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顧客の警戒心軽減…保険販売にアバター活用、深いニーズ探れるか

顧客の警戒心軽減…保険販売にアバター活用、深いニーズ探れるか

保険を提案する男性アバター

損害保険ジャパンはアバター(分身)を活用した保険販売の実証実験を始めた。自動車販売などと兼業で保険を販売する代理店に導入し、遠隔地から保険に詳しい代理店の担当者がアバターに扮して顧客に対応する。アバターが接客すると、顧客の警戒感が薄れ、人による対応よりも深いニーズが探れるかなど効果を検証する。課題を見極めた上で、2025年度中に本格導入の可否を決める計画だ。

ロボット学者の石黒浩大阪大学教授が社長を務めるベンチャー、AVITA(アビータ、東京都目黒区)のアバター接客サービスを活用する。

20種類の男女のアバターが設定されており、接客担当者の身ぶり手ぶりに合わせて顔の表情や手の動きを変える。声も変えられ、担当者は性別や年齢にこだわらずに接客が可能だ。

保険販売の現場では、担当者が若い女性だと顧客が不安を感じることがあるという。また、女性客の場合、年配の男性担当者に説明されると、加入のプレッシャーを感じることも多い。「アバターだと、こうしたバイアスから解放され、顧客がリラックスして話を聞ける」(損保ジャパン)とみる。すでに一部の兼業代理店で実証実験を実施済みで、顧客満足度の向上につながるのかなど効果を検証する。

アビータのアバター接客サービスは、リモートで接客することで各拠点に人員配置が不要になる。人手不足解消やコスト削減効果につながる。

損保業界では保険会社と代理店とのもたれ合いの解消に向け、代理店は保険会社に頼らずに自律して保険を募集する必要に迫られている。ただ、自動車販売などとの兼業代理店では、保険に精通する担当者の人数が限られる場合が多い。

日刊工業新聞 2025年2月27日

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