コロナ禍を経たことで、あらゆる業界業種においてテレワークというのが一般化しました。現在ではさらに働く場所を選ばないハイブリッドワークという働き方が増えてきたことで、テレワークには欠かせないモバイルPCを採用し、一人一台の体制を構築する企業は増加しています。

一方で大量のPCを急速に導入したことから、IT管理者がPC管理業務において苦労する場面も増えているようです。そんななか、介護業界でもテレワークが一般化したことで、国内最大規模を誇る医療・介護事業者「名古屋市療養サービス事業団」も同様の課題に悩まされていました。

その解決策として事業団が導入したのが、「Intel vPro® プラットフォーム」(以下、Intel vPro®)および「AI PC」です。これらの組み合わせにより、それまで悩まされていたPC管理の負担が激減。IT管理者の業務効率化はもちろん、現場職員にとってもストレスのないテレワーク環境を構築できていると、IT統括本部主幹の篠田和紀氏は話します。本稿では篠田氏にその導入の経緯と効果についてお話しを伺い、Intel vPro® とAI PCがどのように課題解決に寄与しているのか、紐解いていきます。

  • 一般財団法人 名古屋市療養サービス事業団 IT統括本部 事務局 主幹 篠田和紀 氏

    一般財団法人 名古屋市療養サービス事業団 IT統括本部 事務局 主幹 篠田和紀 氏

コロナ禍収束後も感染症対策のために、ハイブリッドワークを継続

名古屋市療養サービス事業団は名古屋市における在宅療養の基盤整備を目的として設立された一般財団法人です。現在、名古屋市内に13カ所の訪問看護ステーション、9カ所のケアマネージメントセンター、5カ所の地域包括支援センター、そしてまちかど保健所や認知症カフェなどを展開しており、職員数は約400名と、国内でも有数の大規模介護事業者です。

多くの企業がそうだったように、2020年に始まったコロナ禍で事業団においてもテレワークの導入を進めました。それまでは所属する看護師が居宅を訪ねて看護を行い、各拠点に戻って看護記録を作成するというのが一般的な業務の流れでしたが、クラスターの発生を防ぐため拠点には戻らず、直行直帰する方針に変更したのです。対面での打ち合わせはweb会議システムを用いたオンライン会議に変更し、看護記録などもPCを活用して作成・提出するようになるなど業務のDXが一気に加速していきました。

そして2024年現在、コロナ禍が落ち着いた今でもテレワークは継続しているといいます。業務やコミュニケーションの観点から直行直帰は取りやめ、訪問看護後は各拠点に帰る方針に戻したものの、会議や研修などについては引き続きPCやタブレッド端末、スマートフォンなどを活用して、どこからでも業務可能なハイブリッドワーク体制を構築しています。

「インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などその他の感染症への対策のため、今後もハイブリッドワークは継続する方針です。特に会議や研修についてはどこからでも参加できたり、いつでも好きなときにアーカイブが視聴できたりと、オンラインのメリットが大きいので、今後オフラインオンリーに戻すことはないでしょう」(篠田氏)

  • インタビュー風景

Intel vPro® プラットフォームが約300台のPC管理を効率化に寄与

短期間で急速にテレワークを導入した名古屋市療養サービス事業団。その際に苦労したのが組織内PCの管理でした。というのも、国内有数の大規模介護事業者である事業団で導入しているPCは約300台にも上ります。コロナ禍でそれらのPCにおけるインターネット利用率が急増したため、本部のルーターの負荷が増大、処理待ちが頻繁に発生するようになってしまったのです。だからといって本部のルーターを経由せずにインターネットへのアクセスを許可するのは、セキュリティ上の問題があります。特にセンシティブである患者のバイタルサインを含む個人情報を扱う事業団は、何よりもセキュリティを重視しており、安全性と利便性をどう両立していくのかが課題となっていました。

さらに篠田氏を悩ませていたのが、Windows Updateの問題です。アップデートが行われる第2水曜日にはトラフィックが急増。ただでさえアクセスが集中しているところに追加で大きな負荷がかかることで、メールの遅配まで起きるようになっていたといいます。篠田氏は当時の状況について「朝送られたメールが夕方届くなんてこともありました」と苦笑しながら振り返ります。

  • インタビュー風景

こうした状況を改善するため事業団が導入したのがIntel vPro®でした。同システムの優れたリモート管理機能「インテル® エンドポイント・マネジメント・アシスタント(インテル® EMA)」により、それまでの課題が一気に解決できたと篠田氏は話します。

  • 管理PC一覧を表示しているインテル® EMA

    管理PC一覧を表示しているインテル® EMA

「特に大きかったのはWindows Updateの効率化です。Intel vPro®を搭載したPCであれば、電源が入っていない状態のPCをリモートで起動し、遠隔で操作することができます。この機能により、職員がPCを使っていない夜間の時間にWindows Updateを完了、自動でシャットダウンさせることまで可能になったのです」(篠田氏)

Intel vPro®により完全自動化されたWindows Update。ルーターの負荷や職員の業務を気にしながら篠田氏が一台ずつアップデートを行っていた頃とは業務効率において雲泥の差が生まれています。

加えてPCの不具合対応も大きく変わりました。以前は不具合の報告を受けたらシステム管理者が交換用PCを持って現地を訪れ、確認や交換、修理対応を行っていたのですが、Intel vPro®を導入した現在では、リモート・デスクトップを活用して「本当に不具合が発生しているのか」「どんな不具合が起きているのか」を遠隔でチェックできるようになったのです。

  • 実際の遠隔操作をしている様子

    実際の遠隔操作をしている様子

「そんなことができるのは、BIOSの遠隔操作までも可能なIntel vPro®ならではですね。Intel vPro®の導入でシステム管理者である我々の負担を大きく減らせました」(篠田氏)

さらに介護事業者にとって最も重要ともいえるセキュリティについても、Intel vPro®は大きな役割を果たしています。というのも、Intel vPro®にはオペレーティング・システム(OS)がネットワークに接続していなくても、クライアントPCとサーバーの通信が半導体レベルで維持されることで、リモート・デスクトップを含む遠隔コントロールが可能という特徴があるからです。つまり、万が一ウイルスに感染した場合は即座にOSのネットワーク接続を無効にし、ウイルスの拡散を防止したうえでPCの復旧作業を行うことが可能なのです。また、Intel vPro®自体にファームウェア・レベルで脆弱性への対策が行われており、そもそものセキュリティ性が高いことも見逃せません。

他にもIT管理者の立場としては、セットアップが簡単である点も大きなメリットだと篠田氏は話します。

「サーバーなどの準備を行ったあとは、PCにソフトウェア・エージェントをインストールするだけ。あっさりファイアウォールを越えて通信できたのには驚きましたね」(篠田氏)

  • 実際のPC管理画面

    実際のPC管理画面

セットアップから運用、セキュリティに至るまで、高い機能性と利便性を持つIntel vPro®。多くのPCを管理しなければならないIT管理者にとって、これ以上ないシステムといえそうです。

将来を見据えてAI PCを導入。オンライン会議が快適になりバッテリーの持ちも大幅改善

事業団ではコロナ禍以降、将来を見据えてIntel vPro®を搭載したPCへのリプレイスを順次実施。入れ替えを年に100台ペースで進め、現在は300台すべてのリプレイスを完了しています。さらに直近の入れ替えでは、AI処理に特化したプロセッサーであるNPUを持つ、インテル® Core™ Ultra プロセッサーを搭載したAI PC の「DELL Latitude 5550」も導入しています。

AI PCとはその名のとおり、AIによる重い処理をNPUにオフロードすることで、CPUやGPUの処理を最適化し、省電力性を担保しながらより負荷のかかる動作も難なくこなせる高い性能を持ったPCのことです。またAIに関してだけではなく、その他の点でも極めて高性能な次世代PCであるため、あらゆる業務を効率化してくれるのです。

「インテル® Core™ Ultra プロセッサーを搭載したAI PCにリプレイスしたことで、オンライン会議などの重い処理が快適になりました。特に最近よく使われる背景のぼかしや合成などは、PCの動きを重くする一因だったため、効果を実感しています。他にも、消費電力の効率化によりバッテリーの持ちがよくなったのもテレワーク用としてはうれしいですね」(篠田氏)

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最近では生成AIを使いこなす職員が出てきたこともあり、将来的にはAIを活用したシステムの導入も検討したいと期待感を胸にする篠田氏。たとえば職員からの問い合わせに回答するヘルプデスクや、業務の一部であるケアプランの作成を補助するシステムなど、すでにアイデアは持っているといいます。

ただ、そうしたAIの導入で課題になりそうなのがデータの扱いです。センシティブなものが多い介護データは、インターネットにアップすることが許可されないケースも少なくありません。その場合、鍵を握るのがエッジ、つまりPC端末内での処理になります。データをオンラインにアップせず、端末内で処理することでセキュリティ性を高めることが可能です。そうなると、重要になるのがPCの性能であり、できるだけ高性能なPC、それもAIの処理に適したインテル® Core™ Ultra プロセッサーを搭載したAI PCの導入は必須といえるでしょう。事業団におけるPCのリプレイスが5年に一度であることを考えると、そのときに備えて今からAI PCを導入しておくのはベストな選択肢なのです。

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