昨日の記事で紹介したパンフレット:冊子なのですが
表紙の表示や、裏表紙の記述を見ると先日書いたように平成8年に作られたもののようで、それを主に書いたのが私が入院していた新阿武山病院の 故 今道先生と西川京子先生だそうで、30年近くたった現在読んでも適切な内容で、私がアルコール依存症について引用するのに最もちょうどいい説明になっています。
目次を見ると
このような章立てになっています。一通りスキャナー読み込んだので、順次内容を紹介していきたいと思っています。
とりあえず、「はじめに」の項目です。
はじめに
酒(アルコール飲料) は昔から私たちの生活と縁が深く、 冠婚葬祭をはじめ、くつろぎのひと時に、 また、嬉しいときにも悲しいときにも、酒は人生のよき伴侶として親しまれてきました。
しかし、アルコールはもともと薬物の一種ですから、その使用法を誤ると「百薬の長」 変じて 「毒薬」 となり、病気や事故など大きな不幸を招く結果になります。 学生コンパなどでのいっき飲みで、 若者が貴い生命を失うという悲劇をよく耳にしますし、長年にわたる飲酒生活で肝臓をはじめ、あらゆる臓器が侵され、 そのため、この長寿の時代に、わずか50代で命をおとしていく人も大勢います。 最近では、脳神経が侵され、 自立した社会生活が送れなくなっている人達も増えてきています。
このように、アルコールは数多くの病気の原因になっていますが、 その中心に位置しているのがアルコール依存症という病気です。現在わが国では、アルコール依存症の患者数は少なくとも240万人と推計されており、このうち約120万人が内科などの一般病院で肝障害などの臓器障害の治療を受けており、アルコール依存症として精神科 で治療を受けている人はわずか数十万に過ぎません。
アルコール依存症といえば、 一般には「手が震える」「幻覚が現れ る」 「酔って暴れる」 などが特徴だと思われていますが、これらは病気のごく一部の症状に過ぎません。 また、 アルコール依存症になる 人は意志が弱いとか、 嘘つきだとか、 無責任な人だと思われていま すが、これはまったく誤った考えです。 このようなまちがった知識は、予防や治療の大きな妨げになります。
この小冊子に目を通していただくことによって、この病気が正し く認識され、病気の予防、早期発見、早期治療に少しでもお役に立つことを願っております。
患者数の推定については、古い認識で書かれていますが、そこは読み替えればいいと思います。
アルコール依存症についての正しい認識を持って、病気の予防、発見、治療に役立ちたいという思いがひしひしと感じられるものです。