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物流現場に提案へ…阪大が開発、小さい拳の指3倍伸長したロボハンドの機能

物流現場に提案へ…阪大が開発、小さい拳の指3倍伸長したロボハンドの機能

手前が拳3倍に開いた状態、左上が拳1倍に開いた状態

大阪大学の万偉偉准教授らは、指の開閉幅が3倍に広がり、1倍までは拳の大きさが変わらないロボットハンド機構を開発した。拳が小さな状態で箱の中に商品を詰め、指を大きく開いて箱を持つという動作を一つのハンドで実現できる。一般に開閉幅を大きくとると拳も大きくなり、狭い空間で作業しにくくなる。物流現場などでのハンドリングに提案していく。

多階層のラックギア機構で平行グリッパーの指を開閉する。モーターの回転をラックギアと歯車を組み合わせて増幅する。3階層の場合は移動量が3倍、力は3分の1になる。

単純にラックギアを組み合わせると指の開閉に応じて拳部分も大きくなる。そこで歯車とラックギアを接続する方向を反転させて動きを相殺した。拳の幅までは指を広げても拳は大きくならない。

箱や装置の中で物を動かす際には拳は小さいままで作業し、中での作業が終わったら指を大きく開いて全体を持ち上げることが可能になる。従来はそれぞれのハンドやアームを用意するケースが多かった。一つのハンドで実現できれば設備投資を抑え、ロボットの稼働率を上げられる。

ラックギアの階層を増やせば開閉幅はいくらでも広げられる。機構の作り込みの精度にもよるが開閉幅3倍が使いやすく、4倍から5倍程度が限界と想定する。開閉幅が長くなると力は弱くなる。

ラックギアという頑丈な機構で実現できたため生産ラインの治具にも応用できる。製造業や物流業の自動化に幅広く提供していく。

日刊工業新聞 2025年03月05日

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