アムマが言う通り、20歳になる前のスニアには、たくさんの縁談の話が舞い込みました。
青い石を持つものは特によい縁談話がありましたから、スニアの両親は喜んでいました。
もちろん、母親は何度かスニアに好きな相手がいないかと聞いていました。
けれどスニアがはっきり答えなかったので、両親はその中でも良いと思われる青年を選び、スニアの婚約者として決めました。
「スニア、縁談が決まったの?」
アムマは、縁談の噂を聞き、スニアを呼び出しました。
スニアはうなづきました。
「それでいいの?キユウさまは?」
「だって、、、キユウさまなんて、、、やはりわたしには無理だもの、、、だから諦めようと思うの。相手も青い石を持ってるみたい。いい人そうだし」
「スニアがそれでしあわせなら、いいけど」
「アムマこそ、お城での仕事決まったの?」
「そうなの!夢がかなったわ!」
「うん。お互い、きっとしあわせになるわ」
スニアとアムマは、互いにうなづきました。
アムマは希望通り、城の侍女として、働き始め、時おり城でキユウを見かけましたが、スニアの話していたとおりの素晴らしい青年でした。
ある時キユウは、森で出会った運命の女性ギョクランを城に連れてきました。
連れてきたギョクランの美しさと可愛らしさとあたたかさに、アムマも大好きになりました。
会うたびしあわせな気持ちになりましたが、スニアのことを思い出し、胸がキュッとなるのでした。
そんなある夜のことです。
裏口にアムマを訪ねてきたものがいると言われ裏口に向かうと、そこにはスニアがいました。
「こんな時間、スニアどうしたの?」
「キユウさまに、一度だけでも会えるかな、、、」
スニアは悲しそうな顔をしていいました。
「キユウさまは、パートナーを連れてきたわ。結婚が決まったのよ。
ギョクランさまと言う、素晴らしくてとても美しいかたなの。
もうお城にもいらしているわ。
だから、キユウさまに会うのは無理よ。第一スニアもうすぐ結婚じゃない。
スニアも、キユウさまのことは忘れて、しあわせになって。
結婚式は行くからね」
「そう。わかった、、、」
スニアは、そう言ってかえっていきました。
そしてそのままスニアは、その翌日から姿を消し、いなくなってしまったのでした。
「スニアは、絶対に一人でいなくなったわけじゃないわ!
きっと、そのうちに帰ってくるのよ!」
アムマは、急にいなくなったスニアの行き先を聞かれそう言いました。
でも、城に来たことは、話しませんでした。
(スニアどうしたの?なにがあったの?どこに行ったの?
結婚したくなかったの?
それともキユウさまのことが、引っかかっていたの?
わたしがあのときキユウさまに会わせていたら、違ったの?)
日は経って行きました。
両親もスニアの行方をずいぶん捜しましたが、見つかりませんでした。
そうして、時はいつのまにか20年も経っていました。