学研全訳古語辞典 |
ひる 【嚏る】
活用{ひ/ひ/ひる/ひる/ひれ/ひよ}
〔「鼻をひる」の形で〕くしゃみをする。
出典枕草子 宮にはじめてまゐりたるころ
「鼻をいと高うひたれば、『あな、心憂(う)』」
[訳] たいそう大きな音でくしゃみをしたので、(中宮は)「まあ、いやなこと」。
参考
くしゃみをするのは、良くない事が起こる前ぶれとか、恋人が訪れる前ぶれなどといわれていた。上代の上二段動詞「ふ(嚏)」の上一段化。⇒はなひる
ひる 【干る・乾る】
活用{ひ/ひ/ひる/ひる/ひれ/ひよ}
①
かわく。
出典蜻蛉日記 上
「消えかへり露もまだひぬ袖(そで)の上に」
[訳] 消え入るような(悲しい思いで夜を明かし)涙の露もまだかわかない袖の上に。
②
(潮が)引く。
出典万葉集 二七一
「桜田へ鶴(たづ)鳴き渡る年魚市潟(あゆちがた)潮ひにけらし」
[訳] ⇒さくらだへ…。
注意
上代の上二段動詞「ふ(干)」が上一段活用に変化したもの。ハ行の上一段動詞は「干る」「嚏(ひ)る」「簸(ひ)る(=穀物のまじり物をとるために箕(み)であおる)」の三語だけ。
ひ・る 【放る・痢る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
体外に出す。排泄(はいせつ)する。垂れる。
出典今昔物語集 二八・五
「着る物をも解きあへずくそひり懸くる者もあり」
[訳] 着物を脱ぐ間もなく下痢便を垂れかける者もある。
ひる 【簸る】
活用{ひ/ひ/ひる/ひる/ひれ/ひよ}
(穀物に混じるくずやごみを取り除くために)箕(み)でふるいわける。
出典古今著聞集 五二〇
「ぬかのみ多く候へば、それをひさせむとて」
[訳] (米の間に)ぬかばかり多くありますので、それを箕でふるいわけさせようとして。
ひる 【蒜・葫】
のびる・にんにくなど、臭気の強い野菜。薬用・食用とする。
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