システムの統合化(19)製造から兵站支援まで一元管理するF-35

前回はF-35という「飛行機」の話を書いた。F-35自体は最新の高度なウェポン・システムだが、実のところ、この機体は製造から導入後の維持管理に至る部分まで、さまざまな新機軸が取り入れられている点に特徴がある。そしてそれは、情報システムの支えなしには成り立たないものだ。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。

• 完成して空を飛んでいるF-35は「ひとつの飛行機」だが、これを構成する部品や機器は世界各地で分担製造されており、まるで万国博(実際の数は一桁だが、これから増える) 撮影：井上孝司

F-35のサプライチェーンは複雑怪奇

「複雑怪奇」なのは、なにも欧州情勢だけとは限らない。

一つの工業製品を完成させるためには、完成品を組み上げるメーカーだけでなく、さまざまなサプライヤーが関わるのが一般的。すると、サプライヤー各社に対して必要なモノを必要なときに発注して、かつ、それが必要なときに組み立てラインに届けられる仕組みを構築する必要がある。

それは鉄道車両でも自動車でも飛行機でも同じだが、ことにF-35は話がややこしい。