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日曜日, 11月 24, 2024
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単身世帯向けパナソニック食洗機「SOLOTA」が人気のわけ 申し込み殺到で数ヶ月待ちも

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食洗機では老舗となるパナソニック、そんな同社が2月17日に発売した単身世帯向け食器洗い乾燥機「SOLOTA(ソロタ)」が大きな注目を集めている。

見た目からしてこれまでの食洗機とは異なっており、前面背面が透明のオープンシェルフのような抜けのあるデザインで、幅約31cm×奥行き約22.5cmというわずかA4サイズ程度の設置面積。また最大6点の食器、最大4点の小物を一度に洗浄(合計10点)、分岐水栓不要の着脱タンク式といった、一人暮らしにちょうどいい仕様となっている。

同社サイト「Panasonic Store Plus」で提供しているサブスクサービス(月額1,290円税込み)には申し込みが殺到しており、「ただいま想定を上回る多数のお申込みをいただいており、新規のお申込み受付を一時停止させていただいております。次回は2023年3月下旬を目途に受付再開を予定しております」とのこと。大人気だ。

なぜこれほど人気なのか、日本の食洗機事情から見てみよう。

パナソニックは、2017年に食洗機の累計生産1000万台を達成しているが、現在販売されているラインナップを見ると、レギュラータイプで約5人向けの食器が入るNP-TZ300/NP-TH4/NP-TA4の3製品、同スリムタイプで約4人分をこなせるNP-TSK1、NP-TSP1。少人数向けでは2~3人向けのNP-TCR4となっており、いずれもファミリー向けとなっている。

実際、食洗機の普及率は若者の単身世帯ではかなり低い。食洗機の国内普及率は2021年で29%(内閣府消費動向調査耐久消費財普及率・全世帯)となっており、持ち家世帯では35.2%、一方、賃貸住宅では5.8%。また年代・世帯別でみると、30代の二人以上世帯で39.1%、単身世帯だと7%。29歳以下の2人以上世帯で14%、単身世帯では2.3%となっている。

たしかに単身世帯の住宅事情を考えた場合、食洗機を設置するスペースが狭いキッチンでは取りにくい、賃貸のため水栓の分岐工事がネックになるなど、食洗機の導入がされにくいのは想像にかたくない。パナソニックが2022年11月に実施した単身世帯向け調査を見ても一人暮らしで必要な生活家電のうち食洗機はアイロンとならんで最下位となっている。

だが、すべての家事を一人でしなければならない一人暮らしにおいて、食器洗いという家事から開放されるメリットは大きい。そんなメリットや需要を裏付けるのが、パーソナル食洗機「SOLOTA」の人気ぶりだと言えるだろう。

SOLOTA開発に携わった若手メンバー。パナソニック株式会社 キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 食洗機技術部 楠 健吾さん、パナソニック株式会社 くらしプロダクトイノベーション本部 デザインセンター 松本優子さん、パナソニック株式会社 キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 国内マーケティング部 山本秀子さん。松本さんの斬新で美しい、一方で技術者泣かせのデザインを、橘さんら技術部が努力のすえ完成させた。

「SOLOTA」の開発プロジェクトは20代後半~30代前半の若手が中心となり、自らの食生活やライフスタイルを見せるなどして、試行錯誤を重ねながら2年半の期間をかけて開発されている。

自分たちの実際の食事内容の写真を持ち寄って議論しているうちに、「食器をシンクに貯めてしまう」「洗うものが多くはないがストレス」「同じ食器をルーチンで使っている」「料理をする時間がないので惣菜などを皿にもっている」など開発のヒントとなる意見が集まっていったという。

その中の知見の一つが「スタメン食器」だ。パナソニックによる単身世帯向け調査(2022年8月)では、25~39歳の単身世帯が平日に使用する食器点数は1位が2点(41%)、2位1点(37%)、3位3点(17%)という結果になり、特定の食器を使いまわしていることがわかった。

そこでよく使われる「スタメン食器」が、大皿または中皿、ご飯茶碗、汁椀、深中鉢、マグカップ・グラス、小皿であり、この定番6点が収納されるように「SOLOTA」は開発されている。

一方で「SOLOTA」は、単身者向け賃貸住宅でもスペースを取らないよう、ギリギリまでサイズが小さくなるよう設計されている。最初に目指した大きさは、靴を買ったときに入っている箱を3段ほどに積み上げたくらいのサイズ。何度も模型試作を作成して実際のキッチンに置きながら、ミリ単位で調整が重ねられたという。しかし、食洗機のサイズを小さくすれば、今度は洗浄用部品などの小型化が必要となり、その影響で洗う機能が低下しては元も子もない。

だが、開発陣の必死の努力により、水を噴射するノズルは従来から2回り以上小型化、タンク式の限られた水量で汚れを洗浄できるよう、流体解析を行いながら、ノズルの角度などを調整し続けた。その結果、従来の食洗機に負けない強い洗浄力を備え除菌効果も得られるという。

また単身者向け賃貸住宅の、手狭な室内空間に圧迫感を出さないよう、前面だけでなく背面もクリア窓を設置。また視覚的によりスマートになるよう、外面と内面にビスを見せないなど、従来の食洗機にはないデザイン性も備えることとなった。

ここからは余談となるのだが、「SOLOTA」の記者発表会で語られた、開発若手チームの熱い開発秘話を聞くうちに、今まで食器は手洗いでいいと思っていた筆者も非常に興味をもった次第。食洗機の使い方、お手入れ方法などを聞いてみると、実に簡単なことを知った。またECサイトで食洗機を見ていると、どんなメーカーのどんな食洗機も、非常に高評価のレビューがついており、「食洗機を悪く言う人が少ないってことは、とても便利なんじゃ…」と。

そして最終的にパナソニックのスリム型タンク式食洗機、NT−TSP1を購入したのだが、実に便利。手洗いも苦ではなかったのだが、高温のお湯で洗ってくれるので、油ものもしっかり落ちるし、ご飯を炊いている鉄鍋のこびりつきも、うるかす必要もなく完全に落ちる。ほんと、買ってよかった。食洗機ってすごい、としみじみ思っている次第!