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24年度業績予想を3度上方修正、アドバンテスト好調の理由

24年度業績予想を3度上方修正、アドバンテスト好調の理由

引き合いが好調なアドバンテストのテスター

テストの複雑性上昇が寄与

アドバンテストの業績が好調だ。旺盛なAI(人工知能)向けのテスター需要を取り込み、2024年度の連結業績予想をこれまでに3度上方修正した。大手半導体受託製造(ファウンドリー)などが設備投資を増やす中、その需要に追従し、24年度の業績は過去最高となる見通し。同社は25年度も需要拡大が続くと予想しており、2年連続の最高業績の更新も視野に入る。(小林健人)

「AIデバイスにおけるテストの複雑性。ここを予想しきれていなかったのが、3度の上方修正につながった」。アドバンテストの中原真人経営執行役員はこう話す。

これまでテスターの需要予測は、年間に生産される半導体を基準にした「ボリューム」を基に予測していた。一方、画像処理半導体(GPU)や広帯域メモリー(HBM)のAIデバイスでは従来に比べテスト工程が増えたり、テストの項目が増えたりするなど、技術難易度が高まった。このテストの複雑性が顕在化したため、メモリーメーカーやファウンドリー、半導体後工程請負業(OSAT)はテスターへの投資を大幅に増やした。

だが、需要を取り込む上でネックになったのが生産能力だ。そこで旺盛な需要を見逃すまいと、同社はサプライチェーン(供給網)を強化。複数の部材で調達を強化し、テスター需要に追従して24年度の業績につなげた。

25年度もAI向けのテスターは好調だとみる。HBMを中心としたメモリーテスターの市場規模は横ばいと予測するが、システムオンチップ(SoC)テスターの市場規模の予測を24年度の想定よりも引き上げた。中原経営執行役員は「SoCテスターは現在の需要に加え、ハイパースケーラーやスタートアップなどの新規参入がある。同時に製造プロセスも進化し続ける。この掛け合わせで需要が伸びていく」と展望する。

また、台湾を中心にAI向けの設備投資は続くとする。24年度の業績予想から見ても、アドバンテストはAIという大波を捉えた「一番の勝ち組」と言える。勢いが継続すれば、2年連続の最高業績も現実味を帯びる。


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日刊工業新聞 2025年02月21日

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