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ドサクサ日記 1/27-2/2 2025

27日。
豊昇龍が横綱になるという。横綱昇進の条件の厳しさの前に跳ね返されてしまった関取たちの歴史を思うと、ちょっと甘いかなと思いつつ、来場所に圧倒的な力を見せつけて「文句なしだわ」と思わせて欲しい、みたいなアンビバレントな気持ちで見守っている。朝青龍と琴光喜が引退後にテレビの企画で相撲を取ったとき、俺は泣いてしまいそうになった。相撲取りにとって相撲は人生だと思う。問題を起こしてしまったふたりではあったけれど、そこには未練のような感情や、きっちりと相撲を終えられなかった者たちの姿を見たし、ファンである俺も彼らのきっちりとした終わりを見ることができなかったという無念があって、彼らが本当の意味で土俵を降りる瞬間に立ち会えたような気がして、感動したのだった。組織の都合もあるけれど、力士たちのそれぞれの人生がなるべく幸せなものであってほしいと思う。

28日。
高齢者用四葉マークの自動車の運転マナー云々ではなくて、最近は爺さん婆さんが身ひとつの徒歩で一車線を独占していることがあって驚く。歩道も狭く、確かに歩行者フレンドリーではない道路も多少あって、誰しもが車道にはみ出さずにはいられないような通りもあるけれど、さすがにそれは大名などの藩主、代官みたいな主君の代理みたいな役職レベルの歩き方なのではないか。どうか無事でいて欲しい。

29日。
大阪で藤原辰史さんとトークショー。藤原さんの絶妙なトーク回しのおかげで、その流れに乗っているだけでずっと楽しい60分だった。楽屋では三島さんと3人で睡眠という切実な問題についてのトーク。働きすぎると脳が過回転のようになって静まらず、夜寝れなくなってしまう。そして老化が原因なのか、朝の妙な時間に起きてしまう。飲酒も睡眠を浅くする。分かっていながら、梅田でベロベロになった。

30日。
饂飩と並んで普段のスタジオワークの時に買って食べるのはほっかほか弁当で、この日も海苔唐弁当と豚肉の入った味噌汁を持ち帰って、作業の合間に食べた。最近はタルタルソースが有料になって寂しい。醤油マヨネーズがついているが、言い換えれば「アブラ酢醤油(卵入)」のようなもので、ご飯の上に揚げ物が敷き詰められた弁当を不健康な向きに進めているように思う。とても海苔では中和できない。

31日。
やっぱり饂飩だろうということで、いつものように丸亀製麺に吸い込まれ、どうしようかなと迷いつつ、鴨と葱の饂飩を注文してしまう。正月から飲んだり食べたりを奔放に繰り返して、ゆるふわ愛されボディ化がやや進んだような気がする。中華圏の旧正月を区切りとして、こうしたモードに別れを告げ、精神も身体も引き締めていきたいと思いながら、握り飯まで食べてしまった。1月のうちなので許す。

1日。
高田馬場のスタジオで録音。バインミーというサンドイッチをはじめて食べたのだけど、とても美味しかった。昔はパクチーが苦手というか理解できず、「いくらでも食べられる」と言う伊地知メンバーのことを、それは言い過ぎではないのかと思っていた。あの頃のパクチーと今のパクチーはその香りのエグさに違いがあるような気もするが、あるべき料理にないと物足りないくらいには好きになった。

2日。
横浜のスタジオで録音。連日のインディーロックバンドとの作業。それぞれに仕事をしながら、生活の合間の時間を使って創作に励む人たち。それが偉いとか偉くないとかそういうことではなくて、愛おしいなと思う。どうして音楽を作ってしまうのかなんて説明がつかない。バンドみたいな共同作業は楽しいことばかりではなく、意見を引っ込めなければいけなかったり、我慢しなければいけないこともある。ただ、仲間同士で、お互いのアイデアや演奏の素晴らしさを讃えあったり、何かしらの生きている意味を発見したような気持ちになれる。人生の多くの要素は偶然で、本来そこに意味のようなものはなく、意味を探せば探すほど、生きるのがしんどくなる。生い立ちを呪わざるを得ない人もいる。偶然じゃなきゃやってられない。ままならない人生のなかで、どうにか美しい瞬間を捕まえて保存すること。

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Masafumi Gotoh
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