「そこまではちょっと。ただ、スパイと言ってもリーダーであるあなたに仇(あだ)をなそうとしているわけではないので、どうぞご安心を。むしろ私がしなければならないのは、その逆のことです。鳥よ、あなたがなすべきことを邪魔するものがあったとき、それを排除するためにこそ私はスパイを送っているのです。状況を把握して、対処するためにね。だから、あなたはスパイのことを気にしなくていいし、むしろ私が送り込んだスパイがスパイだと露見するのを避けた方がいい」
彼人(かのひと)は反応を探るように私の目を覗(のぞ)き込む。私が反応を返さないでいると、小さく頷(うなず)いて続けた。
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