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「“サメ肌”航空機で省エネ」加速中…ANA、世界初の貨物・旅客機両方に導入

「“サメ肌”航空機で省エネ」加速中…ANA、世界初の貨物・旅客機両方に導入

ANAは機体にフィルムを貼り付ける

航空機の機体にサメ肌をモチーフとしたリブレット加工を施し、燃料消費を抑えて脱炭素化につなげる取り組みが進んでいる。サメが水中の摩擦抵抗を低減して泳ぐ点に着目し、サメ肌を生体模倣した構造にしている。飛行中の空気抵抗を低減してエネルギー効率を上げ、二酸化炭素(CO2)排出を減らす。(高屋優理)

ANA、国際線旅客に今春投入

全日本空輸(ANA)は2024年9月にリブレット形状を実装した初号機の運航を始めた。初号機は米ボーイング777型フレイターで貨物定期便として運航。ANAは同じ航空連合「スターアライアンス」に加盟する独ルフトハンザと連携。独ルフトハンザ テクニックと独BASFが共同開発したリブレット加工フィルム「AeroSHARK」を使用している。

フィルムには50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の微細な溝があり、1枚が幅約1メートル、高さ約50センチメートルで、1機当たり約2000枚を貼り付ける。重さは約120キログラム。年間約250トンの燃料を削減し、約800トンのCO2排出量を低減できる。

ANAでは春にも旅客機にフィルムを貼り付け、2号機目として運航する計画。主力の米ボーイング777型機にフィルムを貼り付けて国際線に投入する。世界の航空会社でリブレット形状の導入を貨物機、旅客機の両方に導入したのはANAが初めてとなる。

JAL、直接塗膜で機体軽く

JALは機体に直接塗膜してリブレット形状を実現

日本航空(JAL)は機体に直接リブレット形状の塗膜をする工法の実証実験を始めた。JALは宇宙航空研究開発機構(JAXA)、オーウエルと連携。オーウエルが開発した「Paint―to―Paint Method」は機体にリブレット形状を施したシートを圧着し、水洗いで水溶性モールドを流すことで塗膜にリブレットを直接加工する手法だ。

同工法のメリットは、直接施工するため、機体の重量が変わらないことだ。重量は燃費に大きなインパクトがあり、高い燃費効果が期待される。また工期は最短2週間で、フィルムと異なり劣化もしないため、通常の塗装の周期である8―10年は形状が維持できる。

JALは22年に国内線機材に施工し、耐久性を検証。23年には胴体下部に面積を広げて施工し、燃費改善効果を確認してきた。米ボーイング787―9型機の国際線機材への導入にあたり、JAXAが風洞試験や数値解析を実施し、抵抗低減効果を確認。実証実験では、さらに面積を広げたことで、燃費改善効果がどの程度高まるのかなどを分析する。

ただ、今回施工したのは胴体部分の約30%の面積にとどまった。巡航時の抵抗低減率は0・24%。燃料消費量で年間約119トン、CO2の排出量で381トンの削減が見込まれる。子会社のJALエンジニアリング(東京都大田区)で機体技術を担当する緒方隆裕氏は「今後、機体全体に施工すれば、抵抗低減率は2%程度に高められる。施工技術の開発も進めながら、導入拡大を図る」と話す。航空機から発生するCO2は、脱炭素化に向け解決の社会的要請が強い。今後も業界全体でさまざまな取り組みが進むとみられる。

日刊工業新聞 2025年01月27日

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