ひらめき電球コラムニストの尾藤克之です。

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「読書を自分の武器にする技術」 (WAVE出版)

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ドイツ人を「自己肯定感」の視点から分析した、キューリング恵美子さんの「ドイツ人はなぜ『自己肯定感』が高いのか」。そこから見えてくるのは…。

ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子 著)小学館

[本書の評価]★★★★(85点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

■「自己肯定感」がちょっとしたブームに?
最近、「自己肯定感」というキーワードを目にすることが増えました。専門家だけではなく、タレントや芸能人などがこぞって、「自己肯定感の上げ方」を解説するなど、ちょっとしたブームのようにも感じます。

そのような中、興味深い切り口に出会いました。ユニークなのは、ドイツ人を「自己肯定感」の視点から分析していることです。見えてきたのは「ありのまま」を大切にするドイツ流の生き方でした。

結婚を機にドイツへ移住した著者は、日本の文化・習慣・考え方の違いに触れ、毎日が驚きの連続だったといいます。日本では小さい頃から、「礼儀正しくしなさい」「人に迷惑をかけてはいけない」「思いやりの気持ちを持つ」などの道徳を教え込まれます。

ほかにも我慢や忍耐を美徳とし、個性より調和が重視され「あうんの呼吸」「空気を読むこと」「何事も控えめ」が求められます。このようなしつけは自信を持ちにくくさせ、自己肯定感の低さにつながります。大人になってからも低い自己肯定感はそのままです。

著者はすぐに「ある違和感」に気付きました。近所でも街中でも、多くの女性がノーメイクで過ごしている点です。日本では、身だしなみとしてメイクをすることが当然として教えられますから、その衝撃はかなりのものだったでしょう。

自己肯定感が高く、自分に自信があるからこそ、周りにどう見られているのか、どう思われているのかなど、問題ではないのです。大切なことは「自分の気持ちのあり方」で、自分の価値は何ら変わらないことを知っているのです。なお、著者が調べたところ、ドイツ語に「すっぴん」を表す言葉はありませんでした。
 

■グラスはつがず、サウナもすっぴん
食事に出掛けたとき、同僚のグラスが空きそうだったのでビールをつごうとしました。同僚は「まだ飲み干していないのだから、つがないで」と怒ります。それ以降、お付き合いでは「一切、お酌をしない」ようになります。

サウナは混浴が基本です。とはいえ、他人の視線は気にはなるものです。すると、夫に次のように言われたそうです。「なぜ、サウナに入るのに自分の体をいちいち隠すの? 隠していると、何か変わったところがあるのか興味を持って、かえって注目されるよ」。

整形外科では次のようなことがありました。著者が通訳で、学生に対して下着になるように伝えると嫌がるのだそうです。日本の診察では、下着になることが当たり前ですが、ドイツではわいせつ行為になりかねません。これも、日本人の感覚からすると驚きです。

「忖度しない」「残業しない」「休暇取得100%」「流行を追わない」「子どもの成績が悪くても責めない」。ドイツ人の生き方を通して、改めて、日本人の生き方を検証してみる。そのようなきっかけになる一冊です。

 


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