宮城県石巻市発注の下水道工事を巡って市職員らが有罪判決を受けた官製談合事件で、市は入札制度の予定価格を事前公表するなどの再発防止対策をまとめ、3日に開会した市議会に報告した。
市によると、入札制度を改め、暫定的に1千万円以上の建設工事などの予定価格を事前に公表する。「情報の漏洩(ろうえい)を防ぐ手段になる。『入札不調』にもなりにくい」としている。また、入札や契約の公正な執行と透明性をはかるため、外部有識者の入札監視委員会を設置する。
今回の事件で公益通報制度が使われていないことも分かった。市の「信頼される市政のためのコンプライアンス条例」には通報制度があるが、職員の実名でしか受け付けない。条例を改めて匿名の通報も可能とし、外部の労働者らの通報を受け付ける外部公益通報窓口も設置する。条例改正案は3日の市議会に提案した。職員へのコンプライアンス研修、官製談合防止研修も効果的に実施していく。
事件では、市下水道建設課の技術課長補佐と係長が市内の建設会社役員に情報を漏らしたとして逮捕され、有罪判決を受けた。市は職員2人を懲戒免職にした。市の調査に2人は「見返りの金銭などはなかった」とした。課長補佐は、雨水・冠水被害を早期に解消する「プレッシャーや焦りがあった」。係長は工事が想定通り進まず「執行に関して苦痛とプレッシャーがあった」という。(柳沼広幸)