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工場設備の異常音、生成AIが文章化…日立が新技術でメンテを高精度化する

工場設備の異常音、生成AIが文章化…日立が新技術でメンテを高精度化する

工場設備の異音を生成AIで文章化し、メンテナンスの効率化を図る(イメージ)

日立製作所はポンプなど工場設備の異常音を生成人工知能(AI)を用いて文章化して示す技術を開発した。従来は熟練の技術者に頼っていた音での異常検知を生成AIで補助することで、メンテナンスの効率化と高精度化につなげる。2025年度から顧客企業の協力を得て実証実験を始める。工場や鉄道、プラントなどの現場で2、3年後の事業化を想定している。

日立製作所は以前からAIによる異音検知のソリューションを展開しており、正常時と違う音を検出したら警告を出すなどのサービスを提供している。ただ、異音が発生する原因は多様で、音の波形も毎回異なる。このため原因の特定は難しく、最後は技術者の経験や知識による判断が必要だった。熟練の技術者でも判断基準が異なる上、聞き逃しも発生している。

同社は今回、AIが異音の発生を捉えた場合、音データをさらに精査し、生成AIに複数の言語モデルを組み合わせて音の様子を具体的かつ高精度に文章で説明する技術を開発した。

例えば「異常な振動音と高周波のキーキー音」といった具体的な表現が生成される。文章化により、熟練者技術者の経験に頼っていた異常の判断の標準化が可能となる。判断精度は熟練技術者の場合と同等だという。

将来はメンテナンス現場で機械の稼働音を診断し、異音を検知した際には似た事例を探してその場で原因特定や保守作業の提案などをするソリューションとしても提案する。この技術を使い、どの音に着目すればいいかを学んでもらう人材育成での活用も見込む。


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日刊工業新聞 2025年01月24日

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