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「オールドスクール型」伊原を象徴する「休養」という辞め方

豊浦彰太郎Baseball Writer

西武の伊原監督が休養に入った。直接的な理由は成績不振だが、球界有数の「オールドスクール型」の彼は、鍛錬型の猛練習やユニフォームの着こなしなどの規律強化を打ち出し、最後まで選手との距離感を埋める事ができなかったとも伝えられている。

NPBでは稀な「元名選手ではない監督」の彼には、個人的には結果を出させてあげたい気持ちもあっただけに残念だ。「選手としての実績と監督としての能力は別物」との考えが主流のメジャーリーグとは異なり、日本ではそもそも選手としての実績がなければ指導者としての出発点に立つことが難しい。このことは、「監督なんて名誉職でだれがやっても同じ」という思想が根底にあることを結果的に証明している(私もこの考え方をかならずしも否定しないが)。その中で、現役時代は基本的には控え選手でしかなかった伊原は異色の存在だった。

2002年に西武監督に就任するとリーグ優勝を果たした。日本シリーズでは同じく新監督だった元スターの象徴である原監督率いる巨人に敗れたが、当時は「名監督、昔は三原・水原、今は原・伊原」ともてはやされたものだ。

心情的には、彼に名選手でなくとも監督として結果を残せる(かつての阪急V3時代の上田監督のように)ことを立証して欲しかったが、報道される内容を見聞きする限りでは監督としての選手起用や采配能力以前に、人心掌握を中心とする現代的な管理者能力に疑問符を付けざるを得なかったようだ。ある意味では、伊原は20世紀のままの男だったのかもしれない。

それを象徴しているのが辞め方で、「休養」というなんとも前時代的なプロセスだ。比較的近年でも、山田(中日)、森・大矢(横浜)、岡田(オリックス)などの監督が、成績不振を理由に休養と言うステップを踏み事実上解任されているが、本当に「オレではだめだ」と思えば自分からスパっと辞めれば良いし、球団側もあっさり解任すれば良い(解任でも休養でも当初契約したサラリーは支払わねばならないはずだ)。それを「休養」という形にするのは「なるべく採用責任も発生しないように」との思惑もあるのかもしれないが、玉虫色で私は好きになれない。

伊原に関しては辞め方も「オールドスクール」だった。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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