運搬台車・遠隔解体ロボ…アクティオ、レンタル電動建機相次ぎ投入の理由
アクティオ(東京都中央区、小沼直人社長)が、建設業の省力化支援のレンタル商品で電動化製品を増やしている。バッテリー式運搬台車や電動遠隔解体ロボット、電動併用仕様のカニクレーンナックルブームなどを2024年に相次いで投入した。背景には働き方改革による建設現場の作業時間規制とともに、高齢化と人手不足という「建設業の25年問題」がある。今まで人手に頼っていた作業を機械化した製品が不可欠になり、排ガスゼロなど環境配慮もテーマになっている。(編集委員・嶋田歩)
高齢化や人手不足は従前から言われてきた問題だが、25年の特徴は第1次ベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になること。アクティオの守栄一上席執行役員は「人手不足にさらに拍車がかかり、建設業に大きな影響を与える」と警鐘を鳴らす。ベテラン高齢者や外国人労働者に頼ることが難しくなり、省力化機械の導入が喫緊の課題だ。
アクティオがレンタル商品で投入した「バッテリー運搬台車」はその一つ。平地で1トン、傾斜角が40度の場所でも500キログラムの荷物を運搬可能。建設現場では階段や斜面での資機材運搬を人力作業に頼っており、人員と時間がかかる問題があった。運搬台車はリモコン操作で資機材を載せたまま階段を昇降でき、工程を85・7%短縮できる。電圧12ボルトのバッテリー2本で1・5時間連続運転できる。
電動遠隔解体ロボットは屋内での解体作業時に、重いハンドブレーカーを持ちながら壁や床を壊す重労働から人間を解放する。近距離無線通信「ブルートゥース」で50メートル程度までの遠隔操作に対応し、排ガスが出ないため屋内作業や排ガス禁止現場、トンネルや地下でも使える。作業能力は人手のほぼ3倍ある。
電動併用のカニクレーンナックルブームは屋内での吊り作業で障害物を乗り越え、奥まで荷物を移動したい際に、カニの足のように障害物を乗り越えて作業し、長いリーチで高所に荷物を置いたりできる。
またジャッキアップ機能を備え、荷物の真下に入り込んだ運搬ができる半自動ロボット低床式重量物搬送台車も、今後本格展開する予定だ。
これらの省力化機械はいずれも電動か、電動と併用型にしたものが多い。ディーゼルエンジンと違い、電動は排ガスがなく騒音も小さいため建築中の建物や屋内での工事に向く。人や環境への優しさを強調できる点も、人手不足に悩む建設現場では追い風となる。「最近は客先からもGX(グリーントランスフォーメーション)や電動化に関する問い合わせが多い」(守上席執行役員)状況で、今後の一層の需要拡大が期待される。
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