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書き手と読み手の「非対称性」について

先日『構造化思考のレッスン』が発売されたが、早速「面白かったのですぐに読み終えました!」という声が何件か届いた。
これは僕にとってはとても嬉しいことなのだが、以前話したとある著者は、こういうリアクションにモヤモヤすると言っていた。要するに、執筆にかけた長いプロセスがあっという間に「消費」されてしまった感じがするというのだ。

なるほど、確かにそう感じる書き手がいるのも理解できなくはない。長期間格闘してやっと形になった作品は、腰を据えて読んでほしいと願うだろう。軽い態度で斜め読みされて、分かったようなことをSNSに書かれたりすると、さらに文句も言いたくもなるのかもしれない。

しかし、世の中常にそんなものだ。

長い時間をかけて生み出されたものを、僕らは一瞬で享受し、そして消費してしまう。本や映画、音楽などの芸術作品もそうだし、料理など身近なことにも当てはまる。食事にかける時間は、料理にかけた時間に対していつも見合わない。
作り手と受け手がいる全ての行為には、常に圧倒的な非対称性が存在するのだ。

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