琴桜「やるしかない」綱とり挑戦へ静かな決意 最高位へ泰然自若「いつも通りに」
気負いもプレッシャーも感じさせない。琴桜はこれまでと同様に、淡々と言葉を紡いだ。初めて横綱誕生の期待を背負って場所に向かう。それでも「いつも通り」の言葉を3度繰り返すなど、泰然自若の姿勢は不変。「そんなに難しく考えていない」と言い切った。
“角界のサラブレッド”の血がそうさせるのか。最高位は幼少期から身近にあった。この日の会見でも、祖父の綱が後方に鎮座。自宅に飾られた横綱昇進時の推挙状を見て育った。「中途半端な気持ちじゃ上がれない。(推挙状に)『品格力量抜群』と書かれているし、心技体そろって、全体において整ったものがないと上がれない」と、重みは十分理解している。
先代と同じ27歳、大関5場所目で初優勝。51年ぶりに琴桜の名を賜杯に刻んだ。先代は72年九州場所を自身初の14勝で制し、翌73年初場所で2場所連続の優勝を飾って昇進を決めた。九州での初14勝Vから新年の綱とり成就−ちょうど52年後に、孫は再現を目指す。
「まずチャレンジできることに感謝して。あとはやるしかない。変わらずいつも通りに、自分らしくやっていくことが一番。先代がその地位に行った、行くまでの難しさをしっかり自分で感じながら、挑戦できればいい」。余計な高ぶりはない。静かに闘志を燃やしながら、約3週間後の初日まで鍛錬を重ねていく。