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Ferrari 512 S
トヨタのホームコースで狙うシーズン3勝目
日本を象徴する霊峰として讃えられてきた富士山を望む、静岡県・御殿場の富士スピードウェイは、特に耐久レースにおいて多くの象徴的なシーンの舞台となってきた。1965年に開設され、全長は4.563km、16のコーナーを持つこの高速サーキットでは、2012年のWEC立ち上げ以来、新型コロナウイルス禍に見舞われた2021年を除いて、カレンダーに入り続けている。
フェラーリは、富士スピードウェイにおいて、歴代GTマシンが6回のクラス優勝を果たしており、直近では2023年の富士6時間レースにおいて、「フェラーリ 488GTE」54号車が勝利。499Pの日本デビューとなった2023年は、フェラーリAFコルセ 50号車(アントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセン)が4位、51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィ)が5位に入った。
2024年、タイトルを争うトヨタ・ガズーレーシングのホームコースとなる富士スピードウェイに、フェラーリは2台のワークスカーに、前戦ローンスター・ル・マンで勝利を飾ったAFコルセ 83号車(ロバート・クビサ、ロバート・シュワルツマン、イーフェイ・イエ)を加えた3台体制で挑み、勝利を狙う。
富士に歴史を刻んだフェラーリ 512 S
1960年代初頭、富士スピードウェイは、2本のストレートをバンクカーブで結ぶ、アメリカンスタイルのオーバルコース「スーパースピードウェイ 」として設計されている。その後、計画が変更され、バンクカーブを持つ富士スピードウェイが1965年にオープン。以来、このサーキットではツーリングカーやプロトタイプによる、多くの重要なレースが開催されてきた。
1970年、当時シーズン終盤に開催されていた招待客限定の「富士200マイル」において、ジャンピエロ・モレッティとコラード・マンフレディーニが、スクーデリア・ピッキオ・ロッソにペイントされた「512 S」をドライブ。日本メーカーやポルシェなど、多くのライバルを抑えてトップフィニッシュを果たした。
512 Sは1969年後半に設計され、最高出力550PSを発揮する5.0リッターV型12気筒自然吸気エンジンをリヤミッドに搭載するグループ5プロトタイプ。1970年シーズンは、デイトナ24時間とモンツァ1000kmで3位表彰台、イグナシオ・ジュンティ、ニーノ・バカレッラ、マリオ・アンドレッティのトリオが、セブリング12時間レースを制している。