッとする展開に、「そうそうこれが読みたかったのよ〜〜!」とニヤニヤしながら拝読しました。
またこちらの先生、人間に向ける眼差しがあったかくも恐ろしくて……
一見するとただただ浅はかで軽蔑すべきキャラなのに、読み進めるごとに「こいつがこうなっちゃうの、わかるなあ〜」と共感させられ、否応なしに応援してしまうという、強制シンクロスキルに抗うことができません。
気持ちよく手のひらを何度も返しました。
怨念・イズ・パワーの本作ですが、恐ろしい怪異に巻き込まれた人々はそれでも一番大事なものを見出そうとします。
ぞわぞわニヤニヤして楽しんでいたら、思いがけない人間の熱い強さに圧倒してもらいました。
「愛こそ最強」が迸るホラー、最高です!!
これから読む方は一気読みできて羨ましいです。
名所が多すぎるジェットコースター、お楽しみください!
この作品に関しては下手ことを書くとネタバレの恐れがあるので多くは語りません。
とにかく圧巻の衝撃作です…!
本作はジャンルで言えばホラーなのかもしれませんが、もう、なんかこの作品の為に新たなジャンルを設けた方が良いのではないかと思う程に他とは類を見ない作品です。
主人公の春江を通して描かれる人間の憎悪や修羅、冒頭から漂う不穏な空気。そして、それらを更に引き立てている作者様の紡がれた流麗な文章。読み進めていく度に足の先からぞわりぞわりと這い上がってくる恐怖は、もう圧巻の一言でした。
次第に明かされる春江の過去や心境はどこまでも深く、底すらみえぬ負の感情はまさに深淵で、後半にかけては物語は想像すらしていなかった方向へと進みます。
正直、鳥肌が止まりませんでした…!
恐怖は勿論ですが、作者様の物語の構成力にです。
是非この世界観を、人が織り成す恐怖を味わって頂きたいです。心からおすすめ出来る作品です!
最初はサムネの通り、不倫地獄を描いた作品なのだと思っていました。
不倫地獄といっても、よくネットで見る不倫漫画のようなドロドロとした確執、女の闘い!という感じではなく、主人公春絵の内面にどんどん踏み込んでいく、深淵に降りていくようなじめっとした怖さがありました。
その内面の描写も、文章が恐ろしくうまいので、自分の中に眠っていたような感情も引きずり出されて怖い怖い。
馬鹿な人間だと彼女を笑いきれないのは、きっと人間なら誰しも、彼女の持つ薄暗い感情を、一時でも感じたことがあるはずだから。
そして真の主人公である不思議な少年アスラくん。彼はいったい何者なのか、話を読み進めるほどに気になって、目が離せません。
そして途中から、話は思わぬ方向へ進んでいきます。そこからの怒涛の展開と、実はいたるところに張り巡らされていた伏線の回収はお見事!
全て読み終わってから、冒頭の第一話を読み返し、「そういうことかぁ!」と唸りました。
こんな肉厚なお話を、この分量に収め切っているのが本当にすごい!!
新しいジャンルのホラー小説だなと感じました。ざまぁあり、SFっぽい部分もあり、アニメ化してほしいようなファンタジーっぽい部分もあり!そして実はほろりとくるようなところも……。
ぜひ、読んでみてください。個人的には続編を期待しております!
序盤はね、ちょっと性格の悪そうな女の、不倫の話から始まるんです。不倫っていっちゃうと、そういうのはちょっと苦手だし……っていう人もいるかもしれませんね。
でも彼女、フラれちゃって。その後すぐにいい人が見つかって、優しい夫と可愛い娘にも恵まれて幸せな家庭を築くんです。性格も落ち着いてきて優しくなりました。不思議と応援したくなっちゃうんです。
よかった、よかったね春絵……
なーんて、生易しいハナシじゃ終わりません。
不倫女の半生から一転、後半は新興宗教を絡めたまるで別の物語に突入します。いえ、語弊があるでしょうか。まるで別の物語となったようであり、すべてのパーツがぴたりとはまり繋がる。一つの物語であることを体感し、ゾクゾクが止まらないのです。
正直、主役は誰であるのかわからなくなるくらい、どの人物も癖が強くて魅力たっぷり。わちゃわちゃしそうなものですが、全くそのようなことはない。むしろ盛り上がり続ける展開に、期待と悲鳴が収まりませんでした。
ホラーの醍醐味はヒューマンドラマがあってこそ。そう思わざるを得ない、人怖系ホラーの一級品です。
主人公の春絵は自身の女としての価値を他人と比較し、マウントをとることでしか満たされないどうしようもない女性。
彼女は不倫相手に愛想をつかされ、相手の妻を精神的に追い込んでも彼が靡かないことを知ると、次に宛てがわれた別の男で妥協して結婚しようか悩みます。悪業の数え役満です。
そんな折に、春絵は不思議な占い師の噂を耳にして、謎の猫耳パーカーの少年・アスラと出会います。
彼の何もかもを見通すような物言いは、失礼を通り越してもはや小気味いい。
アスラの正体もまた、予想の斜め上を行くものでした。ぜひ読んで確かめてほしいと思います。
作品を通して春絵への因果応報が描かれるのかとそわそわしていたら、遙か昔に生じた怪異の根っこのようなものとの繋がりが明かされたり、詳細は書きませんが巧妙に張られた伏線が思いもよらない形で回収されたりと、終始作者の掌の上で転がされました。
本当に悪い奴は誰だろうか、と読みながら考えていましたが、そもそも「悪い人」の概念が揺らぐ程にモラルが死んだ人が沢山登場しますので、それを特定しようとするのも野暮な気がします。
誰が誰を呪い、そのツケは誰に背負わされるのか。
最後に生き残るのは誰なのか。
恐らく誰も予想できないラストになっています。
さああなたも、本作を読んで転がってください。
ホラーで一番怖いもの。
ずっと祟る幽霊よりも、生きている人間の方が怖いって良く耳にするかと思います。
生きている人間のエネルギーって恐ろしい。毎日鬱憤に晒された人間なんて特に……
世の中善人ばかりでは無いのは当然。お話を読んでいると、あ、こんな人多分いる、と思ってしまうような人物像が何度と浮かんでくる。それは特別な者ではなく、もしかしたら自分も当てはまるような些細なことも多い。
兎に角、この作品では人の感情が織りなすストーリーが秀逸。恨み恨まれ、絶好調から絶不調への転落。下手をすれば自分とてあり得る話なのではとすら思わされる話についのめり込んでしまう。
ドロドロとした世界観の感情丸ごと持っていかれそうな……
つい、登場人物に「それいかんて!」と突っ込んでしまいそうになったり、うっかり同情してしまいそうになったり。ああ、もうっ!!と。自分の感情がコロコロ筆者様に転がされているのではと錯覚してしまいそう。
感情を揺さぶられたい方、是非是非おすすめです。
ホラーとは何か。
怪異か、人か、迫り来るものか。あるいは――ずっとそこにあるものか。
これは、ある女より始まる。
そしてある意味では、この女が決着をつけるものである。
とかく人間というものは複雑怪奇で、そして強いものなのかもしれない。この作品はホラーであり、だからこそこういった人間のおぞましい部分や強い部分をありありと見せられたのかもしれない。
もっともこれは個人の捉え方であるので、あなたが読んだ時にどう感じるかは自由である。
ホラーとは恐怖を体感するものであるかもしれないが、これはそこに文学的な深層を漂わせ、そして深淵へと引きずり込んでくる。
ぜひ、ご一読ください。
本作品はホラーであるが、今のところ怪奇現象は少なめである。
どちらかというと人怖系、サイコホラーである。
そして物語は冒頭から不穏さ全開で始まり、それがむしろ潔い。
そもそも文学というか小説は、人の昏い部分に焦点を当てるものなので、心の闇という陳腐な表現しかできなくて申し訳ないが、その闇への振り切り方というか切り込み方が躊躇が無くとても良い。
私は読み専なので作家の方々の気持ちというのは本当の意味で理解できないと思うし、ホラーという題材なので、あえて、という面もあると思うが、こちらを書かれていて病んだりしないだろうかと心配になるくらいだ。
更に他のレビュワー様が仰っているが、展開が面白いのと書く人にとっても参考になる点が多いというのは正にその通りではないかと思う。
兎に角、なかなか癖のある魅力的な人物等が登場するので期待してお読み頂きたい。
色々書いたが、有り体に言えば私はこちらの作品にハマってしまった訳で、登場人物達が放つ闇と今後の展開から目が離せないのである。
幼いころから他者を蹴落とし、ズルをしてでも自分がちやほやされることだけを望んできた春絵。
彼女は意外にも身の丈にあった結婚をし、一女を設け、平凡ながらも幸せな家庭を築いたかに見えたが――?
自分が愛されている・満たされていると思えばおだやかでいられるが、
それを得られないと途端に他者に牙をむく、いわば自己価値を認められない困ったちゃんが主人公。
序盤では彼女の悪行がこれでもかと描き出されます。
これほど、主人公が「ざまぁ」されてほしいと思える小説も珍しい!
そんな主人公をばっさりと切り、真実を突き付けるのが、タイトルにもなっている「阿修羅ちゃん」。
猫耳パーカーの美少年で、職業は占い師というか、スピリチュアルカウンセラー的な何か。
しかし彼の言葉が春絵の心に届くはずもなく、セッション代を踏み倒して去って行きます。
春絵に降りかかる不幸とは!?
ゆっくりとのぼってゆくジェットコースターが落ちるのを今か今かと、手に汗握りながら読む感覚がクセになります!
現在3万5千字ほど読んだ感じだと、ホラーといっても「ヒトコワ」タイプのような気がします。
ですので血みどろ系ホラーが苦手と言う方もぜひ読んでみてください!
【読了後のレビュー】
いやいや、内容が胸の奥にブッ刺さるので、つい忘れていました。物語にのめり込んでしまいますし、次々と明かされる伏線の回収に驚いてばかりで気を持っていかれますし、何より、人生訓というか生き方の教訓に自戒して胸の奥がギュウっとなって何度も涙が溢れてきたくらいですので、まったくと言っていいほど忘れていましたが、これ、珠邑ミトさんの作品でした。そう、あの、叙述トリックの女王、エンタメ女戦士の珠邑ミト氏です。今回も完全にやられました。
怖いです。ホラーです。ですが、前振りが橋田寿賀子ドラマかというくらいエグイ現代ドラマとして展開します。読んだ人は、あるあると何度も頷く事でしょう。そこからの、ホラー降下です! そりゃ、怖いて。ところがです。ところが、これが複線張りまくりの、テンション爆上がり展開のエンタメホラーファンタジーだと気付かされるわけですよ。そして、ハッと( ゚д゚)ハッ!するのです。そうだった、珠邑ミト作品や、これ!
あらゆるツールを駆使して読者に仕掛けてきます。
ゲリラ的に笑いも挿んできます。ご本人曰く、そこは病気だそうです(笑)でも、怖さ抜群! そして痛快なラスト!
シリーズ化も期待される超ド級の長辺ホラーエンターテイメントです。
ぜひ、ご一読を。
そして、読んだ人は分かるこの提言をあなたに送ります。
縦読み推奨です!
最後まで、読めば分かるさ、ほーりきりほう りきりき
【最初のレビュー】
一話が適量で読みやすい
そして
展開が面白い
さらには
書く人にとって参考になる点が多い
これは読むしかない秀作
では、いつ読むの
今でしょ!
ハラハラドキドキの人間ドラマと不穏で奇異な展開が予想される謎ワード
材料はそろった
あとは読むだけだ!!