東京メトロ副都心線の開業(2008年)で、東京の地下鉄路線の開発は大体終わった。残すイベントは2013年の東急東横線渋谷駅地下化だけ……、と思ったら、まだ地下鉄の構想があった。都内を一周する都営大江戸線が、練馬、埼玉方面へ延伸するかもしれない。
都営大江戸線といえば、東京・新宿の都庁前駅から飯田橋駅、蔵前駅、月島駅、大門(浜松町)駅、六本木駅などをぐるっと回って都庁前駅へ戻る環状部分と、都庁前駅から中野坂上駅、豊島園駅を経由して光が丘駅を結ぶ放射部分を持つ路線だ。江戸の外側を回る同路線だけど、先に開業したのは放射部にあたる光が丘~練馬間で、このときの路線名は「都営12号線」だった。環状部を開業するにあたり路線名を公募した結果、いったんは「ゆめもぐら」になりかけたけれど、東京都知事の石原慎太郎氏の"鶴の一声"で「大江戸線」になった。
都営大江戸線はすでに完成しているように見えるけれど、じつは延伸する構想がある。運輸省時代に作られた諮問機関、運輸政策審議会は「鉄道空白地帯である大泉学園から武蔵野方面への延伸を検討すべき」と答申した。2000年には「光が丘~大泉学園町は2015年までの整備着手が妥当」と、具体的な時期まで示された。
これを受けて、練馬区など沿線地域は大江戸線延伸促進期成同盟を結成し、誘致活動や途中駅付近の区画整理事業に着手している。路線整備にあたって土地収用コストを下げるため、延伸区間の整備は東京都市計画道路補助230号線と一体的に実施することとし、地下鉄を前提とした道路整備が行われている。
地上部の道路整備は着々と進み…
補助230号線は1966年に当時の建設省が計画決定した道路で、2車線の道路の両側に4.5m幅の歩道が作られる。このうち、都営大江戸線が通る大泉学園町までは2010年まで事業認可されており、昨年5月には笹目通り高松六丁目交差点~土支田地蔵北交差点の930mが供用開始された。土支田地区では都営大江戸線の駅も設置される予定で、もうひとつの途中駅は東京外環自動車道の交点付近、大泉学園町の駅は関越自動車道の北側、西武鉄道大泉学園駅から北へ約3kmの地点が予定されているという。
都営大江戸線の事業主体は東京都であるため、鉄道事業認可は東京都が受ける必要がある。そこで現在、大江戸線延伸促進期成同盟は東京都に対して要望活動を続けており、2012年4月に「大江戸線延伸推進基金」として5億円を積み立てたとのこと。仮に2015年に工事が始まるなら、1年半程度で2017年には開業できそうだ。なお、大泉学園町から先、さらに埼玉県の新座市方面へ延伸し、JR武蔵野線と接続する構想もあるという。