サイジングマーケティングの時代
スタートトゥデイのプライベートブランドのブランド名と一部サービスが発表されましたね。
・ブランド名「be unique, be equal ZOZO」
・パーソナライズされたアイテム
・採寸ボディースーツを無料配布(送料は200円)
大方の予測通りパーソナライズされたアイテムを販売するようですが、
オーダーシャツKEIを運営してオーダーハイヒールgaugeをサポートしている会社として発表前から気になっていたのが「採寸方法」でしたが、採寸ボディースーツの無料配布でした。
技術の詳細は分かりませんが、スタートトゥデイの投資先のStretchSenseの技術を活用している可能性がありますね。
「高いリピート率」×「多い購入点数」
ブランド運営をしている経験上、パーソナライズブランドの強みは「高いリピート率」にあるわけで、企業としては顧客の採寸情報を取得できることによって、サイジングマーケティング(フィッティングマーケティング?)が可能になります。
オーダーシャツ「KEI」は3ヶ月以内に購入してくれる顧客が60%を超えます。
さらに自分のサイズにぴったり合った商品ということで、顧客の投資額も大きく、「1回あたりの購入点数が多い」というのも特徴です。
実は昨日まで伊勢丹新宿店で開催していたオーダーハイヒール「gauge」のリミテッドストアでは、1回の購入で5足のハイヒールをお買い上げいただいたお客様もいました。ちなみにgaugeの全体購入者の13%が複数購入者でした。
「高いリピート率」×「多い購入点数」を可能にするのがフィッティングマーケティングの強みです。
採寸の壁
サイジングマーケティングの大きな壁となるのが、採寸方法です。
オーダーシャツ「KEI」は1回目の購入でサイズが合わない場合は無料で作り直し可能にしています。
オーダーハイヒール「gauge」は足の採寸をしていない方にはハイヒールの販売を行っていません。
佐藤可士和プロデュースのオーダースーツ「DIFFERENCE」では、1回目の購入を店舗、2回目以降をWEBという形で分けて案内しています。去年の秋に1店舗から始まりましたが、既に年内までに49店舗まで拡大していくようです。
2年ぐらい前ですが、ZOZOTOWNの売上の上位ブランドであるnano・universeが自社アプリと連携した3Dスキャナーを活用した採寸サービスというものを実施していました。(たぶんスペースビジョンという会社のソリューションを活用していると思われます)
さらにセブン&アイも同じ時期に3Dスキャン試着室を導入していていましたが、両社ともその後、話題になっていないところを見ると普及させるハードルは高そうに思います。
その採寸というハードルに対してスタートトゥデイは「採寸ボディスーツの無料配布」という大企業らしい戦略を取りましたが、採寸用のアイテムキットを配る企業というのはオーダー商品ではわりと良くある手法でして(今回は採寸技術にソリューションがあるわけですが)
同じ大企業でいくとAmazonもAIスピーカーのAlexaデバイスであるAmazon Echo Lookを4月にリリースしています。
Amazon Echo Lookは家にある姿見(大きな鏡)の代わりに、カメラとアプリを連動してスタイリングチェックや管理、セルフィーができるというデバイスですが、Amazonが狙っているのもフィッティングマーケティングだと思われます。すでにAmazonはオンデマンド製造システムの特許を取得しており、オーダーメイドのアパレルブランドを販売していく気が満々ですね。
Amazon Echo Look
オンデマンド製造システムの特許
SNSの普及により世の中の価値観がシフトして、トレンドやブランドよりもスタイル(生き方)がステータスになりつつあり、採寸技術が発達したことでオーダーメイド製品が提供しやすくなる中で、前澤さんが言っている「服が人に合わせる時代」という流れは止まらないのだと思います。
そして、この先にあるのはセンシングによるパーソナルなデータ取得でスポーツ分野やヘルスケア分野との連携がはじまり、パーソナルなビッグデータ(個人における膨大な情報)というものが購買に大きく影響してくるのだと容易に想像できます。
最後に、そういった流れを感じつつも知りすぎる/知られすぎるのはつまらないと思う天の邪鬼な自分もいて、その気持ちは大切にしようと思う今日この頃です。
Make design, Wear story
TO NINE Inc.
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オーダーシャツKEI
https://ke-i.co/
オーダーハイヒールgauge
http://gauge.shoes/