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大電力で食品を調理・保存しやすく…三菱電機が応用、「パルス電界処理技術」の実力

大電力で食品を調理・保存しやすく…三菱電機が応用、「パルス電界処理技術」の実力

三菱電機が開発した食品のパルス電界処理装置

三菱電機は食品に大電力を加えて調理・保存しやすくする加工技術を開発した。ジャガイモを柔らかくして切りやすくしたり、トマトの皮を剥きやすくしたりできる。加熱せずに処理できる点が特徴で、将来的には絞りたてのジュースや液卵の殺菌などでの使い方も想定する。2025年度中の事業化を目指し、食品メーカーなどの展開先を探す。

1000万ワットの電力を10万分の1秒間加えて、対象の細胞膜に微細な孔をあける「パルス電界処理技術」を食品に応用した。この技術は遺伝子改変や美容の分野で使われているが、大きな電力を扱うため野菜や果物など大きなものを処理するのが難しかった。

三菱電機は放電加工機などのノウハウを活かして食品を加工する装置を開発した。事業化に向けては「安全性の向上やコストなどの課題がある」(三菱電機先端技術総合研究所)が、農業・食品産業技術総合研究機構と共同で展開先を探す。

食品メーカーがジャガイモを切る際、カッターの刃を取り替える頻度を減らせる。トマトの皮を湯むきせずに済むので消費エネルギーの削減にもなる。

フリーズドライ食品を作る際に乾燥しやすくするなどの使い方も想定する。野菜や果物の色、形を保ったまま乾燥させられる。

パルス電界処理技術は欧州では既に食品の加工に使われている。国内では大学などが産業応用の研究を進める。

日刊工業新聞 2025年02月18日

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