宇多丸さんが2024年12月26日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の映画評コーナーで2024年に扱った映画の中からベスト10本を選び、そのランキングを発表していました。
(宇多丸)僕のシネマランキング、もう一気に発表までしちゃいます。
10位、『侍タイムスリッパー』。
9位、『ミツバチと私』。
8位、『ミッシング』。
7位、『夜明けのすべて』。
6位、『ルックバック』。
5位、『マッドマックス:フュリオサ』。
4位、『密輸 1970』。
3位、『ロボット・ドリームズ』。
2位、『ナミビアの砂漠』。
1位、『ホールドオーバーズ』。
(宇多丸)はい。すいません。すいません、本当にね。皆さんがあんまり言及してない中で言うと、やっぱり『ミツバチと私』は今年の2個目とかにやったやつで、結構最初めのなんですけど。なんて言うんですかね? 性自認に悩む子供の話で。僕、映画評の中でも言いましたけど。そういう括り方は一応できるんだけど、すごくその主人公も含めた周りの人たちの細やかな、なんて言うのかな? 細やかな描写によってそれぞれにある多層な……私は色セロファンを重ねていろんな色になるように、この人と重なった時はこの色。この人と重なった時はこの色っていうので。インターセクショナリティっていうんですかね? それがすごく自然に表現されていて。
その先にやっぱり、たとえば子供の性自認人みたいなものに何か分かったようなことを言う前に、ちゃんとその子のことを見ているの?っていう。まあ全大人が心すべきメッセージっていうのもこう入ってると思いまして。すごく地味な映画です。だからみんなが見て面白いっていうタイプの映画じゃないかもしれませんけど、とってもとっても精緻に編み上げられた見事な1本だと僕は思っています。詳しくは映画を見てください。
あとは皆さん、結構挙げている所が多いんでちょっと……『ルックバック』とかはたとえばテーマ性ももちろんのことですけど、やっぱりアニメ表現としてのすごさがメッセージと完全に合致しているっていうところで。原作も素晴らしいですけど、それをさらにものすごく射程を伸ばしてみせた……僕はでもちょっと怖いっていうか、恐ろしい作品だなとも思って。作り手としてはなかなかちょっと背筋が伸びすぎて……という感じの作品でもあります。
『フュリオサ』はあのさ、砂漠の空間の使い方とそのアクション。こんな見事に豊かな映画的な空間の生かし方ってしてる映画って、ありますか? 皆さん、ちょっとナメてる人いたらもっとちゃんと見てください。これね。
『密輸 1970』、映画評の中でも見ましたけど。見てる間中、「映画って面白い! 映画ってマジで面白いんだけど?」って。そしてもっちゃん(山本匠晃)も言ってましたけど、水中アクション史上ベスト1ですよ。ぶっちぎりのベスト1。
(山本匠晃)うんうん、あんなの見たことない。
(宇垣美里)間違いない。
(宇多丸)『ロボット・ドリームズ』。これも皆さん、おっしゃってる通りですけど。ちょうど僕、この映画見たタイミングで宇内さんの卒業とかも決まったタイミングで。でもやっぱりその、なんていうかな? 別れを肯定していくっていうかね。その先にまた新たなものも……っていうので、僕はそういう感慨も込みで見ましたので。ああ、残り30秒か。
『ナミビアの砂漠』を1位にしてもよかった。新しい映画が始まったと思います。ただ、やっぱり、はい。『ホールドオーバーズ』、本当に大切な大切な1本になりまして。褒めてる人がいるとお礼を言って回る始末です。まあ、詳しくは映画評を見てください。全部、公式映画評書き起こしがありますんでね。以上、シネマランキングでした!
ということで毎年恒例の宇多丸さんのシネマランキングトップ10でした。以下に宇多丸さんの映画評書き起こしリンクをまとめておきましたので、ご興味のある方は見てみてください!