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その65・記憶を貸して


▼その65・記憶を貸して


「え?駄洒落って地球、特に日本の重要文化でしょ?」

「…………どこから入れてきたの、その知識?」

「月読いちか著『とっても楽しいジャパン文化』全22巻」

「誰?」

「えーとね、地球からあたしたちの星にやってきた人。いまねーキャーティア本星で子供向け番組でフィギュア作ったりアニメ紹介してくれてたりするー。ほら」

(※オーバーオールに猫耳尻尾の少女が二カーっと笑っている立体映像)

「猫耳と尻尾? この人キャーティアなの?」

「んにゃ、純粋混じりっけ無しの地球人」

「謎だ……いやいや、そういう話じゃなくて、えーと? そうだそうだ、エンジントラブルで落っこちた、っていってたけど宇宙船は?」

「ここ、宇宙船の中だよ?」

(※猫耳少女、空中を手でかき回すような仕草)

「あ……」

(※一瞬で森の中が巨大な格納庫のような場所に変わる)

「嘘みたい……」

「いやホントホント」

(※試しに靴底で床を蹴ってみるA)

「はー。こりゃすごい」

「でもねー。この辺魔法文明でしょ? 近世と中世と近代がこーごちゃごちゃのぐちゃ(タイミーワイミー)な感じで」

「まあ」

「だから最初に出会った人たちはアタシたちを侵略者って勘違いしたみたいでサー。なんか巨大魔法で攻撃しようとしたから……」

「ああ、それで記憶を消して放り出したのか」

「うん。とりあえずこの辺に警戒システムと擬装フォログラムで非殺傷兵器を隠して、救援信号だして、待ってたの」

「いや、そう言われても僕、助けられないよ? 記憶は確かに機械文明のほうでも持ってるけれど、転生しちゃったから」

「転生!」

「転生?!」

「あるんだ……ホントに」

「すごーい」

「すごーい」

(※わらわら集まってくる猫耳少女たち)

「やっぱりトラックで轢かれたの?」

「な、なんでそういうこと知ってるのかな? 宇宙人なのに?」

「転生ジャンルはお約束でしょ?」

「あと、なんかチートないの? チート能力!」

「片眼光るの?」

「腕の中からミサイル出るの?」

「オネーチャンにモテモテ?」

「喋る剣とか持ってる?」

「やっぱりパーティから放り出されたの?」

「同じ転生勇者の仲間から裏切られたー?」

(※次々に質問してくる猫耳少女たち)

「あーとえーとあの、それよりも僕は君たちを助けられない、というところに戻って話しない?」

「あー、それなら問題無し、ここを出る方法はあなたの頭の中にあるから」

「え?」

「ちょっと記憶貸して?」

「???」


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