デビュー作からずっと
読んできたけれど
ここ最近の作品は ちょっと
合わなくなってきているかな
と思っていましたが
読んで良かったです
「いつか月夜」とは
「いつも月夜に米の飯」
という諺からきていると
本文で知りました
「何不自由ない生活
満足のいく暮らし」
という意味で 転じて
「人生ってそう うまくは
いかないよね」
という意味がある…とのこと
得体の知れない不安に
とり憑かれるようになった主人公が
何も考えずにひたすら夜道を歩く
ひょんなことから会社の同僚や
その他 年齢もバラバラな複数人で
深夜の散歩に出ることに
帯に「会話に気づきがあり
癒しもある」
と書かれている方がいて
その通りだと思いました
深夜の散歩中に
夜中しかオープンしていない
焼き菓子店を見つけたり
(その名は「みけねこ洋菓子店」
店名からして
そそられてしまいます)
怖い話合戦の心霊体験の話が
怖いというより なんだか
じんわりと とてもいい話だったり
それぞれの人生の中で
長い目で見れば ほんのひと時
関わっただけの人たちのおかげで
前に進めたり勇気がもらえたり…
そのような いつも通りの
気持ちに寄り添ってくれる
素敵な小説でした
(9月19日 読了)
親戚が営む小さな製菓会社に
転職した主人公が
会社の古いルール(残業は
タイムカードを押してから、など)と
格闘する話です
本文にもありますが
「大丈夫?」と訊かれたら
大丈夫じゃなくても
「大丈夫」と言うしかない
職場での日常 気持ちのずれ…
タイトルの「こまどり」は
主人公の働く職場で作られている
饅頭の商品名であり
本文中の会話に出てくる
小鳥の名でもあります
「こまどりってさ、ものすごく
大きい声で鳴くらしいよ」
「黙ってたら、みんな無視するやん。
無視していいってことに
されてしまうやんか。
いないことにしていいってなる。
だからこまどりは鳴くんや。
ううん、叫んでるんや」
「わたしにとっては
どうでもいい人でも、誰かにとっては
大切な人なのだ」という言葉に
そうなんだよなあ…でも嫌いな人は
やっぱり嫌いだしな~とか思いつつ
どうやっても分かり合えないのは
仕方がないけれど
否定することだけはしてはいけないな
と思いながら読みました
否定さえしなければ思わぬ発見が
あるかもしれないし
嫌いな人のいい側面を知ることが
できるのかもしれないし
ちょっとだけ理解もできるかもしれない
少しずつ前進しているような終わり方も
読後感がとても良かったです
小説とは何の関係もないのですが
読了した日 たまたま家族が
梅林堂という埼玉の和菓子屋さんの
生サブレを購入してきてくれたので
添えてみました
☕️
(10月3日 読了)