【決算一覧】ソニーG・日立など上方修正…電機8社・通期見通しの全容
電機大手8社の2025年3月期連結業績見通しは、為替の円安傾向や本業の堅調さなどを受けて、ソニーグループ、日立製作所が当期利益を従来予想より上方修正した。NECも非GAAP当期利益を上方修正した。一方、シャープは期初時点で50億円と見込んでいた当期利益を構造改革を進める中、合理的な算定が難しいとし、「未定」に変更した。

ソニーGは連結当期利益を1000億円上方修正し、前期比11・3%増の1兆800億円と過去最高を更新する見通しだ。円安に加え、ゲームや音楽などエンターテインメント関連の業績が堅調なことが要因。子会社の解散に伴う税金費用の減少も寄与した。
日立製作所は当期利益を従来予想より100億円上回る前期比3・4%増の6100億円とした。世界的な脱炭素を追い風に送配電事業関連の受注が「想定以上に続いている」(加藤知巳最高財務責任者〈CFO〉)状況で、業績をけん引している。
パナソニックホールディングス(HD)は、売上高を従来予想より3000億円減の8兆3000億円に下方修正した。車載機器子会社を非連結化することから減収となる一方、各利益段階は予想を据え置く。情報通信機器向けコンデンサーや生成AI(人工知能)データセンター向け蓄電システムなどの販売増によって影響を抑える。
富士通は売却契約を締結済みの新光電気工業などのデバイス事業を除く継続事業ベースの売上高が従来予想比450億円増の3兆4700億円を見込む。足元の受注は全領域で力強く伸長し、「内需を中心にデジタル変革(DX)やモダナイゼーション(最新化)の商談が拡大している」(磯部武司副社長)。
NECは売上高と各利益段階を上方修正。「国内ITサービスと航空宇宙・防衛(ANS)を中心に大幅に収益が改善し、年間予算の達成に向けて想定以上に推移している」(藤川修CFO)。官公庁や自治体などパブリック領域も成長した。
一方、通期の当期利益を未定としたシャープは堺工場(堺市堺区)の土地や建屋をソフトバンクやKDDIに売却する手続きを進めており、売却益などの計上で「当期利益は50億円以上を目指す」(小坂祥夫CFO)決意だ。
非上場化した東芝は通期の業績予想は非公表。24年4―12月期連結当期利益は持ち分法適用のキオクシアHDの業績改善で1848億円の黒字(前年同期は1070億円の赤字)だった。また、発電システムなどの好調を受け、増収および各利益段階すべてで黒字だった。
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