文化ホールで行われた「あいそめ映画祭&監督講演会」に行きました。
映像関係の仕事をされている女性が、認知症になった母とそれを介護する高齢の父親という、家族の素の状況を撮ったドキュメンタリー映画でした。
私はなんの先入観も持たず観ました。
そして思ったこと、なるだけ多くの方に観ていただきたい映画だという事です。
認知症というもの、高齢者の介護というものを、何の装飾もつけずに淡々と描き、素のままだからユーモアもあり、身につまされる所もありました。
私も同じように高齢者の父もいますし、先日母を亡くしたばかりだったので、スクリーンの中の高齢の夫婦の姿に重なることが多かったです。
今回は監督さんも西都に来られ講演されました。(ひとり娘さんで、首都圏に住んでいます(たぶん)、ちなみに映画の舞台は広島県の呉市です)
映画と講演の中で私に刺さった言葉
・父「病気やからしょうがない、でも(母さんの)人柄は変っていないよ」・・・今の状況で判断するのでなく、、今までの全て(過去もすべてひっくるめて)を見ているという事
・母が何もできなくって申し訳ないという気持ちを持っていたが、父は鼻歌交じりに家事をやることにより、気持ちを穏やかにさせた・・・楽しそうにやることで、申し訳ないという気持ちを減らさせていた
・父は「今まではあんたが掃除しとっちゃけん、いまはわしがやるだけ」・・・母に対する感謝の気持ちを表す
・母が物忘れを嘆く姿を見て「わしが今から、お覚える役じゃけん」・・・認知症の方は自分がおかしくなったことは気づいている、そこに寄りそう
・母が「恥ずかしい?」と聞くと、父は「年取ったら誰でもかかる病気じゃけん」と答える
その様な描写が出てきましたが、勿論言い合うところも赤裸々に写されていました。それらのシーンは同じ環境を持つ私にとって、現実をそのまま映画にしている思いました。撮影した娘さんのすごさに感じ入りました。
娘さん(映画監督)は、母が認知症になって悪い事ばっかりだったと聞かれ、「贈り物を貰った」と答えました。それは家族のやさしさ特に、あまり近くに感じられなかった父のやさしさに気づいたことで、「悪い事ばっかりじゃなかったかな」と答えました。映画は認知症老老介護家族の完全ドキュメンタリーですが、くすっと笑えるシーンもありました。監督はチャップリンの言葉を引き合いに出しました
「人生は寄りで見ると悲劇、同じことを引きで見ると喜劇」
監督は介護を家族だけ抱え込まないようにと言われました(これは私も同感です)。家族だけで介護していると周りからは良い家族だと思われるかもしれないけど、介護している人はすり減っていき、そして余裕がなくなってくる。当然笑顔が減ってくる。それは介護にとっては良くない事。
何故なら認知症の患者にとって、周りが笑顔でないと、自分を責めだす(自分はおかしいと気づいているから、周囲の顔色を窺い、周りに迷惑をかけていると思い、自分を責める)。
・デイサービス等は利用してほしい、それは認知症の方にとって、同所者の方と話すこと(それは昔話が中心で)は社会とつながることになる(家ばっかりいると会話が減る)
・介護する人に余裕ができると、笑顔が出てくる、笑顔を見ることは認知症の方に安心感を与え、ココにいていいんだという居場所を確認することにつながる
・何度も言うが、無理をしてはいけない、プロの介護者に任せれるところは任せよう、近所の方にもお願いしよう。(誰がかかってもおかしくない病気だから)
・「お互い様」という美しい言葉、「恩送り」という素敵な言葉、そんな認知症を認める「地域社会」が大事じゃないかなと思う。
良い映画を観ました。
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