Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

年末年始「新幹線」最高更新…好調な中部の鉄道・航空、インバウンド照準で成長なるか

年末年始「新幹線」最高更新…好調な中部の鉄道・航空、インバウンド照準で成長なるか

全席指定化した「のぞみ」。JR東海は利用客獲得につなげた

中部地域の鉄道や航空利用が回復している。JR東海では2024年末から25年の年始における東海道新幹線の1日平均利用者が過去最高を更新。コロナ禍前の水準を上回った。中部国際空港(愛知県常滑市)を発着する航空便も好調で、帰省や観光地に向かうための需要が堅調だった。年末年始などの繁忙期以外でも、国内利用客やインバウンド(訪日外国人)の移動需要を取り込めるか。各社の施策が注目されている。(名古屋・狐塚真子)

「曜日配列に恵まれた年末年始だった。多くの利用客を想定し、十分な輸送力の提供に努めた」(JR東海運輸営業部輸送課の松田恵利也課長)。24年12月27日―25年1月5日までの10日間で、東海道新幹線の輸送量は前年比8%増の412万人、在来線は同11%増の19万5000人となった。新幹線では期間中の1日平均の利用者が41万2000人となり、過去最高だった19年度の同40万7000人を更新した。

新幹線では23年度の年末年始から始まった最繁忙期の「のぞみ」の全席指定化や、のぞみ12本ダイヤの活用で、利用客が確実に座って移動できる点が需要の獲得にもつながったとみる。最大9連休が見込まれる曜日の並びだったこともあり、観光や帰省など、利用者の拡大に貢献した。

空の便も国内線・国際線ともに好調だった。国内線を運航する全日本空輸(ANA)では、24年12月27日―25年1月5日までの中部国際空港発着便の旅客数が前年比37・4%増の11万5742人だった。北海道や沖縄といった観光地への便が好調だったほか、年末年始でも新たに設けた北海道の旭川と女満別への直行便の増などが寄与した。

日本航空(JAL)では、国内線の旅客数が同7・1%増の3万8006人。国際線が2・37倍の6026人と大幅に増加した。ホノルル線、台北線は搭乗率が約9割と堅調だった。コロナ禍前と現在の運航状況が異なるため単純比較は難しいが、「肌感覚では国内線は19年並み、国際線は同7―8割の回復」(担当者)にあるという。

名古屋鉄道では、1月1―3日までの全線の定期外輸送人員が前年同期比7・4%増の93万3000人となった。コロナ禍前と比べると9割を超える水準まで回復した。駅の降車人数では、中部国際空港駅(愛知県常滑市)が空港利用者の増加を受け、前年比9・3%増、熱田神宮の最寄り駅である神宮前駅(名古屋市熱田区)は同18%増だった。

JR東海では大型連休を中心にコロナ禍前の水準も上回る傾向にあり、移動需要の回復は鮮明だ。25年は大阪・関西万博も開催され、さらなる利用者の増加も見込める。同社は3月15日のダイヤ改正で、6時台に東京発新大阪行きの臨時「のぞみ」を1本増やし、万博の開催期間や大型連休での利用を見込む。足元ではインバウンドの利用者も増えており、幅広い需要の取り込みが各社の成長に欠かせない施策となりそうだ。

日刊工業新聞 2025年1月10日

編集部のおすすめ