日本相撲協会は23日、大相撲初場所(来年1月12日初日、両国国技館)の新番付を発表した。九州場所で初優勝を飾った大関琴桜(27)=佐渡ケ嶽=は千葉県松戸市の部屋で会見。自身初の綱とり場所へ「やるしかない」と決意を口にし、祖父で先代師匠の元横綱琴桜に並ぶ地位への強い思いをにじませた。モンゴル出身の玉正鳳(片男波)が新入幕を果たし、31歳9カ月17日での新入幕は戦後8位の高齢昇進。初土俵から所要79場所は、外国出身では阿夢露の74場所を抜く同1位のスロー昇進となった。

 気負いもプレッシャーも感じさせない。琴桜はこれまでと同様に、淡々と言葉を紡いだ。初めて横綱誕生の期待を背負って場所に向かう。それでも「いつも通り」の言葉を3度繰り返すなど、泰然自若の姿勢は不変。「そんなに難しく考えていない」と言い切った。

 “角界のサラブレッド”の血がそうさせるのか。最高位は幼少期から身近にあった。この日の会見でも、祖父の綱が後方に鎮座。自宅に飾られた横綱昇進時の推挙状を見て育った。「中途半端な気持ちじゃ上がれない。(推挙状に)『品格力量抜群』と書かれているし、心技体そろって、全体において整ったものがないと上がれない」と、重みは十分理解している。

 先代と同じ27歳、大関5場所目で初優勝。51年ぶりに琴桜の名を賜杯に刻んだ。先代は72年九州場所を自身初の14勝で制し、翌73年初場所で2場所連続の優勝を飾って昇進を決めた。九州での初14勝Vから新年の綱とり成就−ちょうど52年後に、孫は再現を目指す。

 「まずチャレンジできることに感謝して。あとはやるしかない。変わらずいつも通りに、自分らしくやっていくことが一番。先代がその地位に行った、行くまでの難しさをしっかり自分で感じながら、挑戦できればいい」。余計な高ぶりはない。静かに闘志を燃やしながら、約3週間後の初日まで鍛錬を重ねていく。