「草刈り機カッター」に磨き、隠れたニッチトップ企業が攻めに転じた
ダイアトップは草刈り機用ナイロンコードカッターユニットで国内シェアが6割以上だ。海外勢が強いチェーンソー用ガイドバーでも国内でシェア3割で国産首位。20カ国に輸出もする。そんな隠れたニッチトップ企業が攻めに転じた。主力のOEM(相手先ブランド)生産で顧客対応を強化。自社ブランドの直販も本格化した。積極投資による効率化、海外の販路開拓も加速する。
ダイアトップは顧客の多様な草刈り機やチェーンソーにカッターユニットで約400、ガイドバーで約800の仕様を供給する。主要製品で1カ月と納期も短い。特にガイドバーは生産工程が約40と複雑。歪みの矯正など手作業の匠(たくみ)の技でも差別化する。コードカッターが切れると必要な分だけを自動で繰り出すタイプを発明するなど開発力も高い。総合力で他社の追随を許さない。
しかし現状に安住はしない。効率化に積極的で、2024年4月には3億円をかけ鋼板からの抜き加工を従来のプレスからレーザーに変えた。自動化やデジタル変革(DX)も今後本格化する。交換用に同2月に日本の「アマゾン」で通信販売をはじめ、自社ブランドも拡販する。
長谷川裕貢社長は大手メーカーや多数のベンチャー・中小企業の社長や役員を歴任した経営のプロだ。同8月にダイアトップ社長に就任。「顧客のニーズを引き出せていない」と判断し、即座に開発営業部を新設し顧客訪問を強化した。直近の受注は前年同期比で3割以上の伸びだ。

顧客への提案力も重視する。25年2月に3次元(3D)プリンターと3次元測定機を導入しカッターユニットの試作時間は金型レス化で4時間に激減した。刈り払い機メーカーと専用ロボットの共同開発も検討中だ。
海外も強化する。中国の協力工場で最終検査機能を整え、完成品を日本を経由せず世界に直送する体制で納期を短縮した。4月から米アマゾンでも自社ブランドを販売する。25%の海外売上高比率を30%にする考えだ。
中期目標で27年9月期に売上高30億円(24年9月期比2・3倍)、売上高営業利益率10%を掲げる。「グローバルニッチトップ企業を目指す」(長谷川社長)方針だ。(岐阜)(随時掲載)
【企業概要】▽所在地=岐阜県郡上市白鳥町向小駄良809の1▽代表者=長谷川裕貢氏▽設立=69年(昭44)3月▽資本金=1億円▽従業員=87人▽売上高=13億円(24年9月期)