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映画『スマホを落としただけなのに』だけでは、すまされない誰もにふりかかる現実

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:スマホを落としただけなのに最終章 公式サイト

KNNポール神田です。

現在、公開中の映画『スマホを落としただけなのに 最終章〜ファイナルハッキング』のx.comへのポストを見て、興味を持った。
https://x.com/sumaho_otoshita


SNS上でのトラブルを行列のできる相談所で議論する回だった。
TVerで視聴もできる
https://tver.jp/series/srf1hj8j9l


■『スマホを落としただけなのに』の原作者 滋賀晃は『音』のプロフェッショナルだった

https://sumaho-movie.jp/

初回の映画『スマホを落としただけなのに』は2018年で北川景子主演で公開される。2020年に続編の『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』。そして2024年11月1日より『スマホを落としただけなのに~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』が公開されている。

この『スマホを落としただけなのに』シリーズが、とてもユニークなのは、2018年に、オーディオブック版とラジオドラマ版も公開され、2019年には朗読劇としても上演。2020年には舞台版。さらに、日本国内だけでなく、2023年には韓国版としてNetflixでの公開とメディアミックスが非常にさかんであることに注目したい…。その展開は、原作者である『滋賀 晃(勅使河原 昭)』氏の存在にあった。
 勅使河原氏は、現在ニッポン放送系列のニッポン放送プロジェクトの専務取締役でもある。
40代でニッポン放送の管理職になり時間にゆとりができ、48歳で執筆を開始、53歳の時に酔っ払ってスマホを年に2度も落としたことをテーマに書いたのが『スマホを落としただけなのに』のキッカケとなった。なので、音声版や朗読劇、舞台とラジオ局出身の作家らしいアイデアに満ちている。


■映画『スマホを落としただけなのに』では、絶対に済まない現実の怖さ!

現在、過去作の地上波での放送以外に、Amazon PrimeVideoなどでも視聴ができるので、スマホを落としただけで何が起きるのか?ということを想像してみて、鑑賞してみていただきたい。

スマートフォンには、個人情報と人間関係の情報が網羅されている。

あくまでも、スマートフォンを取得した人物が悪意を持ったクラッキング知識を持った人物であれば、この映画のようなことはかなり現実味を持って現れる。


2018年の公開当時のスマートフォンでは、iPhoneでいうと
iPhone 8(2017年9月22日発売)は Touch ID 指紋認証
iPhone X(2017年11月3日発売)は Face ID 顔認証技術が搭載されている。

■堅牢なスマートフォンでも、受信すると相手の本名が表示されてしまう

いくら、指紋や顔認証などの厳重なスマートフォンでも、電話を受信する場合は、本名や電話番号が犯罪者に知られてしまうケースがある。
それは電話番号に登録するときにフルネームで登録してしまうからだ。

それを考えると、電話帳登録時に、親しい人であればあるほど、フルネームを使わないほうが安全なのだ。SNSで検索されてもわからない名前に変えておこう。親しい人であれば、フルネームでなくても認識できるはずだ。

■絶対に自分やパートナーの『誕生日』を4桁の暗証番号に使ってはいけない!

映画では『4桁』の数字でロックが解除されるようになり、犯罪者は、落とした人物の彼女らしき人物のSNSから、おそらくFacebookのような誕生日がわかるSNSで探しあて、彼女の誕生日から『4桁』を入力し、ロックを解除する。

その前には『1234』という簡単な数字をいれてクラッキングを試みているがそれは最近では減っているが、まだ『0123』のようなパスワードのままの人は多い。

世界で最も使われた危険なパスワードの1位は「123456」と定番でした。2位は「123456789」、3位は「12345」。「123456」はなんと1億件以上検出されたようです。

https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/dlis/1376907.html

さらに、アプリケーションレベルでも、主人公の名前がわかれば 『asami0709』7月9日生まれ『minayo0118』1月18日生まれという『名前+誕生日』という8桁以上のパスワードも危険である。…というよりも、第三者がネットやSNSで調べて容易に想像できてしまうナンバーを流用することが問題である。

むしろ、SNSの誕生日は、1週間くらい早めに登録しておいても、問題は何も発生しないのではないだろうか?ネット上の自分の情報はフィルターをかけておいたほうが問題ない。しかし、年齢詐称にならないようにしたり、マッチングアプリではそれが通用しないので、いかに、本人の認証をできるかぎり、他者や他社に教えてないようの工夫だけは必要である。

ネット上の情報で、自分が特定される情報、住所、年齢、電話番号、誕生日、クルマのナンバー など、万一の時に犯罪者が特定しやすい情報は絶対にパスワードなどに使ってはいけない。

せめて、1月1日であれば、常に3を足して『0104』のマイルールを適応するのも3を足しているだけで、第三者からは推測しにくくなる。

『スマホを落としただけなのに』では、犯罪者はいろいろとハッキングツールを使い、クレジットカードや、SNSの乗っ取りで、主人公たちを翻弄させる。

スマートフォンを落として無事にも戻ってきたけども、拾い主がわからない場合は、一応データを一旦すべて消去して、新たに入れ直したほうが無難だ。
マルウェアや、ランサムウェアなどが仕込まれていてもわからないからだ。

警察に届けてもらった場合、取得者は『拾得物件預り書』を発行されるのでその歳に住所氏名を明らかにしますが、取得者自身の本人確認はされていいないケースが多いので、悪意がある人であれば、ニセの『拾得物件預り書』が作成されてしまうことがある。

警察署もスマートフォンやPCやクレジットカードなどの取得物に関しては、取得者の本人確認などは義務化したほうがよいのかもしれない。

基本的に善意の人であるし、報労金を請求することができる権利もある。さらに、3ヶ月以内に届け出がなければ、拾った物の所有権を取得することができる。

このような警察に届け出る制度上の問題を付き、警察から戻ってきたはずの『スマートフォンを受け取っただけなのに』という新作の映画も作れるのかもしれない。

ある意味、エンターテインメントとしても重要だが、セキュリティ意識を高める啓蒙活動としても、最新の『クラッキング』や『振込め詐欺』『ロマンス詐欺』をテーマとしたエンターテインメントは、怖がるだけではなく…。

なぜ?そうなったのかも含めて、理解してから使うということが必要だ。

そう、あなは、メモリーがいっぱいです。というアプリを信用して、次から次と、悪意あるクリーナーアプリをインストールして、スマートフォンが汚染され続けていても気づかないというケースもある。

基本的に iOS の『AppStore』や Androidの『Playストア』以外からのアプリは絶対にインストールしないのは当然ながら、『AppStore』『Playストア』からのアプリも、評判やダウンロード数をしっかりと評価し、一度ノートにメモしてから、翌日しっかりと検討してからインストールするくらいの用心ぶかさが必要だ。
詳しくない人で、あればあるほど、時間をかけてしっかりとアプリの選択をしてほしい。
しかし『検索』してはいけない。オススメといいつつアフィリエイトで悪意あるアプリをすすめている場合もあるからだ。基本的には、『AppStore』『Playストア』の中でユーザー数の多い評判の良いアプリから吟味していただきたい。


■iOSの『探す』、Andoroidでも『デバイスを探す』

まずは、スマートフォンを紛失したと思ったら、まずは iOSの『探す』、Andoroidでも『デバイスを探す』で表示してみるべきだ。
自分の今日や昨日、通った場所などを『Bluetooth近接通信』技術を活用して、誰かのスマートフォンの発する電波をキャッチして、自分のスマートフォンのありかを知らせてくれるのだ。

むしろ、その前に、注意したいのが、スマートフォンの置き場所を決めておくことだ。紛失するスマートフォンの大半は、イレギュラーな置き方をしたことが原因だ。いつもと違うカバンやバッグ、いつもと違う衣装、ポケットの有無もふくめてスマートフォンを自分の右、左のそして置く場合は、いつもの場所でない場合は、最新の注意をする。
『スマートフォンちょっと置いただけなのに』が『スマートフォンを落としただけなのに』つながるので、イレギュラーな場所ほど思い出す。

筆者は飲み明かした夜は、酩酊した記録を頼りにするよりも、スマホに残った写真で、昨夜の行動を把握することができている。
基本的に移動先や食事は必ず左手で持って写真に取って左側のポケットに入れるという習慣ルーティーンで、紛失事故の手前の『置き忘れる』ということを未然にふせげている。

スマホを落とさないためには注意とかではなく、習慣で乗り越えたほうが良く、落としても、『探す』で見つける手段を身に着け、最悪の事態にそなえて、リモートでデータを全消去できるようにまで備えておきたいものだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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