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白いセダンで「あおり運転」してきたチンピラ風が、顔色“真っ青”になって警察に捕まるまで――仰天ニュース傑作選

信号待ちでスマホのカメラを起動

交差点の信号機 保育園のお迎えのために車を走らせていた田中陽介さん(仮名・30代)。トラックにあおり運転をされた際のエピソードを教えてくれた。 「私がスピードを上げてもずっと張りついてきたんです。振り切ってやろうとスピードを出すと距離をとれたのですが、あいにく赤信号につかまってしまいました」  そのとき、田中さんはYouTubeで見た「あおり運転の対処法」を思い出したという。 「ドライバーや車のナンバーの撮影をすることでした。信号待ちの間に窓から携帯を出して、カメラを起動させたんです。運転手は、私の車に近づいたところで、撮影されていることに気づいたようでした」  運転手はクラクションを鳴らし、停止したトラックから降りようとする。田中さんは危険を感じ、信号が青になった瞬間に逃げるように車を走らせた。運転手も急いでトラックに乗り、再びクラクションを鳴らしながら追いかけてきたそうだ。 「保育園につながる細い道があるのですが、トラックは入れない狭さなのでその道に入りました」  安心したのもつかの間……。トラックはその細い道に突っ込んできたという。ただし、道の中までは進めず、運転手は鬼の形相で田中さんを睨みながらクラクションを鳴らし続けていた。田中さんはそのまま家に帰ったのだが……。

「動画を消せ」と言われたが…

「上司から電話があったんです。どのように特定したのかは分かりませんが、運転手から職場に連絡があったようで、運の悪いことに相手は取引先の人間でした。上司から『これから一緒に謝りに行こう』と言われたんですよね。もちろん、全力で断りました。でも、『謝ったほうがよいから』と聞く耳を持ちませんでした」  相手の家に着くと、「会社にいられないようにしてやろうか!」と、脅迫ともとれる罵詈雑言を田中さんに浴びせてきた。そして……。 「私に『動画を消せ』と迫ってきました。仕方なく動画を消し、それを確認した相手は、満足気でしたね。急に優しくなって、『気をつけような』なんて言ってきたんです」  しばらくして田中さんが帰ろうとしたとき、田中さんの携帯が鳴った。それは、田中さんの妻がお世話になっている自動車会社の社長からだったそうだ。電話に出ると……。 「社長は開口一番に『あおり運転されたらしいな。奥さんから聞いたぞ』。そして、『その地域の警察の副所長と仲良しだから、ややこしくなったら遠慮なく言えよ』という言葉が続きました。その会話が相手にも聞こえていたらしく、急にそわそわしはじめ、私から逃げるように家へ入っていきました」  田中さんはそもそも罵詈雑言を言われたときも腹は立っていなかったようだ。なぜなら、ボイスレコーダーにあおり運転の証拠を録音し、動画データもコピーして妻に渡していたという。  あおり運転をされてから数年経つが、その後は遭遇していないそうだ。 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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