ラウドロックの歴史
はじめに
まず始めにこの記事を読んで頂くに際しての
注意事項と留意して欲しい点について記します。
この記事は文献としての側面よりも、Wikipediaのようなアップデート型の情報アーカイブを目指しています。
なので現時点の公開内容は、完璧な歴史書やインデックスであるというよりも、不完全な叩き台だと考えて欲しいです。
上記、ラウドロックの歴史の動画では簡略した年表図を公開しましたが、
現在に至るまで、この動画で作成したようなある程度のレベルで包括された簡単な歴史の略図すらこの世に存在していません。
この動画をきっかけに新たな語りべが登場したり、批判なり補足なりの研究が進むと思っていましたが、残念ながらそれも起こりませんでした。(僕らが探せていないだけかもしれませんが)
新しい情報や新説があまり増えなかったので、
この動画を強化する意味で、更に深掘りしたブログにします。
要望が多ければこの記事を動画シリーズとして作成するかもです。
繰り返しになりますが、この記事は完成品ではありません。
「このバンドが入っていない」「このバンドも重要だ」などの指摘事項があればXでDMやリプライやツイートしてお知らせ下さい!!
熟聴の上、該当のアーティストへの理解を深めてこの記事を追記・改変して行ければと思っています。
お便りはこちらまで:https://twitter.com/tube_core
正直、僕らが直撃世代・オンタイム世代でない90年代から00年代初頭の国内のラウドロックを研究する事は困難を極めます。
理由としては、文献やWebページが残されていないのでかなり厳しいからです…。
ここにラウドロック研究が進歩しない原因の一端があります。
なので「GUNDOGのライブに行ってました。あの当時は、周りにこんな良いバンドが居た。」のような知見をお持ちの方の話を聞かせて頂き、当時のシーンの様子を集めた生の声を複数記録したいです。ご協力お願いいたします。
補完を前提とした歴史となりますが、これは僕らの挑戦の大きな一歩です。
またこの記事は
日本ヘヴィミュージック史や日本ヘヴィメタル史を記すものではありません。
日本における重くて激しい音楽の歴史を全て網羅したいという気持ちはあり、できるだけそれに近づけたいとは考えていますが、
この記事の中心点は、あくまでラウドロックに準ずるものと
ラウドロック周辺の音楽(ラウドロックに影響を与えたものとラウドロックが影響を与えたもの)に限定して作成しましたので、ご理解ご留意頂けますと幸いです。
【図解】 ラウドロック バンド年表
僕らの持論に基づき、ラウドロックに分類したアーティスト及びラウドへの影響があるアーティスト、ラウド周辺ジャンルのアーティストを年表化・図解しました。
こちらを参考にこの記事を読んで頂けるとより理解が深まると思います。
この年表は出来る限りジャンルを細分化して作成しましたが、このジャンルの領域(横軸)を全体を全て含んだものをまとめてラウドロックとして捉える事もできると思います。
【図解】ラウドロック周辺ジャンル相関概略図
ラウドロック周辺ジャンルにおける影響の概略図を作成しました。
この図での整理事項を理解した上で読み進めると良いかと思います。
ラウドロックの定義と特徴
ラウドロックの定義
ラウドロックは幻想なのか。
ラウドロックというジャンルに明確な定義は存在しません。
つまり「この音がラウドロックだ」という音は存在しません。
しかし、同時にラウドロックは、その曖昧さ故に自由な音楽であるといえます。
この記事では国内で独自の進化を遂げたラウドロックの歴史を紐解いていきます。
ラウドロックの定義とは?ラウドロックの特徴を再考してみる。
ラウドロックに明確な音楽的定義がない事は前述の通りですが、
ラウドロックに分類されるアーティストには、ふんわりざっくりとした共通点があるのも確かです。
まずはラウドロックという概念の持つ特徴を考察します。
①超広義のジャンルである
ラウドロックとは重くて激しい音楽の総称して使われる和製英語です。
海外でラウドロックという単語は基本的には通じません。
それどころか日本国内ですら、そんなジャンルがある事すら知らない人がいたり、存在自体を否定する声もあります。
国内におけるガラパゴス的進化体系を持ったジャンルといえます。
ラウドロックというジャンル名は、90年代~00年代にかけ
ニューメタル、ヘヴィロック、ミクスチャー、モダンヘヴィネスの類義語や代替語として使われて来ました。
2000年代初頭頃までは、国内と海外のニューメタルやスクリーモ/ポストハードコア、オルタナティヴメタルも含めたヘヴィなバンドをラウドロックとまとめて呼んでいました。
2000年代中盤以降にニューメタルのムーブメントが下火になってからは、海外にてニューメタルに属するバンドや海外の広義のメタルをラウドロックとして分類する習慣は無くなったように思います。
ラウドロックという呼称は、
近年は日本のバンドに限定して使われる言葉だと思います。
僕らとしては、海外のラウドロックはだいたいニューメタルかスクリーモかメタルコアに分類されると思っています。
今現在(2020年代)は、
ニューメタル、オルタナティヴロック、エレクトロコア、スクリーモ、ポストハードコア、メタルコア、一部のヴィジュアル系…などなど
この辺のサウンドを全て包括したようなジャンルとなっています。上記のジャンルの羅列からも分かるように闇鍋スタイルのごちゃ混ぜ感のあるジャンルである事が分かります。
また、様々なジャンルを跨いで音楽を聴き込んでいる方には、ラウドロックの定義や境界がいかに曖昧であるかは明確です。
蛇足となりますが僕らとしては、
ラウドロックはあまり使いたくない、避けたい言葉・表現です。
非常に便利な半面、ジャンルとしての指定範囲が広すぎてサウンドの特徴を明確化する事が困難だからです。
もう一点、何故あまり使わないかという話をしておきます。
ラウドロックと一括りにするのは、
アーティストからすると「ラウドロックとカテゴライズされるのが嫌だ」と思うバンドもいるのが大きいです。
現に自ら「ラウドロックです」って言ってるバンドはほとんどいません。
以前、動画でも話した通りcoldrainとlynch.くらいな気がします。(彼らは能動で自身らのサウンドをラウドロックと呼んでいた)
②メジャーなレイヤーで活躍する重くて激しいバンドはみんなラウドロックでまとめられがち
メジャーな領域つまり認知度が高い状態にある一例として、
フェス感があるバンド=ラウドロックバンドである
と動画「ラウドロックの歴史」でも言いました。
ヒットすると
メタルコアだろうがポストハードコアだろうが
ラップコアだろうがミクスチャーだろうが
みんなラウドロックと呼ばれ始めます。
ラウドロックとは、ある種日本における商業的な成功をしている事を証跡としたメタルのサブジャンルだともいえると思います。
ラウドロックの音楽的特徴
①日本語詞があるとラウドロック?
日本のバンドだから当然といえば当然ですね‼︎笑
全英詩のバンドもいる中で、日本語の歌詞があると特にラウドロックと呼ばれやすい気がします。
②サウンド面でのお約束
ラウドロックは自由で幅広い音楽性があり、各バンドの個性にも広がりがありますが、ジャンルとしての音の共通点も少しだけあります。
・シンプルでヘヴィなリフ+横ノリのビート
ダウンチューニングによる0101系のニューメタル由来のギターリフと横ノリのビートを用いた構成はニューメタルの典型であり、
ラウドロックとの共通点です。
※0101以外のフレットを経由する場合もあり。
Fear Factory - Demanufacture
0:35秒~のリフ
メタル界きってのリフメイカーDino Cazares(Gt)によるエポックメイキングなリフ。ニューメタルの登場以降に量産されたリフのプロトタイプだと考えています。この手のリフがニューメタル以前に既にあった事をおさえておきたいです。
Slipknot - Surfacing
0:09秒~のリフ
Slipknotがあまりにも巨大なバンドなので、おそらくこの系統のリフはこれを全てオマージュしているという結論に収束します。このリフ系統のリフをもってして僕らは9人組リフと呼んでいます。
Slipknot - Disasterpiece
0:35秒~のリフ
System Of A Down - Suite-Pee
0:10秒~のリフ
・シンプルでヘヴィなリフ+縦ノリのリズム
ラウドロックでは
グルーヴメタルやニューメタル由来のバウンス系の縦ノリのリズムパターンが頻出します。
このパターンのバリエーションはたくさんありますが、
ざっくり「ジャンプ」したくなる、「ヘッドバンギング」したくなるノリだと理解して下さい。
布石としてのビルドアップ(静かなパート)→爆発する縦ノリ(激しいパート)へという構造もある種のテンプレートと化しています。
Korn - Falling Away from Me
0:18秒~のリフ
Limp Bizkit - Nookie
0:10秒~のリフ
Linkin Park - With You
0:12秒~のリフ
TRUSTcompany - Figure 8
0:9秒~のリフ
・シンプルでヘヴィなリフ+疾走感とハネ感のあるリズム
シンプルでヘヴィなリフ+縦ノリのリズムとは、また異なる印象を受ける以下に代表されるリフのバリエーションも頻出します。
暴れ散らかるイメージが特徴です。
単なる縦ノリというよりハネ感のあるグルーヴが心地良いテンプレだと思います。
Pantera - A New Level
0:38秒~のリフ
Static-X - I'm With Stupid
0:33秒~のリフ
Ill Niño - If You Still Hate Me
0:14秒~のリフ
Slipknot - Liberate
0:14秒~のリフ
・シンコペーション+キラキラしたエモ系リフ
ラウドロックはニューメタルの影響を受けた後、スクリーモ/ポストハードコアの影響も強く受けています。
スクリーモ/ポストハードコア影響下のラウドロックには、
BPM180~220くらいでシンコペーションしながら、SAOSIN系統のハイポジション(中音~高音)のギターリフを使う曲があるバンドが非常に多いです。
SAOSIN - It's So Simple
0:32秒~のリフ
Sleeping With Sirens - If You Can't Hang
0:10秒~のリフ
③ギターソロは少ない
前述の通り、初期的なラウドロックはニューメタルからの影響を強く受け確立されたジャンルです。
そのため、ジャンル派生の総本山としてのニューメタルがそうであったように、ラウドロックも例外なくギターソロは少ないです。
初期的なラウドロックは、ギターのメロディーよりグルーヴを楽しむ側面が強かったように思います。
④ツーバスフレーズはガンガン使う、バスドラムを強調するサウンドメイク
ラウドロックのルーツは広義のメタルであるので、ニューメタルやメタルコアでも必須要素であるツーバスフレーズは頻出します。
ツーバスフレーズの概念は、読んで字のごとくバスドラムが2つあるという意味ですが、
音楽論としては短い間隔(16符音符など)で、バスドラムが2発以上鳴っている事です。
聴き心地としては「ドコドコ」鳴っている音を指しています。
また音作りの面では、バスドラムの音色を加工し、アタック感を強調して聴こえやすくしているという点がメタル性のある音楽には存在します。
聴き心地としては「ビチビチ」鳴っている音を指しています。
この音作りは広義のメタル周辺ジャンル以外では、あまり聴かない特殊な音作りとなっています。
楽器としては通常のドラムセットでは演奏できないという特徴があります。
ツインペダルかバスドラムを2つ用意する必要があります。
通常のドラムワンバス、片足を使うのみで事足りますが、要は速すぎて両足を使わないと表現できないフレーズです。
⑤エクストリームさ < キャッチーさとグルーヴ重視
エクストリームな要素が
・極悪なスクリーム
・ブラストビート
・テクニカルな速弾き…など
だとすると
ラウドロックは、それらのエクストリームな要素は抑えめだと思います。
それよりもキャッチーなクリーンボーカルのサビであったり、オーディエンスが暴れられる激しいリズムとグルーヴが重要視されていると考えています。
⑥キャッチーなサビ(コーラス)の重要性
バンドごとのルーツの影響や取り入れた音楽的要素によってサビの質感は異なるものの、
ラウドロックにおいてサビ自体が存在しないバンドは、ほとんどありません。
各ラウドロックバンドのルーツがパンク派生にしろオルタナティヴ派生にしろニューメタル派生にしろ
ラウドロックにおいてサビは重要です。
海外ではフックさえあれば、キャッチーな楽曲として歓迎される傾向が強いですが、
国内では分かりやすいサビで盛り上がる必要があるのです。
というよりキャッチーなサビを楽曲に好んで盛り込んだからこそ、ラウドロックはヘヴィミュージックの中でポピュラーに成りえたと考えています。
そして、国内ラウドロックバンドほとんどの楽曲にキャッチーで日本的なサビがあります。
日本的なサビとは音符の数を指しています。
メロディーラインの上下、起伏が多いという事です。
※ここが日本語と相性が悪いと一般論でいわれている部分です。1音1語が馴染みやすいとされています。
ラウドロックでは、
英語に聴こえる日本語
もしくは全英詩を選択するバンドが非常に多いですね。
ラウドロックの基になったニューメタルがシンプルな質素で素朴な歌メロやフック作りが中心であったのに対して(初期的なラウドロックのバックサウンドはニューメタルに近いが)
国内ラウドロックのメロディーラインは複雑なものが多かったように思います。
海外のヘヴィミュージックシーンの中だと、
2000年代中盤の海外のスクリーモのメロディーラインの作り方が日本のラウドロックに近いと僕らは考察しています。
近いのですが、洋楽的なメロディーラインをそのまま輸入せず、日本的歌心で独自に進化させて来たのがラウドロックのサビだと思います。
アニソン的だともいえます。その証拠にアニソンタイアップが数多くあります。
また歌が主役となるソフトなバラード曲があるのも特徴です。
バックサウンドのギターのメロディーやヘヴィさを疎かにしないのが、
ラウドロックですが、それと同等かもしくはそれ以上にクリーンボーカルのサビが重要です。
クリーンボーカルのキャッチーなサビが無いとラウドロックじゃないまであります。(これは過言😂)
ラウドロックのボーカルはクリーンボーカルとスクリームを切り替えられる人物である事が多いです。
そしてさらにプラスαでラップも入って来たりします…ボーカルさん大変…。
ヘヴィなイントロor疾走感あるイントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→ヘヴィなパートorブレイクダウン→Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→サビ→大サビorアウトロ
みたいなパターンが多いです。この曲構成もJ-POP・J-ROCKと近いといえます。
同じようにサビはクリーンで歌い上げるジャンルとしてメタルコアがあります。
メタルコアもラウドロックと非常に近しいです。メタルコアについては、動画や他の記事でもたくさん語っています。
この記事だけでは足りなくなったら、そちらも見てみて下さい。
⑦ニューメタル×ポストハードコア=ラウドロック
以上の音楽的な特徴としてニューメタル×ポストハードコア=現代のラウドロックであるという仮説を出しました。
初期的なラウドロックのサウンドの実状は、ほぼニューメタルに等しいですが、
特に現代のラウドロックは、00年代のニューメタルと2010年代のメタルコア/ポストハードコアを混ぜたような音楽性になっています。
ラウドロックがどういったものかざっくり理解出来たところで、
まずはラウドロックが登場するまでの流れから紹介します。(ラウドロック登場までまだまだかかります)
ラウドロック以前の日本のヘヴィミュージック
ジャパニーズハードコア
-1970年代~1990年代-
ハードコアパンクとは、パンクロック派生の音楽で
ザックリいうとパンクロックがより狂暴になったような音楽性が特徴です。
日本のハードコアパンクの興りは1970年代からと非常に古く、
ジャパニーズハードコアの血と熱気は、現在に至るまでアンダーグラウンドシーンで脈々と受け継がれています。
ジャパコアという呼称の方がメジャーだと思います。
全世界の中で見ても日本のハードコアシーンには、先駆的なサウンドを鳴らしていたバンドが多数存在し、海外のレジェンドが日本のハードコアバンドの影響を語っている記録が数多くあります。
その証拠に日本のハードコアバンドのYouTube動画のコメント欄に英語が多い事!!
ジャパニーズハードコアの概歴
70年代のロンドンやニューヨークのパンクムーブメントの後、国内でもパンクの影響を受けたバンドが誕生していきます。
80年になると国内でもハードコアが興り始め、アンダーグラウンドなムーブメントになります。
ハードコア四天王(GAUZE、G.I.S.M.、THE COMES、THE EXECUTE)と呼ばれるバンドも活躍し、ハードコアムーブメントは全国各地でシーンが築かれていきました。
80年代国内ハードコアの興味深い点は、この時点でメタリックさが既にある所です。80年代中盤から世界中でハードコアとメタルが、より顕著にクロスオーバーします。
今日のクロスオーバーという単語から私たちが想像するサウンドとは、姿形は異なるものの、
メタルとハードコアが混ざっているという観点のみに着目すると
日本は、非常に早期にその試みを行っていたという事になりますね。
90年代は、ハードコアシーンの中に初期的なラウドロック要素を持つバンドが登場し、
00年代になりラウドロックのムーブメントが本格化するとラウドロックシーンは、徐々にハードコアシーンから分離独立して巨大なものになって行きます。
しかし、他のシーンと異なり
ラウドロックシーンとハードコアシーンでの隔たりは、そこまで無いと思っています。
※というよりラウドロックシーンというものがあるようで、実は存在しないという説もありますが。
この章では歴史の長いジャパニーズハードコアの中でも変化点となり、ラウドロックに近しいアプローチを早くから行っていたバンドやラウドロックバンドに音楽的影響をもたらしたと考察してるバンドをメインにピックアップして紹介します。
正直、ジャパニーズハードコア史をガチで前史から作成したら5万文字くらいになりますので、他の研究を参照して欲しいです。🙇♂️
THE STALIN
1980年~
サウンドは現代の僕らが聴くとパンクが少し狂暴化したようではありますが、ハードコアへの連続性が垣間見えます。
そして暴力性と同居してる知性。
特にボーカルのスタイルは、スクリームとまでは洗練されていない、技巧として確立されていないものの、
ノイジーで本能から来る絶叫が存在してます。
超過激なライブパフォーマンスのエピソードが数多くあります。
GAUZE
1981年~
ハードコア四天王の一角。
ムーブメントに必ずイベントによるオーガナイズあり。
ということで「消毒GIG」なる自主企画が著明です。
若輩者の僕らが意見するのも非常に憚られますが、この時代の多くのバンドの初期作品は、音質と演奏力ともに未成熟さを感じます。(それが良さでもあります。もちろん)
しかし、2ndアルバムEQUALIZING DISTORT(1986)では高速ナンバーが多い中でも演奏がとてもタイトだと思います。特にボーカルのノリが。
G.I.S.M.
1981年~
ハードコア四天王の一角。
四天王の中で最も暴力性があるという評価が一般認知されていますが、ライブパフォーマンスのみならずサウンド面でもそれを感じます。
横山SAKEVIさん(Vo)のドスの効いた叫びには、スクリームの原型を感じます。横山SAKEVIさんは、世界初のデスボイスのパイオニアであるという評価も存在している偉人です。Lowに特徴があり印象に残ります。(ここがデスボイスたる所以)
スクリームの中でもデスボイスというとLowスクリームをイメージしますよね。
GASTUNK
1983年~
DEAD SONG(1985)では、既にシャガレ声から成る歌唱法が確立されています。
ハードコアシーンで活躍していたものの、メディア等ではヘヴィメタルとして紹介される事もあったようです。たしかにサウンドは、初期からヘヴィメタルのエッセンスを感じます。
その点においてヘヴィメタルとハードコアパンクを他に先駆けて融合させていた存在とも捉える事ができます。
国内での影響度が大きくV系シーンやその後のハードコアシーンで影響があったと公言しているアーティストが数多く存在します。
S.O.B(SxOxB)
1985年~
ハードコアパンクの文脈から登場したバンドではありますが、
現代の僕らが聴くとその突き抜けた暴力性とエクストリームさ故にグラインドコアの源流を感じます。
Don't Be Swindle(1987)では既にブラストビート的な突撃の音像があります。
グラインドコアのオリジネーターとして世界で広く認知されているNapalm Deathに影響を与えたとされています。
SLANG
1988年~
ハードコアもこのあたりまで時代が進むと完全に現在に通じるスクリームに等しい歌唱法が確立されています。
1st DEMO(1989)でもスクリームに近しい歌唱力は確認でき、極まったスピード感が存在しています。
その後の作品についてもラウドロックとも捉えられるリフワークやリズム構成を確認できます。
COCOBAT
1991年~
COCOBATをラウドロックの始祖とする文献も数多く存在します。
ハードコア、ヘヴィメタル、オルタナメタル、グルーヴメタルを融合させたサウンドは後のラウドに通じる要素が確実にあります。
特にグルーヴメタルの影響は色濃く、ラウドロックらしい縦ノリとシンプルでヘヴィなリフが、
COCOBAT CRUNCH(1992)の時点で確認できます。
スラップを多用した硬質なベース音もマキシマム ザ ホルモン等へ引き継がれて行くラウドロックの要素だと思います。
Wrench
1992年~
Wrenchはハードコアの側面よりもミクスチャーロックの要素が強いと考えています。
しかし、同時代のハードコアバンドとサウンドの共通点が多いため、この章で紹介させて頂きます。
90年代の他のラウドロック寄りなハードコアバンドと同じように、ヘヴィなリフと縦ノリもあります。
BLUE BLOOD BLUE(1999)年では、Rage Against the Machineからの影響も顔を覗かせています。
ヌンチャク
1993年~
サウンド面でのラウドロック性は一聴して疑いようがありませんが、
KASHIWA CITY HARD COREのスローガンからも分かるようにハードコアシーンから登場したバンドです。
極悪ヘヴィでシンプルなリフとバウンシーなリズムパターンは、非常にラウドロックらしいです。
タイトルや歌詞から出ているコミカルな雰囲気は、マキシマム ザ ホルモンに通じるものがあります。
ヌンチャクも数多くのアーティストが影響を受けたアーティストとして名前を頻繫に上げるレジェンドです。
僕らとしては、向達郎さん(Vo)がその後に組んだkamomekamomeの方が聴き込んでいましたが…笑
マイナーリーグ
1996年~
マイナーリーグもハードコア文化圏から登場したバンドだと思いますが、ミクスチャーの素養もあります。様々なインタビューや本人談を見る限り、特にシーンを限定しないで活動していたようです。BEAST FEASTに出ていたり。
青い空(1997)では、毒々しいヘヴィなリフと形容しがたい独創性豊かなメロディーラインが耳に残ります。
メロディーラインは、なんだかお経のような土着感があります。Wrench、ヌンチャク 、マイナーリーグに共通する要素です。
NUMB
1995年~
国内において、90年代のニューヨークハードコアのバイブスをいち早くキャッチしたサウンドを打ち出し、現在に至るまでノンストップで駆け抜けてきたリビングレジェンド。
現代の国内ハードコアシーンでメタルシーンでのリスペクトも厚く、数多くのライブイベントで聴いた事があるキッズも多いと思います。
ニューヨークハードコア仕込みの縦ノリやヒップホップ由来のグルーヴは、
同年代~その後のラウドロックへはもちろんの事、
ジャンルやシーンを超えた影響力があります。
ジャパニーズメタル
-1970年代~1980年代-
ジャパニーズメタルの概歴
前述のジャパニーズハードコアを含め、国内のヘヴィミュージックの歴史は古く70年代まで遡ります。
その歴史の中でもジャパニーズメタルを除外して論じる事はできません。
ジャパメタと呼ばれる場合が多いです。
80年代に隆盛したジャパニーズメタルは、海外からの流れも巻き込んで
ヘヴィメタルが国内でも大きなムーブメントとなりました。
LOUDNESSを筆頭に海外での活躍があった事も特筆すべき点です。
ジャパニーズメタルの音楽性は、
初期のジャパニーズメタルこそ、伝統あるHR/HMのセオリーに則ったものでしたが、
80年代中盤~90年代に差し掛かると、音楽性については実はかなり混ざっており、NWOBHM、スラッシュメタル、グラムメタル(LAメタル含む)、クロスオーバースラッシュ、グルーヴメタル、場合によってはハードコア…などなど様々なジャンルから影響があります。
90年代から00年代は、SEX MACHINEGUNS、Concerto Moon、陰陽座、GALNERYUSなどのバンドが橋渡しとしてジャパニーズメタルを紡いでいます。
2010年代以降は、BABYMETALの超活躍を皮切りに、
ジャパニーズメタルには、女性バンドや女性ボーカルを擁するバンドも世界で注目されて行きます。
その流れは現代において更に顕著です。いわゆる嬢メタルは、ジャパニーズメタルの影響を色濃く残しています。
嬢メタルには、Aldious、HAGANE、LOVEBITES、NEMOPHILA、Mary’s Blood…などなどのバンドがいます。
冒頭の注意書きの通り、日本のジャパメタ史を綴る目的はないので、
ラウドロックに連続性のあるヴィジュアル系の前史としての部分を述べるのみに限定してジャパニーズメタルを紹介します。80年代以降も新バンドはたくさん登場していますし、シーンが消えたわけではない事をご理解頂きたいです。
ジャパニーズメタルとラウドロックの隔たり
ある意味で、ジャパニーズメタルとの連続性を切り離し、
別の音楽性、潮流、価値観を作り出したのがラウドロックだと捉える事ができます。
現在もジャパニーズメタルシーンとバンドは、ジャパニーズメタルとしてあり続けています。
しかし、00年代以降にラウドロックが盛り上がり始めるタイミングを起点として、
ジャパニーズメタルシーンとラウドロックシーンは、音楽性やファンベースやライブイベントなどあらゆる面で、超例外を除いて分断されていると僕らは考察しています。
ラウドロックのアーティストの中には、ジャパメタの影響やリスペクトがある人物がいますが、
シーン間での交わりは、ほとんどありません。
しかし、今日のラウドロックがあるのはジャパニーズメタルの先人たちが基盤を築き上げてくれたからに他なりません。
難しいポイントは、ジャパニーズメタル→V系の流れには連続性がある所です。やはり、ジャパニーズメタルとV系とラウドロックの各間には、シーンとファンベースにおいて壁が存在しています。
BOW WOW(VOW WOW)
1975年~
国内HR/HMの礎。
2ndアルバムSignal Fire(1977)あたりからハードロックなサウンドが確立されていったように思います。
1stアルバム吼えろ!BOW WOW(1976)収録の”Heart's On Fire”もハードロックな音像です。アルバム全体で捉えるとヘヴィな要素は垣間見えるものの、どちらかというとブルースや国内の歌謡曲の要素が強いです。
METALLICAのメンバーなどにも強い影響を与えるなど、国内外問わず後世に強い影響力があったバンドです。
44MAGNUM
1977年~
ジャパニーズメタルの先駆け。
派手なルックスは後のヴィジュアル系へ影響を与えたとされています。
他のジャパニーズメタルのバンドに比べて、LAメタルの要素が一際強いと考えています。
特に楽曲や歌詞にポップさやパーティー感がある所がLAメタルの様です。
これらの要素は1stアルバムDanger(1983)の時点で確認できます。
エフェクトとしてリバーススネアを使っているのが、現代メタルファンの僕らとしてはニヤリポイント。てか使うの早ッ。
EARTHSHAKER
1978年~
1stアルバムEarthshaker(1983)からメロディアスなギターサウンドとドラマティックな曲展開は完成されています。
"DARK ANGEL(ANIKALS)"はIRON MAIDENからの提供楽曲であり、メロディックさやヘヴィメタルらしい泣きに共通項も感じる事が出来ます。
その一方、日本人的な歌謡要素や日本語詞である事の絶妙なキャッチーさが、その後のV系シーンや歌謡ロックにも影響を与えたといえます。
LAZY
1973年~
LAZYはバンド活動自体を非常に早期から行っていますが、
初期はアイドルグループとしてのセールス戦略の影響で、ヘヴィメタルらしい音楽性ではありません。
宇宙船地球号(1980)のリリースをもって、各メンバーのルーツと
本来目指したかった方向であるHR/HMの音楽性へシフトしています。
作品全体がHR/HMで統一されていますが、特に"DREAMER"は名曲です。
アニソンの神:影山ヒロノブさん(Vo)が、所属しているのが重要ポイントです。
影山ヒロノブさんは、アニメ「ドラゴンボールZ」のOPとして全世代の認知がある"CHA-LA HEAD-CHA-LA"(1989)が有名です。
超私事な話&余談ですが、
僕らはドラゴンボールが微妙に直撃世代じゃないので、
アニメ「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」のOPだった"GET THE WORLD"(1997)が思い出深いです。
くろちゃん少年(当時幼稚園児)は、熱量MAXなアチアチボイスに「なんていい曲なんだ」とハートを燃やしていました。
今思うとあれが本当の意味でのメタルの原体験だったのかもしれないです。鮮明に覚えてます。"GET THE WORLD"は、めちゃくちゃHR/HMサウンド。
LOUDNESS
1981年~
LAZY一時解散後、メンバーであった高崎晃さん(Gt)と樋口宗孝さん(Dr)が音速で開始したバンド。
樋口宗孝さんは日本を代表するドラマーです。
LOUDNESSは、活動の早期から海外進出に全速前進し、数々の偉業を成し遂げています。
いわゆる第二期まではHR/HMらしい音像でした。代表曲である"SOLDIER OF FORTUNE"も、この時期にリリースされています。
第三期にリリースされたLoudness(1992)の頃が最も、現在でいう所のラウドロックに近いと思います。
PANTERAの影響も少なからずあると思いますが、国内でこのようなモダンなヘヴィネスをいち早く奏でているのは2025年現在から見ても圧巻の一言です。
ANTHEM
1981年~
国産パワーメタルのパイオニア。
3rdアルバムBOUND TO BREAK(1987)で、ANTHEMサウンドがある程度確立されたように思います。
シンセサイザーを導入するなど作品を重ねる毎にモダンなメタルサウンドに進化しているのが素晴らしいです。
SHOW-YA
1981年~
女性メンバーだけのバンドの先駆け。
その点において、日本ロック史の中でも重要な存在でもあります。
サウンド面では、良い意味でアイドル性はなく、
適切な表現が見当たらないが本格派です。
その後の嬢メタルへの影響は語るまでもないですね。
声質や音楽性としてもアニメと相性良さそうですが、タイアップ歴は探せませんでした。
Outerlimits(1989)には、代表曲である"Outerlimits"や"私は嵐"が収録されています。
UNITED
1981年~
国産スラッシュメタルの雄。
Reload(1997)あたりからは、クロスオーバースラッシュに接近した音像になっています。
ラウドロックと確定するのは気が引けますが、限りなくラウドロックに近いサウンドに進化しています。
サウンドがより暴力性とスピード感が増して行く中で、ボーカルがスクリームを使用し始めるのもこの頃からです。
FLATBACKER(E・Z・O)
1982年~
戦争-アクシデント-(1985)の時点で、スラッシュメタルともいえるサウンドを確立しているのが驚きです。
先鋭だっただけに、その後にイロモノとして売り出されてしまったのが残念でならない。いい加減にしなさいよ。
聖飢魔II
1982年~
絶大な知名度からネタな側面が強いと誤認されがちですが、
デーモン閣下の超絶ハイレベルな歌唱力と演奏力の高さで人気を博したバンド。
そして、サウンドはそれほどKISSに似ていないと思うのが僕らの感想です。メイクはもちろん影響あるのは理解していますが。
悪魔を基調としたコンセプトの強烈なイメージやデーモン閣下のTV出演で認知を拡大しました。
これは功罪でもありますが、メディア露出によってメタルへの一般認識は、
メタルファンの中での共通認識とは非なるものになってしまったように思います。
メタルにおける一つの特徴としての悪魔崇拝は、実際のところはブラックメタルと深く結びついています。未だに世間の持つメタルのイメージとは乖離しています。(メタル=聖飢魔II みたいなものであるイメージが強い。悪魔をコンセプトとしているのとコープスペイントとの共通点もあるが、聖飢魔II の音楽性はブラックメタルではない)
OUTRAGE
1982年~
初期は一貫してスラッシュメタルなサウンドですが、
LOUDNESSなどと同じく90年代半ばからは、いわゆるパンテラサウンドに傾倒していきます。
Life Until Deaf(1995)収録の"Megalomania"は、非常にラウドロックに近い一曲です。
その後もボーカル脱退という危機からの路線変更を経て、ボーカルの再加入によって集大成ともいえるセルフタイトルOutrage(2009)をリリース。
バンドの危機を乗り切り、様々なサウンドを取り入れたからこそ辿り着いた境地だと思います。
限りなくメタルサウンドですが、ラウドロックに通じるバイブスのある一枚です。
人間椅子
1987年~
原始原初のHR/HMを基調にした音楽性ですが、独特の津軽弁での歌唱法と和音階の歌謡ロック性のミックスが斬新なバンドです。
音楽性が常に一貫しているのが凄まじい説得力と存在感。
まさに和洋折衷で歌詞の世界観と曲のニュアンスがマッチしているのも匠の技。
カルチャーへの深い造形もあって世代問わずファンがいるバンドでもあります。
DEAD END
1984年~
美しい雰囲気のゴシックロックを基調としたサウンドで、後のV系の音楽性やヴィジュアルイメージに多大な影響を与えた先駆者。
数多くのヴィジュアル系のアーティストが、影響元にDEAD ENDの名を挙げる理由は楽曲を聴けば秒で納得できます。
特にL'Arc〜en〜Cielのhydeさん(Vo)については、メロディー感や歌唱法に影響を感じます。(そこまで露骨ではないが、そこはかとなく)
クリーンなギターサウンドも大きな特徴で"GOOD MORNING SATELLITE"では、
その後のV系でお決まりの技法となるギターの付点8分のショートディレイなども使用されている点に注目です。
世界観を完成させる雰囲気を重視したプログレッシブなアプローチも随所で確認できます。
ヘヴィメタルとして語られる事に間違いや違和感はありませんが、
ヘヴィメタルという単語でイメージするサウンドとは異色の音楽性です。
D'ERLANGER
1983年~
ゴシック感の強いサウンドとボーカルエフェクトの使い方などが独特で、DEAD ENDと同じく後のV系シーンへ多大な影響を与えたバンド。
対称な点はカッティングを多く用いたハネねたリズムが頻出する点でしょうか。
BASILISK(1990)などの頃にはこれらの特徴が顕著に見られます。
歌唱力は限りなくV系のそれに近いですが、ヘヴィメタルみもしっかり残っている融合具合。
ヴィジュアル系
ヴィジュアル系創世記~ヴィジュアル系黄金期
-1980年代~1990年代-
ヴィジュアル系の定義
ヴィジュアル系の音楽的定義の広さは、ラウドロックのそれの比ではない。
ラウドロックの特徴を「重くて激しい音楽」だとすれば、
ヴィジュアル系の特徴は、「メイク(化粧)」をしていれば、ヴィジュアル系に分類されます。
このことからもヴィジュアル系の定義がいかに幅広いかが分かると思います。
また、ヴィジュアル系のサブジャンルについても、
その分類方法が、"ルック"(見た目)に由来するものが多いです。
V系サブジャンルの一例:ソフビ(ソフトヴィジュアル)系、コテ系、オサレ系、白塗り系…などなど
ヴィジュアル系の音楽的特徴における各バンドの共通点は、無いに等しく、
一方でジャンルに設けられる"縛り"も無いため自由でオリジナルな音楽が数多く生まれた非常に興味深い領域となっています。
ヴィジュアル系のアーティストの中には、V系に分類される事を拒絶しているケースもあります。(客観で明らかに見た目がV系でもV系である事を否定する)
L'Arc〜en〜Cielなどを代表例とした
こういったラベリングへの嫌悪は、他ジャンルにおいても珍しい事ではないです。
このようにヴィジュアル系をサウンドとして定義する事は困難を極めます。
ヴィジュアル系は、音楽ジャンルであるよりもムーブメントのまとまりであると捉えています。
ヴィジュアル系の語源
ヴィジュアル系に属するバンドは、90年代前半までヴィジュアル系とは呼称されておらず、
「お化粧系」と呼ばれていた歴史があります。
X JAPANのBLUE BLOOD(1989)のジャケットに記載されている「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」という文言が語源であるという説がポピュラーです。
また、ヴィジュアル系シーンにとって非常に重要なメディアである「SHOXX(1990創刊)」のキャッチコピーである「VISUAL & HARD SHOCK MAGAZINE」という文言に起因するという説も存在します。
上記のキャッチコピーはX JAPANのHIDEさんの言葉の引用だそう。(いずれにせよX JAPAN起因 笑)
ヴィジュアル系の起源
ヴィジュアル系は、その発生の経緯とアーティスト自身のルーツ・リスペクトこそジャパニーズメタルに由来するものが多いですが、
ジャパニーズハードコアのバンドもメイクしている場合もあり
BOØWY起源説、BUCK-TICK起源説があったり
海外のグラムロックやニューウェイヴの影響を指摘する文献も存在し、
論説が整理され切っていません。(というより各バンドによってルーツが異なりV系がどこから発生したのか特定・統一する事が困難)
同時多発的に随所で発生したと考えています。
これらのV系の起源を巡る諸説の中でも、BUCK-TICKに重きを置いて触れたいと思います。
BOØWYは、GLAYなどへの連続性を感じますが、
BUCK-TICKから後のV系への影響は、より濃いと思っています。
その理由は非常にシンプルで、
V系に影響を与えたバンドの中で、BUCK-TICKの音楽性が最もV系らしさがあると考えているからです。
そして、後続のV系バンドが挙って影響元としている点も大きな理由です。
特に
・妖艶な低音
・ビブラートやシャクリやガナリ
を強調したV系独特のボーカリゼーションは、BUCK-TICKが確立しています。
ヴィジュアル系の概歴
90年代にヴィジュアル系が黄金期を迎えるとヘヴィメタルの影響が薄れ、多様な音楽性のバンドが乱立します。
FANATIC◇CRISIS、La'cryma Christi、MALICE MIZER、SHAZNAは、ヴィジュアル系四天王と呼ばれ、商業的な成功を収めました。
ジャンル発生時こそ音楽性もルックも過激であったヴィジュアル系ではありますが、
V系の認知が広まるにつれ
メイクが薄いアーティストもいれば、
サウンドも大衆性(ポップさ)を持つように変化した形として世に出てくる場合がありました。
後述の00年代ネオヴィジュアル系の世代になると、各バンドのサウンドは更に多様になって行きました。
簡単にいうとV系のメインストリームには、以下の流れがあります。
ジャパニーズメタル→90年代V系→ネオヴィジュアル系とV系ラウドロック(海外ラウドロック×伝統的なV系スタイル)
X JAPAN
1982年~
メタルというジャンルを一般層まで浸透させた実績は偉大です。
ジャンルを分解して考えるとスピードメタル、パワーメタルと評される事が多いですが、これはボーカルの歌い方に起因しているように思えます。
バックサウンドについては、スラッシュメタルの要素も強いと思います。というか僕らの耳には高速ナンバーがスラッシュメタルにしか聴こえません😂
スラッシュメタルに日本の解釈(邦楽のセンス)を入れて、発展し日本のメタルとなったと思います。
YOSHIKIさん(Dr)のクラシカルで耽美なセンス、HIDEさん(Gt)のフューチャリスティックなインダストリアル要素など多彩な才能は、
その後のV系シーン以外にも大きな影響を与えています。
DAHLIA(1996)年に収録の"Drain"、"Scars"は、ヘヴィさやリフやリズム構成やスクリームがある点において特にラウドロックに近しいと感じます。(いずれもHIDE作曲)
バスドラムを連打するというサウンド概念を日本全国へ知らしめたのもYOSHIKIさんだと思います。
ヴィジュアル系の先駆者であり、アイコンであったのみならず、
YOSHIKIさんが1986年に設立したインディーズレーベルであるエクスタシーレコーズは新人発掘の機能もあり、
シーンへの貢献度はいうまでもなく、X JAPANのもとでヴィジュアル系シーンが形成されたといっても過言ではありません。
エクスタシーレコーズから登場したバンドの代表例にGLAYやLUNA SEAがいます。
GLAY
1988年~
V系という括りの中で最もヒットしたバンドといえます。
ポップ過ぎずロック過ぎないその音楽性は万人に愛されるに至りました。
足し算で装飾された楽曲というよりも、シンプルに削ぎ落とされた
歌メロで勝負する楽曲が多い印象があります。
故にロックバラードから、ロックチューンまで全てがトップチャートにランクインしていたのだと思います。
そして、ヴィジュアル系のカテゴリの中では最も、歌唱法がV系特有のクセがあるものではないです。そういった歌のフレンドリーさも超絶ヒットの理由だと思います。
それはそれは凄まじいセールスだったので、サビだけ知ってる楽曲だらけだと思います。(さすがに今の10代にまで認知されてるかは自信ありませんが…)
かくいう僕らも小学生の頃に耳にしていたヒット曲を中学生になった時分で主体的に回収していった記憶があります。
トップのヒット曲である"Winter,again"のセールスは165万枚だとか。今じゃ考えられないですね。
90年代のバンドブーム≒90年代V系といえますし、GLAYはその一旦を担っていた存在でした。
たまに代表曲の一つである"誘惑"のようなヘヴィな楽曲もありますが、ヴィジュアル系の枠を飛び越えてJ-POP、J-ROCKのアイコンだった存在なのでラウドロックへの連続性はそこまで無いと考察しています。
LUNA SEA
1989年~
現在のV系シーンにおいても雛型といえるバンド。
とりわけ、"ROSIER"に代表されるシンコペーションを多用したアップテンポな楽曲は、LUNA SEA登場後から現在に至るまで、V系バンドが一曲は作成しているレベルで影響力があります。
激しさの中にも透明度の高い煌びやかさがあり、リバーブの強い音作りなどはロックでありながらも何処かドリームポップや、ニューロマンティックの影響も強く感じる作風です。
本人たちのルーツにエモやポストハードコアが絶対あるはず無いのですが、(何故ならエモやポストハードコアがまだ存在していない時代)
結果としてエモやポストハードコアと同じような音楽性になっているという怪奇現象があります。もちろんボーカルスタイルは全く違いますが。
なんかエモいんすよね~
このエモさは最初期からあります。
おそらくエモさの原因は、ディレイ掛かったアルペジオだと思っています。
とりあえず"gravity"を聴いてもらえれば、このエモさが分かると思います。
各メンバーの演奏力が非常に高いのも有名。
RYUICHIさん(Vo)のクセの強い歌い方も後のV系バンドにはかなりの影響を与えているように思います。
そして、MOTHER(1994)が異常に音が良い!!(その後の作品も良音)
サウンドプロダクションに注意して聴くように自分が変化してから、聴いた時にリマスター音源かと思いました😂
特にドラムの音作りが、94年にして現代も主流であるスネアのミドル感があり、真矢さん(Dr)のドラムへのこだわり、先見の明には脱帽です。ベースの音の良さも相まって、ギターはそこまでヘヴィではなくても心地良い音圧があるアルバムになっています。
黒夢
1991年~
V系シーンにハードコアパンクのバイブスを取り込み、かつ最もヒットしたのが黒夢です。
その精神性はDIR EN GREYなどに引き継がれる事になります。(DIRの初期は音楽性もダイレクトに影響あり)
初期、インディーズ期は、個性ある過激さが特徴のサウンドでした。特に2beatとギターの絡み方に独創性があります。
メジャーデビュー後は一時、ポップになりましたが、
90年代後半に入ると脱ヴィジュアル系火が進み、
より一層ハードコアパンク、パンクロックの方向・路線に突き進んだ事もあり、男性ファンが多い事でも知られてます。
Drug TReatment(1997)では、C.Y.HEADなどからは彼らのルーツであるジャパニーズハードコアの要素を強く感じます。"MIND BREAKER"では97年時点でラウドロックに近い縦ノリヘヴィナンバーをやっている事に驚きです。
くろちゃんは、後期の音楽性が好みですが、
カラス先輩は、ポップなバラード曲も好きらしい。
スクリーム、シャウトボーカルのスタイルを確立したのも他のV系に比べ非常に早く、その後のV系バンドへ継承されたテクニックになります。故に清春さん(Vo)のボーカルスタイルに衝撃を受け、リスペクトしているアーティストも多いです。
代表例は、lynch.の葉月さん(Vo)ですね。
しかし、デスメタルなどのいわゆるデスボイスとは別物です。V系がデスメタルに由来するデスボイスを手に入れるのは2010年代頃となります。
思い出もあり、ヘヴィミュージック好きにはスーパーベスト盤であるEMI 1994〜1998 BEST OR WORST(1999)を入門とさせて頂きたいです。
過激&高速にアレンジされた楽曲が多く存在するディスク2からどうぞ!!笑
hide(zilch、hide with Spread Beaver)
1993年~
その後のラウドロックへ多大な影響を与えた人物。hideさんの登場をラウドロックの始まりだとする説も存在します。
日本ロック界のジョンタイター(未来人)
PCやインターネットの早期活用であったり、ファッションスタイルなども飛びぬけた前衛的センスだったと思っています。
かなり早い段階からインダストリアルなサウンドを取り入れ、そのサウンドはMarilyn Mansonなどにも影響を与えたほど。
HIDE YOUR FACE(1994)時点で、"SCANNER""DOUBT"や"FROZEN BUG '93"や"OBLAAT"などの楽曲で
インダストリアル×ヘヴィサウンド=ラウドロックサウンドは、確立されています。
いろいろな意味で伝説の作品となっているzilch名義でのアルバム3・2・1(1987)は、ヘヴィでインダストリアルでラウドロックそのものなので、ラウドロックファンは一聴して頂きたいです。非常に良音なので安心して聴いて欲しい😊
PSYENCE(1996)には、
THE MAD CAPSULE MARKETSがほんの少し顔を覗かせる"DAMAGE"や"BACTERIA"や"POSE"などのヘヴィ曲がありますが、hideさんはTHE MAD CAPSULE MARKETSを相当早くにディグってチェックしていたそうです。
X JAPN時代もhideさん作曲の楽曲はラウドロックに近いバイブスが見て取れますが、正直、X JAPANとhideさんのソロ活動は独立したものだと捉えています。特に音楽性の面で。
hide with Spread Beaverはバンド形態をとっており
"ROCKET DIVE"のような直球なロック曲が中心に添えられています。
あらゆるジャンルを取り入れた音楽スタイルは、hideソロ全般にいえる事ですがミクスチャーだとも表現できます。
代表曲でもある"ピンクスパイダー"はRIZEを始め多くのバンドにカバーされています。
"ピンクスパイダー"も、現代の観点を持ってしても、この上なくラウドロックです。
PIERROT
1994年~
多くのV系バンドがニューロマンティックの要素が強い中、ゴシカルさと宗教的、扇動的、カルト的な世界観が強いのが特徴です。
コンセプトとストーリーテリングの構築がとても強固で、
黄金時代の到来と共に飽和しつつあったヴィジュアル系シーンの中で一際異彩を放っていました。
それ故にアルバム作品のほとんどがコンセプトアルバムです。アルバム曲のシングルクオリティ超えがザラにあります。全てのアルバムが超名盤。
V系カテゴリでありながら、他のどのV系も似ていない、それどころかV系以外のジャンルでも似ているバンドはいない
そういった他を圧倒するオリジナリティを持ったバンドだと思います。なので大好き。
またインダストリアルの要素とサイバティックな電子音を取り入れたのも非常に早かったように思います。ジャケもCGで電脳世界を表現したようなものが多いです。
ギターフレーズやギターの音作りも変態なものが多く、ウワモノがふんだんに入っているのも推せます。
ことドラムに至っては、本当に他であまり聴かないビートが多いです。"クリア・スカイ"にしろ"神経がワレル暑い夜"にしても特異すぎる。
初期から"CREATURE"ようのうな一定のヘヴィさは持ち続けていたものの、
本腰を入れてラウドロックに接近していったのは、ID ATTACK(2003)くらいからだと思います。
FREEZE(2004)では、完全にニューメタルの影響が垣間見えます。
ポップな歌メロとダークで重厚な世界観のパラドックスはまさに道化師といえるでしょう。
SIAM SHADE
1993年~
LUNA SEAの弟分のような立ち位置で語られがちですが、
V系という枠組みかどうかも怪しいくらいに、突き抜けた明るさとストレートなハードロックよりの音楽性。
ヘヴィメタルらしいリフとリードのオンパレード。そしてキャッチーの歌メロ。
“⅓の純情な感情”が有名ですが、ラウドロックにも通じる楽曲も多くあります。
音作りもメジャー1stアルバムであるSIAM SHADE II(1995)くらいから、同時期の他のバンドが浮遊感などに比重を置いていたのに対して、やや重厚なバランスになっています。
以下の紹介曲を"PASSION"にするか"RAIN"にするか一生悩みました 笑
Janne Da Arc
1996年~
90年代のV系黄金期の末期に登場したため、ヴィジュアル系の最終兵器と紹介されていたりします。最終兵器の名に恥じぬスーパーキャッチーなメロディーセンスと安定した演奏力があり、上記で紹介して来たバンドの要素を全て良いとこ取りしたようなバンドです。
・キーボードがド派手で前面に出ている事(実質もう一本のギター)
キーボードがコードでありリードでもある役割
・速弾き、タッピング、ギターソロなどのギターフレーズ
・他の同時代のV系ではあまり使用しないバスドラムをベタ踏みする(連打する)など
ジャパニーズメタルの影響というよりは、海外のパワーメタル、スピードメタルの要素があるように思えます。
テーマはファンタジーより恋愛が多い印象。
ラウドロックというよりはヘヴィメタル。
くろちゃんの見解だとJanne Da Arc音楽性とメタル性は、実質ロックマンです。
その証拠といってはなんですが、実際に"NEO VENUS"と"feel the wind"と"WILD FANG"がロックマン関係のタイアップだったり。
ボーカルのメロディラインがクセになりつつ、非常にキャッチーな点など、ポップセンスが良いバランスで、Janne Da Arcが持つヘヴィでマニアックな成分を隠すオブラートになっていると思います。
登場こそ90年代ではありますが、2005年のアニメ「ブラック・ジャック」のOPとして"月光花"がヒットした事により知名度が爆発した記憶があるので、00年代のバンドな気がしてしまいます。(ワンピースのEDだった"Shining ray"も思い出深い)
V系の中でも初心者がとっつきやすい事もあり、世代を超えて愛されている存在だと思います。
インダストリアル
-1980年代~1990年代-
インダストリアルの定義
インダストリアル=機械的な雰囲気のある音楽
であるとひとまずざっくり理解してもらえれば良いと思います。
シンセサイザー、サンプリング、マニピュレーター、機械音のパーカッション、打込みドラムなどを多用して機械的な雰囲気を構築する音楽ジャンルです。
バンドサウンドが介入する場合もあれば、電子音のみで楽曲が構成される場合もあり、その形態は様々です。
インダストリアルの概歴
80年代にはMinistry、Nine Inch Nailsなどのアーティストを中心としたアメリカのインダストリアルのムーブメントと同時発生で国内でもインダストリアルが芽生えました。
90年代頃になるとインダストリアルを要素として、他のジャンルと融合して行きます。
Marilyn MansonやRob Zombieなどの代表格がインダストリアルとヘヴィメタルを融合させインダストリアルメタルを打ち立てました。
ドイツのAtari Teenage Riotはインダストリアル×ハードコアパンクという文脈において非常に重要な存在です。
海外のシーンがノイズミュージックから派生してインダストリアルが発生したのと同等に、
国内のインダストリアルシーンもノイズシーンと密接な関係にあり、海外シーンより相互影響は顕著です。
場合によっては、ノイズミュージックの一部がインダストリアルであるいう解釈も存在します。
機械を破壊するような音や轟音のノイズは、やはりヘヴィミュージックとの相性はバツグンで、
ラウドロックとも緩やかに結びついていきます。
THE MAD CAPSULE MARKETSを筆頭に
インダストリアルはその後のラウドロックに影響はそれなりにありますが、あくまで要素やエッセンスとして取り入れるアーティストが多かったように思います。(バンドサウンドを基盤にインダストリアル要素がある程度)
Zeitlich Vergelter
1980年代中盤頃~
国内におけるインダストリアルのパイオニアとされています。
極めて実験に満ちた音楽性ではありますが、一聴して「インダストリアルだ」と確信できる程メカニカルな音像です。
メタルパーカッションをはじめとした、金属を叩く音やチェーンソー、グラインダーなどの工具を楽器として活用。これにより、ノイズフルな音響を生み出していました。
音楽だけでなく、ライブパフォーマンスやビジュアル面でもダークなアンダーグラウンドの美学を追求していました。
SOFT BALLET
1987年~
ニューウェイヴの色香を纏いつつ、その要素のみならず様々な電子音楽を取り入れた先取りで尖ったサウンドが特徴です。
メタルパーカッションなどのインダストリアル要素は最初期から確認でき、
たまにヘヴィな楽曲もあるのが驚きです。
主観にはなりますが、ボーカリゼーションはどことなくヴィジュアル系に通じるものがあると思います。
実際にBUCK-TICK、L'Arc〜en〜Ciel、THE MAD CAPSULE MARKETSなどとイベントで共演していたり。
BOOM BOOM SATELLITES
1990年~
インダストリアルの中で紹介するよりも、普通にラウドロックに混ぜてしまいたいくらいラウドロックに等しいサウンドだと考えています。
ハイセンスな電子音とバンドサウンドが高次元でミックスされています。
ファジーでデジタライズされたギターのサウンドメイクも今のニューコアに近かったり。
彼らの未来形のサウンドは、国内より海外で評価されていたイメージがありますね。
初期は映画やゲームのサウンドトラックのような世界観重視な楽曲が多かったのに対して、
FULL OF ELEVATING PLEASURES(2005)あたりからアッパーチューンが増え、ON(2006)では、彼らの名前を聞いてイメージするダンサブルな音楽性を確立しています。
19972016 -19972007 Remastered-(2017)という、ハイパーベストアルバムがあるので、まずはそこから聴いて欲しいです。
Der Eisenrost
1993年~
Zeitlich Vergelterのメンバーであった石川忠さんのいるバンド。
Zeitlich Vergelterよりは理解しやすいサウンドで、インダストリアルというワードを聞いてイメージするものに非常に近いと思います。
拍を取れるリズムが一定で存在していて、シンセやギターもはいるので、それなりにキャッチーです。
音源では打ち込み感もありますが、ライブでは人力インダストリアルな様子が見れるので興味深いです。
石川忠さんは、映画「鉄男(1989)」のサウンドトラックを手掛けている事でも有名です。
補足:海外のグルーヴメタルの流入
-1980年代~-
国内ラウドロック勃発前夜と海外シーンにおけるニューメタル隆盛の直前にグルーヴメタルの潮流があります。(グルーヴメタル→ニューメタル→国内ラウドロック)
PANTERAを筆頭にグルーヴメタルは、初期的な国内のラウドロックや海外のニューメタルのジャンル形成に多大な影響を与えました。
PANTERA以外だとExhorder、White Zombie、Sepultura、Machine Head…などなどがいます。
グルーヴメタルの音楽的特徴は、
・グルーヴに重点を置いた楽曲(ミドルテンポを重視する)
トライバル(民族的)なリズムパターンもあり
・ニューメタルに連続性のあるシンプルでヘヴィなリフ
・ボーカルはスクリームまで行かないガナリとスラッシュメタル臭を何処か残した歌唱法
などが挙げられます。
グルーヴメタルは、国内ではモダンヘヴィネスやヘヴィロックとも呼ばれます。モダンヘヴィネスもラウドロックと同じように国内限定で通用する和製英語です。
国内における初期的なラウドロック、つまりジャパニーズハードコアやジャパニーズメタルの中でアンテナを敏感に張っていたバンド群の中には、
グルーヴメタルの影響を感じさせるサウンドが数多くあります。
特に"Cowboys from Hell"の名リフの改造verは、頻出です。
ラウドロック創世記
-1990年代後半~2000年代前半-
この章では、ラウドロックとは呼ばれないけど限りなくラウドロックに近いアーティストをメインで紹介します。(現代から考えるとラウドロックサウンドではある)
まだラウドロックの天と地しか存在していない時代です。
ラウドロックと呼ばれるアーティストが登場するのは、もう少し時代が進んでからです。
そして、この時代のバンドが一番分からない、知らないです。ヘルプ!!
THE MAD CAPSULE MARKETS
1985年~
この記事ではTHE MAD CAPSULE MARKETSをラウドロックの始まりだと定義付けたいです。
THE MAD CAPSULE MARKETSをラウドロックとして扱う事に抵抗感がある方も多いと思います。僕らも例外ではありません。
しかし、THE MAD CAPSULE MARKETSは、ラウドロック30年史の中で、
現代の視点を持ってしても、融合体としてのラウドロックサウンドを抜群のオリジナリティを持って完成させています。パイオニアです。
80年代~90年代にラウドロックに近いバンドは数あれど、
今聴いてもThis is ラウドロックだと思うのが、THE MAD CAPSULE MARKETSなのです。
デジロック(デジタルロック)やデジタルハードコアと形容されていた彼らの音楽性でしたが、
後の時代のラウドロックというジャンルが形成された過程において、非常に重要な存在です。その理由は明確で、後述の楽曲紹介を試聴すれば、ラウドロックへの連続性と如何に先進だったかが分かるはずです。
そして、驚愕の音の良さ。僕らを含め、現代の音楽ファンが聴いても音楽性とサウンドプロダクション両方の観点から古さを全く感じない事でしょう。
数々の偉業を成し遂げている彼らですが(偉業の具体例は、ご自身で調べて下さい)、国内外問わず多くの評価を得ています。
HUMANITY(1990)からMIX-ISM(1994)までは、ハードコアパンクといえる音楽性でした。
PARK(1994)時点で以下のラウドロックの要素が開花し始めます。
・インダストリアル、ハードコアパンク、ヒップホップを混ぜた音楽性
・スクリームやヒップホップ調なボーカル
・ギターリフ、ハイゲインなベースリフ、リフレイン(繰り返し)を中心に構成された楽曲
・"パラサイト(寄生虫)"に代表されるヘヴィでシンプルなリフ(Slipknotより早いのが恐ろしい)
4 PLUGS(1996)では、上記の要素が更に完成されています。
"CRACK"では、ヘヴィなバンドサウンドを土台に
インダストリアル要素やコンピューター世界を色濃く反映した後のマッドサウンドの片鱗が見て取れます。
"神KAMI-UTA歌"は、ミクスチャーロックの一つの到達点を迎えていると思います。
DIGIDOGHEADLOCK(1997)では、電子音が大幅に強化され
マッドサウンドを完全に確立しています。
特に"SYSTEMATIC."では、打ち込みドラムとアコースティックドラムを併用するなど、後のバンドが当たり前に行っていく手法を世界基準で早急に導入しています。
"JMP"は初期的なラウドロックに通じるヘヴィな縦ノリナンバーです。
OSC-DIS(1999)以降は、前作で完成されたマッドサウンドが更にハイクオリティに進化しています。
OSC-DISからは、本当に現代ヘヴィミュージックと変わりないので、すんなり入れると思います。
当然ですが、全期間のクリーンボーカルについては、まだエモ/スクリーモの影響は見られずパンキッシュなメロディーです。
Bomb Factory
1991年~
Bomb Factoryもジャンルはパンクです。
ハードコアとメタルを掛け合わせた音楽性は、後のラウドロックとの共通点も多いです。
単にパンクとカテゴライズできないヘヴィさがあります。
メロディー感はメロディックハードコアに近い楽曲が多いですが、日本性を秘めた歌心がある楽曲もあります。
SUNS OWL
1994年~
SUNS OWLをラウドロックとして語るのに違和感ありまくりですよね。
はい。分かってます。
しかし、ラウドロックにしか聴こえないんだなコレが。聴けば分かります😂
ジャパニーズメタルシーンやヴィジュアル系シーンとも交流があり、ジャパメタの一部として存在していたように思います。
しかし、グルーヴメタルやニューメタルから強い影響を受けたその音楽性はラウドそのもの。
時期によって多少の音楽性の変化はあるものの1stアルバムScreaming the Five Senses(1998)からしっかりヘヴィグルーヴを確立しています。(初期はPANTERAを感じすぎるが…🤫)
メンバーのGOさん(Dr)は、ドラム講師として著名な方で数々の生徒さんがラウドロックシーンで活躍されています。
詳しくは、GOさんのYouTubeチャンネルをご覧ください。
なかでも「地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ」シリーズの著書にお世話になったメタルドラマーは多いはず。くろちゃんもその一人です。
THE HATE HONEY(HATE HONEY)
1996年~
DETOROIT(1997)では、“DOWN”などにラウドロックの芽は感じるものの、作品全体の空気感はダウナーなオルタナティヴロック、グランジといったサウンドでした。
HELL'S KITCHEN(1998)から後のラウドロックに繋がるヘヴィで縦ノリなアプローチが完成されています。
“Greed”、”I'll Kill Myself”、“Murder House”あたりが非常にラウドロックだと感じます。
Kornに代表されるイルネスと激情を叫び放出するスタイルが確立されています。
ボーカルスタイルもガナりからスクリームに移行しています。日本語でのエモーショナルなスクリームがとても良いです。
“Chair”ではDeftonesのような空気感も感じられます。
まだラウドロックという概念が存在していないタイミングなので、この作品で渦巻いている魔術性や憎悪のエネルギーを形容するには、
「これはニューメタルだ」というのがしっくりきます。
drug store cowboyが敬愛している点などラウドロックへの影響はもちろんありますが、
全期間を通して“blueberry mote”などの初期衝動のようなストレートさのあるロックな楽曲もあるのが興味深いポイント。
高木フトシさん(Vo)にどことなくPay money To my PainのKさん(Vo)節を感じます。特にラフなメロディーラインと優しいビブラートに。
drug store cowboy
1998年~
サウンドを形容をするとミクスチャーになると思います。
Pay money To my PainのT$UYO$HIさん(Ba)が、所属しているバンドとしても知られています。
いわゆるミクスチャーロックな音をベースにした音楽性ですが、オルタナティヴなコード感やラウドロックのリフ感と縦ノリが顔を覗かせます。(今だと普通に邦ロックと呼ばれそう)
ガナリがかったボーカリゼーションが好きです。
Pay money To my PainのFrom here to somewhereのMVもそうなんですが、みんな映画「ファイトクラブ」みたいな世界観好きっすね~
直撃世代ってやつなんでしょうね😊
GUNDOG
2000年~
2000年代前半は、アメリカを中心としたニューメタルがメインストリームで、メタルコアのムーブメントがあと少しで来るよ
くらいの時代でした。
そんな時期に当時のトレンドとタイムラグなしにニューメタルをやっていたのがGUNDOGです。
ジャキジャキのヘヴィサウンドに美しいクリーンが乗っかる音像は、まさにニューメタル、ラウドロックど真ん中。
諸事情により早急に活動休止したバンドではあり、世に残した楽曲は少ないですが、センスは遺憾なく輝いています。
果たして当時のシーンは、表層化していないだけでGUNDOGのようなバンドがゴロゴロいたのか、ライブはやはりミクスチャーロックとの共演が多かったのか…2000年代初頭はまだクソガキだった僕らには知る由もありません。
ちなみにPay money To my PainのKさん(Vo)が居たバンドです。
Pay money To my Painでは、ほとんど聴けなくなったラップがGUNDOGでは聴けます 笑
ラウドロックにエモ要素が介入して来るのは、まだ少し先ですが、Kさんの歌にはエモさがあり、ギターもわりとエモいです。キラキラペジオあり✨
これは豆知識ですが、"Lost〔Down IN THE crowd〕generation"の歌詞に「
Pay money To my Pain」という文言が出て来ます。
ラウドロック創世記の周辺ジャンル
この章では、ラウドロックの周辺ジャンル、場合によってはラウドロックに分類される可能性のあるアーティストを紹介し、歴史をなぞって行きます。
メロディックハードコア
-1990年代~-
メロディックハードコアの定義
メロディックハードコアについていろいろ考えた事は、以下のブログに書いてありますので、詳しく知りたい方は読んで下さい。
ここで抑えておいて欲しいのは、日本国内におけるメロディックハードコアとは、ポップパンク、エモ、ハードコア…などを混ぜた音楽性であるという事です。ただし、一聴してパンクロックの一種だと分かるくらいには、パンクロックの原型を失っていないのが、メロディックハードコアです。(修飾が難しい)
メロコアという呼び方でも親しまれています。
メロコアの音楽的特徴は、やはりメロ。つまりメロディー=サビです。
原始のパンクロックやハードコアパンクは、印象に残るワードの繰り返しによるフックに近いものが主でした。
メロディックハードコアまで進化が進むと
洋楽でも「あ。サビだ」「あ。メロディーだ」と分かるのが特徴です。
その他だと高速の2beatとコードをかき鳴らすパートを好んで使用するのがメロディックハードコアの特徴です。
また、音楽的特徴のみだけでは、ポップパンクやメロディックパンクやスケートパンクの違いを定義するのは、困難です。
メロディックハードコアの概歴
80年代にハードコアパンクから派生して、アメリカで生まれたのがメロディックハードコアです。NOFXやBad Religionがその代表です。
90年代になると国内でHi-STANDARDを先駆けにメロディックハードコアがムーブメントとなりました。
その後もバンドは数多く登場し、現代に至るまで国内でポピュラーなバンドシーンの一つとなっています。
メロコアのシーンは、ラウドロックシーンより先に基盤が完成されており、音楽的親和性が高かった事、
メロディックハードコアシーンが変な意味で壁を作っていなかった事もあり、(やや主観が入っているが)
両シーンはフェスやイベントでの共演が増え、ファンベースも接近していく事になりました。
ラウドロックの新人バンドが、メロコアのフェスで名を上げる→ファンも受け入れる流れが出来て行ったという事です。
2010年代頃にこの流れが出来たと考えています。
以下がフェスの代表例です。
Hi-STANDARD主催のAIR JAM 2011にPay money To my Pain、FACT、マキシマム ザ ホルモン出演。
10-FEETの京都大作戦2008年にマキシマム ザ ホルモン、SiM出演。
PIZZA OF DEATH RECORDS主催のSATANIC CARNIVALは2014年の第一回から、パンクシーンとラウドロックシーンのバンドが混合で開催されています。
Hi-STANDARD
1991年~
国内におけるメロディックハードコアの先駆者であるのはもちろん、
シーンへの多大な功績があるバンドです。
Hi-STANDARDが日本国内のメロコアの音像を決定付けたまであります。
いまだに声質やメロディー感や譜割りなどは、彼らの影響を感じるアーティストがたくさんいます。(Hi-STANDARD型のメロコア)
数多くのフォロワーを生みました。
基本の音楽性は、疾走感溢れるビートと歌モノですが、
"Just Rock"などの楽曲には、しっかりハードコアの要素もあります。
Hi-STANDARDが立ち上げたインディーズレーベルであるPIZZA OF DEATH RECORDSは、同ジャンルの若手アーティストを数多く輩出しています。
2014年よりレーベル運営に加えて、パンクロックに特化したフェスSATANIC CARNIVALの運営も行っています。
インディーズであるという所が結構重要です。インディーズの盛り上がりの火付け役でもあります。
また、主催であるフェスであるAIR JAMは、1997年より開催されていて、ラウドロックのアーティストも出演しています。
AIR JAM世代なる言葉があるレベルで大きなムーブメントになっていたそうな。
僕らより一回りくらい上の世代、アラフォーくらいの方は、メロコアに青春を捧げた人も多い印象です。それかもしくはヴィジュアル系な世代。
BRAHMAN
1995年~
硬派なハードコアサウンドと
"Tongfarr"に代表される民族音楽の要素が特徴のバンドです。
バンド名からして民族。
ブラフマンとは、インドのウパニシャッド哲学における梵我一如の思想から来ています。(高校世界史でやりました😊)
・ブラフマン=宇宙を支配する原理
・アートマン=個人を支配する原理
上記を同一であると捉え輪廻とし
つまり宇宙は不滅で個が死によって終わっても不滅であるという事です。
ちなみに"Artman"という楽曲も存在します。
TOSHI-LOWさん(Vo)は、ヒップホップシーンとも交流があったり
交友関係が多岐に渡っていてジャンルを超えたインタビューでよく出演されています。
登場した時、放たれる説得力と存在感が凄まじいです。ライブでのMCも記憶に深く刻まれる内容です。
GARLICBOYS
1985年~
Hi-STANDARDより活動開始と音源リリースも早く、音楽性についてもメロコアらしいと思いますが、便宜上この順番で紹介させて下さい。
ハードコアを土台にしつつも、メタリックだったりエモかったりします。この字面だけみると凄くラウドロックっぽいですね。実際にはラウドロックとは少しだけ異なります。
代表曲である"失恋モッシュ"などもイントロから非常にメタル。
コミカルなリリックやボーカリゼーションは、前述のヌンチャクにも影響を与えています。
RYOさん(Dr)が、SHADOWSに加入しています。
10-FEET
1997年~
たしかにメロコアなんですが、メロコアだけでは形容しきれない混ざり方をしているバンドです。
結果ミクスチャーロックという所で落ち着きそうな音楽性だと思います。
全期間の作品にラウドロック要素を確認できますが、(叫ぶしラップするし縦ノリもあったり)
特にコリンズ(2022)は、それまでのアルバム以上にヘヴィです。
映画「THE FIRST SLAM DUNK(2022)」で、最近ヒットした" 第ゼロ感"なんかはラウドロックど真ん中な音ですしね。
2007年より、主催フェスである京都大作戦を企画しています。京都大作戦自他が非常にジャンルミックスでボーダーレスなフェスとなっています。
ラウドロックのアーティストとも交流があり、DVD「From here to somewhere」でインタビューが見れます。
TOTALFAT
1999年~
この章で紹介しているメロコアバンドの中でも、よりメタリック、スラッシーなリフ感があるバンドです。
歌メロが謎にエンディングみたいな壮大さがあるというか、少し学校の合唱曲みたいな親しみやすさ懐かしさがあるように感じるのは僕らだけでしょうか?
TOTALFATもPTPのDVD「From here to somewhere」でインタビューあります。
ミクスチャーロック
-1990年代~2000年代-
ミクスチャーロックの定義
ミクスチャーロックについてもラウドロックと同じく、日本限定で使われる音楽ジャンルを表す用語です。
何がミックスされている・混ざっているかというと
主たる成分はロック×ヒップホップだと理解してください。
その他にもスパイスとして他のあらゆる音楽ジャンルを混ぜたものがミクスチャーロックといえます。
雑に表現すると国内におけるミクスチャーロックのほとんどは、世界基準の分類方法だと、そのほとんどがオルタナティヴロックに属すると考えています。
ミクスチャーロックの特徴の一つは、日本語ラップを積極使用する点です。
これが後のラウドロックとも少し異なり、日本固有の音楽ジャンルである点であると考察しています。
ミクスチャーロックの概歴
ミクスチャーロックの源流は、70~80年代のファンクロックやファンクメタルをルーツとしています。
80年代に入るとオルタナティヴロックの中でミクスチャーロックの要素を持つ音楽を嚙み砕いて翻訳する意味で、このジャンル名が定着しました。
80年代には、日本初のミクスチャーロックであるLÄ-PPISCHも登場しています。(この記事ではラウドロックとの関連性が薄いためLÄ-PPISCHの紹介は省きます)
90年代に入るとジャパニーズヒップホップのムーブメントが本格化します。
前述の通りミクスチャーロックとジャパニーズヒップホップは深い関係にあります。
00代に入りミクスチャーロックは、
ニューメタルの衰退の煽りや
ロックにラップを乗せるスタイルへの新鮮さも薄れていった事もあり、
ミクスチャーロックはジャンルというよりも、あくまでロックという巨大な概念の要素の一つとして一般化し、徐々にその数を減らして行きました。(というか現代ロックは、ミクスチャーしてないもの・混じり気の無いものが少ない。)
今のアラフォーくらいの世代の人はミクスチャーロックとよく言うイメージですが、
僕らはミクスチャーロックという呼称にあまり馴染みがありません。とはいえシーンやジャンルとしての一体感があったのもまた事実。
本章では、ミクスチャーロックの中でも、
ラウドロックとあえて別枠にする必要もないレベルでラウドロックに極めて近いアーティスト群であり、
それでも今日のラウドロックとは少し異なるスタイルであるアーティストをまとめて紹介します。
Dragon Ash
1996年~
90年代後半から2000年代初頭にかけてチャートを席巻した存在。
海外のバンドシーンがヒップホップカルチャーと結びついたのと時を同じくして、日本国内でのカルチャー間の壁を取り払った功績は本当に大きいと思います。同時にミクスチャーロックとはこういう音だという定義付けをしたと思います。
さらにはラップという概念を広めたという功績もあります。これはヒップホップシーンサイドからすると、いろいろなご意見があると思いますが、Dragon Ashという存在が大きかったのは事実だと思います。
3rdアルバムViva La Revolution(1999)が大ヒットし、世間でも大きく認知されました。
ラテンの要素を取り入れたのもかなり早く、
日本のバンドの夏曲といえば青い海、青い空なのに対して
Dragon Ashはヤシの木とオレンジ色の夕焼けが目に浮かびます 笑
Dragon Ashをラウドロックと形容するのは、難しい気がしています。
このバンドを差別化したいがためにミクスチャーロックの章を作ったまである…
Rage Against the Machineをメタルと断言できない現象に似てます。
RIZE
1997年~
メンバー全員に華があるバンドもなかなか珍しい。
ラップロック、ミクスチャーとして語られますが、RIZEの登場くらいからラウドロックがジャンルとして芽吹き始めたようにも思います。
そして後続のラウドロックバンドの兄貴分でもあり、シーン拡大に多大なる貢献をしてくれた存在でもあります。(後輩バンドの面倒見が良いイメージ)
Dragon Ashがメジャーシーンで暴れてたのに対し、RIZEはある意味アンダーグラウンドカルチャー寄りに根差していた事も大きな底上げになったのかもしれません。
今となってはそれぞれのメンバーが異なる活動を行っていますが、(最近RIZE完全復活しましたね)それぞれのポテンシャルが功を奏してより陽の目を浴びるに至っています。
hideさんのカバー曲である"ピンク スパイダー"は、RIZEの持ち味を活かした超名曲だと思います。
宇頭巻(UZUMAKI、UZMK)
1996年~
ここまでゴリゴリな音像になってくると流石にラップロックではなくラップメタルといっても遜色ないと思います。
バックの音作りは90年代のKornやLimp Bizkitあたりを想起させるサウンドです。
2010年代以降はエレクトロを導入し、幅広い層に支持されるに至りました。
トリプルボーカルからなるスタイルはラップだけではなくオートチューンなどを使用したクリーンボーカルも採用し、よりモダンなバンドサウンドに仕上がっています。
山嵐
1996年~
Kornサウンドにラップを乗せたバンドをやりたいという事で結成されたそうですが、Limp Bizkitよりも速い時期にこのサウンドを完成させているのは恐ろしいです。
リズム隊のうねり感でいったら山嵐はピカイチだと思います。
ニューメタルとしては、このうねり感は欠かせない成分なので、これがミクスチャーロック、ラウドロックにおいてオリジネーターたる由縁だと分からせられるバンドです。
BACK DROP BOMB
1994年~
ミクスチャーロックの中でもラガ要素や、スカ要素があるバンドです。
このファンキーな要素が彼らの味ともいえると思います。
94年結成という事で実はかなり早い段階でサウンドを確立していたバンド。
いわゆるニューメタルよりも前時代のファンクメタルやラップロックからの影響が色濃いのかもしれません。
それ故ラウドロックの始祖とされる事も多い事も頷けます。
smorgas
1997年~
全体でRage Against The Machineからの影響は色濃く感じるラップロックバンドです。
初期の作品が評価されているのを目にしますが、2018年リリースの“NEWBLU”が円熟していて、バンドの方向性が確立されてかなり良い作品に仕上がっているなと思います。
ラップロックをやっていたバンドが重いサウンドを導入しニューメタル化するなか、そこまで重さで勝負せず、持ち味のラップでずっと勝負しているのもSmorgasの良さです。
また電子音要素もTHE MAD CAPSULE MARKETSのような使い方で、他バンドよりも早い段階で導入していたのも評価されるべきポイントだと思います。
ROTTENGRAFFTY
1999年~
99年結成という事で初期はミクスチャー、ハードコアパンクの要素が強いです。
宇頭巻などと同じく中期以降はエレクトロを導入し、セールスも大きな評価を得て行ったように思います。
"ハレルヤ"などにはメタルコアからの影響を感じる刻みもあったりします。
特に2018年にリリースされた6thアルバム“PLAY”あたりから一気に知名度が伸びた印象があります。
主催フェスの“ポルノ超特急”も地元京都で開催され、年々規模感も大きくなり今や1万人以上を集める大型フェスとなっています。
BACK-ON
2002年~
このカテゴリの中では、J-Popに限りなく近いミクスチャーロックだと思っています。
その証拠にかなりアニメや特撮とのタイアップが多いです。
やはりサビがスーパーキャッチーで邦ロックのような要素が強いのが大きな理由だと思います。
UVERworldやFLOWなどがミクスチャーロックバンドとカテゴライズされているのとニュアンスは近いです。
ミクスチャーロック入門編にはもってこいの音楽性ですね。
ORANGE RANGE
2001年~
抜群のポップセンスと電波ソングに近いようなコミカルな中毒性がある楽曲が多いです。その強烈なフックとハモリの個性は、もはやウザメロの域。
そして00年代のバンドの代表。
かと思ったら何気にLimp Bizkitのようなヘヴィな楽曲もあるのがミソ。
1st CONTACT(2003)からは"Fever!"、"ミッションinポッピプル"、"TWISTER"、"キリキリマイ"
musiQ(2004)からは"チェスト"、"FULLTHROTTLE"
ИATURAL(2005)からは"GOD69"、"BETWEEN"
ORANGE RANGE(2006)からは"FAT"、"風林火山"、"Great Escape
world world world(2009)からは、"鬼ゴロシ"
orcd(2010)からは"giga plooza"、"Insane"
ELEVEN PIECE(2018)からは"ワジワジ"…などがヘヴィなナンバーです。
中期以降は電子音を取り入れて、音楽性がガラッと変わっています。
それ以外の全期間に渡り、ヘヴィな楽曲が存在しています。
2010年以降はラウドロックが盛り上がり始めますが、
ORANGE RANGEは、逆にその時期になるとほとんどヘヴィな曲は無くなっています。
当時、小中学生の頃には気が付かなかったですが、改めて聴きなおすとヘヴィさに気が付けるのが面白い。
ヘヴィさをポップに落とし込むのが非常に上手く、それぞれの各パートを分解して聴くと様々なメタル、ロックの要素を垣間見る事ができます。
ラウドロック要素は確かにあります。ただし、メインとなる核の部分・ヒット曲はJ-ROCKやJ-POPだといえます。
オルタナティヴロック
-1980年代~2000年代-
オルタナティヴロックの定義
元々はジャンルやムーブメントを指す言葉でした。
現代ではパンクでもメタルでもない音楽を区別するため程度の意味しか持ちません。
ラウドロックの定義以上に、これぞ"オルタナティヴな音"という定義は曖昧だと思います。
オルタティヴはジャンルというより思想やアーティストのスタンスに近いです。
「Alternative」の意味はもう一つの〜、代わりとなる〜です。
オルタナティヴロックだともう一つのロック、代わりとなるロックという意味になります。
何の代わりなのか?というと
メインストリームや流行チャートに羅列される音楽に対してのアンチテーゼを持った音楽を指していました。
しかし、90年代にかけて逆転現象として、
オルタナティヴな音楽たちが逆に主流になるという現象がありました。(Nirvanaの登場などで)
オルタティヴロックがもはや主流になったので、オルタナティヴメタルというと歌モノで売れ線なメタルを指す事が多いです。
音楽性の面でも国内におけるオルタナティヴロックは、単にJ-ROCK/邦ロックの一部であるという認識が一般認知で、ラウドロック同様にやはり「これがオルタナだ」という音は存在しないです。(ラウドロックより存在しないと思います)
邦ロックの中には、純粋なオルタナティヴロックという意味合いよりもオルタナティヴロックをサブジャンルに置いている、オルタナティヴロックでもあるアーティストも多いです。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、NUMBER GIRL、ゆらゆら帝国、the band apart、GRAPEVINE、きのこ帝国、ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone、cinema staff、w.o.d…などなど
これらのバンドも単にロックだったり、ギターロックだったり、J-ROCK/邦ロックだったり、時にはオルタナティヴロックだったりします。
僕らの中での「これぞオルタナだ」だという基準は、楽曲から感じるアンニュイで気だるい雰囲気とオルタナなコード感がある事で決定しています。
海外のオルタナティヴロックやグランジがそうであるように、国内にも時折ヘヴィさを持ったアーティストが存在します。メタルとはまた別のベクトルのヘヴィさです。
ラウドロックの中にはオルタナティヴロックの音楽性の影響を色濃く反映した楽曲が存在しますが、国内ラウドロックシーンと国内オルタナティヴロックシーンは、ほとんど交わっていません。
単に洋楽の影響元が同じだったと考察しています。(同時代のアーティスト同士が相互影響をもたらしているような側面が少ないため)
bloodthirsty butchers
1986年~
すごくオルタナな音。だと思います。
オルタナという方向性でのエモさがあると思っています。
はっぴいえんどのような歌唱法もあれば、絶叫のような歌唱法が用いられる楽曲もあります。なんだかTHE BLUE HEARTSみも感じます。
Rage Against the Machine、BECK、Fugaziなどの海外のアーティストからも敬意を集めるその音楽性は、ミュージシャンオブミュージシャンの側面があります。まさにレジェンド。
the pillows
1989年~
国内オルタナティヴロックのパイオニア。(オルタナのパイオニアは諸説あれど)
オルタナティヴロックの代表格である事は間違いないです。
Lo-Fiなサウンドメイクにもセンスが光ります。
多方面からリスペクトを集めており、根強いファンがいるイメージです。
オルタナバンドのジャケットやMVはアナログフィルム感&緑強めだというのが、僕らの見解です 笑
dip
1991年~
グランジ、サイケ、シューゲイザーなどをミックスしたそのサウンドは、僕らの思うオルタナティヴロックど真ん中なバンド。
なのでこちらもオルタナティヴロックの先駆けとして語られます。
エッジの効いたアグレッシブなサウンドは、ラウドロックとは別の方向で轟音です。
I'll Slip Into The Inner Light(1994)は、至極の名盤。何故かサブスクで聴けませんが…
Oblivion Dust
1996年~
こちらも僕らの思う超正統派オルタナな音をしているバンドです。
ファジーなギターサウンドと気ダルいボーカルワークはオルタナのそれです。というかグランジー。
スクリームにも近いノイズエフェクトを多用したボーカルワークもヘヴィミュージックっぽいと思います。
初期から骨太なオルタナティヴロックを鳴らしていましたが、特にBUTTERFLY HEAD(2000)は、洋楽ライクな雰囲気が、本質として持っていた良さと相乗効果で上手くハマっていてめちゃめちゃかっこいい名盤だと思います。
初期から打ち込みなどのデジタルなアプローチはあったものの、
2010年代、9 Gates For Bipolar(2012)頃からは、
バンドサウンド<電子音が色濃くなっています。
K.A.Zさん(Gt)は、実力確かなギタリストでありスーパーサポートギタリストです。
オーバーグラウンドな場所でヘヴィな音というとだいたいK.A.Zさんが居るイメージ 笑
有名どころの活動としては、hide with Spread Beaver、HYDEソロ、 VAMPS、Spin Aquaなどですが、
サポートとしては書ききれないくらいあります。追ってみるとビビると思います。
syrup16g
1996年~
死と生、内向でネガティブ性が主題で、
サウンドもとってもインディー臭がしています。
しかし、ネガティブだというのはあくまで一般論であり、
むしろネガティブをバネにしたエネルギーと力強さもあります。
五十嵐隆さん(Vo&Gt)の感性で切り取られた詩的世界は、刺さる人には深く刺さると思います。
THE BACK HORN
1998年~
これはもはやヘヴィミュージックですよね。たまにニューメタルっぽいですし。
度々「これはもはやメタルなのでは!?」という楽曲が活動の全期間に渡って存在します。
歌謡曲に通じる歌メロのセンスと泥臭さの残る原初で簡素なロックサウンドが特徴のバンドです。
和×ヘヴィ×歌謡という部分でよくMUCCとの類似点を目にします。(僕らとしては、あんまり似てないという感想ではありますが…)
僕らの青春時代にヒットしたのでコピーして学祭でライブしたりする人多かったな~
"コバルトブルー"とか思い出ありますね。
ZEPPET STORE
1989年~
ピッチもメロディーラインもルードに仕上がりがちなオルタナですが(そこが良さでもあるが)
ZEPPET STOREは、しっかり歌モノな印象です。でもバックサウンドはしっかりオルタナです。
X JAPANのhideさんに発見されたというエピソードが有名です。
4thアルバムであるCLUTCH(1999)にだいたい名曲が集約されていますので、そこからどうぞ。
ART-SCHOOL
2000年~
これはもうヘヴィといってよいレベルでヘヴィだと思います。やはりラウドロックでもメタルでもないヘヴィさではありますが。
しかし、エモさはジャンル:エモに近いエモさがあると思います。
あくまで傾向ですけど、オルタナティヴロックのヘヴィさや音圧はドラムとベースが支えていると感じています。メタル好きの感覚だとギターは、まだヘヴィだと感じない事が多いです 笑
戸高賢史さん(Gt)は、MONOEYES
大山純さん(Gt)は、ストレイテナー
日向秀和さん(Ba)は、ストレイテナーとNothing's Carved In Stone
などの遍歴で活動されています。
1stアルバムREQUIEM FOR INNOCENCE(2002)は、名盤です!!
オルタナの緑のアルバムにハズレなし。大好きなバンドです。
THE NOVEMBERS
2005年~
美しくもデカダンな世界観が特徴のバンドです。
ハイトーンのボーカルスタイルは叫びのようでもあり、
また実際にシャウトに近いニュアンスな激唱も頻出します。
メンバーのルーツにDIR EN GREYやL'Arc〜en〜Cielなどがあり、V系の素養があるからこういうダークな世界観なんだろうなと思っています。
THE NOVEMBERSの活動以外にメンバーのマルチな活躍が目を惹きます。
小林祐介さん(Vo&Gt)は、浅井健一さんとROMEO's bloodや
BOOM BOOM SATELLITESの中野 雅之さんとTHE SPELLBOUNDで活動しています。
高松浩史さん(Ba)は、Petit Brabanconで活動しています。
海外のラウドロックの流入①
ニューメタル、ラップメタル、オルタナティヴメタル
-1990年代~2000年代初頭-
ラウドロック=ニューメタル、ラップメタル、ヘヴィロック、オルタナティヴメタルの言い換えだった時代があります。
そして、00年代初頭までは
海外のニューメタルと日本のヘヴィなバンドの両方を含み、ラウドロックとしてラベリングされていた歴史がありました。
ニューメタルの定義がそもそも曖昧ではあります。
全世界でムーブメントとして爆発したニューメタルは、国内においてもその影響を色濃くもたらしました。
ニューメタルのジャンル解説動画もあるので詳しくはそちらをご参照ください。
Rage Against the Machine
1991年~
元祖ミクスチャーといわれるRed Hot Chili Peppersをより尖らせてアグレッシブにしたようなサウンドは、
この時期にラップメタル≒ニューメタルのスタイルの礎を築いた様に思います。ラップメタルの元祖とも呼ばれます。
国内のミクスチャーロックにも多大な影響を与えています。
政治的なメッセージが強いのも大きな特徴です。
効果音のような変態ギターフレーズ、打楽器のようなベース、ラップ調のボーカルなど、その後のニューメタルシーンに多大な影響を与えています。
ただし、その強烈なオリジナリティ故にRageの影響を少しでも匂わせると、「あ。これなんかRageっぽいな」となってしまうあるある。(それだけ本家がオリジナル)
Deftones
1988年~
他のニューメタルバンドがそうであるように、
Deftonesもまたニューメタルの枠に混ぜられますが、彼らのサウンドは簡単に定義出来るものではありません。
そのサウンドは、アンニュイでダウナーで形容し難い妖艶かつ知的でアーティスティックな雰囲気を纏っています。浮遊感。
しっかりヘヴィロックのリフとリズミカルなスクリームでゴリ押す楽曲もあれば、
エクスペリメンタルでアンビエントやシューゲイザーな楽曲も存在します。それくらい幅が広く、型に嵌らないスタイルです。代えがきかない存在です。
御託を並べるより、とりあえず聴いてもらうしか無い系です。Deftonesを聴いた事がない人には、今までの経験に無い音楽体験をもたらしてくれることでしょう。
それもあってか世界中にDeftonesの影響を公表しているアーティストが今もたくさんいます。
ただこの雰囲気を国内のバンドが出すのは、いろいろな意味で難しいと思います。まずサビやキャッチーさが無い。だがそれが良い。
活動期間は1988年からとかなり古いですが、デビューアルバムのAdrenaline(1995)がなので、こちらで紹介させて頂きました。
Korn
1992年~
Kornの登場が無ければ昨今のヘヴィミュージックの半分くらいは無かったかもしれないです。それくらいKornがヘヴィミュージックにもたらした影響は、大きなものでした。
感情の圧殺と爆発を行き来しつつ言語なのか分からないボーカリゼーション(Jonathan語)、不穏な不協和音、多弦ギター、多弦ベースによる超低音チューニングが特徴です。
更に付け加えるとしたら、暗黒の内向世界を凝縮したサウンド。
シンプルながらも強烈な縦ノリを促すリフとビートは、ラウドロックのみならずあらゆるヘヴィミュージックへ派生して行きます。
彼らはデビューから現代まで、そのダークな世界観が一貫しています。
Limp Bizkit
1994年~
Fred Durst(Vo)の悪童ぶりでやたらと嫌われまくっていたバンド。
シリアスさよりも、どちらかというと下品な歌詞とおバカなアティチュードが目立つのも嫌われた要因な気がします。
とはいえ、ニューメタルの手法を体系化したのは大きな功績だと思っています。(分かりやすくし過ぎたともいうが…)
特に静かなパートでジワジワとエナジーを貯めてから、ヘヴィな縦ノリパートへなだれ込むのは、リンプの十八番です。
またWes Borland(Gt)のオリジナリティ溢れるギターフレーズは大きな評価を得ています。
ボーカルの大半がラップ調で、ヒップホップのバイブスがかなり強いです。
何かと言われがちな存在ですが、センスがピカイチだったのは紛れもない事実。僕らは大好きです。
Papa Roach
1993年~
ニューメタル、オルタナティヴメタルにアメリカンなロックのバイブスが加わっているのが特徴です。
ニューメタルというジャンルの特性が多様なジャンルの良いとこ取りであり、それが本質であるようにPapa Roachもそういったミックス具合です。
飛びぬけた代表曲として"Last Resort"が非常に有名ですが、実は"Last Resort"のような曲は全体では少ないです。
ニューメタルというカテゴリには、時代と共に忘れ去られたバンドも多いですが、彼らは現役バリバリです。
メロディーセンスは、尽きる事はなくEgo Trip(2022)でも、"Dying to Believe"などのスーパーキャッチーな楽曲を聴かせてくれます。
Sevendust
1994年~
ニューメタル、オルタナティヴメタルを基盤に少々インダストリアル要素があるのが特徴です。
インダストリアルなのは、ギターのサウンドメイクとループ感くらいのレベル。(そこまで機械ではない)
国内での知名度は低めですが、モンスター級のバンドです。
ラウドロックな話題としては、coldrainのメンバーがラブな事でも知られています。
System of a Down
1995年~
System of a Downもオリジナリティの塊過ぎるので、ラウドロックやニューメタルと括られがちですがカテゴライズ不能なバンドです。
コミカルなボーカルワークとギターフレーズ、
揺れの強いグルーヴに中東のエッセンスが加わった、風変わりな音楽性を持っています。
でもしっかりヘヴィ。
Toxicity(2001)に収録の"Prison Song"に代表される突撃する横ノリラウドロックなリフは、Slipknotの9人組リフに引けを取らないほどラウドロックバンドに引用されています。
彼らのルーツが中東のアルメニアにある事から、反戦や政治批判などメッセージ性の強い歌詞が多いです。
奇想天外なサウンドの裏に隠された強いメッセージ性がある部分も、彼らが大きな支持を集めている要因かもしれないです。
Snot
1995年~
ニューメタル発生前夜のようなサウンドが特徴のバンド。
知名度はややマイナーかもしれませんが、根強い人気を誇るバンドでもあります。
登場時期が90年代半ばという事で、ややPANTERAのようなバイブスや、ファンキーだったりアイリッシュパンクな香りがあるのも、ニューメタルがまだジャンルとして確立してない時期だからだと見て取れます。
ラウドロックな話題としては、Pay money To my Painのメンバーが好きなバンドだったそうな。(サウンドとしては、ハネるグルーヴくらいしか似てませんが)
Slipknot
1995年~
通称猟奇趣味的激烈音楽集団。
ラウドな縦ノリ&横ノリ、超高速ドラム、速いパッセージのボーカルワーク、当時アンダーグラウンドだったデスメタルやブラックメタルを感じさせるギターリフ。それらが一体となった反則級の激しさ。
数あるSlipknotの功績の中でも、彼らが一般化したシンプルでヘヴィなリフの影響力は超巨大で、全世界の様々なアーティストに受け継がれています。
というより、あらゆる面でSlipknotの影響がゼロである現代ヘヴィミュージックは、ほぼ無いと考察しています。
ラウドロックへはもちろん、メタルコア、デスコアにもかなりの影響があります。
個々で美味しいものを全部混ぜたらもっと美味しいよね☆をやってのけたバンドだと思います。
00年代にSlipknotがメタルの新しいアイコンと化した事により、
彼らの登場以前以後でメタルは二分化したといえると思います。
Taproot
1997年~
数あるニューメタルバンドの中でも一際、PTPの歌メロの作りが似ているという理由でのチョイス。
どこまで影響があって、参考にしているか分かりませんが、GrindHouse tv 2010.6.28O.AにてKさん(Vo)が好きだと言ってました。
https://youtu.be/5a0_1FlY0M0?si=KQZfIlfLRJYknh9m
Mudvayne
1996年~
出現当初はSlipknotの弟分として売り出された記憶がありますが、音楽性は全くといっていいほど別物。
初期の音楽性はプログレッシブかつ轟音で暴れまわるサウンドが特徴ですが、
一貫してニューメタル、ヘヴィロックのテンプレサウンドではありません。
複雑カオスで陰鬱と哀愁、そして時々怒り爆発…そんな音楽性です。
いわゆるイロモノの匂いがそのビジュアルからプンプンしますが、歌詞やメッセージは非常に知的です。
早々に奇抜なメイクもしなくなり、3rdアルバム
Lost And Found(2005)以降は、オルタナティヴに寄って行った印象があります。
ただこの頃のバンドはエグいスクリームをしながら、クリーンも歌える対応力が強いボーカリストが多かったので、間口を広げる音楽性を変えても息の長いバンドが多いイメージがあります。
メタルコアがメインストリームになっても、余裕でサバイブしてたニューメタルバンドはたくさんいます。(それぐらいニューメタルがジャンルとして強大だったともいう)
TRUSTcompany
1997年~
ニューメタルらしいヘヴィなリフはありつつも、ラップやスクリームの使用率は少ないです。(ジャンルとしてはポストグランジやオルタナティヴメタルに落ち着きそう)
とにかくクリーンボーカルのウィスパーボイスとロングトーンが美しいです。そして歌メロ強し。
1stアルバムThe Lonely Position of Neutral(2002)では、ゴリゴリでヘヴィなニューメタルをベースとしたサウンドでしたが、
2ndアルバムTrue Parallels(2005)からは、徐々に歌モノ感が増し次作Dreaming in Black and White(2011)ではラウドロックど真ん中なサウンドになっています。
ややマイナーな存在である事もあり、TRUSTcompanyの影響を公言しているものを見た事はありませんが、
結果としてTRUSTcompanyのようなサウンドになっている日本のラウドロックバンドは多いです。
Ill Niño
1999年~
フラメンコなどのラテンの音楽性を取り入れたニューメタルバンド。
Sepultulaが南米音楽を取り入れたのが早かったですが、Ill Niñoにはまた違ったトライバルさを感じます。
うねりの強いグルーヴィーさと哀愁のあるボーカル、要所でアコースティックギターでのフラメンコ奏法なども登場する。ヘヴィな楽曲からラテンバラードまでこなせる幅広い音楽性を持っています。そのブレンド力と作品の完成度は、最初期から高水準でした。
2ndアルバムConfession(2003)までは、暗黒魔術的湿度を持ったグルーヴがありましたが、
3rdアルバムOne Nation Underground(2005)では、悪い意味でデトックスされてしまってドライな印象です。(その後またアイデンティティである民族要素取り戻します)
Breaking Benjamin
1999年~
ポストグランジの巨人ベンジャミン。
5thまでのすべての作品がゴールドディスク以上。(内2枚はプラチナディスク)
それもそのはず、どの作品も完成度が非常に高く、メロディーが豊かです。
このシブい声は日本だと微妙なのか、国内での人気はあまり高くないような気がしますが…
海外だと超メインストリームなバンドです。しっかりヘヴィだし、要所でスクリームもします。
ミドルテンポな楽曲が多いので作品のエンドロールや挿入歌にはピッタリ。(事実いろいろな作品に起用されている)
サウンドは、ほぼニューメタルなのですが、ラップはしないのでオルタナティヴメタルやポストグランジとしてジャンルは記載されます。(ラップorラップ調のボーカルはニューメタルにおいて重要な判断要素)
このバンドもcoldrainがラブ。
Linkin Park
1999年~(1996年)
21世紀最も売れたバンド。セールスの累計は1億枚を超えています。
日本国内でも最も有名なニューメタルバンドかもしれません。もしくは最も有名なメタルバンド、あるいは最も有名な洋楽バンドかもしれません。
ポップでキャッチーだけどメタルらしい重さも残した事により、幅広い層に受け入れられたバンドだと思います。
とにかくソングライティングスキルがエリートクラス。楽曲が無駄のない計算で構築されています。音がツボを確実に刺激してきます。
2人のボーカルによる静と動の棲み分けも見事ですが、特筆すべきはメインボーカルのChesterのボーカルスタイルです。
熱量の高いスクリームと透明度の高い歌心が同居したそのスタイルは、その後のボーカリスト達に多大なる影響を与え、基準点、高い目標になったのはいうまでもありません。
ラウドロックのバンドでもLinkin Parkへのリスペクトを表明しているバンドはたくさんいます。
エモ/スクリーモ、ポストハードコア(オルタナティヴロック)
-1990年代後半~2000年代初頭-
エモ/スクリーモとポストハードコアは、ほぼ同義語であり、音楽性の面でも共通となっています。
バンドによっては、さらなる大枠としてオルタナティヴロックでもある場合もあります。
注意しなければならないのは、スクリーモもポストハードコアも原初の音は、今日のそれとは大きく異なっている点です。
エモーショナルなスクリームと
キャッチーなメロディーをハイトーンのクリーンボーカルで歌上げる事が特徴のジャンルです。
ギターのリードやアルペジオのメロディーが特徴のジャンルです。
Underoath
1997年~
実は97年から活動しているのが恐ろしい…
最初期は、The Dillinger Escape PlanやConvergeのようなマスコア黎明期としての意味でのメタルコア、ニュースクールハードコアな音でした。
エモくなりだして評価され始めたのは、The Changing of Times(2002)くらいからなので、やや遅咲きのイメージがあります。
スクリーモの定義を決定付けたアルバムであるThey're Only Chasing Safety(2004)は、至極の名盤です。
ドラムがクリーンパートを歌っちゃったり、ギターがパーカッションしたりと色々多彩過ぎるバンドな上に、高い演奏力と暴れまわるブチ切れ具合。
ライブパフォーマンスから溢れ出るパッションは見てる側もアツくなります。
Lostprophets
1997年~
ラウドロックど真ん中の音楽性が特徴です。
このバンドを聴き込めば、初期のcoldrainやONE OK ROCKとの類似性や共通点を簡単に発見できると思います。
日本国内での人気・知名度は凄まじく、それ故に影響度も非常に高いバンドとなっています。
初期は歌モノのニューメタルといえる音楽性でしたが、
3rdアルバムLiberation Transmission(2006)あたりからエモ/スクリーモ寄りな楽曲が増えて行った様に思います。
ニューメタル期もラップはほとんど無く、スクラッチ音と縦ノリがあるくらいの限定されたニューメタル要素が存在する程度となっています。
Start Something (2004)は、サウンドプロダクションも100点の超名盤です。
メタルの重さも併せ持ちつつ、ブリティッシュロックな香りもするハイブリッドサウンドが当時は斬新でした。
他に類を見ないヤバい理由で解散しています。ご自身で調べてください。苦笑
Trapt
1997年~
音楽性はポストハードコアの要素を持つオルタナティヴロックという感じです。
縦ノリで癖の少ないボーカルに比重を置いたサウンドは、ある意味で初期の国内ラウドロックのサウンドに一番近いバンドかもしれないと考えています。
Pay money To my Painが好きな方には是非聴いてもらいたいバンド。絶妙にKさん(Vo)が作りそうなメロディーです😊
Hoobastank
1994年~
Hoobastankはエモ/スクリーモというより、オルタナティヴメタルやポストグランジという形容の方がしっくりくるバンドです。エモさはありますけどね。
ヘヴィさや激しさは抑えめで、メロディーの強さからか、国内での知名度も高いと思います。ラウドロックど真ん中なサウンドです。
結成は1994年と早いですが、デビューアルバムHoobastankが2001年リリースなので、実質00年代のバンドのイメージですね。
Finch
1999年~
ポストハードコアという音楽性を定義付けたバンドでもあります。
この頃のポストハードコアは、
ニューメタルよりも歌に重きを置いており、
ヘヴィな縦ノリやラップが無い点などで違いを明確に判断できます。
しかし、Finchに関しては、ニューメタルとも親和性が高かった事が伺えるサウンドだと思います。
昔からエモくなったDeftonesみたいだなと思っていましたが、それもそのはず!!
Finchの前身バンドはDeftonesのカバーバンドだったそうな。ダウナーな雰囲気がDeftonesに似てると思います。
激情のスクリームとクリーンパートのギターフレーズなどが、より感情に訴えかけるようなサウンドになっており、
その手法は、その後のスクリーモに引き継がれる事になります。
What is it to Burn(2002)は、初作にして歴史に残る名盤です。
The Used
2000年~
Finchと同時期に出現し、同じく初期的なポストハードコアバンドです。
他のエモ/スクリーモに比べパンキッシュなサウンドですが、
不協和音のコード感や絶叫するボーカルスタイルはその後のスクリーモバンドの雛型。
スクリーモ特有のピッチがユルい泣き叫ぶようなボーカルスタイルも、この頃くらいにジャンル:スクリーモ内で定着したように思います。
ビジュアルもThis is Screamoですね。
Funeral for a Friend
2002年~
ここに上がってるバンドの中では最も初期のエモらしい、何処か素朴で憂いに満ちたバンドサウンドです。
聴いた瞬間に好き!!ってなるようなサウンドというよりも、ジワジワと味が出て来るスルメ感のあるバンドだと思います。
地味めというか、湿り気のある音作りなど随所にイギリスみを感じられるのも大きな特徴です。(そこが大好きなんですが)
でもギターのフレーズセンスはピカイチです。
Silverstein
2000年~
後述のStory of the Yearと同じく直球な楽曲が多いバンド。
エモらしい憂いのあるサウンドとパンキッシュさがいい塩梅で混ざっています。
時期によっても多少の音楽性の変化はあるものの、ボーカルスタイルなどは一貫しているのが推せるポイントでもあります。不変の良さ。
Story of the Year
2002年~(1995年)
絶対の熱量と疾走感が持ち味。
同系統のバンドの中でもズバ抜けてメロディーセンスがあると思います。楽曲同士で似通ったメロディーが無いのも重要ポイント。歌メロは相当練っているか天才のどちらか(多分両方)
僕らの大好きなバンド。くろちゃんは全てのクリーンボーカルの基準点がDan Marsala(Vo)並みにグッと来るかで判断してしまう程。
そしてアスリート並みのライブパフォーマンスは圧巻。
パンキッシュで勢いのあるサウンドですが、メロウな歌声とメロディーはLinkin ParkのChester Bennington(Vo)に通じるものを感じます。
楽曲もド直球なものが多いので初心者にも勧めやすいバンドかもしれません。
改名前を含めた活動期間は1995年からと古いですが、デビューはPage Avenueの2003年となっています。
超絶キャッチーなのでStory of the Year型のラウドロックも多いです。
SAOSIN
2003年~
スクリーモの最終形にして完成形とまでいわれたバンド。
ボーカルの在籍期に応じてAnthony1期、Cove2期と分けられたりもします。(Anthony3期、Cove4期もあるのがコワイとこ 笑)
エモい歌といえば、全世界の総意としてSAOSINのハイトーン。それが共通認識だと思います。
なので、全世界に数多くのSAOSINの影響を受けたアーティストがいます。SAOSINの登場以降、SAOSINタイプのハイトーンスクリーモバンドが量産されました。
クリーンギターとアルペジオの美麗さとボーカルのハイトーンの組み合わせが美しすぎます。そして痺れるかっこよさなギターリフ。
メタルリフをハイポジションや高チューニングで弾いているので実質メタル(嘘)
エモ/スクリーモは、パンク派生のジャンルなのでシンプルなバンドが多い中、ドラムが複雑というのも最終形と評価された理由かもしれません。
Blessthefall
2004年~
スクリーモでありポストハードコアでありメタルコアであるのがBlessthefall。
His Last Walk(2007)の時期は、スクリーモといえる音楽性で
Awakening(2011)は正統派なリフモノメタルコアで
Hollow Bodies(2013)~Hard Feelings(2018)は、刻みと電子音が主体のモダンなメタルコア/ポストハードコアで
全期間クリーンボーカルは、エモ系といった感じです。
何かのオリジネーターというより、トレンドをしっかり昇華させる秀才といった印象です。
Blessthefallは僕らを含め当時のキッズの間で絶大な支持を得ていました。
Sleeping with Sirens
2009年~
スクリーモムーブメント第2波で出現したバンド。ギリギリ2009年なのでこの章で紹介します。
SAOSINライクな突き抜けるハイトーンボイスで一躍注目を浴び、日本国内のバンドたちにも大きな影響を与えたバンドだと思います。
特にLet's Cheers to This(2011)収録の"If You Can't Hang"のイントロに代表される系統のリフは、多くのバンドに引用されています。
この系統のリフはSAOSIN登場周辺のタイミングから既にあり、厳密にはSleeping with Sirensが開発したリフではないです。しかし、国内ラウドロックのメジャーな引用元としてはここだろうと思います。
ここで理解して頂きたいのは、誰の専売特許でもなく、
この系統のリフの原産地がエモ/スクリーモあり、輸入品である事です。
このリフの影響は国内ラウドロックにとどまらず、邦ロックやアニソンにまで伝播しました。
モダンなポストハードコアに代表されるチャグ要素も飲み込み、現代ラウドロックのサウンド≒ニューコアを速い段階で鳴らしていたバンドでもあります。
ラウドロックの夜明け
-2000年代~2000年代末期-
ラウドロックとは?
ラウドロックは、メタルやハードコアとはまた異なる音楽ジャンルという意味合いで、サウンドが重くて激しい音楽を包括した概念です。
英単語「Loud」の意味は、(音、声などが)大きい、強く響くという意味があります。
ジャンルとして語源については、
SUNRISE TO SUNSET / From here to somewhere(2024 DVD&blu-ray)にてタナケンさんが命名者だったという件があります。
その命名の動機は、既存のメタルとも違う別の価値観をヘヴィミュージックシーンに定着させて行く事になります。ここがメタルとラウドロックの分岐点だったように思います。
前述のニューメタルの章で紹介しましたが、国内のヘヴィなバンド=ラウドロックというイメージが定着するまでは、
ラウドロック≒ニューメタルでした。
それ以前の世界戦で身近なところでラウドロックというジャンル名を目にする機会は、
ディスクユニオンでデス/ブラックのコーナーの一番最後にLOUDというコーナーがあったくらいでした。
この出自からも分かるようように、当初はバンド側の音楽性やスタンスというよりも
メディア側のイメージ戦略、マーケティングとしての側面が強い言葉であったと思います。
「新進気鋭のメロディックエモショーナルメタルコアバンド」
みたいな文言で売り出すより、ラウドロックとしてまとめてしまった方が明らかにキャッチーですからね。深い意図があったというよりも、ラウドロックシーン自体がまだ存在しない、これから作って行くという意味合いが大きかったんだと思います。
イメージという点では、主に激ロックなどの音楽メディアがラウドロックという言葉を推進させ、概念を浸透させていったという経緯があります。
ラウドロックオンタイム世代である僕ら個人としても、
ラウドロックという言葉は、やや後付け感を感じています。
当時も初期的なラウドロックバンドに「これがラウドロック」だという実感はなく、
「どうやら最近の重くて激しいバンドはラウドロックというらしい(???)」程度の認識レベルでした。
またヴィジュアル系と同じく、アーティスト側がラウドロックというラベリングを拒絶している場合もあります。(これは世の常)
このようにラウドロックは、メタルとは確実に別物として認知を浸透させていった歴史があると思います。
とはいえ、今日のラウドロックの発展を考えると、シーンの選択としてラウドロックいう新概念、新たな価値付けを打ち出した事は、素晴らしい戦略かつ判断だったのは疑う余地はありません。
ラウドロックの拡散/浸透①
激ロックというメディア
2007年5月21日設立された、国内外問わず主にメタル/ヘヴィミュージックを紹介するメディア。
この"国内外問わず"というところが意外と重要だと思っています。
激ロックの分け隔てない紹介方針は、僕らを含む当時のキッズたちの洋楽邦楽関係なく聴くマインドが養われた一因ではないかと思います。
激ロックというネーミングセンスからも分かるように、メタルと限定しない幅広さを含んだ意味合いがあると考えています。ラウドロックの語源と似てますね。(広さとボーダーレスの強調)
そして、激ロックこそがラウドロックという単語を世に浸透させた張本人だとです。間違いなく。
数多くのヘヴィでアグレッシブなバンドが、紙面やWeb記事でラウドロックと形容されていました。
激ロックから発行されているフリーペーパーによる情報拡散も見逃せないです。EAT MAGAZINEなどラウドロックを取り扱ったメディアはそれまでも存在していましたが、無料だったのはデカいと思います。確実にラウドロックの拡大に繋がっています。
タワレコで必ずもらっていた人も少なくないはず。特に好きなバンドが拍子の時は!!
僕らの当時(2010年前後)のディグスタイルは、ほぼネットになっていましたが、それでもカラーページがたくさんある紙のメディアはワクワクしたし、貴重でした。
僕らは紙媒体と電子媒体の狭間の世代なので…笑
VAPというレーベル
VAPは、coldrain、Fear, and Loathing in Las Vegas、GUNDOG、Pay money To my Pain、マキシマム ザ ホルモンなど数多くのラウドロックアーティストらが所属していたレコード会社です。前述のタナケンさんも元VAPの人。
上記のアーティストのタイアップからの認知度拡大もVAPの手腕によるものだと推察します。特にアニソンタイアップによるラウドロックの認知の広がりは、凄まじいものでした。
主に深夜アニメの枠でヘヴィなバンドたちがOP EDで流れる事で話題性を呼び、認知度が爆発して行きました。
2000年代後半当時、映像サブスクもなかったので、個人での選択権はそこまで広くなく、ある程度共通の話題ってものがあったんですよね。
「あのアニメの主題歌やばくね!?」みたいな感じで。
Pay money To my Pain
2004年~
ラウドロックの始祖と認知されています。(後付けの側面が強いが)
しかし、ラウドロック始祖でありながらも、音楽スタイルは特異。典型としてのラウドロックから一番遠い場所に位置するのがPay money To my Painであるというのが僕らの見解です。
This is ラウドロックな定型・テンプレサウンドの枠には、決して収まりきらないオリジナリティ溢れるスタイルが特徴です。
類稀な音楽センスからブレンドされた自由なスタイルは、後のラウドロックシーンの音楽性を決定付ける事になりました。
超激しいメタルらしい楽曲もあれば、スクリームを一切しないソフトでエモーショナルな楽曲もあるといった具合です。
PTPがこの自由さを打ち出したからこそラウドロックはジャンルの制約に縛られない自由なものになったと考えています。
ラウドロックのパイオニアとして認知されているPTPの楽曲をジャンル毎に要素分解してみました。僕らの価値感で分類してます。
基本、ジャンル=PTPとしか形容できない曲がほとんどです。「あえて分けるなら」くらいに考えてください。
"Out of my hands"とか何ですかあれは。わけが分かりません。
【ニューメタル曲】
"From here to somewhere"
PTPの楽曲の中で最もニューメタルみを感じる楽曲。しかもエモ寄り。ポストグランジっぽさもそこはかとなくあります。
イントロのリズムは意外と他のアーティストでも耳にするものですが、
オリジナリティにより既視感を払拭しています。
特にイントロのリードギターが独特なセンスですね。
"Unforgettable past"
ヘヴィロック代表と言わんばかりのイントロのリフ。でもヘヴィロックより少しメタリック。(このニュアンスが伝わる人はいるんだろか…)
ひたすらツーバスフレーズで突進して行くのもメタルチックな特徴です。
間奏のハイピッチなスネアの音には、聖なる怒りを感じますね。
"Train"
どちらかというとオルタナっぽい曲だとは思います。
サビのフックの作りやメインリフに少しニューメタルっぽさがあると思います。個人的に。
【ラウドロック曲】
"Respect for the dead man"
0:33~に登場する禁じ手の如くあらゆる楽曲に存在しなかったSilpknotのようなラウドロックリフを珍しく使用している曲。
ラウドロックの始祖でありながら、This is ラウドロックな楽曲は、実はこれのみだと考えています。
横ノリで突っ込んでいくゴリ押しな全体のリズム構成からのしっかりとしたサビらしいサビが来る流れは、まさにラウドロックの典型。
"Butterfly soars"
全体がバウンシーなリズム構成な楽曲。ハネまくり。
イントロから続くヘヴィなリフはラウドロックといって遜色ないと思います。
でもAメロのドラムはオシャレでダンサブルなビート…ここらへんのひと味違う所がいかにもPTPらしいです。
"God drive"
イントロのリフは2010年代以降のラウドロックらしい(SAOSIN直系)のリフ。
とはいえ安直な引用という感じではなく、しっかり練り込まれたフレーズとなっています。
”Invisible night ~murderer~”
0:33~1:15のリフにラウドロックを感じます。
2:15~ハネ感あるビートとヘヴィでシンプルなリフもなんともラウドロック。
【ハードコア曲】
"Against the pill"
イントロから2beatとコード弾きなハードコアノリ全開な曲。
AメロではGUNDOG時代のKさん(Vo)を想起させるラップ調な歌い回しも確認できます。
"Lose your own"
イントロから2beatとコード弾きなハードコアノリ全開な曲。これをハードコアといわずして何をハードコアとするのか…
楽曲中盤でビートダウンさながらのダウンパートが来ます。
"The sun,love and myself"
イントロはマスコアのような混沌としたブラストビートから始まり
ブラッケンドでダークなパートになだれ込み
キャッチーなフックと2stepを挟んで
後半は超加速の2beatとコード弾きなハードコアスタイルでたたみかける。
嵐みたいな楽曲。
"Position"
コード感がとてもハードコア。
ツッコミ散らかした2beatとボーカルのライブ感が特徴です。
"Greed"
ツッコミ具合は"Position"を上回る楽曲。
BPM概念のユルさがハードコアのそれ。
後半にだんだん速くなるという曲展開があります。
【メタル曲、メタルコア曲】
"Black sheep"
イントロからメタリックなリフ全開の曲。
Aメロの歌い方にそれとなく古き良きオールドスクールメタルの風味を感じます。
"Paralyzed ocean"
PTPの公式バンドスコアでPabloさん(Gt)が「全部ダウンで弾け」って言ってたのでメタルです。
リフ自体は、よく聴くとすこーしだけSystem of a Downっぽかったり。
なのでラウドロックだともいえなくない。
"Atheist"
イントロからメタルコアライクなリフワークが炸裂する曲。
サビの裏では薄っすらシンセ音が聴こえてきます。
ほんの少しだけ2010年代の電子音トレンドを意識した作りとなっています。
楽曲中盤では、メタルコアで頻出する刻みもあります。
"Wallow in self pity"
イントロからメタルコアらしいブレイクダウンの手法が使われています。
でも単に刻むだけではなく、刻みの間にコードを挟むこだわりっぷり。というか捻くれっぷり。
アウトロでは刻みの間に泣きを挟むバージョンに味変。
この曲からもテンプレにはならんという強い意志を感じます。
後半(2:02~)では、ヘヴィでシンプルなリフと横ノリでラウドロックらしい要素も入ります。
"Truth fragile"
珍しくメタリックなリフが全体に渡って登場する曲。ずっとリフ。
楽曲中盤(1:30~)には極悪なブラストビートとトレモロリフも顔を覗かせる。
【オルタナティヴロックな曲】
"Close the door"
この暗すぎず明るすぎずな雰囲気がオルタナらしい曲。
一瞬入るギターソロもなんともオルタナっぽいと思います。
"Anxiety"
アトモスフェリックなギターワークとベースグルーヴが特徴ある曲。
PTPの楽曲の中でも不思議な曲だと思います。
不思議はオルタナ。オルタナは不思議。
"Bury"
前半は明る過ぎず暗すぎずで、ソフトさを保ったまま進む曲。
中盤(2:01~)からのヘヴィになる展開は、メタル文化圏のセンスではなく完全にオルタナのそれ。
"Hourglass"
珍しくオルタナらしい気怠さを含んだ曲。
なんか和風。
"All because of you"
コード感がオルタナなですよね~
気を張りすぎない良い意味でのルーズさがあるボーカルも良いオルタナポイント。
【エモーショナルなバラード曲】
"Home"
カントリーな雰囲気が漂うエモーショナルなバラード曲。
ゴリゴリでヘヴィなバンドがこんなムーディーでソフトな曲をやってよいんだと驚いた記憶があります。
本当に名曲だと思います。同時にラウドロックの表現にルールは無い自由なものだと決定付けた楽曲だと考えています。
"Same as you are"
"Home"に続いてのPTPのアルバムやEPの後半に神バラードが来るお約束となった曲。
映画のワンシーンのような味わい深さと
優しさに包まれるようなソフトなチルさ。
僕は、アイコンタクトの後にクラブから外へ抜ける男女の姿がワンシーンとして浮かびますね。しかもスロー再生(笑)
"dilemma"
神バラード第三弾。
最高のアコースティックギターに加え、グロッケンのドリーミングな音、Kさんの優しい歌声が涙腺を刺激してきます。
"Voice"も間違いなく神バラード第四弾だったと思うと複雑な気持ちになりますね。
"OUT OF MY HANDS ~REVIVAL~"
原曲が神曲なのにバラードアレンジしたらそれも神曲になった曲。
原曲はわりと元気さもありますが、アレンジverはエモさに振り切っています。歌メロは変わっていないのに、全く違く聴こえる不思議。
"BURY ~REDEMPTION~"
原曲と違った名アレンジが光る曲。
原曲よりさらに悲壮感が増しています。
Kさんは音源でビブラートをあまり使わないイメージがありますが、この曲では貴重なビブラートを聴く事ができます。声が震えるとこちらの感情も震えます。ビブラートも技巧というより感情表現の一つとして入れてる感ありますね。
Supe
2000年~
PTPと共に国内ラウドロックの礎を築いたバンド。盟友。
PTPが好きな人は是非ともSupeも併せて聴いて欲しいものです。
国内での活動よりもアメリカでの活動をメインに行っていた為か非常に情報が少ないです。
ボーカリストのKihiroさんがアメリカで幼少期を過ごしていた事もあり、日本人離れしたメロディセンスと芯のある発声が特徴。アクセントとして使う強烈なシャガレ声も武器です。
楽曲のスケール感も壮大で砂漠地帯の陽炎が脳裏に浮かびます。
音楽性を一言でいえば、アメリカのヘヴィロックそのもので、
オルタナティヴロックやニューメタル色が強く、いわれなければ国内のバンドとはわからないかもしれないですね。
国内ラウドロックシーンは、意外と直輸入系のヘヴィロックが主流にならなかったのも興味深い点です。(でもSupeは直輸入系…というか輸入はされてないんだけども)
https://open.spotify.com/playlist/3qITfVUdtFtBwlxwQyHecc?si=b35a50b5ab034e58
FACT
1999年~
カテゴライズ不可なバンド。
先に海外で評価され逆輸入のようなフローで国内でメジャーデビューし、人気爆発した稀有な存在でもあります。
1stアルバムNever Turn Out the Light to Keep Myself(2005)時点では、ラウドロックの要素は薄く、エクスペリメンタルでカオティックかつ、超高速で目まぐるしく変化する楽曲が特徴でした。
疾走感はメタルらしい心地よさもあり、パンク・ハードコアのスピード感でもあります。"Standing There"が大好き。
メジャーデビューアルバムFACT(2009)の頃は、CDの帯に“エモーショナルスピードメタル”と表記されていた記憶があります。
オリジナリティの塊のようなバンドですが、特にギターリフの独創性は目を見張るものがあります。"stretch my arms"は宇宙。
正直、FACT(2009)時点では、"a fact of life"以外は、キャッチーさという点でまだラウドロックとはいえない楽曲が多いと思います。
ラウドロックと形容するには、テクニカルで難解な曲展開が多いです。その難解な楽曲の中でもボーカルのキャッチーなメロディーが耳に馴染んだ成功例だと思います。
"a fact of life"は、間違いなくラウドロック史に刻まれた名曲です。
ダンサブルで型破りにキャッチーなラウドロックサウンドは、その後も洗練され続けIn the blink of an eye(2010)に完全に完成されています。"slip of the lip"は、その代表例だと思います。
マキシマム ザ ホルモン
1997年~
活動開始は1997年からと古いですが、1stアルバム耳噛じるが、2002年リリースなのでこの章で紹介とさせて下さい。
こちらもカテゴライズな不可バンド。
本人たちがラウドロックと名乗る事もなければ、ホルモンがラウドロックだという話題もあまり聞きません。
曲中で全く別の曲になるタイプのジャンルミックススタイルが特徴です。なのに謎に1つの曲として成立している不思議。
ジャンルミックスの引き出しの多さは、音楽への深い造詣と分け隔てなく何でも好きで吸収する雑食性があります。
そして、アンテナ感度が異常。アンダーグラウンドからメジャーまで掘りまくって聴いているのが、インタビューや着ているバンドTシャツから分かります。今でこそシーンのアイコンとなったBMTHのチェックの早かったこと。
日本国内では、いわゆるデスボイスをお茶の間に届けた先駆者でもあります。間違いなくホルモンが、この歌唱法を一般認知させています。
ある意味でメタル、パンク、メロコア、J-POPなどをごちゃまぜにして全てを地続きにした功労者なのかもしれません。
それもあってか人気と知名度が非常に高く、
2000年代初頭当時でも学校の友達の間では、
メタルは知らないけど、ホルモンは知っている状態がありました。たぶんそれは今も変わらないと思います。
アニメ「デスノート(2006年)」の"What's up,people?!"と"絶望ビリー"にてその地位を確固たるものしたイメージがあります。(当時、学生だった僕らの肌感として明らかな爆発感があった)
コミカルな側面も多いですが、演奏力はバケモノ…
HIGH and MIGHTY COLOR
2003年~
とにかくアニソンのイメージが強い。
出て来た当初は、メジャーな音をしたミクスチャーバンドという印象でした。ただ、普通にドギツいスクリームやラップは、入ってましたが。
女性ボーカルという事もあってラウド成分が、かなりマイルドにローカライズされています。
ラウドロック史の中では、かなり早期なバンドとなりますが、その後のラウドロックがアニソンと非常に近いものになって行く事を鑑みても、ラウドロックといって遜色ないと思います。
しかし、今の時代になってMVを観るとなんだろう。このavex臭は(笑)
PRIDE(2005)、一輪の花(2006)は、この手のジャンルを聴かない方も知っている曲ですよね?(圧)
一方でメインに女性ボーカルを据えた事により、(これはあくまで想像の域を超えないですが)
本来やりたかったメタルサウンドから大きく離れてしまった事が長続きしなかった理由かもしれません。
アルバムを聴き込むと分かるんですが、シングル曲の歌メロ作りのクオリティとアルバム曲のクオリティに大きな差があります…
HEAD PHONES PRESIDENT
2000年~
当時は女性ボーカルラウドロックバンドの代表格だった記憶があります。
バックサウンドはメロデスなどからの影響がかなり強い一方で、
ボーカルのANZAさんがミュージカル出身というのも相まって、かなりシアトリカルな印象を与えるというのが新しいアプローチの仕方でした。
2008年のIn This Mormentの来日サポート、LOUD PARK 08への出演にて、
より知名度を上げるきっかけになってます。
DRIVE FAR
2002年~
エモ、ポストハードコア、ポップパンクなどの要素が強く、ボーカリストのJulienがフランス人なのも相まってボーカルラインは洋楽ライクな作り。
パチンコ蒼天の拳とのコラボで一般の耳にまで届いた事により、一定の知名度があるバンドでもあります。
“Thrust of God”と“Blazing Circle”はタイアップソングならではの疾走感があり、間違いなく名曲。
是非、旧譜も併せて聴いて欲しいです。
fade
1991年~
活動開始は1991年ですが、1stEPのリリースが2003年なのでこの章で紹介します。
メンバーに幼少期をアメリカで過ごした人物が居るなど、グローバルなメンバー構成で本格派なサウンドが武器でした。
一時期は後述のcoldrainと二大巨頭感も実はあったんですが、
アニメ「デッドマン・ワンダーランド(2011)」のOPで注目はあったものの、
ブレイクスルー仕切らずに解散してしまった印象…
スクリーモとニューメタルを巧みに融合したLostprophetsライクなサウンドは、どこか懐かしさもありめっちゃ好きでした。
NEW BREED
2003年~
忘れられてはならないラウドロックバンドNO,1。
エレクトロ×メタルコアの融合を行ったのは、どのアーティストより早かった気がします。(海外を除く)
作り込まれた電子音とメタルコアサウンドのコントラストは、今なお色褪せないハイクオリティ&ハイセンスだと思います。そして歌メロの突き抜けたキャッチーさ。
Crossfaithがリスペクト先として名前を上げるなど、ラウドロックシーンへもたらした影響は計り知れません。
ROACH
2003年~
沖縄の伝統音楽×ハードコア×ニューメタルな音楽性。
ミックスのバランス感でいうとレーベルメイトのMUCCあたりに近い印象を受けます。
一方で沖縄特有のラテンなどともまた違う陽気さが持ち味で個性です。
もう一つ特筆すべき文化圏としての大きな特徴は、反戦や自由、人間愛などをテーマにした楽曲が多い事です。
作品を重ねる毎に沖縄感は減衰し、賛否や好みが分かれる部分もあるかもしれないです。
DAZZLE VISION
2003年~
初期はヘヴィ寄りなオルタナティブサウンドでスクリームもほぼ無く、アニソン感が強かった印象です。
to the next(2010)くらいからスクリーム比率も増え、楽曲自体も不協和音を多く使う重めなスクリーモサウンドに進化を遂げています。
活動歴で最後のリリースとなるFINAL ATTACK(2014)からはエレクトロ要素も吸収し、音楽性としても間口を広げるアプローチだったように思います。
女性でここまでスクリームするボーカリストも今ほど当時は多くなかったので、国内ではパイオニアとしての立場でもありました。
TRIBAL CHAIR
2004年~
バッキングはメタル、スクリーモで、歌メロはJ-ROCK/邦ロックな雰囲気が特徴です。
あまり良い例えではないかもしれませんが、THE BACK HORNがもっとメタル化したようなサウンドだと思います。
アニメ「蒼天航路」で"909"が起用されていたのと、
アニメ「ONE OUTS -ワンナウツ-」で"Moment"が起用されていました。
ちなみにアニメ「ONE OUTS -ワンナウツ-」ではPTPの"Bury"も起用されていましたぜ。
COUNTLOST
2004年~
ヘヴィさもそこそこに、海外のエモの影響を強く感じるバンドです。
10年前のMVのTAKUTOさん(Vo)のルックスは、エモの申し子みたいで最高です。
そこ以外でもPRSとWarwickという竿の組み合わせが郷愁を誘います。あの頃~
これは思い出ですが、2010年代に入りYouTubeがバンドのプロモーションとして公式で使われるのが本格化していた時分、ネットの海に潜っていた時に発見したバンドです。
Conception Complex
2005年~
元GUNDOGのMZKさん(Gt)率いるラウドロックバンド。
PTPを彷彿とさせるボーカルラインも目立ちますが、どちらかというとメタリックなリフワークがふんだんにありメタリックハードコアの側面も強いイメージ。
1stアルバムTripple Dealerのリリースが2012年というのもあり、時代性を意識したモダンな作風に仕上がっています。
現在も活動中のバンドではあるがリリースなどが無いのが悲しい所ではあります。
UPLIFT SPICE(THE MUSMUS)
2005年~
オメガリズム(2009)頃までは、J-ROCK/邦ロックに近い音楽性だったと思いますが、
Memento(2010)からは、エモ/スクリーモを基調としたラウドロック的音楽性へ一気にシフトした印象があります。
ØØØ(2013)ではブラストビートまで入る始末🎉
SAOSIN、THE USEDなどのサポートアクトも務めていたり、邦ロックシーンやメロコアシーンというよりラウドシーン寄りな存在だと思います。
あと女性ボーカルです。トレブリーなクリーンボーカルとワードを執拗に繰り返す歌唱法は好みが分かれそうですが、くろちゃんとしては中毒性があって好きです。ライブ見に行ったくらいには。
High Speed Boyz
2008年~
元Pay money To my PainのギタリストJINさんが、ボーカリストとして在籍するバンド。
GreeeenのHIDEさんの実兄でもある事から、HIDEさんと非常に声質も似ており、人懐っこいメロディが特徴です。
ラウド成分はほぼ無く、ポップでカジュアルでメジャー感が強い楽曲が多いです。
特筆すべきは、エレクトロ要素をいち早く取り入れていた事です。
やはり音楽プロデューサーがバンドをやるとここまで音質が良くなるのかというのを体感させられるサウンド。
BLOOD STAIN CHILD
2002年~
登場時も現在も、活躍・所属するシーンは、ラウドロックシーンというよりジャパニーズメタルシーンである印象が強いです。
しかし、非常に早い段階で後の時代に登場するトランスを中心としたピコリーモに近い音像を打ち出していたのでこの章で紹介させて下さい。
初期はChildren of Bodom直系のメロデスサウンドでしたが、MOZAIQ(2007)くらいから徐々にトランスなどの電子音を取り入れ、Sonic Syndicate系のメロデスサウンドに進化を遂げました。
進化の変遷でいうとIn Flamesなんかにも近い気がします。
メンバーもかなり入れ替わってるので、それに伴い音楽性が変化しているのかもしれません。
活動後期になるとメロパワ要素が強くなり、2024年リリースのCYBERIAはもはや湾岸ミッドナイト化してますが、今後どういう進化を遂げるか楽しみでもあります。
ネオ・ヴィジュアル系
-2000年代~-
90年代にジャンルとして栄華を極めたヴィジュアル系でしたが、
00年代初頭は一瞬氷河期が訪れます。
しかし、その後すぐにネオヴィジュアル系の登場により雪解けが起こりました。
ネオヴィジュアル系という世代での括りは、メディアのキャッチコピーとしての側面が強いと考えられます。(ラウドロックと同様)
アーティスト側の見解およびスタンスとしては、
ネオヴィジュアル系世代特有の音があるわけでもなく、
シーンにネオヴィジュアル系としての一体感があったわけでもありません。
当時(僕らは中学生くらい)
既にヴィジュアル系にどっぷりだったのですが、ネオヴィジュアル系という括りは、後付け感と違和感が凄まじかったのを覚えています。
しかし、メディアのそういったプッシュがあった事もあり、00年代のヴィジュアル系は、
インディー/メジャー関係なく90年代程ではないものの、なかなかにバブリーな状態だったと思います。
アリス九號.、シド、ナイトメア…などなど数多くのバンドが商業的成功を収めました。
驚くべき点としては、これらのバンドがごく普通にスクリームする事です。
大きなムーブメントとなったネオヴィジュアル系世代ですが、
ヴィジュアル系御三家(蜉蝣、ムック、メリー)は、ネオ世代の中でも一際異才を放っていたと思います。
このあたりのバンドは、大好きなのと思い入れもありとても語りたい、リアルタイム世代なのでそれなりに語る事ができるのですが、
やはり本記事はV系の歴史ではないので、一部を除き泣く泣く割愛させて頂きます。
V系ラウドロック
-2000年代~-
00年代のヘヴィミュージック動向は、地下の領域でラウドロックの原石が輝きつつあったものの、それらの存在は知る人ぞ知るものに留まっていたように思います。
暗くて激しくて暴力的な音楽性を聴きたい中学生はどうしていたか???
その多くはヴィジュアル系を聴いていたと思います。
海外のメタルとV系を一緒に聴いている人も多かったのではないかと思いますね。
ネオヴィジュアル系の内部派生のサブジャンルとしてV系ラウドロックが登場してからは、
・ジャパメタやパワーメタルからの流れを汲むヴィジュアル系と
(摩天楼オペラ、Versailles、D、NoGoDなど)
・ニューメタルから影響を受けたV系ラウドロックに
別れたイメージがあります。
※別れたといっても二分化されたという意味ではありません。
そもそも重くて激しい音楽性ではないヴィジュアル系もこの世代には、たくさんいますし、
2000年代以降のヴィジュアル系に限らず、ヴィジュアル系は元来、様々な音楽スタイルを持つジャンルとなっています。
DIR EN GREY
1997年~
V系ラウドロックのパイオニアだと思います。
※90年のバンドですが、音楽性がラウドロック寄りになったのは2000年以降なのでこの章で紹介します。
ヘヴィで洋楽ライクな雰囲気をもったV系ラウドロックという点では、同ジャンルのどのアーティストよりも早い時期にその影響を先駆として作品に落とし込んでいたと思います。
海外ラウドロックの影響は確かにあるものの、独自の美的センスとジャパニーズホラーのような多湿な窒息感のある世界観構築は孤高感を放っています。ボーカルの表現力の多彩さがオリジナリティをより強固なものにしています。
初期こそV系らしい音楽性ではありましたが、ラウドロックの要素が見え始めたのは、six Ugly(2002)あたりからであり、
4thアルバムであるVULGAR(2003)で、V系ラウドロックのお手本は完成されています。"audience KILLER LOOP"、"THE IIID EMPIRE"、"蝕紅"、"DRAIN AWAY"…などのミドルテンポの楽曲は、ニューメタルの影響が見て取れます。"CHILD PREY"は、ヘヴィなリフワークが非常にラウドロックな楽曲です。
Withering to death.(2005)では、それまでの活動の集大成のような品質で到達点を迎えました。"THE FINAL"は、DIR EN GREY流のニューメタル曲/オルタナティヴメタル曲として捉えています。
僕らの見解では、THE MARROW OF A BONE(2007)の時期が最もラウドロックらしかったと考えています。特に"THE DEEPER VILENESS"は、冒頭からラウドロックリフが炸裂し、突進するリズム構成がラウドロックど真ん中といえるナンバーです。
その後、UROBOROS(2008)ではプログレッシブ要素を導入した事もあり、作品の奥深さを高めました。UROBOROSがDIR EN GREYの最高傑作だと捉えているファンもたくさんいます。作品全体は難解で複雑で表層はプログレッシブメタルのそれですが、
"冷血なりせば"の後半(2:27くらい~)には、ラウドロックらしい強烈な縦ノリがあります。
そのお手本は、作品として優れていたために大量のフォロワーを排出したのは後の歴史の語るところ。
The GazettE
2002年~
おそらく、ネオ世代で最もヒットしたバンド。
90年代のV系の音楽性と00年代のV系の音楽性を繋ぐ存在だと思います。
大日本異端芸者「ガゼット」時代は、ヘヴィさもそこそこに独自の音楽世界を表現していましたが、
キングレコード移籍後のNIL(2006)からは、洋楽ライクなヘヴィさが顕著になり、
STACKED RUBBISH(2007)では、ミドルテンポなグルーヴを抑える曲も増え、さらにヘヴィロックみが増強されたと感じています。
"FILTH IN THE BEAUTY"は、ニューメタルとR&Bを世界基準で早期に融合させたという点で重要な楽曲だと思います。
その後もその音楽性は大きくブレずに進化して行きますが、大日本異端芸者時代のある種のクドさの域まで達しそうであった歌謡曲のようなメロディー感が失われてしまったのが、個人的には残念なポイントです。
良くも悪くも薄味で僕らがいう耳に張り付くようなウザメロはなくなってしまった感😂
MUCC
1997年~
90年代後半から活動していますが、1stアルバムである痛絶が、2001年リリースで、2003年の"我、在ルベキ場所"でメジャーデビューなのでこの章で紹介します。
昭和歌謡、昭和フォークソング×ニューメタル、ラウドロックという特異で唯一無二の個性を持つバンド。
歌メロに昭和歌謡曲みがあり、
バックサウンドはニューメタル直系のヘヴィさがあります。
特に"絶望"、"悲観主義者が笑う"、"誰も居ない家"、"空虚な部屋"などの楽曲は、Kornをはじめとするニューメタルからの影響を強く感じる楽曲です。しかし、影響といっても露骨な引用ではなく少々インスパイアされている程度であり、MUCCには揺るぎないオリジナリティがあります。
"蘭鋳"、"茫然自失"、"濁空"、"幻燈讃歌"、"懺把乱"などの突進系ラウドロックナンバーも魅力の一つです。
呪言のようなラップともつかない言葉の羅列と
ヘヴィでグルーヴィなギターリフと
バキバキのベースが織りなす縦ノリが最高です。
初期の楽曲は、そういった黒々しい救いのない閉塞感のあるサウンドをV系のサブジャンルである「密室系」として形容されていました。
極彩(2006)の頃になると"謡声"のような底抜けに明るい雰囲気の曲もありますが、全期間に渡りサウンドのヘヴィさは保ち続けています。
この時期からは、ボーカルのスタイルに大きな変化があり、V系の特有のボーカルの粘度は下がり、もはやヴィジュアル系なのか判断しかねる程に素直で素朴で親しみやすい歌い方に変化しています。
完全にムックというスタイル、ジャンルを完成させていると思います。
雰囲気の明暗は、活動時期や楽曲によっても様々に変容しますが、ノスタルジックな哀愁も常に存在し続けています。
"ガーベラ"や"最終列車"は、昭和歌謡×ヘヴィネスサウンドのクオリティが最高到達点にある珠玉の名曲です。
文学的で解釈に深みのある歌詞も最高です。
かと思えば、フォークソングへのリスペクトなのかDNAなのか、
V系でありながらも飾りすぎない等身大で小市民的世界観をもったストレートな歌詞もあります。"昔子供だった人たちへ"とか泣いちゃうよね…😢ヴィジュアル系の歌詞で「逆上がり」とか「駄菓子屋」とか出てくると思いませんよね。だがそれが良い。
メタル性においては、ニューメタル以外にもメタルコアからの影響を感じる楽曲も存在しているのが興味深い点です。
"嘆きの鐘"、"チェインリング"、"咆哮"、"Ms.Fear"、"B.L.U.E 〜Tell me KAFKA〜"、"零"などの楽曲が、メタルコアっぽいですね。
特に球体(2009)はヘヴィでメタリックなアルバムになっています。
DEATHGAZE
2003年~
一般的な知名度は低かれど、海外のラウドロック×ヴィジュアル系の音楽性を非常に早期に行っていたバンドだと思います。
個人の調査結果となりますが、DIR系統ではないV系ラウドロックのパイオニアだと思っています。
特にSlipknotからの影響は強いです。強すぎるまであります…
特筆すべきは、そのエクストリームさでしょう。
同時期のバンドには無いエクストリームさがあります。
ドラムトリガーをバチバチにかけたバスドラム連打のサウンドメイクとブラストビート。
そしてV系のアイデンティティであるクリーンボーカルを自ら消失させたスクリームオンリーの楽曲は、高速ナンバーも数多く存在しおり、メタル魂を感じますね。V系の枠を超えようという意思も受け取れます。
genocide and mass murder(2006)は、そんなメタル魂の詰まった意欲作です。
とはいえ、V系らしいクリーンボーカルのメロディがある曲もたくさん存在します。クリーンボーカルのメロディに謎の童謡みがあるのが良いポイント。
学生時代にメタルとV系を特に垣根なく聴いていた僕らは、とても好きなバンドでした。ライブにも行ったなぁ。
メンバーチェンジが非常に激しく、特にボーカルの歌い回しが人員変更ごとに変わるのでなかなか取っつきにくいです。あと原曲を聴き込み過ぎていて再録verが、個人的にあまり好きではないという難しい問題があります。
藍さん(Vo)がボーカルになってからは、サブスクでも聴けますが、それ以外の作品は入手困難な音源だらけで試聴ハードルが高いのが、悲しいところです。
最初期には、lynch.の葉月さん(Vo)が在籍していた事でも知られています。
直樹さん(Dr)は、DEATHGAZEの後にDEXCOREにも加入していました。
girugamesh
2004年~
我らが千葉のバンド。そして青春。
前述してきた初期的なV系ラウドロックバンド群の中でも最もラウドロックらしいバンドだと思っています。
特に歌メロのキャッチーさは、V系のなかでもレベチで、もはやアニソンです。
左迅さん(Vo)のヌケ感のあるストレートな歌い方も相まってよりアニソンです。
彼らは、メロディ作りにおけるポップセンスがズバ抜けていると思います。
活動初期こそヘヴィさは少なめでしたが、1stアルバム13’s reborn(2007)では荒削りではあるもののラウドロックとV系ロックの融合が既に始まっています。
gravitation(2014)、鵺-chimera-(2016)では、モダンメタルコアやDjentのエッセンスも感じられ、
ヘヴィミュージックのトレンドを常にひた向きに学習・咀嚼して、自らの音楽性としているバンドだと思います。本当に重くて激しい音楽が好きなんだろうなぁと…しみじみ。
girugamesh の"bit crash"は、THE MAD CAPSULE MARKETSの"Bit Crusherrrr"のリスペクト、オマージュなんでしょうか?😊
Яyoさん(Dr)はサウンドエンジニアとしても活躍されおり、その手腕は確かなもです。手掛けた作品は、めちゃくちゃ音が良いです。
セルフプロデュースで再録したベスト盤であるLIVE BEST(2014)は、当時のバイブスはそのままに、サウンドクオリティの大幅アップと良アレンジが成されています。初心者の方は、ここから聴いてみると良いかと思います。
lynch.
2004年~
V系ラウドロックの代表バンド。
00年代の海外のラウドロックと90年代のV系が巧みにミックスされた音楽性が特徴です。総合すると「ヘヴィなロック」という形容がしっくりきます。
本人たち曰く、自らの音楽性を「V系ともラウド系とも思っていない」そうですが、まさにそれらの中間に位置している音楽性だと思います。
イントロ→A→Bは、ヘヴィなバンドサウンドでゴリ押して、サビでⅤ系にガラッと変わるといった具合の楽曲が多い印象です。
とはいえ葉月さん(Vo)は、インタビューや対談などでラウド、ラウドロックというワードを能動で使っているイメージはあります。
ヴィジュアル系シーンとラウドロックシーンの間に存在する「壁」についても、度々言及しています。
僕らとしては、今現在はそういった壁は、ほぼほぼ無いと思っていますが、当時は悩んでいたようですね。(とても分かります…故にYouTube活動の初期は、一切V系を取り扱っていませんでした)
その悩んでいたエピソードは、Pay money To my Painの映像作品であるSUNRISE TO SUNSET / From here to somewhere(2024 DVD&blu-ray)でも話されていました。
クリーンボーカルのスタイルは、
一聴してV系と分かる粘度の高い低音の響き、ビブラートを強調した歌い方、特徴のあるファルセットなどがしっかり存在しています。
そして、メロディー作りには童謡感…というか謎のジブリ感があるんですよね。これは今もある要素です。
僕らのようなメタルサイド側に属する?人間からの視点だと、他の同系統のバンドの中でもスクリームのスキルレベルが群を抜いていると思います。その安定感と歪みの粒立ちのコンプレッション具合は一級品。
おそらくLUNA SEAあたりから来たであろうエモさは、活動初期から持ち続けていました。初期の楽曲だと"Anemone"、"From the End"、"above the skin"…などが往年のV系らしさのある曲だと思います。
2010年以降の"A GLEAM IN EYE"、"LIGHTNING"、"PHOENIX"…などの楽曲は、もっと直にスクリーモの影響を感じます。(初期のLiberation ChordにはUnderoathも感じたりするけど)
ここでいうエモさとは、主にギターの美しいクリーントーンの意味です。
これはlynch. に限った話ではないですが、この時期のV系ラウドロックというカテゴリは、Slipknotの影響が非常に強いと考えています。とくにギターリフに関してです。どのバンドも必ずといってよいほど9人組リフが存在します。
lynch. でいえば初期の楽曲に限定されますが、"a grateful shit"、"enemy"、"pulse_"…など楽曲でそのリフ感を確認する事ができるでしょう。
ニューメタルの影響もはやり色濃く、初期でいえば"Ecdysis"、Forgiven、"quarter life"などで、ラップこそはいらないもののニューメタルらしい縦ノリを確認できます。
と思っていたら、FIERCE-EP(2024)では、ラップチックなバイブスのスクリームを披露しています。
V系(50%)+ラウドロック(50%)な楽曲は、lynch.の持ち味であり、挙げたらキリが無いレベルですが、
"I’m Sick, B’cuz Luv U."、"Adore"、"XERO"…などがその代表曲だと思います。そして、その持ち味が到達点を迎えたのが"Evoke"だと思っています。
「どれから聴いたら良いか分からない」って方は、10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST(2015)がオススメです。
D'espairsRay
1999年~
ゴシックなコンセプトに特化している事が特徴のバンド。
結成は1999年ですが、1st EPのリリースが2004年なのでこの章で紹介します。
同世代のV系ラウドロックバンドが、ニューメタルの影響が色濃いのがこの時代の特徴ですが、
D'espairsRayは、そこまで露骨にニューメタルではなく、ヘヴィではあるものの、むしろゴシックロックやインダストリアル要素が強いと思います。
それは作品を聴けば一目瞭然で、ハイクオリティで様式美のある電子音やシンセやストリングスやピアノの旋律などが、冷たくダークな世界観を構築しています。
邦ロックライクな4打ちのノリを上手く使っている点が興味深いポイントです。ダンサブルなニュアンスじゃないのが特に。
あとギターのウワモノと音作りも世界観に非常にマッチしており、それが多いのも推せるポイント。
活動初期から海外でのライブを行っていた事もあり、海外にも多くのファンが存在しています。
2006年のWacken Open Airにも出演していて、この年の国内アーティストはD'espairsRayだけだったそうな。
12012
2003年~
活動初期から一定の激しさヘヴィさはあったのもの、
V系ラウドロックに近い音楽性だったのは、インディーズレーベルに所属していたUNDER CODE(通称:地下線)時代の後期だったと思います。
アルバムでいうとPLAY DOLLs(2006)やnot obtain+1(2006)の時期ですね。
同系統のバンドのなかでも、ミドルテンポの楽曲を得意としておりニューメタルをしっかり踏襲しつつストーリーテリングによるコンセプト&世界観がしっかり作りこまれています。
この時期はサイバティックな雰囲気もあって好きです。
特に海外のニューメタルには、必ずといっていいほど存在するジャンルのマスト要件な冷たいギターのウワモノがあるのもGOOD。
そういった意味では、V系の中でもニューメタルへの理解度と咀嚼度合が高いと思います。一定のオリジナリティが担保された状態で、スクラッチ音やラップ調のスクリームを入れるバンドは、以外に少ないので稀有な存在だと思います。
"hermit"、"my room agony"、"icy〜cold city〜"、"newspaper"、"vomit"、"SICK"、ナイフ…などの楽曲は良曲かつ極めてニューメタルらしいですね。
メジャー移籍後は、ヘヴィさは中心ではなくなり、シングル"CYCLONE"からは、GLAYのようなポップロックな路線に音楽性を変化させていきました。
と思ったらSEVEN(2010)でヘヴィ回帰してました。
12012(2012)、DEICIDA OF SILENCE(2013)、THE SWAN(2013)、XII(2014)では、メタルコアリフありきでゴリゴリに刻むし、Lowグロウルもバンバン出てきてます。"業"という曲では、ブラストビートもあったりエクストリーム。
ここまでエクストリームでメタルじゃない時期の方が好きだったなぁという主観。というかディルライク過ぎてコメントしにくさもあり…
Sadie
2005年~
DIR EN GREYのヘヴィ化を皮切りに、二次発生のV系ラウドロックバンドが亜種としてのバリエーションを持ってヴィジュアル系シーンに肩摩轂撃の如く、大量に登場しました。
時の流れの必然か、そういったバンドは自然淘汰されて消えて行きました。(この記事では、それらの消失については言及しません)
そういった状況の中でもSadieはサバイブした数少ないバンドの一つだと思います。
とはいえ音楽性には、問題点も多く、手放しに推せない理由があります。
それは、ヘヴィミュージック好きであれば、瞬時に気が付くレベルの露骨な引用が多く散見される事です。リフにも物足りなさもあります。
「ボーカリゼーションに既視感がある…」
「System Of A Downの"Suite-Pee"だ…」
「Mudvayneの"Determined"だ…」といった具合に…
これらの指摘に当人側が自覚があったかは定かではないですが、
2023年に再結成した際には、多くの楽曲がReRECされリファインされており、露骨さは影を潜めて味変に成功しています。
覚えて口ずさみたくなるメロディーセンスは、同系統のバンドの中でも異彩を放っているのがサバイブした理由だと思います。
DELUHI
2006年~
V系ラウドロックのムーブメントも終息を迎え始めた00年代後半、超絶技巧を取り入れたエクストリームなサウンドで登場したバンド。V系ラウドというよりはV系メタルと呼ばれていたような記憶があります。
特にギターがテクニカル極まっており、サビのアニソン具合のミスマッチさが、良いギャップとなっています。
ドラムもエクストリーム。今となっては当たり前の技法ですが、DEATHGAZE以降久しぶりにヴィジュアル系シーンでブラストビートを聴いた思い出。
中でもLedaさん(Gt)の実力は、確かであり数々の作品とアーティストでサポートワークと作曲の実践があります。有名どころだとBABYMETALの作品で編曲やギター、ベースを弾いている事で知られています。
後にDjentyなサウンドのFar East Dizainというバンドを結成しています。
HYDE
2001年~
L'Arc〜en〜Cielのボーカルであるhydeさんのソロ。
1stアルバムであるROENTGEN(2002)こそソフトな作品だったものの、666(2003)やFAITH(2006)は骨太でヘヴィなロックサウンドとなっています。
くろちゃんは、初めて自分から求めて聴いたバンドサウンドが666だったので、非常に思い出深い作品です。「HELLO」で音楽に「こんにちは」しました。と鉄板ネタとして繰り返してます(笑)
あの中学生の時には、ここまで音楽を好きになり、一生の趣味になると思っていませんでしたね。音楽鑑賞の楽しみを原体験として教えてくれたHYDEさんのソロとラルクには感謝しかありません。
FAITH以降は、作品のリリースはしばらく空白となっていましたが、ANTI(2019)でヘヴィなロックという音楽性から、よりラウドロック~メタル寄りな音楽性に変化しています。
また、Oblivion DustのギターであるK.A.Zさんと結成されたVAMPSもラウドロックとして語られます。
メロコアシーンとの合流①
-2000年代~-
Hi-STANDARDを筆頭に90年代にムーブメントとなったメロコアでしたが、2000年代に突入するとシーンにもアーティストのサウンドにも変化が訪れます。
そのシンギュラリティはELLEGARDENが行ったものと考察します。
既存のメロコアサウンドとは、別のアプローチを行いその地位を確固たるものにしました。
90年代のHi-STANDARDがメロコアムーブメントと起こし、大量のフォロワーを生み出したと同じく、
00年代のELLEGARDENも数多の下の世代への影響力とフォロワーとを生み出しました。
90年代後半から00年代初頭にかけての時期は、海外だと丁度ポップパンクのムーブメント
The Offspring、GREEN DAY、Blink-182、SUM41、Yellowcard…などがその代表例です。
また、これらのバンドの中には、既存のバンドよりヘヴィでメタリックなアプローチを行っていた事もラウドロックサイドからの観点からも重要です。当然、00年代の国内のメロコアバンドも海外のポップパンクからの影響を受けています。
ラウドロックというジャンル自体がそういったエモ、スクリーモ、ポップパンクも含んでいると思っています。
ELLEGARDEN
1998年~
我らが千葉のヒーロー。というか僕ら世代のヒーローですね。
オンタイム世代の僕らとしていえるのは、彼らの存在はあまりにデカいかったという事です。
90年代におけるバンドブームは主にヴィジュアル系の影響によるものでしたが、00年代のバンドブームの大きな要因は、ELLEGARDENだったと思います。今アラサーの軽音部の部員の大半がエルレのコピーバンドをやったことでしょう。(それ以外はBUMP OF CHICKENかASIAN KUNG-FU GENERATION)
そんなELLEGARDENですが、それまでのメロコアの流れとは全く異なるシーンから別の文脈を持った音楽性で突然変異で登場したバンドです。
バツグンのメロディーセンスとシンプルイズベストな楽曲でキッズの心を鷲掴みにしました。(されました)
重要なポイントとして、ELLEGARDEN はずっとインディーズだったという事です。インディーズながら超ヒットを飛ばし、インディーズシーンが更に拡大拡張した事も説明不要です。
前述のHi-STANDARDからの流れや
00年代のヴィジュアル系のシーンもそうですが、00年代はインディーズ全盛といえるでしょう。
ラウドロックからの観点でいうとELLEGARDENは明らかにメタル/ヘヴィミュージックの影響を受けています。まずは音が重い。そしてスネアがハイピッチ。
"Addicted"や"Snake Fighting"や"Space Sonic"や"Salamanderは、ニューメタルやエモやポストグランジの影響を感じますし、
"バタフライ"は楽曲もヘヴィでスクリームすら入ります。
"TV Maniacs"や"Fire Cracker"や"Gunpowder Valentine"は、メタル、ハードコアのヘヴィでアグレッシブな素養は感じつつも、アップテンポな仕上がり。
"Surfrider Association"、"Supernova"、"Make A Wish"、"Red Hot"、"BBQ Riot Song"などの楽曲はメロディックハードコアを土台にしています。特に2beatが。でもメロコアセオリーなドタータドタータの2beatは使わなかったり、メタリックなリフがあったりして絶妙です。
HEY-SMITH
2006年~
メロコアを基調としつつもスカやヘヴィメタルも融合させたバンドサウンドが特徴です。
わりと本当にヘヴィでメタリックです。
HEY-SMITHがこの時期に最もパンクシーンとラウドロックシーンを接近させた存在だと思います。
その一例として、2012年には、SiM、coldrainとのトリプルヘッドライナーツアーであるTRIPLE AXE TOURを開催しています。
猪狩 秀平さん(Vo Gt)のYouTubeチャンネルのゲストの豪華な事!!おもろいっすよね。
waterweed
2003年~
こちらはもっとダイレクトにメタリックなバンドです。
特にリフはもうメタルといって語弊はないと思います。メタリックなリフ感は今でも健在です。
初期の作品ではスクリームも多く使用されています。
クリーンボーカルや疾走感は、メロコアの流れを確実に汲んではいますが、とても鉄。
1stEPKilling the earth means our suicide(2007)は、ほぼFACTのような口当たりで、非常におすすめです。
SHANK
2004年~
高速2beatと哀愁あるコードと歌メロが特徴だと思います。
メロコアど真ん中な音楽性なので、
ラウドロックとは関係ないんじゃない?と思うかもですが、
"BASIC"などの楽曲のリフに見られる鉄分を私は見逃さないッ!!
あと意外にラウドロック系統のフェスにも頻繫に出演しています。
Meaning
2004年~
単にハードコアパンクバンドとして紹介される事が多い印象ですが、
メタル性も確実に存在しています。
スクリームも多用されており、リードギターやメタリックなリフもたくさん入るところにメタル性がありますね。あと結構メタルコアの刻みも入ります。
ELLEGARDENの高田雄一さん(Ba)が、所属している事でも知られています。
J-ROCK/邦ロックとの合流①
-2000年代~-
ラウドロックの隆盛と共にいわゆる邦ロックのカテゴリに属するアーティストの中にもヘヴィなアプローチをする現象が多くみられるようになって来ました。
アニソンとラウドロックの相性が良すぎたのか、アニソンならヘヴィでスクリームもありだったのか今や知る由もない…
しかし、事実としてラウドロック要素のあるアーティストの中でオーバーグラウンドしたものは、アニソンタイアップを経験しているという興味深い共通項があります。
インディーズシーンでは、残響レコードというレーベル名から冠された残響系なるカテゴリ、ムーブメントが興った事も興味深いポイントです。他のジャンルと同じく、インディーズシーンが盛り上がっていた時期でもあります。
この章では、僕らとしては邦ロック扱いながらも重くて激しい音楽を紹介します。
UVERworld
2000年~
ラウドロックと語られることもしばしば。
ミクスチャーロックであるのは間違いありません。
常識として彼らがラウドロックだという評価もさることながら、
僕らがフラットな目線でラウドロックかの判断をしても、やはりラウドロックだと感じます。
正確にはラウドロックの要素を持っているJ-ROCK/邦ロックという評価です。
"激動"や"儚くも永久のカナシ"などの楽曲は、ラウドロックにしか聴こえません。"激動"に関してはギターのチューニングもダウンチューニングですし、ウワモノのリフもラウドロックですし、ツーバスフレーズも入ります。
本当に私事ですが、1stシングル"D-tecnoLife"の時点で、メタルだなと思ってました 笑
「Slipknotのライブに衝撃を受けた」とメンバーさんが話している事もあったり、メタル・ヘヴィミュージックへの造詣があるのが伺えます。
メタルファンに「一番始めに好きになったバンドは何か?」と質問すると高確率でUVERworldと返ってきます。(実体験)
やはりメタルからの連続性、メタルへの連続性は確実にありますね。
SPYAIR
2005年~
もともとゴリゴリでヘヴィなサウンドをメンバーが好んでいたらしく、ラウドロック要素が顔を出す楽曲も多い印象です。
ヘヴィさは抑えている印象はあるものの、フレーズ自体はメタルです。はいメタルです。
恐ろしいほどのタイアップ数で、アニソンのイメージも強いと思います。
凛として時雨
2002年~
テレキャスギターサウンドによるジャッキジャキなカッティング。スクリーモ、ポストハードコアに通じるテクニカルで独創性豊かなリフワークとアルペジオ。一瞬で冷たい空気を創造する空間系のエフェクト。
ハイゲイン&図太くでのたうち回るベース。
ハイピッチでハイサステインなスネア。固定観念にとらわれない深く練り込まれたドラムフレーズ。そこにねじ込まれるツーバスフレーズ。
ツインボーカルで織りなすハイトーンクリーン。時折、スクリームともつかない絶叫。
慌ただしく変化するプログレッシブな曲展開。
それらが合わさり轟音となっています。それが凛として時雨。
メタルやラウドロックとも少し異なった激しさを提示したバンドだと思います。
登場時にチェックした時は、サウンドが新しすぎて脳の処理が追い付かなかったのと、
良し悪しと好きなのかそうでないのかが自分では判断付かなかったのを覚えています。バンド名も新しすぎましたね。今では大好きっすけどね。
9mm Parabellum Bullet
2004年~
少し泥臭い邦ロックな歌メロがあるものの、バックサウンドはどこまでも激しくするバンドな印象。残響レコードに一瞬所属していた経歴あり。
曲によってはスクリームやツーバスフレーズが入ります。
和メロなリードギターもおもしろポイント。
絶妙に居そうで居ないライン。
cinema staff
2006年~
こちらも残響レコードに所属していたバンド。
メタル・ラウドロック要素はフレーズに少しだけ存在するかしないかレベル。
しかし、ライブだと結構スクリームしているのを確認しています。
アニメ「進撃の巨人(2013)」のイメージが強いっすね~
ROOKiEZ is PUNK'D
2006年~
楽曲はミクスチャーロックの要素の比率が多いですが、たまにヘヴィ。
やはりこのバンドもアニソンタイアップなイメージ。
アニメ「青の祓魔師(2011)」のOPだった、"IN MY WORLD"がリリースされた時には「う~ん★これはもはやラウドロックだ」と思いましたね。
海外ラウドロックの流入②
-2000年代後半~2010年代初頭-
メタルコア/ポストハードコア
00年代末期~2010年代初頭になると
00年代主流だったニューメタルサウンドをベースとしたものにメタルコアとポストハードコアの要素が加わって来ます。
国内のラウドロックも海外のメタルコアとポストハードコアのムーブメントに倣うようにサウンドを変化させたり、
海外のメタルコア/ポストハードコア直系のサウンドをもった新たなバンドが登場します。
最大の変化はEDMから影響を受けたエレクトロサウンドだったように思います。
細かい部分だと、この頃から国内ラウドロックにもブレイクダウンという概念を導入するバンドが増加しました。
代表例としては
coldrainのThe Revelation(2013)は、それまでのスクリーモ直系サウンドからメタルコアへ接近しています。
海外のメタルコア/ポストハードコアバンドの一例
The Devil Wears Prada,We Came As Romans,ASKING ALEXANDRIA,Attack Attack! ,Blessthefall,Memphis May Fire,Crown The Empire,Woe, Is Me…など
各バンドの詳細については以下の記事で解説していますので、興味のある方は「メタルコア第2世代/近代ポストハードコア(MC/PH)」の章もご覧下さい。
ラウドロック成熟期 ジャンルの壁の崩壊
-2000年代後半~-
この記事では、2009年をラウドロックが成熟期に達した年とします。
同時にラウドロックというジャンル名が定着したのも00年代後半頃だと考えています。
前章のラウドロック夜明けの時期のアーティストたちが、開拓したラウドロックの道を後輩に位置するアーティストが辿り、ラウドロックが更に盛り上がったのがこの2000年代後半~2010年代前半という時期です。
この時期は非常に不透明な時期でもあり、ラウドロックシーンというものは出来かけくらいのタイミングです。
後の時代から考証すると間違いなく成熟期ではありますが、
アーティスト側もファン側もラウドロックという概念が、イマイチ浸透仕切っていない状況だったと思います。
2009年~2011年にリリースされた作品は以下の通りで、ラウドロックファンであれば名盤として納得してもらえそうなラインナップだと思います。(この時期盛り上がってたな~と思ってもらえるはず…)
そしてラウドロック史の過去現在未来において重要な作品です。
・Pay money To my Pain - after you wake up(2009)
・FACT - FACT(2009)
・coldrain - Final Destination(2009)
・Crossfaith - The Artificial theory for the Dramatic Beauty(2009)
・MUCC - 球体(2009)
・lynch. - SHADOWS(2009)
・ONE OK ROCK - Nicheシンドローム(2010)
・Fear and Loathing In Las Vegas(2010)
・SiM - SEEDS OF HOPE(2011)
ラウドロックの拡散/浸透②
この時期より、大型フェスにラウドロックバンドの出演が徐々に増えました。
もとより音楽スタイルが自由だったラウドロックは、シーン間での異文化交流を経て、他ジャンルのファンも取り入れ、更に拡大して行きます。
今のTikTokのようなノリで当時のYouTubeで再生数が伸び、認知度が上がるという事が起き始めたのもこの頃。
また、公式側が広告プラットフォームとしてYouTubeを活用し始めます。
それに際してディグの方法は紙媒体やCDから一気にストリーミングメディアにとって変わりました。(ものの一、二年の出来事だった)
iPhone4が2010年6月24日に発売されたのも大きいです。
ちなみにその昔、YouTubeはスマホで普通にバックグラウンド再生できたんすよね。(笑) すぐに規制されましたが。
そのような時流もあり音楽情報へのアクセスも容易になりました。
スマホの一般化は、CD→ストリーミングメディア or MP3を確立しました。
あとは後の時代が語る通りです。(今はサブスク中心ですね)
ラウドロックの発展を支えたメディア
ZESTONE RECORDS
大阪を拠点とするレーベルであり事務所。
国内だとCrossfaith、CrowsAlive、KEEP YOUR HANDs OFF MY GIRL、NEW BREED、Survive Said The Prophetなどバンドが所属している。(いた)
you name itなるコンピレーションアルバムをリリースしていた事が、思い出深い。
礎-ishizue
大阪心斎橋アメリカ村に実店舗を構える国内海外のハードコア、エモ、スクリーモ、メタルコア、ポップパンクのCD/レコードショップ。
その名の通りインディーズバンドの礎になっている存在だと思います。
STMonline
当時を生きたキッズは、全員知っているであろうCDショップです。
インディーズを中心にヘヴィミュージックを通販していたWebサイトでした。
UIが秀逸でジャンル分けや紐づけが整理されており、モリモリ掘れた記憶があります。
僕らがやっていたバンドもここにCD置いてもらったな。ランキング乗ったのは良い思い出。
ネットの恐ろしい所ではあるが、確かに存在したはずなのに幽霊の如く消えてしまっています。今はブログが見れるのみ。
ネイバーまとめとかも跡形もなくなってるしね…(あそこからどれだけディグったか)
まだまだ会場限定販売の手売りが主流だった時代から一気にマーチにアクセスしやすくなった革命でした。
maxilla
maxillaは、東京を拠点とする映像制作会社。
YouTubeが720pのHD画質に対応したのは2009年。その後すぐに1080pのフルHDにも対応した時流の中、ハイクオリティのMVをクリエイトしている会社です。
とはいえ、今ほど映像制作のハードルは低くなく、高品質の映像を個人で作れるまでではなかったです。(今はもはや個人でもできる時代)
マキシラに撮ってもらうのは、当時のバンドマンたちの夢でした。(僕らももれなく)
coldrain
2007年~
ラウドロックシーンを牽引し続けてきたバンド。coldrainこそがラウドロックであるといっても過言ではありません。
かつ、ラウドロックというラベリングを拒絶しなかったケースでもあります。Masatoさん(Vo)もライブのMCでラウドロックとよく言っています。
初期はスクリーモ、ポストハードコアのジャンル要素が強かったです。
当時は「Story of the Yearみたいなバンドが日本にも表れた!!」とみんなではしゃいでいた記憶があります。
知ったきっかは、"Final destination"のMVをYouTubeでたまたま発見した事でしたね。(やはりYouTubeツヨシ) あの真下から撮った独特の画角も相まって強烈に記憶に残りましたね。
楽曲は登場時からハイクオリティで、
この手のジャンルの難しさ=「海外のバンドに見劣りすると国内のバンドは全く評価されない」に対して腕力・実力で蹴散らしていたと思います。
そういった本場感あるヘヴィネスと日本的センスの歌メロのキャッチーさが特徴だと思います。
前述の通り、The Revelation(2013)くらいからギターとドラムのユニゾンでの刻みを多く使ったBlessthefall型のメタルコア色が強くなっていきました。
特筆すべきは、ボーカルのMasatoさんの歌唱力がハイレベルで、他のボーカルを寄せ付けないポテンシャルを持っている事だと思います。
昨今は主催FESである「BLARE FEST.」を開催し、若手の発掘・フックアップなども行っており、ラウドロックシーンの拡大の大きな柱となっています。
Crossfaith
2006年~
coldrainとは逆に初期はメタルコア色が強く、独創性の核となる要素としてシンセサイザーを使用していましたが、活動中期以降はラウドロックの要素が強くなっていきました。
とはいえ、ラウドロック化したのもメンバーのバックグラウンドにニューメタルがあるので自然な流れだったように思います。
The Artificial theory for the Dramatic Beauty(2009)がリリースされた時の衝撃たるや。高クオリティ&高オリジナリティ。
非常に初期の段階のライブも見てますが、演奏力ブチヌケていて圧巻でした。当時のライブハウスでは完全無双状態。ぶっちゃけメンバーさんは同世代なので、プライドと自信をバキバキ破壊されましたね(笑) マジでモンスター若手でした。
ZION EP(2012)のリリースにより海外からも大きな支持を得て、国内での人気も拡大したように思います。
XENO(2015)では、ラウドロック色が一層強まりSlipknotライクなリフも使用しています。
登場時から国内での人気はかなりありましたが、音楽性がガチガチのメタルコアだった事もあり、早急に海外に出ていったバンドというイメージが強いです。一時期は、国内でのライブが、ほとんど無かったのも懐かしい。
挑戦し続ける彼らの姿勢は、確実に下の世代にも勇気を与えていると思います。言い換えると「国内で評価されなくても海外という選択肢がある」という事です。もちろん簡単ではありませんが。
これは僕らの感覚になりますが、Crossfaithの海外での成功は変に「売れ線になる必要はない」という認識を無意識下で集合させたと思うんですよね。
主催フェスである「NITROPOLIS」では親和性の高いアーティストを国内外から集め、自身のルーツを共有し彼らの世界観の構築を追体験出来るイベントとなっています。
SiM
2004年~
ラウドロック代表バンド。
ヘヴィミュージックを核にパンクやレゲエなどをジャンルミックスしオリジナリティに昇華しているバンドです。
一世代前のミクスチャーロック時代の音を正統進化させている感もあり、幅広い世代に支持されています。
SEEDS OF HOPE(2011)が、エポックメイキングな作品であり、"KiLLiNG ME"で一躍ラウドロック代表の地位まで上り詰めた思い出があります。
"KiLLiNG ME"を今一度聴いてみると、本当に良くできているなぁ~といった感想でラウドのツボを押しまくってくれる歴史に残る名曲だと思いました。
ツボ刺激だけでなくグルーヴの新しさもあり、キャッチーなんですが絶妙。
今でもバンドキッズにコピーされ続けていますしね。
2022年に"The Rumbling"が進撃の巨人で起用された事により、国内外のヘヴィミュージックファン以外にも注目を集めました。今ではもう"KiLLiNG ME"のバンドというイメージも塗り替えられたと思います。(キラーチューンを連発するのは容易い事ではないよ本当に)
主催フェスである「DEAD POP FESTiVAL」はジャンルの壁を壊す事を目的に開催しており、国内の注目アーティストを幅広く集め年々拡大するに至っています。
ONE OK ROCK
2005年~
今や国内を代表するバンドまで上り詰めたロックバンド日本代表格。
結成当初は邦ロックド真ん中な音楽性でしたが、Nicheシンドローム(2010)あたりから少しづつエモ、スクリーモに近い音楽性に変化していきました。
ラウドロックというより、今やロックバンド日本代表ですが,
たしかにラウドロックだったと思います。
スクリームもなかなかの頻度で入りますし、"Liar"などの楽曲ではツーバスフレーズも入っています。
35xxxv(2015)からは、洋楽ライクな曲作りと英詞も多く取り入れ海外でも評価されるに至りました。
映画「るろうに剣心」や「キングダム」などでタイアップされた事も後押しとなり人気・認知ともに不動のものとしています。
CORE TUBEの視聴者さんもワンオクから音楽を好きになったという方が非常に多いです。
Fear and Loathing In Las Vegas
2008年~
ニンテンドーバイブス強めの電子音を主軸としたエレクトロコアバンド。
疾走パートから4つ打ちのダンスビート、急下降のブレイクダウンなど、曲構成などはかなりカオティックでUnderoathや初期のAttack Attack!!からの影響を強く感じます。
特に大きな特徴なのは、クリーンボーカルのオートチューンMAX加工だと思います。
2010年代には数多くのいわゆるピコリーモバンドがいて、そして消えていましたが彼らは不変。というよりベガスという一つのジャンルになっています。
彼らもカイジやHUNTER×HUNTERなどのアニメタイアップで、一般認知を大幅に広げたイメージがあります。
AA=
2008年~
THE MAD CAPSULE MARKETSのメンバーである上田剛士さん(Ba)のソロプロジェクト。ソロプロジェクトでありつつも、初期からバンドサウンド主体です。
ヘヴィさは常にありましたが、パンキッシュでメロコア感もあり楽曲の上でもハッピーとダークが5:5くらいな割合だったと思います。
THE MAD CAPSULE MARKETSの頃からあったラウドリフとバキバキのハイゲインベースは健在。分かり易さ先行で9人組リフとか言ってますが、ラウドリフは上田剛士さんが開発確立してた専売特許みたいなところあります。
#5(2015)では極悪さが超増加して、それまではあまり見られなかったダブステップやハードコアテクノからの影響を感じる電子音が印象深い作品となっています。
初期の作品のゲーム音楽っぽさも好きです。
SWANKY DANK
2007年~
ポップパンク、メロコア、エモから影響されたガッツリしたロックサウンドとスッと入って来る歌メロが特徴です。
"Monster"では元Crystal LakeのRyoさん(Vo)がスクリームし散らかしていたり、
"Sink Like a Stone"ではMY FIRST STORYのHiroさん(Vo)がフィーチャリングしていたりします。
2018年にリリースしたシングル"Amazing Dreams"は、2010年代の定番のエモいリフも入っていってラウドロックナンバーとなっています。
HER NAME IN BLOOD
2007年~
初期はメロディックメタルコアを基調としたデスコア要素も併せ持つ音楽性でしたが、作品を重ねるごとにヘヴィメタル寄りなアプローチも増えていきました。
特にボーカルIkepyさんが“漢感”の強いクリーンパートを習得してからは、オールドメタルな表現が顕著になっていったように思います。
一方で初期の頃から時折顔を覗かせていたパーティー要素は要所で使われており、このダンサブルさあるのでHer Name In Bloodがラウドロックとされる一因だと思います。
NoisyCell
2007年~
正統派ラウドロックだと思います。
正統の中でもヘヴィミュージックの深い造詣と愛を感じる曲の作りにグッときます。特にピアノのキャラクターが主張しているのが最高です。
バラード作りのセンスもピカイチで"Last Theater"などで光っています。("Last Theater"はアニメ「デス・パレード」のED)
ちなみに1stEPのYour Hands(2014)は、Pay money To my PainのPABLOさん(Gt)がプロデュースした事でも知られています。
ブレイクスルー仕切らなかったのが本当に悔やまれます。
キバオブアキバ
2008年~
メタルコア、スクリーモ、エレクトロコアを土台としてコミカルなテーマがインパクトあるバンド。"君とアニメが見たい"の衝撃 笑
アニメ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2013)」のOPだった"私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い"が思い出深いです。
初期のBABYMETALとのコラボも有名かと思います。"いいね!"やド・キ・ド・キ☆モーニングが入ったBABYMETAL×キバオブアキバ(2012)なるスプリットシングルも出してます。
LOST
2008年~
一応、バンドの存在は1998年からあったようです。
2000年代後半の海外スクリーモを国内風に解釈したバンド。
FACTが国内で評価された後、それに続けとプッシュされていた記憶があります。
LOSTを皮切りに国内でハイトーン系クリーンボーカル&電子音という図式が増えていきました。
各種サブスクなどでは音源が公開されていないので、ZESTONEの公式YouTubeにて数曲が確認出来る程度となっております。" The Red Leaf "とか"New Game"とかナツいっすね。
Fear From the Hate
2008年~
もう一つのベガス。
登場時期がFear and Loathing In Las Vegasと被っていた事もあり登場のシーンはピコリーモが席巻しそうな勢いすらありましたね。
メタル・ヘヴィミュージックに固執しない自由なエレクトロ全開な音楽スタイルは、当時のキッズたちをブチアゲて躍らせていた記憶があります。
補足:メタルシーンとラウドロックの隔たり①
-2000年代~-
ラウドロックシーンとメタルシーンに厳密な境界はないと思われます。というよりヘヴィミュージックシーンの中で、オーバーグラウンドしたアーティストがいつの間にかラウドロックと呼ばれているという構造があると考えています。
この章では補足としてラウドロックに近いものの、メタル、メタルコアシーンに属していると思われるアーティストを紹介します。
Crystal Lake
2002年~
世界に羽ばたく
メタルコア畑でとれた国産の鉄宝。
国内メタルシーンを牽引するバンドです。
Into The Great Beyond(2010)までは、王道メタルコアサウンドでしたが、
Ryoさん(Vo)にメンバーチェンジしてからは、Limp BizkitのRollin’をカバーするなどラウドロックに近いアプローチもするようになりました。
間違いなくメタルコアバンドだとは思いますが、前述の通りメタルシーンからオーバーグラウンドしたバンドなのでラウドロックに混ぜ込まれる場合もあります。Wikiにも名前あり。
サウンド面でのラウドロック要素としては、
スクリームオンリーが主ですがキャッチーなフックがあったり、
ニューメタルにも通じる縦ノリバウンス系のヘヴィなリフとグルーヴがあるからだと思います。
"Hail To The Fire"、"Mahakala"、"Matrix"、"Ups & Downs"、"Mercury"…などの楽曲がその代表例です。
・エクストリームなスピード感
・鉄分過多なメタル泣きのリードギター
・ラウドにうねるリフとグルーヴ
・モダンな刻みとブレイクダウン
・たまにDjentyな音作り
という配合バランスは居そうで居ないライン。
世界で高評価されている稀有な存在でもあります。そして厳格系のメタルコアファンも非の打ち所がない高品質。
METAL SAFARI
2005年~
メタルバンドで相違ないと思いますが、そこはかとないラウド的キャッチーさがあるのです。
この印象は前述のSuns Owlに近く、海外のバンドでいうとChimairaのようなバランス感覚。
インディーメタルシーンの中でも突出した演奏力があり、
僕らも昔に数回ライブで見たことがありますが、演奏力・ライブ力がバチバチすぎて度肝を抜かれたのと同時に「すごすぎて怖ぇ…」と思い、逆に笑えて来るバグ感覚が発生したのを昨日のことのように思い出します。
もれなく洋楽厨だったティーンの僕らは、日本のメタルシーンのバンドのレベルの高さをこのバンドによって知らしめられました。このシーンでやっていくには、ここまでクオリティを上げねばならんのだ!!と。
ちなみにHiroさん(Gt)は、レコーディングスタジオSTUDIO PRISONERを2010年に立ち上げており、国内の数多くのメタルバンドが海外のサウンドプロダクション力に並ぶ高品質な作品をリリースしています。国内バンドの成功の裏にSTUDIO PRISONERあり。
ulma sound junction
2005年~
プログレッシブメタルバンドと呼ばれるにふさわしいテクニカルでアトモスフェリックで予測不可能なサウンドが特徴です。
沖縄県石垣島出身というバックボーンがそうさせるのか、
歌やギターメロディーから創造される雰囲気がどこか民族スピリチュアルで土着ネイチャーだと感じます。瞑想してるみたいに体にしみて来るメロディーなんすよね。でもサビが鬼キャッチー。
音源を聴いて一発でファンになり、ライブを見て上手すぎて驚愕しました。
カオティックながらも、もともとラウドロック的なキャッチーさはあったので、
最近メジャーデビューを最近果たしたこともあり、今後ラウドロックとよばれそうではあります。
BEFORE MY LIFE FAILS
2006年~
メタルコアサウンドを基本に少しサザンロックの要素が入ったり独自のヘヴィネスを追求するバンド。
クリーンボーカルは独特と言わざるを得ないので、好みが分かれそうです。
活動の初期にHER NAME IN BLOODとスプリットCDをリリースしており、当時は音楽性を近かったため両バンドはセットであるイメージが強いです。(ビフォアとハーネイムはキッズの義務教育だった)
Each Of The Days
2007年~
ガッツリ活動して時のバンド編成が、女性ドラマーとパーカッションが居る6人組という珍しい編成でした。
ラウドロックのWikiページにも名前がありますが、ジャスティスリフ搭載の王道なメタルコアだと思うので、この章で紹介。
結構エモめなアルペジオやコードがあったり、楽曲によってはクリーンボーカルで歌い上げるものもあるので、ラウドロックとされるのも納得ではあるんすけどね…笑
巻き舌スクリームがクセになります。
HEXVOID
2007年~
ニューメタルなのでラウドロックの方に入れたい気もしますが、僕らの謎のこだわりで、この章で紹介させて下さい。
シリアスなニューメタル曲もあればSystem of a Downのようなコミカルな曲もあります。
"Horizon Flare"がYouTubeから消えてしまったので、往年の名曲"Sign"を貼っておくことにします。
アニメ・オタク文化、ボーカロイド、歌い手との合流
-2000年代後半~-
アニソンとメタルの共通点は、あらゆる場面で指摘されており、一般論・常識の域となっています。
2000年代後半になるとラウドロックの波はDTM/DAWの普及による宅録・DIY、インディペンデント、同人的なアニメ・オタク文化にまで影響をもたらしました。
ラウドロックではなくメタル・ヘヴィミュージックとしての同人的な動きの代表には、Sound Horizon、少女病、Asriel…などなどがあります。
アニソンのタイアップは前述の通り、これまでもありましたが、
その領域(テレビアニメーション)とは異なる文化との合流があったように思います。もっと大枠でのアニメ的なものにラウドロックが伝播していったと考えられます。
この記事では非常に心苦しいですが、分かりやすさを重視するため、
本来複雑で実態を捉え難く、奥深いカルチャーであるものをアニメ・オタク文化と雑多にまとめさせて頂きます。
特筆すべきは、2007年8月31日に登場したボーカロイドの存在です。
ここで重要なのは、クリエイター→リスナーまで直結した構造をもっていたことです。それが意味するのは、自由と独創性が担保されたインディペンデントな世界であり、
好きなものを作る→良ければリスナーが聴いてくれる→再生が伸びて評価、知名度が上がる→歌い手(ボーカロイド楽曲を人間が歌う)というサイクルと構造をもたらしました。
その良きサイクルは、個人活動の領域を超え、ボーカロイドでの表現プラットフォームから多くの才能を世に排出しました。当時のプラットフォームはニコニコ動画ですね。
それまでバンドを組んでライブハウスで成り上がる
みたいなロールモデルとは別の選択肢が確立されたと思います。
ソーシャルメディアを活用してバズるというこの構造は、2020年代今現在でもより拡大して続いていると思います。
ゆよゆっぺ
2008年~
ボーカロイド×ヘヴィーミュージックの第一人者。
初音ミク×スクリーモ=ミクリーモなんて呼ばれてましたね。
メタルコア、ラウドロックをボーカロイドに翻訳したというレベルを遥かに超え、オリジナルな音楽を作っていたと思います。
ボーカロイドをスクリームさせたり、アルペジエイターを多用したボーカロイドらしい楽曲は新鮮でした。ここでいうボーカロイドらしいとは、人間の能力限界を遥かに超えるという意味です。超ハイトーンや歌メロの譜割りや打ち込みでしたか成しえないサウンドを指しています。
彼の作る作品は、国内で芽吹き始めていたラウドロックとは、また違った海外メタルコアシーンとラグなしの最先端のヘヴィミュージックでした。(造詣深い。めちゃくちゃ勉強しているのが分かる)
僭越ながら言葉選ばないと「コイツ…分かってるッッ!!」感がすごかったんですよね。
ゆよゆっぺさんはエモさにも非常にこだわりのある方だと、感じています。
とにかくジャンル:エモとしてのエモさがあります。
鬱P
2008年~
ゆよゆっぺと併せてボカロラウド系の二大巨頭。
ゆよゆっぺ=光だとするなら鬱P=闇な感じ。
こちらはよりラウドロックらしいと思います。
特にヘヴィでシンプルなリフと突進ゴリ押しなビートで展開される楽曲が、ラウド性に満ちています。
ヘヴィでかっこいいリフの宝庫。
ボーカロイドにラップさせているのが限界突破していて非常に面白いです。
2015年からは自身がベースとして所属しているバンドおはようございますを結成して活動しています。
Unlucky Morpheus
2008年~
メロスピかメロデスかヴィジュアル系かラウドロックのどれに入れるか迷いました。
同人作品東方Projectの楽曲アレンジカバー、DTMでの音源制作が主な活動である音楽同人サークルとしての背景を持っています。
シンフォニックでダークファンタジーで荘厳な世界観とサウンドが特徴です。あと超絶技巧でエクストリームでもあります。
だいたいの楽曲はメタルなんですけど、2024年リリースの"世界輪廻"なんかにはラウドロックみもあったりします。
ナノ(nano)
2012年~
ラウド系の歌い手は数多くいる中、代表として紹介。
バイリンガルというバックボーンを活かした「英訳してみた」で認知を得た人物です。
こういうところにもラウドロックの持つ「本場感がないと絶対NG」みたいな当時の空気感を思い出します 笑
活動初期は性別はおろかプロフィールのほとんどを公開していなかったんですよね。(歌声が良すぎてどうでも良かったが) 今でいうAdoさんみたいな感じでした。
MY FIRST STORYとコラボしていたり激ロックで取り上げられていたり、なにかとラウドロックシーンに近い方。もちろん数々のアニソンタイアップもあり。
自身のYouTubeチャンネルでアニソンとは何かを解説する動画がめちゃくちゃ面白かったんですが今は見れません…
1stアルバムnanoir(2012)では、ボカロの名曲である"Just Be Friends"をCrossfaithライクな解釈・アレンジしていたり興味深いです。
LiSA
2005年~
アニメ「Angel Beats!(2010)」で登場した時から、歌唱法にパワーポップを感じていました。それもそのはず、Love is Same Allというバンドをやっていた頃はポップパンクやパワーポップやエモから影響された音楽をやっていました。一瞬でLiSAさんだって分かるので聴いてみて下さい。
力強い張り上げ系のハイトーンはそれまでの国内におけるボーカリゼーション常識を破壊したと思っています。
アニメ「Fate/Zero」などでスマッシュヒットをかまして、その後もアニソンを歌い続け、
アニメ「鬼滅の刃(2019)」のOP"紅蓮華"にて
Queen of Anime Songとしての地位を不動のものにしたと思います。
ラウドロック脳の僕らには、"紅蓮華"がニューメタルにしか聴こえないです。ヘヴィ★
abingdon boys school
2005年~
T.M.Revolutionの西川貴教さんを中心に結成されたバンド。
ラウドロックに混ぜ込みたいくらいラウドロックだと思っています。しかし、アニメとの結び付きが強いのでこの章で紹介します。
ラウドロックもアニソンも分かりすぎています。ハイクオリティ。
ヘヴィさツーバスフレーズは、ガンガン使われてます。
"HOWLING”(2:43~)はブレイクダウンまで入る始末!!
そして突き抜けるパワフルでキャッチーなボーカルが最高です。
解散や活動休止は明言されていませんが、ガツガツ活動していた期間が短かったのがとても残念なところ…
リリースがコンスタントであれば、当時のようにアビングドンにアニソンが席巻されているはずです。
妖精帝國
1997年~
バンドの歴史としてはとても長いですが、
認知度が上がったのはラウドロックが一般化し普段ヘヴィミュージックをそれほど聴いていない層への受け入れ態勢ができた2010年代に入ってからだったように思います。
ちょうどアニメ「未来日記(2011)」のOPだった"空想メソロギヰ"くらいからだったように思いますね。
コンセプチュアルな空気MAXのゴシックメタルサウンドが特徴です。
EGOIST
2011年~
アニメ「ギルティクラウン(2011)」に登場するヒロインの、楪いのりがボーカルを務める架空のアーティストグループとして結成されたEGOIST。同作の主題歌・劇中歌を担当しています。
あまりに楽曲が良かったこともあり「ギルティクラウン」の世界だけに留まらず、一作品のために架空で用意したプロジェクトというレベルを超越して、現実のプロジェクトとして活動を継続させていった経緯があります。個人的に「ギルティクラウン」が、アニメとしては全然良くなかったので、「この最高な音楽もったいねーな」と思ってましたね。
別のアニメである「PSYCHO-PASS サイコパス(2012)」のEDに"名前のない怪物"がなってたりします。
プロデュースは、ボカロプロデューサーとしての出自を持ち、数々の名曲を作っているsupercellのryoさんが行っています。
ちなみにsupercellは、ryoさんをコンポーザーとして中心にイラストレーターやデザイナーなどが集ったクリエイター集団(同人音楽サークル)です。
EGOISTは、バチバチヘヴィな低音と
空間を切り裂くような高音のシンセリードを効かせた本格EDMサウンドと
ギターとピアノをフィーチャーしたサウンドが特徴だと思います。そして艶やかなウィスパーボイスが最高。メロディーが良いのは、もはやいうまでも無し。
楽曲を聴き込んでいるとバスドラムの作りに対して「あれ…これハードコアテクノとメタル好きな人じゃね?」とニヤケてしまいます。
"The Everlasting Guilty Crown"、"名前のない怪物"、 "Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜"など名曲だらけですが、モストラウドロック曲である"Fallen"を貼っておきます。
GRANRODEO
2005年~
声優としても活躍しているKISHOW(谷山紀章さん)とミュージシャンであるe-ZUKA(飯塚昌明さん)の音楽ユニット。
メタルを基調としつつミクスチャー精神で幅広い音楽ジャンルを取り入れ、総合してラウドロックサウンドになっている音楽性です。
ただ、ボーカルの特性上、聴き心地としてはヴィジュアル系っぽさもあるかと思います。
当然といえば当然ですが、恐ろしいアニソンタイアップ数!!
OLDCODEX
2009年~
声優である鈴木達央さんとペインターであるYORKE.さんがいる珍しい構成の音楽プロジェクト。
GRANRODEOとセットで語られるイメージがあります。
どことなく泥臭さも残したシンプルで力強いロックサウンドが特徴。
スクリームやエモ系のフレーズも入るのがラウドロックらしい。
補足:アニメ×ラウドロックの広がり
上記2つのアーティストが、声優が行っているラウドロック的な動きの代表だと思いますが、2019年にはGYROAXIAなるラウドロックプロジェクトまであります。
ヒプノシスマイクはヒップホップをアニメに落とし込んだニュアンスですが、GYROAXIAはラウドロック。(記事の構成の都合上、GYROAXIAの紹介は省きます🙇♂️)
ラウドロックもここまで来たか~って感じですね。
肌感としてはラウドシーンとアニメ×ラウドロックのファン層には絶妙に隔たり・分断があると思っています。あとライブやフェスでも出演者としてあまり被らないイメージですね。
ん~アニメなどから入った方もメタル・ヘヴィミュージックまで辿りついてくれると良いんですけどね。
また2024年には、BanG Dream!(バンドリ!)のプロジェクトであるアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」の楽曲もラウドロック方向というよりメタル方向ですが、ヘヴィミュージックとして大きな注目、話題を呼んでいます。
エモ系の方向だとMyGO!!!!!も同じ文脈。(MyGO!!!!!は2022年~)
さらなるラウドロックの隆盛
-2000年代末期~2010年代以降-
ラウドロック成熟期とあえて分ける必要はないとは思いつつ、僕らの感覚としてどうしても、前期後期といった具合で分けたいと思うアーティストをこの章で紹介します。
ラウドロック成熟期は前期で、こちらの章が後期ですね。
数年の違いではありますが、前期でガツンと盛り上げた組とその後に出てきたバンドとでは何かが違う…
ちなみサウンドの変化はそこまでないので、マジで僕らの感覚としてという話になります。
あえて違いを上げるなら、後期組は日本語詞も使うようになって来たくらいでしょうか。もう洋楽感で本場感を出さなくても良くなった、むしろ幅広い層へのアピールという意味でも日本語詞の方が受け入れられやすいと判断したバンドが多かったということかもしれません。というか日本のバンドですしね。
ラウドロックの拡散/浸透③
フェスの歴史
ラウドロックの発展とフェスの関係は密接です。ここでは代表されるメタル・ヘヴィミュージックの音楽フェスやイベントを紹介します。
興味深い点は、2000年代までは海外アーティストを招致して開催して、日本のバンドはサポートアクトとしての扱いが多かったフェスが、
近年では国内のバンドが主催して海外のバンドを呼ぶ構造に逆転している事です。
それだけこの20年近くでラウドロックバンドは増え、シーンが作り上げられてきたということですね。これは地道にシーンを築き上げてきたアーティストに脱帽全力リスペクトです。
SUMMER SONICやFUJI ROCKなどヘヴィミュージックから縁遠いフェスにもボチボチメタルやラウドロック系のバンド出演し始めたのは2010年前後くらいです。
【海外アーティストメインのフェス】
・BEAST FEAST(2001年)
LOUD PARKの前身となった伝説のフェス。実質日本初のメタルフェスでもある。
・EXTREME THE DOJO(2001年)
デスメタル、ブラックメタル、グラインドコアなどのコア中のコアなバンドを招致しているイベンド。
・LOUD PARK(2006年)
国内最大級のメタルフェス。過去のラインナップの豪華さにビビる。
・Taste of Chaos(2005年)
・Scream Out Fest(2007年)
・PUNKSPRING(2006年)
・Ozzfest Japan(2013年)
・KNOTFEST JAPAN(2014年)
【国内アーティストメインのフェス】
・激ロックFES(2009年)
名の通り激ロックが主催。国内のバンド多めで、目玉の海外アーティスト1、2バンドという形態が多い。
・REDLINE(2010年)
邦ロックアーティストも交えたジャンルミックスフェス。
・SATANIC CARNIVAL(2014年)
PIZZA OF DEATH RECORDSの主催。
・THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL(2018年)
【アーティスト主体のフェス】
・AIR JAM(1997年)
Hi-STANDARDの主催。ラインナップを確認すると、開催当初からジャンルミックス精神が伺える。
・京都大作戦(2007年)
10-FEETの主催。
・ポルノ超特急(2008年)
ROTTENGRAFFTYの主催。
・Dead Pop Festival(2015年)
SiMの主催。
・TRUE NORTH FESTIVAL(2016)
Crystal Lakeの主催。
・NITROPOLIS(2018)
Crossfaithの主催。他にもACROSS THE FUTUREやHYPER PLANETなどもある。
・BLARE FEST.(2020年)
coldrainの主催。超大型フェス。
MY FIRST STORY
2011年~
2010年代のラウドロックを代表する存在。
初期は海外のエモ/スクリーモ直系のサウンドで、
徐々に邦ロックニュアンスな楽曲が増えていった印象があります。
一時期はラウドロック代表バンドの風格でしたが、今はロックバンドとしての幅広さを持っていると感じます。
ONE OK ROCKのボーカルTakaさん(Vo)を兄に持つHiroさん(Vo)がメンバーであることでも知られています。
"Second Limit"や"THE STORY IS MY LIFE "は、2010年代のラウドロックを象徴するようなリフ感だと思います。
コラボも行っており、最近だとHYDEさんとのコラボが衝撃でしたね。
Survive Said The Prophet
2011年~
スクリーモ、ポストハードコアを基調としたヘヴィでエモーショナルなサウンドが特徴のバンド。
でも、"The Happy Song"のような底抜けに明るいポップロックソングもやるのが強みであるのと個性だと思います。ラウドロックの自由さと懐の深さを再確認しますね。(たぶん激しい曲とPOPな曲を知らない人に聴かせたら違うバンドだと思いそうなレベル)
Yoshさん(Vo)のR&Bを通っているであろうソウルフルなクリーンボーカルは、これまでのラウドロックの常識からすると新しかったと思います。(海外では先出であったが)
グローバル、多国籍なメンバー構成でありながらも初期より日本語詞も使用するスタイルです。
日本語のスクリームって激情感あって良いですよね。
a crowd of rebellion
2007年~
新潟の米と水が生んだコシヒカリーモ。
1stEPHydrangea(2012)の頃は、カオスでメタリックなスクリーモサウンドでしたが、活動を進める中でメタリックさはそのままに邦ロックみが増して行った気がします。あと日本語詞も使用するようになりました。
超絶ハイトーンと極太スクリームを凝り交ぜ、目まぐるしく変化するサウンドが特徴です。歌メロに和メロ感があるのが推しポイントです。
あとはボカロも通ってそうな気配がします。
僕らは3rdアルバムIll(2018)が好きです。
THREE LIGHTS DOWN KINGS
2007年~
ド派手なエレクトロサウンドとオートチューンを取り入れたクリーンボーカルとダンサブルなビートがポップさとキャッチーを打ち出しています。
いわゆるピコリーモが確実にバックグラウンドにあるであろうサウンドです。ダウンパートで刻まないでEDMのドロップのようなアプローチをするのは面白いポイントです。
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
2009年~
すさまじく騒がしいサウンドが特徴。騒がしいという点でラウドロックに違いない。
独特なユルさのあるボーカルがクセになります。サウンドでエフェクトもコミカルで珍しい音に全振り。
謎の中毒性が後を引きます。
Another Story
2008年~
リリースは2013年なのでこの章で紹介。
MY FIRST STORYの盟友であるイメージがあります。
ラウドロックど真ん中なサウンドが特徴です。
クリーンボーカルに少々冷雨成分あり。
Yours Truly(2017)は、それまでも交流があったPTPのPABLOさん(Gt)がプロデュースの作品です。
NOISEMAKER
2003年~
活動歴は非常に長くラウドロックの夜明けの時代のバンドなのですが、
初リリース作品であるThe 6 matters of the 6が2009年なのと、
実質1stEPであるPlatinum shoesが2011年リリースで、2010年代のバンドであるというイメージが強いのでこの章での紹介とさせて下さい。
初期はラップやスクリームを織り交ぜるヘヴィロック、ニューメタル、ポストグランジ全開の音楽性でしたが、段々とヘヴィさは抑えめになりトラックでのアプローチや邦ロックっぽく変化して行ったように思います。
(全英詩→日本語詞への変化もあり)
そして何といっても、伸びやかで美しさクリーンボーカルが最高。ライブでも感動激ウマです。That is Gift。
The BONEZ
2012年~
RIZEのJESSEさん(Vo)とPay money To my PainのT$UYO$HIさん(Ba)とZAXさん(Dr)らを中心に結成されたバンド。
経験豊かなメンバーが支える重厚なロックサウンドとどこか懐かしい90sの雰囲気もまとったサウンドが特徴です。そしてグルーヴィー。
初めてライブを見た時は何故か涙が止まらなかったです。
KNOCK OUT MONKEY
2001年~
バンド自体は2001年から存在していたようですが、本始動は2009年から。
ラウドロックで間違いないと思いますが、一世代前のミクスチャーロックの雰囲気も持ち合わせた音楽性が特徴です。
FAKE FACE
2010年~
2010年代のラウドロック要素の塊のようなサウンドが特徴です。
初期はヘヴィでスクリームもゴリゴリに入っていましたが、コアっぽさは抑えめに歌メロを中心に押し出すスタイルへ少し変化したように思います。
とにかく日本語詞でのアツいメッセージ性を感じるバンドです。
KEEP YOUR HANDs OFF MY GIRL
2008年~
正統派中の正統派スクリーモ/ポストハードコアバンド。
スクリーモ全盛期のあの頃感も搭載しており、もちろんハイトーンクリーンボーカル。ヘヴィさもあり。
実はこの正統派感を持っているバンドは過去現在もあまりいなかったように思います。
たぶんバンド名は、Good Charlotteの同名曲から。
sever black paranoia
2009年~
サイバティックな電子音をから生み出される世界観が魅力のバンド。
エクストリームでプログレッシブなバンドサウンドがある上で、
使用するのは、ゲーム音楽っぽかったりハードコアテクノだったりでダークにまとめられているのが良き。
とはいえオートチューンも入っているのでピコリーモ好きな人にもオススメです。
サウンドプロダクションも良く、意外と国内メタルアーティト(電子音あり)が、彼らにプロデュース&エンジニアリングしてもらっています。
THE TWISTED HARBOR TOWN
2009年~
初期作品であるI AM(2015)くらいまでは、電子音はそれほど使われていなくスクリーモよりな音楽性で、活動後期からはファンタジックな世界観をストリングスやピアノで作り上げています。
メタリックさもあるポストハードコアという形容がしっくり来ます。海外アーティストでいうとCrown the Empireとかに近いですかねー。
The Winking Owl
2010年~
これもラウドロックに入れてもいいと思います。個人的には。
エモーショナルロックという形容に落ち着きそうではありますが…笑
安定感ある女性ボーカルと歌メロのセンスがバツグンです。
エモやパワーポップの影響を感じるのはもちろん、
随所でメタル、ヘヴィミュージックがバックボーンにあるのが分かります。
特にギターフレーズと音数の多いドラム、ドラムのサウンドメイクがビチビチな所など。
UNDEAD CORPORATION
2010年~
楽曲におけるジャンルの幅がとにかく広いです。広さ故にラウドロックに分類されると思われます。ヘヴィミュージックのかっこよさ全部盛り。
ヘヴィさと朱美さん(Vo)のクリーンボーカルの良さは一貫しており、ラップもイカツイ。道元さん(Vo)の極太スクリームが良いアクセントになっています。
"Sad Dream"のようなラウドロックど真ん中な曲もあれば、
"The Chainsaw"のようエクストリームさデスさMAXな曲もあれば、
"Gone With the Blast"のようなメロデスのようにリフで失踪する曲もあり、
"Blaze"のようなラテンノリでダンサブルな曲もあるという幅です。
僕らとしては"Gravity"や"Fake"のようなニューメタルな曲が好きです。
あとゲーム「デビルメイクライ5」のメインテーマである"Devil Trigger"は、世に存在するカバーの中で優勝。
SALTY DOG
2011年~
初期~中期はシンセ盛り込みまくりのスクリーモに近いラウドロックというイメージでしたが、
ボーカリストのメンバーチェンジに伴い、RPGな世界観とヒロイックさエピックさが同居したサウンドに変化しています。
一貫してゲームミュージックっぽさはあります。アニソンっぽさも一貫してるんですけど、
ジャンプ原作アニメ→異世界転生モノ(アニオリ)になったといったら分かりやすいですかね?笑
後期は茅原実里さんの"Paradise Lost"を連想する曲が多い。特にストリングス。
「Story of Hope」
2013年~
女性ボーカル×スクリーモ、メタルコアといったバンド。Djent由来のテクニカルな刻みを使うのが珍しいポイントです。あと叙情系のリードギターも特徴です。
上記の要素を持ち合わせたバンドがあまり居なかったこともあってか、
今現在も熱狂的なファンがおり度々復活を望む声をSNS上で見かけます。
ちなみにバンド名はゆよゆっぺさんの同名アルバムから来てると思います。
時代やきっかけが違えば、もっと伝説の存在になれていたのではないかと思ったりします。
ANGRY FROG REBIRTH
2010年~
メタリックなスクリーモにリラックス系クリーンボーカルが特徴のバンド。
クリーンボーカルのニュアンスは2010年代の邦ロックといった印象で、ラウドロックとこの組み合わせアリなんだというギャップもあります。クリーンボーカルはギターボーカルで歌うスタイル。
A Barking Dog Never Bites
2010年~
ツインボーカルスタイルが新鮮なバンド。
ループ感があって記憶に残るボーカルとエグみのあるスクリームの掛け合わせが魅力です。そして何故か踊れるビートが頻出します。踊れるけどエレクトロ要素はあまりなし。
ASHLEY SCARED THE SKY
2010年~
エレクトロコアど真ん中のサウンド。ラウドロック的キャッチーさもあり。
2010年だと海外でもメタルコア第2世代の時期かつ全盛期なので、キャッチアップが早かったバンドだと思います。
解散後にその後のMAKE MY DAYへと繋がります。その前にRemembering Sensationもあったけどね★
ARTEMA
2011年~
エレクトロ×メタルコアなバンド。ピコリーモのダンス要素もあり。
メタルリフすらダンサブルでキャッチーに聴こえてくる不思議。
バンド解散後にボーカルのMEGさんはBABYMETALなどのアーティストへ楽曲提供を行ったり、ミックス・マスタリングエンジニアとして活躍されています。
Lumber Coated Rust
2011年~
国内に数少なき正統派スクリーモ/ポストハードコアバンド。
特筆すべきは、ギターフレーズ。叙情さとメロディックで練り込まれたギターフレーズはドツボ。
僕らは、ぼちぼち音楽・バンドを辞める頃合いでしたが、「いいバンド出てきたね」なんて話したのを覚えています。
LOKA
2012年~
SupeのKihiroさん(Vo)が所属するバンド。
Kihiroさんのシャガレ声は健在ですが、その他のメンバーの背景がV系だった事もありそこはかとないV系感はあります。
音楽性についてもSupeのようなアメリカンでゴリゴリのヘヴィロックというより、日本文化の解釈が介入したメタルといった印象です。故にラウドロック。
そしてセンスバツグン。
TRANSLATIONS
2012年~
Black Dog Barksという前身バンドから改名してTRANSLATIONSとなったバンド。
こちらも2010年代海外のメタルコア/ポストハードコア直系のサウンド。
当時のアンダーグラウンドシーンで名の知れたグッドプレイヤーが集結して最強のバンドを組んだ感もあり、
絶対行ける感が強かったバンドです。当時、TSUTAYAで普通に流れてましたね。
今聴いてもメロ良いな~
Central 2nd Sick
2012年~
その名も厨二病。
ラウドロックサウンドの上にオートチューンのクリーンボーカルとレトロゲームチックな8bit系の電子音楽アクセントとなっています。
"FINAL FANTASY"って楽曲もあったりゲーム愛を感じます。
2024年にシングルをリリースしているので解散はしていなっぽい。音楽性も不変でした。
PRAISE
2013年~
90sミクスチャーの血を受け継いだ現代のミクスチャーバンド。しかもワルい方向性。こういうヤバさというか悪ガキバイブスなアティチュードのミクスチャーは絶滅したかのように思われましたが、遺伝子はしっかりサバイブしていたようです。
安直にリバイバルさせたという感じはなく、現代風にブラッシュアップされた音楽性が魅力です。ギターのサウンドメイクと懐かしい縦ノリがあるパートでもメタルコアのツーバスフレーズを使うのがモダンですね。
アグレッシブなリリックと
結局みんな大好きなヘヴィな縦ノリが相まってフラストレーション解消がエグいッ!!
打首獄門同好会
2004年~
生活密着型ラウドロックバンド。
音源リリースは2009年から。
コミカルなノリはラウドロックというジャンルの中でも多く見られ、それをキャッチーさの一つとして武器にするバンドもいますが、
こちらはコミカルさを突き詰めたようなバンド。なのでそこはかとなくホルモン要素も影響として感じますね。
日本の米は世界一★
アイリフドーパ(Ailiph Doepa)
2012年~
奇天烈怪奇な変態ラウドロックバンド。
楽曲の滅茶苦茶さもさることながら、
毒々しくサイケデリックでグロテスクな独特のビジュアルセンスもバンドのキャラクターを引き立たせています。
単純な上手いとは一味も二味も違うボーカリゼーションは中毒性があり、
ハマればドーパミンが脳内で炸裂すること間違いなし。
ヒステリックパニック
2012年~
ラウドロックには、コミカルさの他に祭感を持ったバンドも多いです。
このバンドはコミカルさと祭感の両方があります。
パンキッシュなラウドロックサウンドの中で、ラップ調の言葉の嵐とゴロゴロしたLowスクリームと個性あるハイトーンクリーンボーカルが織りなす忙しないサウンドが特徴です。
なんか歌メロが謎にノスタルジック。
マキシマム ザ ホルモンからの影響を公言しています。ラウドロックシーンにおけるホルモンの影響力強し。
オメでたい頭でなにより
2016年~
ラウドロックには、コミカルさの他に祭感を持ったバンドも多いです。(2回目)
さらに和をコンセプトとした楽曲も多く、サウンドにも和楽器が使われています。
赤飯さんのボーカルには薄っすらヴィジュアル系のバックボーンがありそうだと思われます。
このバンドもマキシマム ザ ホルモン要素があり、
実際に赤飯さんは、"セキはん"名義でコロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)のボーカルとしても活躍されています。
MAKE MY DAY
2014年~
前述のASHLEY SCARED THE SKYを改名し、メンバーチェンジを経て新たに結成されたバンド。
バンド名は映画「ダーティハリー」シリーズからとってそう。(真偽不明)
モダンなメタルコア/ポストハードコアサウンドが特徴です。
いわゆるピコリーモはメタル史的観点からみて非常に短いムーブだった事もあり、ASHLEY SCARED THE SKYがピコリーモに近い音楽性でしたが早急に音楽性を変化させ、
MAKE MY DAYは、もっと広義でのメタルコア/ポストハードコアに進化したように思います。改名の通り完全な別バンド。その結果、さらにラウドロックサウンドの中心に近づいています。Wikiにもバンド名が記載あり。
2024年をもって活動休止。ギターのJulianさんはギタリストとして様々な場所で活躍されています。
Xmas eileen
2014年~
仮面を付けた7人組で出身地がLAでバンド名がボランティア活動由来だったり…謎多きバンド。
サウンドは確かにラウドでヘヴィ。実はめちゃくちゃベテランがやっているのではないかと思ったりしてしまう洗練された音楽センスと荒削りさが共存している不思議なサウンド。
CRAZY N' SANE
2016年~
KNOTFEST JAPAN 2016に彗星の如く現れたウサギの覆面集団。
Limp Bizkitを思わせるラップメタルサウンドを軸に、ラウドロックな音を聴かせてくれる。
リバイバル過ぎずビートの解釈などは現代風にブラッシュアップされています。ただ、ラップはリンプの甲高いスタイル 笑
J-ROCK/邦ロックとの合流②
-2010年代~-
この章では「J-ROCK/邦ロックとの合流①」よりさらにヘヴィなアーティストを紹介します。①に比べ普通にラウドロックです。
2010年代に入り、邦ロックとの合流はさらに加速して行きます。
さらに加速しますが、J-ROCK/邦ロックのメインストリームはヘヴィな方向性ではないので注意してください。
では、当時の邦ロックのメインストリームは何だったかというと
ザックリいうとギターロック。
サウンド詳細にいうと、ハイトーン、同音異義語や語感の良さを主軸に置いたループ感のある歌詞、ドラムビートはアップテンポの4つ打ちという特徴があります。
語感主軸のパイオニアは、RADWIMPSな気がしてます。
くろちゃんは大学軽音部時代、上記の邦ロックシーンに属するコピーが大半を占めるサークルでメタルを無理矢理やっていました 笑
ロキノン系なんて言葉を聞き始めたのも、2000年代後半くらいだった記憶がありますね。(※諸説あるが一般的には2000年前後とされている)
最近このテンプレサウンドが、邦ロックシーン内で何処から来たのか、引き継いできたのか、ルーツ・影響元は何処かを考えてみたのですが、
4つ打ちに限定するとASIAN KUNG-FU GENERATION説が最有力です。影響力加味です。
MAN WITH A MISSION
2010年~
登場時は叫ばないFACTみたいなバンドという印象が強かったんですけど、今更聴き込むとあまり似てないですね 笑
ただし、先入観よりヘヴィな音作りだなとは思いました。音圧。
気持ち良さのツボを抑えたハイクオリティな楽曲とオオカミマスクのキャラクターとインパクトと相まって一瞬で人気爆発していた記憶がありますね。
ラウドロックと呼ばれたり呼ばれなかったり。
事実として大型のメタルフェスへの出演数も多いです。
Age Factory
2010年~
エモさに誠実なオルタナティヴロックバンド。
くろちゃんの人生になりつつあるバンドです。刺激的で独創性溢れながらもノスタルジックな雰囲気のある楽曲が魅力。
活動初期は邦ロックの枠組みの延長線上にあると感じる音楽性でしたが、
EVERYNIGHT(2020)の頃より90sミクスチャーのようなヘヴィな楽曲も現れ始めました。"CLOSE EYE"はミクスチャー路線の代表曲だと思います。
初期より清水エイスケさん(Vo Gt)のスクリームとまでいかないエモショーナルなガナリ・シャウトが入ります。
ミクスチャーがバックグラウンドとしてかなりの比重なのか、Age Factoryから派生して、もっとミクスチャーなAFJBというバンドを結成して平行活動しています。
BLUE ENCOUNT
2003年~
リリースは2009年なのでこの章で紹介させて下さい。
ジャンル:エモに強く影響された音楽性に対してヘヴィミュージック性を見出さずにはいられません。特にギターですね。
登場時は「ONE OK ROCKのフォロワーが早くも出てきたな…」といった印象でしたが、ごめんなさい。その後の音源を聴くとあんま似てないですね。
そして、パワフルさとエモショーナルなギターは健在。
眩暈SIREN
2012年~
これはもうラウドロックでいいと思います。
和の世界観を音として極めたバンド。和音階・和風スケールが多用されます。
ボーカル、ギター、ピアノのメロディー、歌詞までもがとにかく"和風"です。知的で素敵な歌詞。
そして、世界観を一音で表現しきる声色。
かごめかごめ感というかわらべ歌感が好きです。(ちょっと怖くて切ない)
特に初期の頃はバリバリスクリームが入りますし、メタリックな曲が多いです。
時に暗く明るく、美醜、静寂と激情…など相反していたり…でもまとまり方がとても綺麗なんですよね。
眩暈SIRENには簡単に言い表せない万華鏡のように変化する多面の美があると思います。
解散が惜しまれます。
She, in the haze
2014年~
ラウドロックに近からず遠からずな音楽性。楽曲によっては激情スクリームが有効に入ります。
幻想的でイルい、退廃世界が魅力です。ジャンル:インディーのダウナー感があるのも良き。
ボーカルの声質も繊細で神聖みがあります。
こういう感性は日本独特の文化だなぁ…としみじみ感じます
音から形成される全てが芸術です。
そこに鳴る
2015年~
ハイパーテクニカル変態マスロックバンド。
キャッチーさとテクニカルな部分の使い分けが非常に巧妙。
メタルなのはドラムの音作りくらいなものの、ブラストビートが多用されるからメタルです。(きっと)
冗談ではなくMETALIN(2017)は、本当にメタルに近い音楽性です。
ヘヴィというよりは硬質なサウンドですが、轟音で激しいという意味ではラウドといえると思います。
ギターの音作りも「ズンズン」「ゴリゴリ」というよりは「ガリガリ」しています。
ギターの音色は空間系のエフェクトも頻出で多彩です。
突然のブレイク、繰り返しフレーズの少なさ、拍子変更の早さなど、とにかく曲展開が目まぐるしいです。
曲展開が激しいのは間違いないですが、サビになると良い歌メロがスッと耳に入って来ます。
邦ロック御用達の4つ打ちも頻繫に使用するのでノリやすさもあります。(一瞬で4つ打ちが終わる事も多々あり 笑)
補足:メタルシーンとラウドロックの隔たり②
-2000年代末期~2010年代-
ガチガチにメタル、メタルコアゾーンに属しながらもラウドロック的キャッチーさを持ち合わせているアーティスト紹介第二弾。
PROMPTS
2012年~
多国籍な背景を持つ極悪ヘヴィバンド。
初期はモダンなメタルコアといった感じの音楽性でしたが、メンバーチェンジを経て(ほぼ総入れ替え)
ニューメタルコアに近い音楽性になっています。
ニューメタル由来のヘヴィでシンプルなリフと不協和音は、超絶ダウンチューニングにより毒々しさを増していて、巨大なブレイクダウンも標準装備。それでいてメタルのアグレッションやスピードも忘れない作りです。時折、キャッチーなクリーンボーカルのサビが来るので…ラウドロックとはならないか(笑)
自主イベントも行っており、シーンを引っ張っている実力者だと思います。
FOAD
2012年~
ガチガチのメタルコア/ポストハードコアサウンドですが、あと少しオーバーグラウンドしたらラウドロックと呼ばれそうな絶妙なラインのバンド。
音源だとそうでもないですが、ライブだとクリーンボーカルが素晴らしくお上手。ライブで感動して好きになったバンドです。
僕らの大好きなWe Came as Romansの影響を受けて近いニュアンスで活動をするバンドが国内にいなかった印象ですが、このバンドはまさにそれといった感じ。"DIVE TO THE GROUND"あたりの楽曲は特にWCARを感じます。
メンバーチェンジを経て、フロントマンだったKSKNさんがベースボーカルに転向したとこまでは追ってました。
C-GATE
2012年~
モダンなメタルコアサウンドの中にハードコアのアグレッションとグルーヴが注入されているのが魅力。速さは正義。あとブルータリティとエモさのバランスも良き。
こちらもノリやすさが元々あるので、認知度が上がればラウドロックに混ぜ込まれそうだと認識しています。
As Alliance
2013年~
発見した当時からヒットをしない、評価されない意味が分からないバンド。(マジで僕らこういう賞賛を安易に使わないよ!?この記事でもまだ一回も言ってないもん)
活動拠点が沖縄だからなのか、バンドは副業なのか…いろいろ理由は考えられるますが、正当な評価を受けて欲しいバンドです。
僕らもこういったバンドを広めるために頑張らねば…!!
とはいえ、近年はオーディションなどにも積極参加している模様。
サウンドはメタルコア/ポストハードコア。
特筆すべきは、安心保証のクリーンボーカル。次いで練り込まれたバンドサウンド。特に泣きまくってるギターが良い。
Azami
2013年~
叙情系ハードコアバンド。メロコアともまた少し違うんすよ。
メロディー溢れるギターと日本語スクリームの痛烈な叫びが泣けます。
ピュアなハードコアパンクナンバーもあります。
ボーカルがメンバーチェンジしてから、ライブでの歌唱力の安定感が凄まじいです。
ただ残念ながら、そのボーカルの良さを封じ込めた音源がまだリリースできていないように思うのが気がかりです。
最近のライブ力はマジですごいので、あとは上がるだけな印象。爆発寸前。
このバンドも認知が上がればラウドロックと呼ばれそうであります。
abstracts
2014年~
Djent/プログレッシブメタルコアバンド。
海外シーンのDjent全盛期に登場し、高品質と独創性で国内外の評価を総掴みにした存在です。
当時はエモさもあるDjentは世界中を探しても、あまり存在していなかったので、まさに痒い所に手が届いた感がありました。
特にギターが良い。テクニカルながらも楽曲優先な技巧。
絶大な影響力と実力があり、abstractsに感銘を受けて音楽を始めた方もいるとよく聞きます。
ボーカル加入までは、Djent/プログレッシブメタルコアな音楽性でしたが、
加入後の"Slow Dancer"などは、ラウドロックにも近い仕上がり。
Earthists.
2015年~
初期から最近まではDjent/プログレッシブメタルコアな音楽性でした。
スクリームボーカルのYuiさんは、ボーカル技術の中でも会得超高難度技とされるピッチスクリーム・シングスクリームを使いこなしています。
ピッチスクリームとは、スクリームにキー、音程を持たせて叫ぶ歌唱法です。
最近の音楽性は、高速ピアノをフィーチャーしたオリジナルヘヴィネスを追求しています。
その音楽性は現時点でジャンル定義不可で、作品のタイトルになっているハイパーメタルという形容がしっくり来ます。
FALLING ASLEEP
2015年~
2020年代の国際基準のトレンドであるニューコアをイチ早く取り入れていたバンド。なんだかんだ国内でこのバンドしかヘヴィなニューコアバンドがいない気がします。(知らないだけかもしれません)
といっても結果としてニューコアっぽくになっているだけで、このバンド独自性があるサウンドです。
ニューコア≒BMTH×ニューメタルリバイバル≒ラウドロックなので、ご認識あれ。
V系デスコア、V系メタルコア
-2010年代~-
2010年代にヴィジュアル系ラウドシーンが収穫した最も大きなものは、メタルコアやデスコアの音楽的特徴の一つであるブレイクダウンだと考察しています。
逆にいうと2010年代頃になるまでV系ラウドには、ブレイクダウンが存在しませんでした。
それまでのヴィジュアル系の要素は残しつつも、サウンドがこれまでよりアグレッシブでエクストリームになったのもこの時期からです。
ブラストビートは当たり前のものになり、スクリームのスキルは、アベレージで高水準となりました。
V系特有のクリーンボーカル以外は、マジで海外のデスコア、メタルコアですね。あとはメイクしている点以外でカテゴリ分けはないと思います。(無理に分ける必要もないですが)
NOCTURNAL BLOODLUST
2009年~
V系デスコアの創始者であり無敵のクオリティ、高い演奏力を誇るバンド。そして、ヴィジュアル系シーンにブレイクダウンを持ち込んだ張本人。
NOCTURNAL BLOODLUSTの登場時期(00年代後半~あたり)は、V系シーンは若手バンドが不足していて氷河期としての模索期であり、
突如現れた怪物がシーンに衝撃の新風を吹かせた事を昨日のように思い出します。(あれは虐殺無双でした 笑)
それもそのはず。バンド結成登場時は、ヴィジュアル系としては活動していなかったんですよね。
"Bury me"や"A bullet of skyline"などのラウドロック曲はキャッチーさもありますが、真髄は"Pleasure of Torture"や"Defect in Perfection”のようなエクストリームさMAXなデスコアチューンだと思います。
自主企画・イベントなどを行いV系シーンとメタル、ラウドロックシーンの壁を破壊する事にも貢献していてます。
JILUKA
2013年~
ヘヴィでエクストリームなバンドサウンドを軸として、
オーケストレーションやダブステップなどのオケ側のアプローチの斬新さが耳を惹くバンド。
音楽への探究と実験が貪欲すぎて、何でも取り入れる暴食っぷりです。
もはやV系特有のクリーンボーカルが入らない曲もあります。
とはいえ、世界観がとっ散らかる事もなく、ダークに統一されています。
海外でも認知度、評価が高いです。
DEVILOOF
2015年~
ヘヴィミュージック広し、深しといえど
地下室で内蔵を煮詰めたような悪さを持った音楽性が特徴です。(MVで一生拷問されるじゃん)
特にボーカルが醜悪で、セオリーや技法から外れた奇声のようなスクリームが、のたうち回るように放たれます。
鬼(2019)では、和をコンセプトとして和楽器が取り入れたアプローチが随所で見られ、バンドの持つ本来の極悪さに加えジャパニーズホラー的な湿度が加えられています。(その後は和コンセプトを続けてはいない)
DEXCORE
2016年~
現代のV系メタルの最先鋒のバンドです。
僕らの見解として、V系メタルの中では最も才覚があると思っているバンドでもあります。
初期の頃よりプログレッシブメタルコア、Djentなどを起点にした音楽性なのでメタル玄人好みの音楽性を貫いています。
結成初期の頃の楽曲は曲構成のパッチワークとしての不自然さが多くみられたものの、ここ数年でソングライティング能力が飛躍して磨かれていると感じています。
ドラムにサポートのMAKIさんが加入したころから、曲の解像度が上がったように感じているのですが関係あるかは謎です。
ただメタル好きにはV系という立ち位置で敬遠され、V系メインのファンには曲が難しすぎるというジレンマがあるように思えます。
以上を踏まえるとファンベースで考えた時の立ち位置は、どっちつかずなのが惜しいと思うバンドではあります。
昨今ではDEXFESを地元名古屋で開催し海外のバンドの招聘など、活動レベルも大きなものへと進化しています。
REVIVAL OF THE ERA
2017年~
結成当初はメタルバンドとして活動していましたが、ある時を境に音楽性の変化はなくV系へと転向。
クリーンボーカルもV系特有のネットリ感が少なく、V系っぽい要素といえば耽美感のあるシンフォニックな要素だけだと感じています。
故にシンフォニックな要素が好きなメタルファンにも刺さる音楽性だと思います。
残念ながら現在は解散してしまっているのですがメンバーの何人かはバンドを変え活動されています。
NAZARE
2018年~
V系らしさをしっかりと残しつつ、かつエクストリームさとテクニカルデスメタルのようなサウンドを持つバンドです。
ホイッスルボイスや強烈なガテラルが大きな武器になっているのにもかかわらず、しっかりとクリーンも一人でこなしているのが強すぎますね。
ボーカルはDIR EN GREYからの影響を色濃く感じますが、これはもうV系で京さんから影響受けてない方は恐らくいないので必然だと思っています。
一方で演奏力とテクニカルさが持ち味になっており、しっかりと楽器隊が屋台骨になっている事で個性が担保されているように感じています。
アイドルカルチャーや「Kawaii」とバンドサウンドの融合
-2010年代~-
2010年代になると重くて激しいバンドサウンドは、アイドル文化とも結び付き始めます。
BABYMETALの登場から大成功までを皮切りに、
そこをロールモデルとし、日本固有の価値観である「Kawaii」をメタル、ラウドロックを掛け合わせた音楽が増え、海外でも注目されるようになりました。
「Kawaii」とは、日本のアニメカルチャーやファッションに結びついています。萌えみたいな感覚も含んでいると思います。
「Kawaii」という概念の説明を世界向けにする事は困難ですが、日本人であると何となくニュアンスで分かってしまう謎の集合的無意識なので割愛します。(それくらい日常に溶け込んでいる文化といえる)
このカテゴリでは、可愛いモノとゴリゴリのサウンドというギャップが最も大きなストロングポイントだと考えられます。
単なる引用を超えた本格派のメタル、ヘヴィミュージックサウンドとアニメ、アイドルの歌唱法が融合されていて、スクリームも平然と行われています。
この動きはガールズグループやガールズバンドを中心としています。
その勢いは留まる所を知らず、ラウドロックシーンともまた少し異なる形で発展し続けています。
フェスなどでの共演はあるものの、
ファンベースやカテゴリ、属性が
既存のメタルシーン、ラウドロックシーンとは少し異なると思われます。
BABYMETAL
2010年~
メタルアイドルの先駆けでありパイオニア。
彼女たちが居なかったらKawaii Metalが存在しなかった可能性まであります。世界中にその存在をアピールして評価されています。日本のメタルといえばBABYMETAL といっても過言ではありません。
最も大きな功績はセールスとしても大きな成功を収めた事により、メタルの可能性を広げた事だと解釈しています。
アイドルがアテフリであるという言説がまことしやかに囁かれていますが、歌唱力の高さには目を見張るものがあります。バックバンドの演奏力は鬼。
楽曲はパロディやイースターエッグのようなメタルの歴史へのオマージュ性を持っていて、オールドなメタルからモダンなメタルまで幅広くカバーしているのが大きな強みになっていると思います。(全世代のメタルファンに刺さりうる楽曲)
昨今では海外のプレーヤーやアーティストとのコラボレーションが増え、更なる高みへと登り詰める勢いがあります。
PassCode
2013年~
Fear, and Loathing in Las Vegasの音楽性を女性ボーカルに落とし込んだような、オートチューンやゲームサウンドの電子音を多様するので、ボカロなどが好きな方にも刺さりそうな音楽性。
アイドルにスクリームというのも昨今では当たり前となっていますが、登場当時は新鮮でした。
クリーンボーカルはPerfumeとハロプロ系を足して2で割ったようなイメージです。
現在のメタルアイドル全般の雛形になったのはBABYMETALよりもPassCodeな気がしています。ラウドロックからは少し離れますが、BiSHなどの存在もバンドサウンドのアイドルが伸びた要因だと考えられます。
BAND-MAID
2013年~
メイド衣装に身を包みヘヴィな楽曲を演奏するのが特徴です。
本人たちが楽器を持って演奏をしているのはこのカテゴリの中でも一線を画しているポイントであり、アイドルという扱いではありません。
音楽性はメタルというよりはラウドロック的であり、キャッチーでシンプルな楽曲が多いイメージです。邦ロックのガールズバンドがそのままヘヴィでアグレッシブになったような音楽性です。他にもギターを中心に添えたハードロックの郷愁がある楽曲もあります。
昨今は楽曲も洗練され一線級になってきています。
アニメのタイアップなどもあり今後更に活躍が期待されると思っています。
BAND-MAIDも海外で高い評価を得ています。
花冷え。
2015年~
初期はCrystal Lakeの田浦楽さん(Dr)がプロデュースしてメタルシーンでも話題を呼んだバンド。
メタル、ラウドロック的なアプローチと
何ともいえないワードセンスとポップセンスにより中毒性の高い楽曲が特徴。(ラウドロックを自称する事もあり)
また、ボーカリストであるユキナさんの強烈なスクリームも大きな武器となっています。
海外ではHARAJUKU COREと呼ばれており、めちゃくちゃしっくりくるなと思っています。ポップカルチャーやファッションカルチャーの中にも「Kawaii」があると思いますが、それをバンドサウンドに巧みに取り入れています。
それらは楽曲の世界観やジャケットのアニメ感などに表れています。
演奏力の高さと唯一無二の存在感から大きな注目を集めているので、海外なで評価・活躍が始まっており、伸びしろだらけです。
最近は大型フェスの常連。
我儘ラキア
2016年~
メタルアイドルの中でもファッションはスタイリッシュ系に重きを置いており、ピコリーモ要素とポストハードコア要素が強い音楽性となっております。
基本はスクリームは用いず、アニソン寄りなニュアンスのラウドロック曲が多いようにも思います。
代表曲でもある"SURVIVE"や"GR4VITY G4ME"は、2010年代以降のラウドロック要素を集約したといえる聴き心地の楽曲です。随所で確認できるラップも良いエッセンス。
中でもメインボーカルの星熊南巫さんはDEATHNYANN名義でも活動しており、海外を見据えた活動を行っています。
Broken By The Scream
2017年~
"スクリーム"の名を冠するアイドルグループ。
看板通りに高音のスクリーマーと低音のスクリーマー、クリーンボーカルとざっくりと各々の仕事が分かれているのでそれぞれがキャラ立ちする作りになっているのが面白いグループです。
楽曲はアイドル×デスメタル(デスコア)という振り切った作りになっています。
全編スクリームの楽曲があるのもかなり尖ってますよね。あとギターのサウンドメイクがDjenty★
中でも唯一の初期メンバー野月平イオさんの低音スクリームは圧巻な極悪さを誇っています。
NEMOPHILA
2019年~
ヴィジュアルや佇まいがSHOW-YAを彷彿とさせるガールズメタルバンド。
ラウドロックに普通に分類しても何ら問題・違和感はないですが、
「地獄のゆるふわバンド」を自称しているので、この章との結び付きも強いと感じます。
もちろん楽曲は、モダンでかなりの実力派であると感じています。
相川七瀬系のクリーンボーカルに、更にスクリームもこなすスキルの高さを感じざるを得ないです。
正直このバンドは「Kawaii」を核とせずとも硬派な腕っぷしで勝負してる気がするので、僕らとしては、かなり推しなバンドとなっております。
MAZE
2022年~
こちらのグループもBroken By The Scream同様各々の役割がわりとしっかり分けられてるグループとなります。
元Fear, and Loathing in Las VegasのSxun(Gt)さんが中心にプロデュースしてる事もあり、かなりピコリーモよりの音楽性となっています。
楽曲提供者やバックバンドもかなり豪華な面子となっており、ラウドロックシーンおよびメタルシーンでの共演の際はバンドセットで出演する機会も多いです。
現在のラウドロックシーン
-2010年代中盤~2020年代-
最後の章では、現在のラウドロックシーンを代表するアーティストや
正確にはまだラウドロックとは呼ばれるほど知名度はないものの、今後の成長や活躍次第でラウドロックと呼ばれるであろうアーティストを紹介します。
期待の新人枠も含んでいるという事です!!
Let It Dieというゲーム
メディアミックス展開の興味深い一例として「Let It Die(2017)」というゲームがあります。
このゲームでは、プレイヤーの拠点となる待合室で様々な音楽を流す事ができ、多くのラウドロックアーティストの楽曲が収録されています。
いずれの曲名も"Let It Die"です。
楽曲リスト
Paledusk
2014年~
現代のアンダーグラウンドヘヴィミュージックシーンで、
ラウドロック呼ぶに最もふさわしい認知度と影響力を持っているバンド。
結成当初はNorthlaneから影響を受けたと本人たちも語っている通り、プログレッシブメタルコアそのものでした。
この頃は音作りに関してもDjentyで硬質なイメージを受けます。
2017年にギタリストのDAIDAIさん加入後からプログレッシブさは残したまま、現在の楽曲でも風変わりなスケールで運指の多いギターフレーズが多く見られるようになりました。さらには、縦ノリ感の強いニューメタルコアに近いアプローチが多く見られるように進化していきました。
シングルVARIED(2019)の"NO!"を始点として、カテゴライズ不可なラウドロック的キャッチーさを持った摩訶不思議な音楽性になったと思います。その後の"9 SMILES"、"PALE HORSE"でラウドロックみは更に加速。
さらに2020年代以降はハイパーポップなどでよく見られるポップな電子音との融合を果たし、オリジナリティの追及に余念がない音楽性を確立しています。
やはりこの絶妙なポップセンスがラウドロックでは重要で、ライトなリスナーにも受け入れられている所以といえます。作品とバンドの持つヴィジュアルイメージも極彩色。
最近の音楽性はサイケデリックで予測不可能です。特にBPMの概念に捉われない縦横無尽な楽曲が特徴です。
2024年現在ではBring Me The Horizonへの楽曲参加なども果たし、これからの活動が楽しみな最先端の超新星。
THE SIXTH LIE
2015年~
近未来お洒落系ロックバンド。ラウドロックかというと、かなり微妙なラインではありますが、2020年くらいまでの楽曲は、Linkin ParkやBring Me Tha Horizonのamo(2019)あたりのバイブスはうっすらと感じる事が出来ます。あとヘヴィミュージックのフェスに結構出演しています。
初期から中期にかけてはエレクトロロックを中心に添えた音楽性でした。2022年以降はシティポップやK-POPライクなアプローチも増え、お洒落なJ-ROCKといった音楽性に舵を切っています。
歌詞も日本語を多く採用しているのも相まってこの手のジャンルの入口になり得るバンドだと思います。
アニメ「ゴールデンカムイ(2017)」の主題歌に抜擢されたのを皮切りに人気に火が付きました。
なおMVなどの映像作品の多くはドラムのRayさんが手がけ各個人がマルチな才能を持つクリエイター集団としての一面もあります。
SHADOWS
2016年~
元FACTのボーカリストのHiroさん、ギタリストのKazukiさんとTakahiroさんの3人によるバンド。
当然FACTの頃のニュアンスは多少感じますが、(これはボーカルのHiroさんの声に個性があるので仕方ないと思っている)
FACTのようなプログレッシブさは鳴りを潜め、
SHADOWSでは、よりハードコアパンク的なアプローチが強まったたように感じます。
音源、ライブ共に前のめりで攻撃力高めなサウンドが大きな特徴だと思います。
2024年リリースの“DIG”は楽曲によっては、ポップパンクやイージーコアの要素もあり、ハードコアパンクを中心に隣接したジャンルを丸っと取り込んだ意欲作に仕上がっています。
ただ作品を重ねるごとにドラムの手数は増えていって、FACTライクな香りを感じる事が多くなっている気がするのは私たちだけでしょうか 笑
ドラムにフォーカスするとめっちゃメタルじゃん!みたいなパートが曲中にちょこちょこあるので皆さん探してみてください!
CVLTE
2017年~
結成初期はエレクトロの入るオルタナティヴロックといった印象でした。作品を重ねるごとにチルポップ、エレクトロ、ハイパーポップ色などの要素が強くなっていっており、分類不可能なバンドへと進化し続けている印象があります。
上記の要素をまとめるとニューコアという事でまとまりますが、主流としての既存のニューコアサウンドともまた異なる独自の音楽性が特徴です。
中でも作詞作曲などを手がけるメインコンポーザーであるボーカリストのavielさんの才能は目覚ましいです。既視感のない楽曲センスとオートチューンを使った幅の広い層にリーチする歌声で人気を集めています。またライブパフォーマンスもエンターテインメントショウといえるコンセプチュアルな世界観が強く圧巻です。
楽曲制作のスピードもかなりのハイペースで聴き手を飽きさせない創作意欲は脱帽に一言に尽きます。
CrowsAlive
2016年~
シネマティックな空間系のエフェクトや電子音をふんだんに使ったオルタナティヴロックバンドです。
バンドが行う全ての表現がアーティスティックかつ、退廃&幻想で非常に美しいです。
スケールの大きなバックサウンドとは裏腹に繊細なボーカルワークが個性。
サビでは骨太なスクリームまじりのハイトーン、ヴァースではウィスパーにも近いメロウな歌声を使いこなしています。そして歌メロに最強のフック。
これは他のボーカルを寄せ付けない、絶対のバンドの核になっていると感じています。
初期はスクリーモに近いバンドサウンド、中期はバンドサウンドから離れトラックアプローチが増え、最近ではスクリームも使いヘヴィさも増しラウドロックへ接近…という変遷があります。
確実に今後表舞台でも活躍できるポテンシャルを秘めているので是非聴いてもらいたいバンドです。
いつ人気爆発するんだ!!世界よ。はよ気が付け!!
One eye closed
2018年~
平たくいえばオルタナティブやJ-ROCKとしてまとめられそうですが、エモ、スクリーモ、プログレッシブメタル、シティポップ、ポストロックなど幅広い音楽を消化し更に昇華している印象を受けます。単純なクールさよりも独自のポップセンスでオシャレにまとめられているのが凄い。特にギターフレーズのオシャレ度が高い。あとドラムの小技。
ボーカルのREIさんがアメリカ国籍だという事もあるのか、R&B的なアプローチが綺麗になされているのも他には真似できない大きな武器の一つだと思います。
2024年現在メンバーのプライベートの問題で目立った活動が出来ていないのが心配ではありますが、彼らもメジャーなレイヤーでも活動できるポテンシャルを秘めているバンドだと思います。
SEEK US NEED
2017年~
ポストハードコア、スクリーモを基盤としてキャッチーな和メロが特徴のバンド。
一昔前のONE OK ROCKやMy First Storyのようなラウドロックサウンドを求めてる方には刺さりそうな音楽性。
要所で2010年代以降のメタルコア/ポストハードコアを想起させるほのかに懐かしいリフワークも見られます。
全体を通して親しみやすいメロディと日本語ならではのキャッチーさが大きな武器になっているので、現代版の和風ニューコアのベンチマークになりそうな感じもあります。
今後タイアップやフックアップなどで大きく躍進しそうなバンドです。
HIKAGE
2018年~
メタルコア、ポストハードコアを基盤に楽曲の幅が広いのが特徴です。
ポップパンク、ミクスチャーロックなどのニュアンスをボーカルのメロで表現しているのは様々な音楽への造詣を感じる部分です。
大型フェスなども経験し若手ラウドロックの急先鋒でありニュースタンダードになっていきそうな気がしています。ニュースタンダードなんですけど、2000年代のラウドロックの骨格は遺伝子として受け継いでおり、ノスタルジックな感じもある。
楽曲の幅が広いので進化の矛先が読めないところもまた面白いポイントかもしれないですね。
SBE
2018年~
メロディックなギターワークが特徴のバンドです。
ポップパンク、エレクトロ、ポストハードコアの要素が綺麗に混ざっており、本人たちは“エモーショナルロック”と自称しています。(ラウドロックという形容にも否定的ではない)
実際にこれが一番しっくりくる形容だと言わざるを得ない事を聴いていただければ分かるはずです。歌メロはめちゃくちゃ邦ロックに近いと感じます。
2023年リリースの“TRICKSTER EP”ではエレクトロを導入し、より大きなスケールの音楽性へと変化しています。
ギターフレーズからメタルの香りが漂ってくるのが、とても推せるポイントなのと、
ラウドロックらしい音楽性にメタル的ギターワークを混ぜているのが、ありそうで無かったのでこの路線を極めてほしいと勝手に思っています。
Who-ya Extended
2019年~
ボーカリストであるWho-yaさんを中心としたクリエーターズユニット。
ラウドロックというよりはアニソン。サイコパスや呪術廻戦の主題歌にタイアップされ知名度を得ました。
メロディラインがK-POPライクな部分も感じるので時代に沿った楽曲だなという印象です。
バッキングは総じて重めなバンドサウンドになっているのでラウドロックの要素は感じます。
また本人も影響を受けたアーティストにLinkin Parkを挙げている事から近からず遠からずではあると思います。
RED ORCA
2019年~
RIZEの金子ノブアキさん(Dr)やPTPのPABLOさん(Gt)らによる新世代ミクスチャーロックバンド。
高速ラップと跳ねまくったリズムが特徴。
それに加えバキバキのベーススラップやブレイクビーツ的なリズム、シンセサイザーを用いたサイバーパンクな世界観構築などなど…
かなり斬新で面白い事をやっているとビシビシ感じます。
ベースの葛城京太郎さんが2023年を持って脱退してしまったのがかなり惜しいと思っております。
The Cards I Play
2019年~
バンド側はオルタナティヴロックを自称していますが、紛れもなくヘヴィミュージックであり、ラウドロックに近い音楽性だと思います。
個性ある楽曲やアレンジを武器に、ミクスチャー精神であらゆる音楽ジャンルを独自ブレンドした音楽性が特徴です。サウンドのまとまり方は、ニューコアに近いと思います。
SiMの開催するDEAD POP FESTiVAL 2024の出場権を勝ち取っています。今後の進化に注目のアーティストです。
SLOTHREAT
2019年~
バックサウンドはプログレッシブなメタルコアの要素を強く感じますが、
メロディラインはラウドロックと90~00年代V系の中間くらいのニュアンスがあるように感じます。
声質はTHEヴィジュアル系というよりも中性的で綺麗な感じなので、V系特有のネットリしたボーカルが苦手な方でも好きになっていただけるバンドだと思います。
曲の細部の作りこみは玄人感が強く、特に楽器を演奏する方などには面白いと思えるポイントが多い感じがします。
一方でメロディのキャッチーさとスクリームを一切排除したクリーンボーカル一本勝負という部分においては、普段メタルやヘヴィミュージックを聴かない人たちもとっつきやすい内容となっているので、V系からメタル方面に興味が出てきた方には入口になりやすいバンドだと思います。
Petit Brabancon
2021年~
DIR EN GREYの京さん(Vo)や、MUCCのミヤさん(Gt)、The Novembers 高松浩史さん(Ba)、L'Arc〜en〜Cielのyukihiroさん(Dr)らによるスーパーバンド。
ドロドロした地を這うような重低音とニューメタル、ハードコア、グランジなどにインダストリアルの要素が合わさっているのが大きな特徴。
現代の音楽なのに初期のKornみたいな音をしているのは、意図してるのだと思われます。
音源によってかなり世界観が違うのもまた面白いポイントかもしれません。
KNOSIS
2022年~
元Crystal LakeのRyo(Vo)のプロジェクト。
ラウドロックではありません。もはや何でもない系。オリジナルヘヴィネスを突き進んでいます。
プログレッシブな曲展開と独自のインダストリアルな電子音とゲームにインスパイアされた世界観が特徴。
ラウドロックではないですが、Ryoさんの絶大なスクリームキャッチーなパワーにより難解さがほぐされ、ラウドロックファンの心を鷲掴みにしている模様。
総括
いかがだったでしょうか。
ラウドロックの前史からラウドロックが芽生え始め、
今日ではジャンルとして幅広く認知される発展までの系譜を追ってきましたが、少しでもラウドロックへの理解が深まれば幸いです。
ラウドロックというジャンルの拡大は現在も続いており、今現在も新たな才能が生まれ続けているシーンです。
まだまだ衰退や限界値は見えていません。
これはやはり、ジャンルの持つ縛り・ルールが「重くて激しい」という特徴のみで、他のジャンルからの影響や追加の音楽的要素は自由だという事に起因していると考えています。(実質、ほぼ制約がない)
今後もどんな才能がラウドロックシーンから芽生えるのか目が離せません。
written by カラス先輩、くろちゃん
参考文献
・Pay money To my Pain - SUNRISE TO SUNSET / From here to somewhere(Blu-ray/DVD)
・和田信一郎 - 現代メタルガイドブック
https://amzn.asia/d/1o6de5o
みの - にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史
https://amzn.asia/d/9ipA64S
・激ロックポータル インタビュー
https://gekirock.com/interview/Japanese/
・ラウドロック(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF
・超初心者でもわかる!ラウドロックってなんだろう?
https://www.redbull.com/jp-ja/loudrock-column-01
・日本を代表するラウドロック10選|音楽|初心者
https://www.redbull.com/jp-ja/loud-rock-select-10
・GrindHouse tv 2010.6.28O.A
https://youtu.be/5a0_1FlY0M0?si=pYlm7SNtQh1ZN1p_
・SiM MAH×YOASOBI Ayase、メタルをテーマに特別対談 “ロックスター”を掲げて語り合う、日本発の音楽として果たすべき役目
https://realsound.jp/2023/09/post-1420319_2.html
・ラウドロックは世代&ジャンルを越えて広がり続ける 海外メタルシーンの変遷とともに辿る“進化と功績”
https://realsound.jp/2023/08/post-1418465.html
・STUDIO PRISONER
https://studioprisoner.jp/
改版履歴
2025/1/17 初版公開。