連日、「震度4クラス」の揺れが79歳の女性宅を襲った。地震ではない。2025年大阪・関西万博のアクセス道路にもなる高速道路の建設工事が原因だ。その影響で、家の門や花壇にひびが入ってしまった。「調査が甘かった」。事業主体である大阪市の松井一郎市長も陳謝した巨大プロジェクトの誤算とは――。【野田樹】
周辺でも被害、工事は中断に
JR大阪駅から北西へ約1・5キロ。1級河川・淀川沿いにある大阪市北区の住宅街に女性の家は建つ。女性が異変に気付いたのは21年9月のことだ。玄関先の石造りの門柱が堤防の方向に傾いていた。根元の2カ所には亀裂も入っている。松を植えた庭の花壇も割れたように隙間(すきま)が空いた。
まさか、あの工事が……。自宅から道路を挟んで5メートルほどの堤防沿いでは、市と阪神高速道路会社による阪神高速「淀川左岸線」の2期工事が進んでいた。大阪湾岸エリアの1期区間は既に開通済み。2期工事はそこから市中心部までの約4・4キロを新たにつなげる計画で、渋滞緩和が主な目的とされる。女性宅からは高さ約3メートルの工事用フェンスが視界を遮るものの、工事車両が走る重低音が響いていた。「連日、大きな重機が動くたびに震度4くらいの地震のように住宅が大きく揺れた」と振り返る。
女性から連絡を受けた工事業者は、困った様子で現場を確認していったという。市の調査で周辺の住宅5棟で同じような被害が見つかり、付近での工事は中断されている。
構想から半世紀、悲願の事業
実はこの工事、長らく停滞していた。構想は古く、初めて計画が公表されたの…
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