14年かかった!個人開発で月収100万達成した話
こんにちは!専業で個人開発しているSiROです。
苦節14年、個人開発で月収100万円を達成したことですし、一度ここまでの知見をまとめ、共有したいと思います。同じ道を志す方の参考になれば幸いです。
想定読者:個人でWEBサービスを作って稼ぎたい人
実際の月間PVと月収
↑これは全サービスをサマリーした数字です。収入源は広告収入。
PVは最高記録で450万PV/月くらい。月収の軸ラベルは隠してありますが、ピーク時に100万円オーバーです。月収とPVの関係をまとめると・・・
月収10万円達成 29万PV
月収20万円達成 48万PV
月収30万円達成 70万PV
月収40万円達成 267万PV
月収50万円達成 282万PV
月収60万円達成 339万PV
月収70万円達成 440万PV
月収80万円達成 444万PV
月収100万円達成 422万PV
※PV数は参考程度です、特にツール系は何をもって1pvとするかは作りによって大きく変わるし、PVを計測してないサービスもあるので・・・
自己紹介
SIerを10年くらいやって、今は会社を辞め専業で個人開発してます。
労働に追われる人生が嫌で、とはいえ起業する野心もないし、人の上に立つ人間でもない…。不労所得となる資産を作って「毎日自由に、のんびり生きていく」のが目標で、個人で色んなWEBサービスを作ってます。
現在、毎日およそ1~4万円程度の収入が入ってくるので大分のんびりできるようになってきたけど、収入も安定しないしまだまだこれから!
バズった経験
小規模ながら、何回かSNSでバズったこともありますが、バズといっても色々なケースがありました。
インフルエンサーが紹介してくれてバズったケース
リリース直後にバズったケース
一発屋で終わったケース
ランニングコスト
AWS+GCP、あとVPSやレンタルサーバがたぶん15台くらい。ドメインが10個くらい。全部でおよそ月に2~3万円くらいのランニングコストです。全て一人でやってるので外注費はかかっていません。
月収100万円で見えてきた事
最初5年くらいは失敗続きでした。作っては壊しを繰り返したり、儲かっても続かなかったり。しかし失敗を重ねるうち、徐々に照準が合っていき、継続して稼げるようになっていきました。
月100万に到達するまでに結局14年かかりました。月100万いったら遊んで暮らせるのではないか、と昔は思っていました。しかし実際に達成してみると、少し事情が違いました。
まずシステムメンテナンスや保守、ユーザサポートなどの作業が発生しますし、そもそも収入が将来も安定する保証がどこにもありません。リスク分散のため「マネタイズを分散しよう」とか「別サービスを作ろう」という発想になっていきました。結局どこまでいっても安泰はないです。
ただ会社員時代に比べ、生活にゆとりが出来たのは間違いないです。起きる時間も自由だし出勤もないし、仕事をするしないも全部自由です。
少し周囲の反応も変わってきたように思います。法人から集客の相談をされたり、某大企業からサービスについて話を聞かせて欲しいと言われ出向いたこともありました。
いきなりユーザ投稿型サービスは無理ゲー
ここからは体験談や知見を、五月雨式に書いていきます。
ユーザ投稿型とは掲示板やSNSのようなサービスです。ユーザがたくさん集まらないと面白くならないような投稿系サービスは、ほぼ失敗しました。放置してもユーザは増えないし、無名で予算も無い個人だと、集客能力が無くて難しいと感じました。
それからはいきなり投稿系サービスを作らず、やるとしてもサブ機能として投稿機能を持たせるようにしています。
ツール系はやりやすい
投稿系サービスを辞め、便利ツールのようなものを作っていくようにしました。これならユーザがいなくても価値を提供できるからです。検索エンジンからも人が来て、わずかながらユーザが増えていきました。ユーザ投稿型と違い、価値のある状態で放置するのはアリだなと気付きました。
放っておくとどんどんPVが増えてくるので、モチベーションも上がり機能追加も積極的にしていくとさらにPVが増え、良いサイクルになっていきました。
一度は諦めた投稿機能ですが、ここで投稿機能をつけると、今度はユーザが投稿してくれるようになったのです。いきなり投稿系サービスを始めるのではなく、一度ツール系などを開発しユーザを集めてから投稿を促した方が投稿されやすいことを学びました。
ジャンルの選び方
個人開発ですから、自分が得意なジャンルで闘わない手はありません。それほど思い入れもない分野で、いかにも世の中の需要を分析した気になって、儲かるだろうと狙って作ったものは全部失敗しました。
詳しくないジャンルを選べば、1から業界のリサーチが必要なのに、それもしないなら失敗して当たり前です。それにお金目的だけだと、利益が上がらないとすぐに辞めてしまいます。
あとは少しニッチな穴場を狙うようにしています。ジャンルを大きくして大手サービスと勝負するよりも、参入者の少ないブルーオーシャンで勝負しています。
アイデアの出し方
1. 利用者目線で、かゆいところに手が届くサービスを作るよう心掛けています。「経験者にしか分からないんだけど、こういうのがあると便利なんだよな」という発想です。
2. 技術者の目線で考えることもあります。「この技術やデータを使えばこういうサービス作れるかも」という発想です。
3. あとは、SNS上でみんなのツイートを普段からダラダラ見るようにしています。「何に興味があるのか」「何に不満があるのか」「何を面白がっているのか」を観察して、じゃあこういうの作ればウケるかも!という発想を出していきます。
中には、ど直球で「こういうのあったら便利なのに」というツイートがあって、RTが伸びているのを見て、「なるほど~そういう需要があるのか」と思いサービス化したこともあります。
需要があるのは分かっていますので、リリースするとやはり反応は良かったです。これをやってる人は何人か見かけましたが、みんな反応が良さそうだったので、割と必勝法に近いと思います。「作ってみました!」とその人たちに返信すれば、ほぼ間違いなく広めてくれますし、その界隈の人たちが喜んで最初のユーザになってくれます。
4. ↑と似てますが、サービスをインフルエンサーに最適化する方法もあります。その界隈で影響力ある人のツイートなどをチェックし、彼らの好みそうな機能やコンテンツを作るのです。いつしか彼らの目に留まると高確率で拡散してくれます。このように「自分が作りたいものを作る」のではなく、「インフルエンサーが欲しがるものを作る」といった発想をすることもあります。
5. あとは、競合サービスもアイデアの宝庫です。パクるわけではありませんが、別サービスを見ていたら「なるほど!そういう機能もあるのか!」とインスピレーションを得て、自分流にアレンジして作ってみたらウケたこともありました。
資産の再利用
私はジャンルの異なる多種多様なWEBサービスを、思いつきで作っていき全部ヒットさせるようなスーパーマンではありませんし、それは金なし知名度なしの個人では不可能だと思います。
これまでと全く畑違いのサービスを作るとゼロからのスタートになりますが、似たようなジャンルであれば、それまでの資産を活用できるのです。資産というのは登録ユーザのリストやデータ、ノウハウ、ソースコードなどです。
例えば、「このDBを流用して、少し機能追加するだけで新しいサービスが出来るんじゃね?しかも既存ユーザに宣伝もできるし」というような横展開の発想です。
これを続けてそのジャンルに精通していくと、新規参入者であれば数カ月かかるであろうサービスを、自分なら数日で作れてしまう、そのような優位性が生まれてきます。
ジャンルをあまり広げず、過去の資産をどんどん活用していくことで、効率的にサービスを増やしていくことが出来ました。
ユーザとの交流
ツイッターのフォロワー数や、サービスの登録ユーザ数は全部で数万レベルに成長しました。
ユーザからの意見はとても参考になります。いただいた指摘は即対応したりすると、そのスピード感に驚かれるし、すごく喜ばれました。
中には熱心に指摘してくれる人が1人いて、他にも何かありますか?って聞き続けると、次々と新しい要望が出てきた事がありました。「この人スゴイ…」と思い、何ヶ月かかけてこの人の要望をすべて対応するという試みをしたこともありました。たった一人のユーザの意見ですが、この時期にサービスはかなり進化したと思います。
サービス設計
モノにもよりますが、おおむね以下のような検討をしてから実装に入ることが多かったです。綺麗なドキュメントは不要なので、メモ書き程度の設計をしています。資料のメンテはしていきません。
・自分の強みは?参入ジャンルの選定
・アイデア出し
・ターゲット層は?利用者のイメージ
・サービスのウリは?強みは?
・競合は?競合との差別化は?
・マネタイズ方法
・各機能の検討
・集客アイデア
・技術選定、アーキテクチャ検討
・サービスの利用イメージ、ユースケース
・SEO、SNS対策
・初回リリースの範囲を決める
・画面イメージ
・画面の洗い出しとかんたんな設計
・バッチの洗い出しとかんたんな設計
・DB設計
実装
最初のころは技術力が高ければ稼げるんだろうと勘違いしてました・・・。
イケイケの技術や美しいコード、大規模サービスの知見とか、仕様変更に柔軟なクラス設計などなど。それらを求めても自己満足で終わってしまい、あまり意味なかったです。それよりも、なるべくシンプルな作りにして、スピード重視という開発スタイルに自然と変化していきました。
企業での大規模開発では、メンバーが増えることで多大なリソースがかかります。共通処理をどうするとか、作りがバラバラにならないようにとか、IF部分の意識合わせとか、仕様決定待ちとか、情報共有とか、あの人はもう離任した・・・とか。そういった雑多な作業がないので、おそらく個人開発は10倍かそれ以上生産性が高くなると感じました。
あと、内向的な性格もあったり、あれこれと並列作業をするのが苦手なタイプのため、SNSやブログなどでアウトプットは一切せず、全リソースをプロダクト開発のみに集中させるスタイルでした。会社員時代は帰宅したらずっとコーディング(サービス開発)していたような生活をしていました。
マネタイズ
アドネットワーク
アドセンスの収益性は圧倒的に強いです。でも規約が厳しいので、指摘を受けたら迅速に対応していく必要があります。あまり経験ないけどfluctなどのSSPもいいらしいですね。
アフィリエイト
ASPなどのアフィリエイト広告は、自分のサービスにマッチする広告がない事も多かったです。無理にマッチしない広告を貼っても、儲かることはほとんどなかったです。
でも一応サイト登録をしておいて損はないと思います。担当者から特別単価5倍とかを提案されたこともあるし、新サービスの情報が世間よりも早く回ってくることもありました。
純広告
自由度が高いし、継続してもらえれば収益が安定するのが純広告。でも、いきなり堂々と広告枠を販売してもなかなか返事をしてもらえませんでした。
そこで、まずは試供品として広告枠を格安で提供して、相手を先に儲けさせてあげることで信頼関係を作り、それから正式に販売すると成約するようになりました。最初はこっちから必死に売り込まないといけないけど、一度関係を持ってしまえば向こうから連絡がくるようになりました。
競合サービスや近いサービスがどんな会社の広告を貼っているかも参考にしています。
マネタイズしない
サービスを企画する時、「これ作ったら絶対面白いんだけど、マネタイズが難しいな…」という局面もあります。しかし、まずイメージ通り実現できるかも分からないし、本当にウケるかも分からない、どのくらいの規模でユーザが集まるかも分かりません。そのような場合はまず作り始めてしまう事もあります。
実際、作ってみたら予想通り反応が良く、すぐ登録ユーザが1万人以上になったサービスがありました。一時的にですが、想定外に広告主がついたこともありました。現在は利益ゼロで運用中です。
無計画な進め方ですが、ひとまず反応がいいモノを作れたのでヨシとします。利用者がもっと増えたら課金などを真剣に考えていこうと思っています。金の卵だと信じて・・・
この記事のマネタイズ
この記事も無料ですし、特に目先のメリットがあるわけではありません。
価値を提供すれば、いずれお金や何らかのメリットに変わると思っています。どのような利益になるのかは分からないけど、何がウケるのかも分からないので、とりあえず色々な価値を世の中に提供してみる。その中で一番反応が良かったものを伸ばしていけばいいので、この記事もチャレンジの一環で、現状マネタイズは無計画です。
先に価値を提供する
純広告の欄でも書きましたが、人の心を動かしたいときは「価値を先に提供し、利益の回収を少し遅らせる」と上手くいく事が多かったです。例えば・・・
・ツイッターでいきなり自サービスを宣伝するのではなく、アカウントを育て認知度を高めてから自サービスを宣伝する
・メルマガを出すときはすぐにアフィリエイトを貼るのではなく、有益な情報をたくさん与え信頼を得てから広告を貼る
・サービスをリリースしてもすぐに広告を貼らずに、サイト内をよく循環してもらい、しっかりとリピーターになってもらってから広告を貼る。
リピーター
SNSでバズったり、SEOで順位が上がってユーザが増えるのは刺激的ですが、集客効果が一時的なもので終わってしまうケースも多かったです。
長期的に安定して稼ぐには、直接サイトに来てくれるコアなファン(リピーター)を地道に作ることが何より重要だと思うようになりました。
[サイトにまた来てもらう施策]
・メルマガ送信して自サービスに誘導する
・定期的にコンテンツを更新し、また見に来る理由を作る
・ブックマークを促す
・サイト名を覚えてもらう
・SNSのフォローを促す
・ユーザ登録を促す
・RSSの登録を促す
・メールアドレスの登録を促す
・アプリのインストールを促す
・WEBプッシュ
などなど
リリースはただの通過儀礼
最初のころは公開して一発当てる・・・という発想でしたが、上手くいきませんでした。そのためリリースはスタートラインであり、育てていく発想に変えていきました。ブログやSNSやSEO、様々な外部サービスで宣伝し、じわじわと利用者を増やしていきました。
無料のプレスリリースを各社に送信しまくったら、採用されて記事にしてくれたこともありました。(ググったら出てくるようなやり方でOK)
そういえば、たまたま本屋で立ち読みしていたら自分のサービスが載っていてびっくりしたことがあります。ニュースサイトでサービスが紹介されたこともあります。しかし事前に掲載のご連絡とかはなかったので、自分で調べない限り気付きませんでした。
自動化の重要性
個人運営なので、ほかの仕事やプライベートが多忙になったりすると、運営まで手が回りません。副業で個人開発をする場合はなおさらです。
仕方なく放っておき、メンテをしきれずにそのままサービスの閉鎖につながるケースが多かったです。多忙な生活の中で、しかも儲かっても無いシステムをメンテし続けていくというのは相当の精神力が必要とされ、自分にはとても無理でした。
このままでは資産が積み重なっていかないので、対策を迫られました。
そこで、保守作業が多くなりそうなサービスは作らない方針に転換しました。多少クオリティを犠牲にしてでも自動化を優先させたのです。これにより自己都合によりサービスを閉鎖することはほぼ無くなったし、サービスの数を増やしてくことも可能になりました。
保守はツライ
当然、保守も全部一人でやるわけですが、規模が大きくなってくると割としんどいです。
保守の発生要因は、老朽化と外部連携部分が多いです。老朽化への対応はある程度仕方ないとして、外部連携というのは、例えば呼び出しているAPIの仕様が変わった・・・とか、そういうのです。各種クラウドやサーバ、API、スクレイピングなど「外部のモノ」が変更されると、自分のシステムも影響を受けます。これらは全て保守作業の量に直結していきました。
そこで、本当に自分に必要か吟味して、慎重に技術を採用するようになりました。オーバースペックも不要だし。
世の中に出回る技術情報はほとんどチーム開発が前提だったり、保守やコストの観点が抜け落ちていたりするので、個人開発では気をつけるようにしています。
AWSなどのクラウドも魅力的に見えますが、個人運営としては料金が高くなることも多く、そこはVPSで十分じゃね?とか、そういった判断も多いです。
個人開発のリスク
借金したわけでもないし、大きなリスクを抱えたわけではありませんが、少しヒヤリとした経験はあります。
スクレイピング
安易にスクレイピングをしてしまい、一部データを転載したところ某社から怒られてしまいました。対応しないと法的措置とのことでしたので、迅速に対応し謝罪したところ、お許しをいただけました。(迅速に対応したことは評価され、むしろお礼を言われました)
そのデータをスクレイピングしている人達は他にもたくさんいたし多分大丈夫だろうと考えたのが甘かったです。
ややこしいですが、スクレイピングしていたサイトから怒られた訳ではありません。そのサイトにデータを提供している大元のデータ所有者の企業から怒られたのです。
だから最初は「ん?こんなサイトをスクレイピングしてないぞ!?」と困惑しました。それ以来、各サービスをまたがるデータの流れや情報提供元を意識するようになりました。
削除依頼
他人の誹謗中傷やプライバシーなどを書き込まれ、関係者やその弁護士から「削除してください」という依頼がたまに来ます。大きなトラブルに発展したことは無いですが、これも迅速に対応するように気をつけてます。
クラウド破産
クラウドは利用方法をミスれば、高額請求リスク、クラウド破産もありうるので注意。EDoS攻撃も。数日でBigQueryが数万円いってた時は慌てて止めたことがありました。
javascript製ツール
Coinhiveは導入しようか考える所だったので、その事件には少しヒヤっとしました。最近はjavascriptの利用方法を誤ると逮捕リスクが出てきているようなので注意しています。
最後に
以上になりますが、少しでも参考になる所があったら幸いです!今後も個人開発を頑張っていきたいと思います。
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