探索範囲2倍以上、人命救助に応用…においを探索する「ドローン」の仕組み
信州大学の照月大悟准教授と千葉大学の福井千海大学院生、中田敏是准教授らは、ガの触角を搭載してにおいを探索する飛行ロボット(ドローン)を開発した。空気を触角センサーに引き込む角筒状のカバーを工夫し探索範囲が2倍以上に拡大した。概念実証(PoC)はできたため、蚊の触角を搭載して人間のにおいを探索するドローンを開発する。災害現場での要救助者探索への応用を目指す。
カイコガの触角の信号を電気的に読み出すにおいセンサーをドローンに搭載した。ドローンの回転翼で生じる気流を利用してカバー前方の空気を引き込みにおいの方向を探る。角筒カバーの形状を流体力学計算で最適化し、吸い込まれる気流が乱れないようにした。
ドローンは空中で止まり、回転して方向を探る。回転中にさらに止まると信号が平均化され探索精度が2倍に向上した。室内実験では5メートル先のにおい源を見つけられた。従来は2メートル程度で、5メートルは世界最高記録という。センサー自体は10メートル先のにおいを検知できる。
災害現場に複数のドローンを放ち、人間を捜索する用途を想定する。蚊は繁殖させやすく、試験用昆虫として販売されている。触角は安定調達でき、緊急時にも対応できると期待される。
日刊工業新聞 2025年02月25日