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2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

自己批判が攻め道具になるとき——トロツキー三部作を読む3

自己批判は「自分の言動の誤りを、自分で批判すること」(大辞泉)であり、本来健全な精神の作用である。 内省と同じで、自分を絶対視せず、客観的に見つめ直すからである。 こういう作業が、自分の中でできればすばらしいと思う。 他方で、とてもデリケート…

生産的労働と教育の結合?

前回のエントリの続きというか、補足。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 「生産的労働と教育の結合」は戦後の民主的(わかりやすくいうと左派的な)教育学・教育運動の一つの命題であった。そのもともとの命題は、前回見たとおり、マルクスにあるのだ。 マル…

「私学を含めた高校までの完全無償化はできるの?」

日本共産党議長の志位和夫が教育について語っている。 www.jcp.or.jp この志位のスピーチでは、共産党の大学入試論・高校入試論も触れてある。前からの政策ではあるが、知らない人は驚くかもしれない。 志位氏は、世界に例のない、基本的に全員に受験を課す…

ブレイディみかこ『両手にトカレフ』

小学校の頃、学芸会で野口英世をやったことがある。 なんの役だったかはもう忘れたが…。 貧困から勉学によって脱出し成功するというのは近代草創期の人生のモデルである。それを教育の現場でもこのようにガッツリと教え込まれる。 「人生の成功譚」とか「人…

動かない共産党——トロツキー三部作を読む2

前も書いた通り、ドイッチャーのトロツキー伝(トロツキー三部作)を読み直している。 『追放された予言者』にはトロツキーがソ連を追われてから暗殺されるまでが描かれている。 追放された予言者・トロツキー (1964年) 作者:アイザック・ドイッチャー Amazo…

瀬戸めぐむ『いっそあなたがトドメを刺して』

遊んでいる*1男ってクズですか。 いや、ぼくは遊んでいるわけではないが。 ステディがいない状況で遊んでいるとしても、それはそいつの生き方じゃないのか。 何が悪いんだ。 そして、そこに一人の女が現れて「自分のことを好きになってほしい」と言ったとし…

草薙龍瞬『反応しない練習』

SNSで悪口を書かれていることがある。 とくに、こういう身の上になってしまったので、SNS(具体的にはXだけど)では自分が知らないところでいろいろ叩かれるようになった。(なぜかブログにはほとんど反応はないのだが。) SNSは、直接のリプがなければあま…

自由な討論のない党——トロツキー三部作を読みながら

アイザック・ドイッチャーはスターリン主義に反対し当時のコミンテルンの方針に逆らう主張をする中でポーランド共産党を追われた人である。『スターリン 政治的伝記』で伝記作家としてデビューし、トロツキーの伝記である「トロツキー三部作*1」(『武装せる…